最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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1422 驚愕の提案

公開日時: 2024年12月26日(木) 00:21
文字数:2,031

 沙那ちゃんの一件が片付き。

一人で今日あった事を振り返っていると、そこに細川君(モジャさん)が現れ。


……なにやらややこしい事を言ってくるのだが。

「なんだよ、それ?別件ってなんだよ?」

「いやな。別件って言うのは、旦那が連れて来た橘親子についての話なんだけどな」

「なにを言うかと思えば、親父さんと沙那ちゃんの話だと?」

「あぁ、そうだ。あの2人の売出しを、俺にも手伝わせて欲しいだけの話さな」


そこの話?

モジャ公の言う別件って言うのは、どうやら沙那ちゃん達の話みたいなんだが。

さっきの話とは、急に掛け離れた話に成ったな。


どういう展開だよ、それ?



「はい?なんだそりゃあ?親父さん達と知り合いでもないアンタが、なにを手伝うって言うんだ?」

「なぁ~にな。他愛もない話なんだがな。あの親子……いや、正確には、現時点では親父さんの方だけなんだが、極一部のマニアの間では有名なのを知ってるだろ」

「あぁ、それなら一応は、嶋田さんと、康弘に聞いて知ってるなぁ」

「だったらな。あの親子の売出しを掛ける為にも、GUILDを、ちょいと利用しようと思ってるだけの事さな」


GUILDを利用?


……って事は、なにか?

GUILDを使って、全世界から、親父さんに向けての発注を受けようって寸法か。


ふむ……



「それってよぉ」

「あぁ、そう言う事さな。今日の【無名】のライブで、橘親父さんの実績は証明されただろ。だから、早急に専属契約に持って行って、GUILDに入らなきゃ、親父さんに受注すら出来ない様にしちまおうって寸法さな」


GUILD限定の受注ねぇ。


なるほどなぁ。


まぁ、売り出すにしては、決して悪くはない提案ではあるんだろうけど。

専属契約を結ぶとまでなると、少々話が極端に成り過ぎるんじゃねぇのか?



「ちょっと待てよ。GUILDと専属契約なんかしちまったら、そんなもん、親父さんがジリ貧に成るだけじゃねぇかよ」

「いいや。それが、そうでもないんだなぁ」

「なんでだよ?」

「なんで?って……旦那、考えてもみなよ」

「なにをだよ?」

「まずにして、個人のビルダーが年間に作れる楽器の本数なんて、たかが知れてるんじゃないかい?」

「あっ」


そうか、そうかそうか。

そう言われてみれば、そうだな。

俺は発注数にだけ目が行ってしまっていたみたいだが。

商売するからと言っても、ただただ多くの受注だけ受ければ良いってもんじゃねぇもんな。


『良い商品は、薄利多売しょうとしても意味が無い』って事か。


数が限定されているのなら、尚更、薄利多売をする必要性がないしな。


それにだ。

そうやって年間生産数が限定されてるだけに、ある程度、受注にも規制を掛けなきゃ、客が年単位の待ちになるだけ。


それじゃあ、客側にストレスが溜まっちまうな。


なるほどな。

それなら確かに、GUILDを利用するのは理に叶ってるな。



「それにな。その限られた数の楽器を、ロクに楽器を弾けない奴等に売っても、楽器の意味さえ失いかねない。なら、一層の事、弾き手が、ある一定のレベルに達した人間を対象にして売った方が宣伝効果が高いし、金を持ってるから、金払いも良い。闇雲にブランド名を上げるだけじゃ、本当の意味での売込みにはならないんじゃないのかい?」


まぁ、そうなるわな。


それに、そうやって付加価値を付け続けていれば。

まさに親父さんの楽器は値が釣り上がる一方だから、親父さん達の生活にも安定感が出てくるだろうし。

それに伴って、本当の意味での放浪生活の終焉も見えてくる。

なんと言っても、営業をしなくても、相手側からドンドン受注が来る訳だしな。


しかも親父さんは、そうやって客を選んで商売が出来るから、果てしなく拘っていても、客側から大きなクレームにもならない。


なるほどなぁ、良い考えでは有るな。


……けどなぁ。



「……悪くはねぇ。悪くはねぇわな」

「だろ。……けど、旦那が、仲居間と揉めてたんじゃ、この話は受け入れ難いだろ。だから、さっきの話を、先にしたんだけどな」


解ってんじゃん。


確かに、そういう使い方をする上でのGUILDは有用なんだが。

今現在の俺の心境じゃ、どうしても崇秀の関わているGUILDを利用する気には成れない。


どうやらモジャ公は、そこの心理は、よく解ってくれてるみたいなんだが。

例えそこが解っていたとしてもだな。

どうにも、さっきの話との繋がりが良く見えてこない。


一体、さっきの話と、どう繋がるって言うんだよ?


本心じゃあ、何を企んでるんだ、コイツは?



「はぁ?どう言うこったよ?」

「なぁ~にな。これは、そんな小難しい話でもないんだわ」

「ほぉほぉ」

「そんな風に橘親子の提案が受けがたいなら、俺が、旦那を仲居間と同じ立ち位置で勝負出来る様にしてやるって言ってるのさな。要約して言えば、旦那には、GUILDに匹敵する組織を作ってやるってこったよ……わかったかい?」


はぁ?

GUILDi匹敵する組織を作る……だと?


・・・・・・


はっ?はぁ~~~っ?

マッ、マジで、なっ、なにを言ってるんだコイツ?


平然とした顔をして何を言い出すのかと思えば、あんなトンデモナク巨大な組織を、俺の為に作ってやるだと!?


いやいやいやいや、ホントなに考えてんだ、コイツは!?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


さぁさぁ、ややこしい話がエスカレートしてきましたよ♪


なので、これを聞いた、次回の倉津君の反応が楽しみな所なんですが。

それとは別に、細川君の真相は、如何なるものなのか?


そんな部分は描いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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