最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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373 俺のデザイン評価

公開日時: 2022年2月14日(月) 00:21
更新日時: 2022年12月26日(月) 14:52
文字数:2,605

●前回のおさらい●


 真上さんと楽しい時間を過ごす倉津君。

そんな折、特別に真上さんのデザインデータを見せて貰う事に成ったのだが。

そこで気に成った没イラストがあったので、少々加筆して、真上さんに見せてみたら……


笑われた(笑)

「ふふふっ……これ、凄く面白い発想ですね」


あっ、そっち。



「殆ど、原形留めてないッスけどね」

「いえ、それにしても、凄い絵になっちゃいましたね。可愛く書いた筈なのに、可愛くないんですもん」

「いや、あの、大変失礼だとは思ったんッスけど。この場合は崩した方が面白いかなって」

「有りですよ有り。こう言う感性は、私には有りませんからね」

「ひょっとして褒めてくれてます?」

「凄く褒めてますよ。これ、頂いても良いですか?」

「構わないッスけど、なんに使うんッスか?」

「勿論、Tシャツのデザインに使うんですよ。……使っても良いですか?」


えぇえぇ~~~。



「いやいや、真上さん。そうやって評価してくれるのは嬉しいッスけど、そんな気味の悪いイラストを胸に貼っ付けて歩きたい奴なんて居ないッスよ」

「そうでしょうか?私は、一目見て、着てみたいと思いましたよ」

「それをッスか?」

「はい。このデザインでしたら、メタル系のバンドT程のハードなイメージではないですから、気軽に女の子でも着れると思いますよ」

「けど、自分で描いて言うのもなんッスけど。それかなりキモイっすよ」


いや、マジでキモイっす。



「そこが良いと思うんですが」

「なんでまた、そう思うんッスか?」

「いえ、女の子って、基本的には可愛いものが好きなんですけど、逆も然りなんですよ」

「どういう事ッスか?」

「意外となんですけど。おかしな物が、突然、好きになったりするんですよ」

「例えば、なんか前例でもあるんッスか?」

「はい。以前、大阪で見かけた物なんですが『サザエボン』って言う、サザエさんの髪型と、バカボンのパパの顔をミックスさせた商品が有ったんですよ。それが当時、地域限定でしたが、凄く売れたんですよ」


サザエさんの髪型+バカボンのパパの顔?


確かにキモイな。


まぁ、そんな訳の解らないキモイ物が売れるなら、強ち売れなくもないか。


けど、布石は必要だな。

なにも考え無しに、こんなものを売ったんじゃ、多分、売れないしな。



「あの、真上さん。因みに販売戦略とかって考えてます?」

「えっ?まだ、そこまでは考えてないですけど。……なにか良い方法が有りますか?」

「いや、良いアイディアか、どうかは、わかんないんッスけど。それ、どこかのバンドTにしたら、どうですか?」

「う~~~ん、悪くはない案なのですけど。そうなるとですね。請負先のバンドを探さないといけないですね」

「あぁ、そうか……うん?けど、山中の所のバンドじゃダメなんですか?」


確か山中が『前回のツアーで、真上さんのブランドを使ってた』とか言ってたと思うんだけどな。


これを、上手く利用すれば良いんじゃないッスかね?



「はい。それだと、少し問題がありましてですね。あのバンドは、会社指定のデザインでの発注の請負なので、勝手な事は出来無いんですよ」


う~ん、なるほど。

山中のクセに、中々、猪口才な事を言いますね。


なら……



「じゃあ、俺が、ヘルプに行った時に自分の物販で使いますよ。一枚1500円ぐらいしか出せないッスけど。100枚で発注とか出来ますかね?」


そうなんだよな。

実は俺、この件について、結構、悩んでた節が有ってだな。

前々から、どうしようかなって思ってたんだよな。


全然、自分の物販商品が無かったから、なにか作らなきゃって思ってたんだ。


そこに湧き出てきた、この話だろ。


なら、乗らない手はない。


まぁそうは言ってもだな。

実際の処、デザインは自分が描いた物なだけに微妙な線だがな。


けど、真上さんに下手に負担が掛かって、無理して貰うよりはマッシってもんだ。


まぁ、それ以前に、解決しなきゃいけない問題が1つだけ残ってるけどな。



「ダメですよ。それですと、倉津さんに負担が掛かってしまいます」


……ほらな。


これを言うと思ったよ。



「あぁっと、真上さん。これは、商売の話ッスよ。別に真上さんの事だけを思って、言ってる話じゃないッスから」

「ですが……」

「えぇっとッスな。これ、マジ話なんッスけど。物販する商品の強化は以前から考えていた事なんで、この話はタイミングが良かったってだけの話ッスよ。ってか、正直言うとッスね。そう言う知り合いが居なかったから、頼める相手が居なかったって言うのも有るんッスよね。……だから、寧ろ、お願いしちゃって良いッスかね?」

「あの……本当に、そうなんですか?」

「勿の論ッスよ。真上さんとコラボ出来るなんて、滅茶苦茶、嬉しいッスよ」

「……わかりました。そこまで言って頂いて、お断りする理由は有りません。いつまでにご入用ですか?」

「いや、そんなに慌てないッス。文化祭後、1週間程はバンドのヘルプが入ってないんで、まぁ、ボチボチやって貰ったら良いですよ」

「はい。では、喜んで承ります」


真上さんは『いつもと違う笑顔』=『掛け値無しの本当の笑顔』で、そう答えてくれた。


どうやらこの様子からして、彼女も、納得した上で喜んでくれたらしい。


……けど、彼女が喜ばしい反面。

俺は、この話については『少しの間、他の奴には黙ってよ』っと言う気持ちでいた。


どうせ、他の奴等にこの話をしたら『真上さんの嵌った』とか言われるだろうからな。


面倒臭いんだよな、そう言うの……


っで、この後、真上さんが、この不気味なデザインから、数種類のデザインパターンを展開してくれる。


それがまた、手早いんだよな。

数種類のパターンを組み合わせていくだけなんだが、兎に角、配置転換が早い。

まるで、そこに当て嵌めるのが決まっていた様に、手早く作業を進めて行く。


っでだ、そこに偶になんだが、俺が意見を入れると、彼女が素早く修正する。


けど、これだけの事でも、結構、楽しかったりするんだよな。


『なんでか?』って言うとだな。

俺なんかが、こんな事を言うのもオコガマシイ話なんだが、真上さんと、俺は絵を描くもの同士。

デザインに対しての意見交換や、相手のセンスを知る事なんかが出来て、兎に角、時間が経つのを忘れるぐらい楽しいんだよな。


それにだ、以前から、授業中に書き溜めていた(?)落書きを、何気に真上さんに見せたら……真上さんは凄く喜んでくれて、修正箇所や、加筆部分を教えてくれたりしたからな。


それがまただな、真上さんのセンスがピカイチなのか、俺なんかのヘチョ落書きが、見る見る商品化出来る様な絵に変貌して行く。


まぁ、此処まで実力差を明白にされたら、嫌悪感なんかゼロで、感心するしかないんだよな。


やっぱスゲェは、この人。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


絵を描ける者同士だと、こう言う話題では事欠かないですよね。

倉津君、メチャメチャ楽しそうですし(笑)


……っとまぁ、平穏な時間を過ごしてる倉津君なのですが。

まだ、その平穏な時間は続くのでしょうか?


次回は、その辺りをピックアップしていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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