●前回のおさらい●
崇秀に、奈緒さんとの関係を聞かれ、動揺して話が出来ない倉津君だったが。
崇秀の言葉の罠に引っ掛かって、アッサリ奈緒さんとHした事を吐いてしまう倉津君でした(笑)
「まぁ良いや。俺は、別に、そんなどうでも良い話を聞きたい訳じゃねぇんだ」
「どうでも良い話だと?俺、奈緒さんとHしたんだぞ。……それでも、どうでも良い話だって言うのか?」
「あぁ、どうでも良いな。そんなもん、男女が一緒に居りゃ自然に起こる行為だ。別に不思議がる事でもなんでもなかろうに。……それにな。そこは、俺にとっちゃあ、話の通過点に過ぎないんだよ」
「じゃあ。最初から前提にしてたって事か?」
「あぁ……可愛い彼女と3ヶ月以上も付き合って、Hしない方がどうかしてるだろ。インポかテメェは?」
……3ヶ月で、Hって早くないのか?
コイツの感覚は良くわからねぇ。
「ってな訳でだ。オマエの言う『ダメな話』って言うのは、その程度の話なんだよ。理解出来たか?」
「・・・・・・」
「それとな。俺が、本当に聞きたいのは、オマエの本心だ。……オマエ、向井さんとHして、彼女に対する意識が何か変わったか?そこが重要なんだよ。……此処は話せるか?」
「……別に、なにも変わっちゃいねぇよ。今まで通り、奈緒さんの事は好きだし、彼女を満足させてやりたいって言うのは、隠し様の無い本心だ」
「違ぇよ。俺が聞きたい本心は、そこじゃねぇの。オマエは、今の現状にある彼女をどうしたいんだ?俺が聞いてるのは、そこだよ蛸助」
……そりゃあな。
本音で言っちまえば、今まで通り、奈緒さんと一緒にバンドを続けて行きたいし、これからもズッと一緒に遊んだりもしたい。
……けどな。
それは、幾らオマエでも、出来無い相談なんだよな。
奈緒さん親が、音楽会社と契約を交わしてる以上、そう簡単には事は運ばない。
それにだ。
お互いが納得して、奈緒さんの海外進出を決めたんだから、今更、そんな事を言える筈もない。
「・・・・・・」
「なるほどな。流石に、そこは言い難いか。……なら、俺が、オマエに代わって、包み隠さずオマエの心理って奴を言い当ててやる」
「よっ、余計なお世話だ!!」
「黙れな。テメェの話を待ってたんじゃ、埒があかねぇんだよ。それともなにか?包み隠さず、自分で言えるって言うのか?」
「チッ……」
「ほれみろ、なにも言えねぇじゃねぇか……俺はな、昔っから、そう言う時間の無駄使いが一番嫌いなんだ。言えねぇなら黙ってろ」
俺は、何を期待していたんだろうか?
こうなる事は、少なからず予想は付いていた筈なのに……また、調子の良い事を考えていたんだろうか?
「実はオマエ。……向井さんが海外に行っちまうのには、なに1つ納得しちゃあいねぇだろ。だが、オマエは馬鹿だから、それをどうにかする手立てが無い。違約金なんて金は支払えねぇし、彼女も、それを求めて無いと思い込んでる。……だからオマエは、せめて『彼女の為に良い思い出を』なんてアヤフヤな物で、自分を誤魔化そうとしている。……違うか?」
クソッ!!なに1つ間違っちゃいねぇ!!
「あぁ、確かにな!!確かにそうだよ!!あんな話、納得なんて出来る訳ねぇ!!けど、なんにも出来ねぇのも現実だろ!!」
自分の無力さを怒りに変えて崇秀に怒鳴った。
だが……奴はそれを聞くと、呆れた表情をし、大きな溜息を1つ付く。
「ハァ~~~、オマエさぁ。いつから、そんな糞雑魚みたいな考えになっちまったの?『納得出来ねぇ』だと?『なんも出来ねぇ』だと?……俺には、それを言える程、オマエが向井さんの為に、何かしてやったとは思えないな」
「・・・・・・」
「それにだな。俺なら、彼女が嫌がるのが解ってても強引に違約金を集め、自分の手元から大切な彼女を絶対に手離したりはしない。もしそれが出来無いなら、オマエが言う、その思い出作りとやらに奔走して、他人に楽しさを作って貰おうとは思わない。思い出つぅのは、自分達で組み上げるからこそ、思い出つぅんだよ。……良いか、倉津?オマエのやってる事はな。他人に依存して納得しようとしてるだけだ。そんな覚悟もねぇオマエが、彼女を満足させれる訳ねぇだろが。全てが甘いんだよ、オマエは」
グゥの根も出ない。
崇秀の言う通り、俺は金も集めてなきゃ、思い出を作るデートのプランすら考えていない。
俺は、奈緒さんに頼っていただけなのかもしれないな。
「さて、そこで問題だ。オマエは、一体、俺になにを欲する?それに対して、なにが出来る?さぁ言ってみろ。『等価交換』で、俺を満足させたら協力してやる。但し、時間がねぇから、サッサと答えねぇなら、話は御破算だ」
俺には、どうにも出来なかった事を、コイツには、どうにか出来るらしい。
なんなんだろうな、この差は……日に日に、この差は広がっていってる様な気がしてならない。
何故なら、4月までは同じ学校に通い、同じ様に馬鹿をしていた。
それなのに、俺達の初ライブの日から、コイツの視野は一気に拡大して広範囲に渡って見ている。
しかも、それを使う方法すらも、己自身で編み出している。
矢張り、俺が甘いだけなんだろうか?
「おっ、俺の欲するものは、ただ1つだ。『奈緒さんと一緒に居たい』……ただ、それだけだ。その為の手段が欲しい」
そこまで解っていても、俺は崇秀に頼ってしまう。
なさけねぇな……
「あぁ良いだろう。100%とまではハッキリ言えねぇが、それは出来る限り俺が与えてやる。……但しだ。今オマエの出来る事を、全て俺に言って見ろ。『等価交換』じゃなきゃ話にもならねぇ」
「……わからねぇよ。俺が出来る事なんざ。多少ベースを弾ける事と、人より喧嘩が上手く出来る事……後は、もうなにもねぇ」
「そうか。なら俺は、オマエの楽器の腕を買ってやる。オマエは、この1年、俺の指示に従え。それが約束出来りゃあ、向井さんを、オマエの元において置く手立てを考えてやる……出来るか?」
「あぁ、当然だ。好きに使ってくれ」
「OKだ。但し、これからのオマエは、今までの様な呑気な生き方は許さねぇ。本当に生活面から全て改善して貰う。……それでも良いんだな」
「……わかった」
結局、魔王との契約をしてしまった。
これ自体が、俺の一番ダメな事ぐらいは解っているが、今の俺には、奴に頼るしか手立てが無い。
自分の彼女の事すら、何も出来無いなんて……どこまでも情けない男なんだよ。
「OKOK。んじゃま、肩慣らし程度に、一丁軽くやってみっか」
へっ?かっ、軽ッ!!
ってか、肩慣らしだと?
なんだそりゃあ?
俺の悩んでた事って、そんなに簡単な事なのか?
そっ、そんな馬鹿な!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
格の差、っと言う訳ではないのですが。
矢張り、出来る事の多い崇秀と、まだ出来る事の少ない倉津君では、この辺に大きな差がある様ですね。
しかしまぁ、そんな相手と契約を交わしてしまって大丈夫なんですかね?
次回は、その辺を描いて行こうと思います。
なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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