●前回のおさらい●
真っ白で靄の掛かった様な空間を、ただ只管に1人で歩き続けていた眞子。
そんな中、耳を澄ますと聞こえてくる、ややくぐもった声。
この空間にも他に人が存在するのかと思い、そこに行ってみたら『返せ!!』の言葉と共に襲われ……
……今度こそ、本当に、どれ位の時間が過ぎたのだろう?
いや、事実だけを追求すれば。
此処を歩き始めた当初から、一体、何日も過ぎているのかすらも解らない。
……ゴールの見えない『無限地獄』
ただ……今は、少しなにかが変わった様に感じる。
こんなもアヤフヤな物が、今の状況では、なんの意味も持たない事ぐらい解ってはいるが。
そう思える唯一要因として、肌に感じる感覚的なものからは、先程まで居た同じ場所ではないと言う確証はあった。
先程は余りの衝撃に気絶をしてしまったけど、漸く、なにかしろの変化が起こった様だ。
良い方向なのか?
悪い方向なのか?
……は、まだ脳内全ての意識がハッキリとはして居ないから解らないけど。
今までは、なにも感じなかった背中に、なにか少し堅い物を感じる。
そして、それと同時に、なにかを上から被せて貰っている。
これは、とても……暖かい。
考察するに、私は、なにかの上に寝転がっている様だ。
『これは……ベット……なのかなぁ?……』
***
……そうやっている内に。
本当に、ゆっくりとではあるが、意識が徐々に回復して行くのが解った私は、光を求めて、重く閉ざされていた眼を開け始める。
でも、その意思に反して、眼を開ける以外は、流石に体は動いてくれない様だ。
なんか、一気に全身が動かないのは……とても不便で不愉快な感じだ。
まさに、自分の体が『違和感の塊』の様だ。
「……あっ、あぁ……眩しい……」
「……あぁ、どうやら、お気付きになられた様ですね。お加減は如何ですか?」
「……此処は……どこですか?……私は、一体……」
「此処は、貴女が見ての通りの場所です。そして貴女は8月12日水曜日。カリフォルニア州・サンフランシスコのライブの途中、突然、なんの前触れもなしに倒れられて、そのまま、此処に搬送されたんですよ」
確かに、視界で捉えた感じだけで言えば。
この人の言う通り、此処は……間違いなく病院なんだろう。
何故なら見た感じ、どこにでも有り触れた様な、比較的、無機質な病院の個室。
そうかぁ……今まで見ていたものは、全てが『夢』だったんだ。
混濁する意識の中。
私は、自分の存在に非を感じていた部分が脳内で構成され。
倉津真琴が存在するっと言う様な、おかしな幻覚らしきものを見せ付けられていたに過ぎなかったんだ。
なるほど。
これならなんとか、全ての合点が行く話だ。
「あの……申し訳ありませんけど……今日は……何日でしょうか?」
「今日ですか?今日は8月の14日の金曜日。アナタは、此処に運ばれて以来。丸2日間、完全に意識を失っていたと言う訳ですね」
私に話し掛けてくれているお医者さんは会話を続けながら、触診で、私の脈を右手で摂り。
左手では、おデコに手を当てて、簡単な体温を測っている。
個室の広さや、施設の規模から考えると……やけに原始的な検診だなぁ。
これじゃあまるで、病院と言うより、家庭で行なわれる熱の測り方だ
それに、この部屋も良く見ると少し変だ。
これと言った医療器具や、機械類が一切見当たらない。
此処で少し妙な違和感を感じ始める。
「あぁ……そうなんですか。それは、大変ご迷惑をお掛けしました」
「いえいえ、これは僕の仕事ですからね。気になさらずに……まぁですが、良くあんな酷い状態でライブなんて出来たもんですね。少しは、自分の体を労わる事も憶えて頂かないと、いつか体がもたなくなり、死んでしまいますよ」
「私の体に……また、なにか異変があったんですか?……なにが、どうなっているんですか?」
「貴女は、なにかで後頭部の強打し。脳内出血を起して。記憶媒体である『海馬』に流れ出た血液が、脳を圧迫していた状態だったんですよ。……これは普通なら、即死しされていても、おかしくない状況でしたよ」
脳出血かぁ。
確かに、即死を及ぼす様な危険な状態だなぁ。
でも……何故か助かった。
なんでだろう?
「そう……なんですか?」
「そうですね。普通なら即死は免れなかったでしょうね。……ですが、奇跡的に貴女は助かった。神に感謝すべき、強靭な肉体をお持ちの様ですね」
なんか微妙な褒め言葉だなぁ。
男なら安易に喜べるけど、女の子だしね……
……言葉のニュアンスが、かなり微妙。
「はぁ……」
「まぁ、それはさて置き。……脳内出血により、幻覚症状なんて物が多々見受けられたと思われますが。その辺は如何ですか?貴女は、先程まで、なにか悪夢に魘されて(うなされて)いたご様子ですが」
あぁそうか。
全体的に言えば、結局は、脳に溜まった血流が幻覚を作り出していた。
なるほど、そこだけは、大体、合ってたんだ。
しかも、その原因が後頭部の強打って事は……多分、あのバスケの試合でやらかした。
無理な体勢から打ったシュートの後の『壁での後頭部の強打』が原因だったんだろうね。
そうかぁ、そうかぁ。
全ては、そこに集約されていたんだ。
そう考えれば、時期的にも、完全に合ってるしね。
すべては『夢』『幻』かぁ……
「あぁ……はい……思い出すのも嫌なぐらい、酷い夢を見ていましたね」
「そうですか。それはお可哀想に。……ですが、申し訳ありませんが。そろそろ、その悪夢とやらの続きを始めるとしましょうか?倉津真琴さん」
「えっ?……違います……私は……」
この人……
急に、なにを言ってるの……
どうして私に向かって『倉津真琴』なんて名前で呼ぶの?
しかも『悪夢』の続きって何?
それに……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
気絶させられた後、病院らしき場所で目覚め。
自身の置かれている状況や、謎、そんな事に成ってしまったのかの原因を理解したまでは良かったのですが。
最後に、その現状を説明してくれた医師らしき人物から、眞子を指して吐き出された『倉津真琴さん』っと言う言葉。
果たして何故彼は、眞子の正体を知っているのか?
そして彼の言う『悪夢の続き』っと言うのは、なんなのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!