●前回のおさらい●
奈緒さんが作った夕飯を、みんなで食べた後。
彼女の気遣いに、男性陣が称賛の声を上げていたら。
何故か突然、沙那ちゃんが不機嫌そうな表情を浮かべ始め……
「どうした?どうかしたか?」
「奈緒お姉ちゃんだけ、ズルイ」
「へっ?」
「沙那も頑張ったのに、奈緒お姉ちゃんバッカリ褒められてる。沙那の事、誰も構ってくれない。みんなに無視されてる」
何事かと思えば、そう言う事か。
沙那ちゃんは、小さい子也に、矢鱈と女の子女の子してる部分が有るから、同性として、奈緒さんだけに注目が集まるのが嫌なんだな。
自分も注目されたいんだな。
俗に言う「承認欲求」って奴が、顕著に表れちまったって事だ。
特に昨日から、突然、みんなから注目の的に成ってたもんだから、余計に、そういう感覚に陥っちまっても仕方がないってもんだ。
それに沙那ちゃんは、沙那ちゃん也に、リフォームとは関係ないが『リペア』作業をしてた訳だから、それを無視されたんじゃ気分が悪いわな。
気付いてやれずに、可哀想な事したな。
「なに言ってんだよ。誰も、沙那ちゃんの事を無視なんかしてないだろ」
「みんな無視してるよ。沙那、頑張ったのに、誰も気にも掛けてくれない。……ギター一生懸命直したのに……」
「いや、みんな、ちゃんと知ってるし、気にも成ってるんだぞ」
「……ホント?ちゃんと気にしてくれてる?」
「当たり前だろ。でもな」
「でも?」
「その話題を振るにしてもタイミングって奴が有ってな。幾らギターの話が気に成っていても、先に出た話題を解決しなきゃ、そこには行けないんだよ。みんなが好き勝手に喋ったら、場の雰囲気がグチャグチャになっちゃうだろ」
子供には、ちょっと小難しい話をしちまったけどな。
話題には、必ずしも転機って言うものがあるから。
そこまでは、自分のしたい話をグッと堪えながらも、先に出た話題を上手く解決し、その転機を待たなきゃいけない。
そんで、その転機が訪れた際に、やんわりと話題を変更すれば、最初の話題を振った人にも失礼に当たらない。
まぁ、これが一般的に言う「話の流れ」ってもんなんだが。
普通、こう言うのってのは、学校なんかで友達なんかと接していたら、順を追って自然と身に付いて行くもんなんだが。
沙那ちゃんの場合、学校に行っておらず、友達も居なかった訳だから、これ等の基本が、殆どと言って良い程、理解出来ていない。
だから、こう言う結果に成っちまったって話だな。
「そうなの?」
「そうそう。沙那ちゃんの話を、ちゃんと聞いてあげたかったからこそ、そこには、誰も触れなかっただけだ。決して、無視してた訳じゃないんだぞ」
「ふ~~~ん。なんか不思議な話だね。聞いてくれるから、触れなかった。良く解んないや」
むむっ、矢張り、少々言い回しが難しかったか?
じゃあ此処は、もっと噛み砕いて説明する必要性があるな。
『例の沙那ちゃんにも解り易い説明の仕方』を折り混ぜてな。
「そうか。じゃあ、沙那ちゃん」
「うん?」
「自分の振った話題を中途半端に流されたら、気分はどうだ?もっと解り易く言ったら『誰かが演奏をしてる時に、沙那ちゃんも、突然、全然関係ない音を入れたりしない』だろ。昨日、みんなと演奏して、そう思わなかったか?」
ちょっと微妙にニュアンスが違うんだけどな。
それに昨日は、みんなに音を合わせて貰っていたから、此処を沙那ちゃんが納得出来るか、どうかも微妙ではあるんだが。
まぁけど、少なからず、なにか昨日の演奏で感じてる所は有ったと思うから、こういう説明を入れてみた。
音楽に例えるのが、沙那ちゃんには一番理解しやすいだろうしな。
「あぁ、うん。それはダメだね。みんなとの調和がないと、全然良い音に成らないもん」
「だろ。だったら、楽器も、会話も一緒だ。その場、その場に合った話をしなきゃいけないって話だ。解ったか?」
「うんうん。それなら解った」
「じゃあ、解ったら、どうするんだ?奈緒お姉ちゃんや、山中のお兄ちゃんや、池上のお兄ちゃんに酷い事を言っちゃったんじゃないか?」
「あぁ、うん!!そうだね!!沙那、間違ってたね。……あっ、あの、お兄ちゃん、お姉ちゃん、我儘言って、ごめんなさい。怒らないで」
良いですな。
この自分が悪いと思ったら直ぐに謝れる、この姿勢。
素直な気持ちを表現するのは、いつ見ても凄く良い事ですな。
それに、こうやって子供が素直に謝れるって事は、聞かされた話に納得出来た証拠でもあるからな。
納得出来無ければ、意固地に成って捏ねるだけだし。
これは沙那ちゃんの理解力が高い証拠だ。
「怒ってない、怒ってない。なにも怒ってないよ」
「ホント、奈緒おねえちゃん、怒ってない?沙那、みんなの調和を乱したのに怒ってない?」
「大丈夫、大丈夫。誰も怒ってないよ」
「ホント?じゃあ沙那の事、嫌いじゃない?」
「嫌いな訳ないやろ。なんやったら、コッチに来て座るか?怒ってない証拠にも成るやろ」
「あぁ、それは嫌だ。倉津おにぃちゃんの所が良い」
「ブッ!!」
なっ、なんかスマンな山中。
こっ、子供は、正直な生き物だからな。
それに、沙那ちゃんは、特別、素直な子だからな。
ファラリス・ビショップの称号持ちだし。
それにしてもオマエ……なんか知らねぇけど、今日一日ズッと不幸だな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
この事態を切っ掛けに、1つ沙那ちゃんが成長しました♪
特にこれから学校に通うにあたって、この会話のリズムを含むコミュニケーション能力と言うのは、必須条件になってきますし。
此処を弁えていないと、相手から『自分勝手な奴だなぁ』とか思われて無視されたり。
運が悪ければ、それが切欠になって、苛めに発展する事すらあり得るので、今、この時点で、それを回避する方法を教えられて良かったと思います。
ホント、些細な事が苛めの原因になる事が多いですからね。
さてさて、そんな中。
少し常識を身に着けた沙那ちゃんから、最後に痛烈な一撃を喰らった山中君。
彼は、精神的に生き残る事が出来るの?(笑)
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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