最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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134 不良さん 死闘の末、鼻血を噴くか?

公開日時: 2021年6月20日(日) 00:21
更新日時: 2022年11月24日(木) 16:21
文字数:4,021

●前回までのあらすじ●


 嶋田さんの彼女である『上条椿さん』との無意味な死闘(?)の末。


漸く嶋田さん家の扉が開く。


そしてそこには予想もしない物が……

「ぶっ!!」

「うん?」


……扉が開いたのは良い。

部屋の中に入れて貰う為には必要な行為だから、勿論、これにはなんの問題も無い。

寧ろ、こんな事で問題があっちゃ困る。


ただ、今、俺が直面してる事態は、そんな些細な問題じゃない。


此処で問題なのは、彼女の格好だ。


上着にTシャツをキッチリ着ているんだが、下は黒い布キレしか見えない。


そぉ……彼女の下半身には黒い布切れしか見えないんだよ!!


早い話がだな……椿さんはパンツ丸出しなんだよな。

しかも、その下着の色が黒って、アンタ……またシックな色をチョイスしたもんですな。


そんな心境とは別に、俺の視線は、そこから一切離れてはくれない。


こうやって、人の彼女のパンツをジッと見てるのもなんだとは思うんだが。

一時になってしまったら、そう言うのが気になって仕方が無いのが男の悲しい習性。

意識を逸らそうとすればする程、そちらに目が行ってしまう。


自然に視線が、そこに集中してしまう。



「えっ?なになに?どうかしたの?」

「いっ、いや、あっ、あのッスね、椿さん。パン……」

「パン?……うん?……あぁ!!後輩さんお腹空いたんだね。うんうん、食パンで良かったら、明日の買い置き分が有るよ。それなら、後輩さんが食べても良いよ」

「いやいやいや、そうじゃなくてですね。あの、なんって言うかパンツが……その……」

「パンツ?パンじゃなくてパンツ?そんなの食べれないよ」

「じゃなくてですね。椿さんのパンツが見えてるというか、なんと言うか……」

「……えっ?えっ?あっ!!あぁああぁぁぁぁあぁ~~~!!ちょ、ちょっと待っててね、後輩さん」


俺の視線は、その魅惑の布切れから外れないから、彼女の表情は見えない。


……が、一連の彼女の言葉から察するに。

恐らくこれは、俺の言葉で、ゆっくり自分の視線を落として、自分の格好を確認しての結果なんだろうな。


相当、恥ずかしかったのか、再び勢い良く扉が閉まる。


この人、ホント天然だな。


……にしてもだな。

黒のパンツを履いてる女性なんて、生まれて初めて見た。


これはまさしく、眼福ですな眼福。


***


 数分して扉が三度開く。


つぅか、扉が開いたのは良いが、今度こそ大丈夫なんだろうな?

また『良からぬ事が起きるんじゃないか?』と言う、得も言えぬ不安が過ぎる。



「えへへ、ごめんね、ごめんね。椿、後輩さんにパンツ見られちゃったね」

「えっ?」


また驚く羽目になった。


先に言って置くが、またパンツの話で驚いた訳じゃねぇぞ。

俺が驚いたのは、照れながら頭をポリポリ掻いている彼女の容姿にだ。


てっきり俺は、もっとロリロリした人が出てくるんだろうと予測していたんだが、現実は、その予想に反して、全くの逆。


切れ長の眼に、細い顎。

鼻筋の通った高い鼻。

少し幼さは残るが『可愛い系』と言うより、どちらかと言えば『美人』


いや……確実に、美人系の人だ。


しかも、身長も高い。

俺の見立てでは165cm以上は確実にある。


なのにだな。

この人は、こんな話し方をするんだよな。


まるで『無限の住人』にでも出てきそうなタイプの女性だ。


……また此処に来て、漫画の世界の住人に出逢うとは、一体なんなんだろうな、こりゃ?



「えっ?なになに?椿、また変な事してる?」

「いやいやいや、そうじゃないんッスよ。ただ単に、椿さんが、あまりにも綺麗な人だったもんで、吃驚してたんッスよ」

「へっ?……えへへ、そっかなぁ?でもでも、椿みたいな子だったら沢山居るよ」

「・・・・・・」


居ねぇよ。


つぅか、この人も自覚が無いまま生活してるんだな。

まぁ最近は、そう言う奴バッカリを見てるから、此処については、そんなに気にはならないんだがな。



「ねぇねぇ、それよりね、後輩さん。中に入らないの?」

「あぁそうッスね。そうッスね」


まぁそんな訳で、漸く、部屋に入って行く訳なんだが。

此処で俺は、また馬鹿な事に気がついた。


―――なにかって?


いやな、実に格好の悪い話なんだが。

今の俺の視線って、椿さんの尻ばっかり見てるんだよな。


さっきの黒パンツが、俺の中で相当影響してるみたいでだな。

あのスカートの下に黒パンツがあると思うと……なんつぅ~かさぁ、こうやって、ジッと見てしまっとる訳だな。


なんか透けて見えそうな気がしてで、ガン見しちまってるんだよなぁ。


『奈緒さんが構ってくれない』からと言って、人の彼女を、そんな風に見てるなんて、俺どうかしてるんじゃないか?


欲求不満なのか?



「あっ!!」

「ぶっ!!」


ハイハイ、お約束。


神様って奴は、どうにも俺を、からかうのがお好きらしいな。

若しくは、俺の欲望に塗れた念力がなせる業なのか?


眼前に起こった事……それは。

言うまでも無く、椿さんのスカートがズレ落ちて、彼女は、それに足を取られて、思い切り廊下でコケた。


当然そこには、俺の心を惑わす黒パンツが丸見え。


これはまた、どこぞのエロゲーより酷い展開だな。



「だっ、大丈夫でふか?」


んで、格好つけて解説してる割にヘタレな俺は、眼前で起こった、あまりにも漫画的なベタな展開に焦り。

『でふか?』等と言う訳の解らない新言語を作ってしまう始末。


……ダッサ。



「イタタタタタタ……」

「つっ、椿さん、だっ、大丈夫ですか?」

「えへへ……コケちゃった」


笑顔でデコを抑えながら、椿さんはコッチを向くんだが……鼻血が出てる。


恐らくは、デコと同時に、その高い鼻を打ったんだな。



「『えへへ』じゃないッスよ。鼻血が出てるじゃないですか!!」

「あぁ、ホントだね。えへへ、ドン臭いね、椿って」


普段から、よくコケるのかして、彼女には動揺はない。

鼻血を出してるくせに、寧ろ、妙な余裕すら感じる。


あのねぇ椿さん、そんな余裕作ってないで、早く鼻血を拭きなさい。



「もぉティッシュはどこッスか?どこにあるんッスか?」

「うん?ティッシュなら、そこに有るよ。なんで?」

「もぉ~~~」

「??」


キョトンとした表情をコチラに向けて、一切動く様子が無いので、仕方なく俺自身が、奥の部屋に入ってティッシュを探す。


……なにやってんだよ俺?


普段なら、此処まで人に対して世話を焼く事なんぞないんだが。

どうにも、この人は、世話を焼かざるを得ない状況を作る人物の様だ。


スゲェ綺麗な人なんだけど、これじゃあ嶋田さんも色々と大変だろうな。


そんな事を考えながら、必死に捜索を繰り返し。

暫く、奥の部屋を探して目的のティッシュを発見。


それを持って、慌てて廊下に戻る。



「椿さん、はい、ティッシュ」

「ありがとぉ」


ニコニコしながらティッシュを受け取り、クシクシと鼻を拭く。


なんとも言えない光景だな、こりゃあ。

アンタは、木の実を喰ってる子リスか?


容姿と行動が、此処まで一致しない人は珍しい。



「はぁ~~」

「ありがとぉね、後輩さん」


鼻を拭き終わったのか、再度感謝。



「ホントに大丈夫ッスか?」

「うん?大丈夫だよ。椿、馬鹿だから、こんなのしょっちゅうだし」

「そうなんッスか?でも、気をつけて下さいよ」

「は~~~い」


そうやって、手を上げながら元気よく返事する。

のは良いんだが……なんか、この人、少し変じゃないか?

漫画の世界なら、こんな無邪気系のキャラクターが、沢山居ても、おかしくはないが、それが現実の世界となれば話は別だ。


いくら子供っぽいとは言え、普通は成人した大人が、此処まで子供っぽい言動をする筈が無いと思うんだが。


もし居るとすれば、それは狙って演技している女。


だが、俺には、そんなものなら、直ぐに見破る自信がある。

そう言う女は『100%いやらしいオーラ』が出捲くってるからな。


けど、彼女からは、そう言う人間的な『いやらしいオ-ラ』は全く感じない。


所謂『素』で、これなんだろう。


……っとなると、逆に言うと、ちょっと病的な感じだな。


気付けば俺は、椿さんを観察する様にジッと見ていた。



「うん?どうかした?」

「あっ、いやいや、なにも無いッスよ」

「そぉ?じゃあさっ、此処暑いから、部屋に入ろ、後輩さん」

「うっ、ウッス……って、ブッ!!」


俺が何故噴いたかは、もうお解りだと思う……そう、それ。


椿さんは勢い良く立ち上がったまでは良かったんだが、当然スカートは脱げたままの状態でキッチリとは履いてない。


だから、またしてもパンツ丸出しのままな訳だ。


その上、長身な彼女は足が長い。


……っとなれば自動的に。

俺の眼前には、あの俺を誘惑してやまない黒パンツが有るって言う事だな。


しかも、超至近距離だしよぉ。



どうやら今度は、椿さんに替わって、俺が鼻血を噴く番の様だ。



「だっ、だから椿さん!!ちゃんとスカートを履いてから、立ち上がって下さい!!またコケますよ」

「うん?あぁ~やっちゃったね。また、後輩さんにパンツ見られちゃったね。えへへ」

「ホントにもぉ」


イソイソと照れながらスカートを上げる。

けど、チャックを上げたら、それで終わり。


それ以降は、何もしない。



「つっ、椿さん」

「うん?」

「スカートのホックを留めて下さい」

「うん?あっ、そっかそっか。ホックを留めてなかったから、さっきもスカートがズレたんだね」

「・・・・・・」


これじゃあ『子供っぽい』って言うより、完全に子供じゃないか?

なんか、小学校低学年の頃に話してた女の子と話してるみたいな感覚だな。


ヤッパこの人、なんかおかしいぞ。


なんか事情でもあんのか?



「あの、椿さん……」


『ガンガンガン!!』



「嶋田さ~ん、居ますかねぇ?俺ッスよ俺、期日だから、ワザワザ集金に上がりましたよぉ」


……っと、俺が椿さんに質問をしようとした瞬間。

荒っぽく扉を叩く音と共に、なにやらキナ臭い奴の声が聞こえてきた。


んだ?

人が重要な事を聞こうとしてる時に、誰だよ?


……にしても、変な感じだな。


って言うのもな。

普通、時間的にも21時を回ってるので、銀行の集金なんか来る訳ないし。

そんな柄の悪い言葉で、近所迷惑な集金をする銀行マンは居ない。


基本的に、んな事態は有り得ねぇ。


じゃあ、自ずと答えは、何処かの街金の借金取りと言う事に成るわけだが。


何所のアホだ?


最後までお付き合い下さり、ありがとうございますです<(_ _)>


椿さん、ちょっと病的におかしな子の様ですね。

そう成っているのには、何か理由があるのか?


そして最後に扉を叩く男の正体は?


それは次回の講釈。


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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