●前回のおさらい●
倉津君に手を貸す理由して、眞子の存在まで提示してきた細川君。
その真相は!!
「まさか、アンタ……」
「あぁ、そうさな。恋愛感情込みで、俺は、眞子助を、もっと自由にして、アイツをハツラツと成長させてやりたい。今のままの眞子助じゃ、寝惚けてる仲居間の手によって腐っちまいかねないからな」
「だっ、だからか!!……だから、此処まで血縁である俺に拘って、白羽の矢を立てたって事か」
「そういうこった。今の眞子助は、仲居間に雁字搦めにされてて、以前見せたアメリカツアーでの様な急激な成長が見受けられなくなっちまってる。これじゃあ、眞子助が本当に自由に成ったとは言えたもんじゃないさな。だから此処は一旦、旦那の手で、仲居間と眞子助の関係を切り離して、気持ちにリセットを掛けてやりたいのさ」
いや、言ってる意味は解るんだが……それはどうよ?
眞子を自由に成長させてやりたいって気持ちは解らなくもねぇが。
そんな個人的な見解だけで、アイツ等2人の関係に介入するのは、些かヤリスギじゃねぇか?
幾らなんでも、そうやって眞子の意思を無視するのは、それは、あまりにも可哀想じゃんかよ。
それによぉ。
俺は、ある意味、アイツには裏切られたけどよぉ。
報復をするつもりなんて微塵も無いし『アイツを不幸のドン底に突き落としてやろう』なんて、ショボイ復讐心は微塵も持ち合わせちゃいないからな。
ナンダカンダ言っても、眞子は血肉を分けた姉弟だしな。
「いや、それは流石になぁ。崇秀とは喧嘩をしてるとは言え、そう言うのはちょっとなぁ」
「旦那。ソイツは、またしても勘違いだ」
「なにがだよ?」
「考えてもみなよ。眞子助が腑抜けてるのも、仲居間が腑抜けてるのも、これは、お互いの関係に甘えが生じてる証拠じゃないのかい?そんな奴等と敵対して、なにが面白いよ?倒すなら、絶対的な強者を倒してこそ意義があるじゃないのかい?じゃなきゃ面白くもないさな」
「……って事はなにか?結局、俺を当て馬にしようって腹か?」
だったら、尚更お断りだ。
『眞子は身内だから、多少は許してやっても良いかな』とは思う節はあるが、それが崇秀込みと成ると話が別だ。
裏切り者のアイツに、そこまでしてやる義理はねぇからな。
「まさかな。そんな気持ちは毛頭無いねぇ。あの2人を、完全に目覚めさせた上で、完膚無きにまで叩き潰す。それのみが、この企画の趣旨。最終目的さな」
「なっ!!」
「まぁ、旦那が望むって言うなら、GUILDを吸収して、なにもかもを奪ってやるってのも悪くないさな。地上に2つも太陽はイラナイだろ。頂点に君臨すべきは、仲居間じゃなくて……旦那、アンタみたいな人だ」
がっ!!
なにを考えて、そんな無謀な事をのたまわってるのかは知らねぇが、この自信に満ち溢れた言い様が、危険な事だけは証明されてる様な気がする。
一体、どういう構想が、コイツの脳味噌の中にあるんだ?
怖くて聞けねぇよ。
「いや、ちょっと待ってくれよ。俺は、そんな事は望んじゃイネェぞ。つぅかイラネェ」
「左様で。じゃあ、今まで通り『人に利用されるだけの人生でも良い』って言うんだな。それで後悔はしないんだな」
「いや、流石に、そうじゃねぇけど」
そう言われるとなぁ。
別に、誰かに利用されてるって認識自体が俺にはねぇんだけど。
傍から見て、そう見えるんだったら、利用されてるのかも知れないんだよな。
かと言ってなぁ……
「旦那。仲良し子吉も大いに結構だけどな。それじゃあアイツとは、いつまで経っても対等な立場には成れないぜ。貧乏くじを引くだけの人生は、そろそろ終わりにしても良いんじゃないのかい?」
「いや、まぁ、そうだけどよぉ……」
いやな。
正直言っちまえば、俺も、そうやって思う節が無くもないから、モジャの提案自体は、本当に悪くねぇんだけどよぉ。
あの諍いだけで『そこまで徹底的に叩きのめさなくても良いんじゃないか?』なんて思ってる、甘ちゃんの自分が居るんだよな。
そりゃあ、あの話自体、納得が出来てる訳じゃねぇけど、誰からも本当の事情を聞いてないからなぁ。
それだけに、こう言う報復措置的なものを取るのには、どうにも踏ん切りが付かないのも事実なんだよな。
「そうかい。まぁ、どうやら、旦那には、その意思が無い様だし。この話は無かったって事にした方が良さそうだな」
「……だなぁ」
「左様ですか。だがな旦那。最後に1つだけ言って置くがな。どんな諍いが、旦那と、仲居間の間にあったかは知らないがな。此処で旦那が、仲居間と和解したとしても、なに1つとして良い事なんて無いぞ。……決して、元の関係には戻らない筈だからな」
「まぁなぁ」
元の関係かぁ。
出来れば戻りたいものだが。
確かに、あんな事が有っちまった後じゃ、もぉ一生、元には戻れないよな。
それは十分な程、解ってはいるんだけどなぁ。
「それにな。今のままの旦那じゃ。アイツ等にとっちゃあ『馬の耳に念仏』だ。例え、一瞬は話を聞いたとしても、直ぐに右から左へ流れちまう。旦那の言葉が重くないって判断する可能性すらある。だから俺は、旦那の手で『アイツ等を徹底的に潰す』必要性があると感じたんだけどな。……その辺はどうだい?」
俺の言葉が重くないかぁ……
まぁそうだわな。
俺が、いつも自分の口で言ってる様に、世間での『格が違うんじゃ』格下の話なんて聞く耳を持つ筈ないよな。
でもなぁ……
「だからと言ってよぉ」
「OKだ。此処まで言ってもダメなら、もう本気で結構だ。残念だが、旦那との交渉は、これで決裂さな。俺は、旦那抜きの独自の方法で、アイツ等を潰しに掛かる事にするよ。……それで良いな?」
「あぁ、悪いが、そうしてくれ」
結局、こんなに好条件を提示して貰ってるにも拘らず、踏ん切りがつかなかった。
俺は、どうしても、アイツ等には、そう言う事をしたくないんだろう。
自分でも、相当な馬鹿だとは思うんだが。
1度は本気で好きに成った女や、信頼しきって長い付き合いをしてきたツレ。
それに、本当の意味で血を分けた姉弟を、どうにかしようとは、どうやっても思えない。
要は、どこまでいっても甘ちゃんなんだろうな。
「但し、旦那が参入の意思を示してくれなかった以上。旦那を加味した上での穏便な計画は、全て無しだからな。今後は、一欠片の容赦もしないのも憶えといてくれな」
なぬ?
ちょ……それはオマエ!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
細川君から見て、崇秀や眞子が腑抜けているとの判断の元。
それを再起させた上で完膚なきまで叩きのめし、倉津君の立場を引き上げようとしてる……っと言うのが今回の趣旨みたいですね。
恐ろしい事を考えたものです(笑)
……っで、それを聞かされた倉津君なのですが。
矢張り、人が好いと言うか、情に絆され易いと言うか。
そう言った事を好まずに『敢えて、今まで通りの道を進もう』と考えたのか、細川君との交渉は決裂した模様。
ですが、交渉後に放った細川君の言葉に対して、何か気になる事があるのかして。
まだ、この話は終わっていないようです。
さてさて、どうなる事やら。
次回【シーズン17最終回】で、その辺の決着をつけようと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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