●前回のおさらい●
ビーチで偶然に逢った嶋田さんの彼女である椿さんの面倒を見る倉津君。
そこに……
「あれクラ?そちらに居る方って、確か、嶋田さんの彼女じゃないの?どこかで逢ったの?」
おぉ!!奈緒さん登場!!
その模様の入ったビキニ、神掛かって、お似合いですよ。
いや、寧ろ、神ですよ神。
ってかね、神の子の奈緒さん。
やっぱり、胸なんか気にする事なかったじゃないですか。
ほら~~~、立派に胸の谷間が出来てますよ。
おぉ、これは眼福♪眼福♪
「いや、あのッスね。ナンパ解禁中のこの危険地帯を、椿さんが1人でフラフラしてたんもんで、一応、保護したんッスよ。女の子1人で放って置いたら、流石に危ないでしょ」
「あぁ……そうなんだ」
「あぁ、奈緒ちゃんだ。奈緒ちゃんだ。可愛い♪可愛い♪」
「へっ?なになに?なに?」
嬉しそうに椿さんは、奈緒さんに抱きついた。
それを受けた奈緒さんは、キョトンとした顔をして、椿さんをジッと見てる。
あぁ奈緒さん。
椿さんって、明らかに、こんな事を言う様なタイプには見えない凄い綺麗な人なんですけどね。
絶対、見た目だけで判断しちゃダメっすよ。
……この人は、こう言う人なんです。
顔だけを見ればマジで美人さんなんですけど、根っ子の部分が子供なんですよ。
まぁ……そうは言ってもだな。
瞬時に椿さんの性質を理解しろって方が、度台無理な注文だよな。
俺も、椿さんとの初対面の時は度肝を抜かれて、完全に言葉を失ったもんな。
んで、その後は、嶋田さんが帰って来るまでの世話係。
この人には、慣れが必要です。
慣れないと、必ず混乱します。
「こんにちわ、はじめまして、奈緒ちゃん。私、浩ちゃんの彼女の椿です」
俺の時同様、椿さんは可愛らしく『ペコッ』っとお辞儀して、奈緒さんに『ご挨拶』をする。
だが、そんな椿さんを見て、矢張り、まだ椿さんを理解出来ていない奈緒さんは動揺を隠せない。
「へっ?あっ?あっ、あの……こっ、こんにちわ、向井奈緒です」
「あぁ、近くで見ると、やっぱり可愛いんだね、奈緒ちゃんは……良いなぁ、奈緒ちゃん、凄く可愛くて。椿とは大違いだよ」
「いや、あの、あの、えぇっと」
奈緒さんが、完全に動揺しちゃったよ。
まぁこれは、誰が対応してもこうなる訳だから仕方がない事だな。
椿さんの言動って、普通に聞けば、単なる嫌味なんだが、当の本人は、そんな悪意が一切無い。
通常の場合なら『演技してるんじゃないか』とか『カマトトぶりやがって』とか思うもんなんだが、椿さんには元からして悪意が無いから、そう言ったものも伝わってこない。
無邪気に、そんな事を言ってくるもんだから、言われた相手は、椿さんが、何を言ってるのかすら解らなくなる。
まぁ、これは、この人ならではの世界だな。
あぁ……それにしても、奈緒さんの動揺の仕方は凄いな。
あの奈緒さんでも、こんなに動揺する事も有るんだな。
あっ、あの、でも、あれッスよ。
椿さんは、本当に悪意の無い人ですから、怒らないであげて下さいね。
基本的には、凄く良い人なんで……
「あれ?奈緒ちゃん固まっちゃった。椿、また、なんか変な事を言ちゃったのかなぁ?ねぇ、奈緒ちゃん、椿が馴れ馴れしいから怒っちゃったの?……ごめんなさい」
「えっ?いやいや、全然、怒ってないですよ……はい」
「ホント?奈緒ちゃん、椿の事を嫌な子って思ってない?嫌いになってない?」
「あぁ、全然、思ってないですよ。凄く綺麗な人だなって思ってます……はい」
「椿が綺麗?……奈緒ちゃん、酷いよ。それ、凄い嫌味だよ。奈緒ちゃんみたいな可愛い子がね。椿みたいな可愛くない子に、そんな事を言っちゃいけないんだよ。傷付いちゃうんだよ」
「えっと、えぇっと……これ、どうしろって言うの?」
どうやら椿ワールドは、奈緒ワールドより、遥かに上の強力なフィールドを持ってるらしい。
そんな風に、椿ワールドに迷い込んだ奈緒さんを、完全に制圧されてる。
まぁ……奈緒さんが、この場で言いたい事はハッキリと解りますが、絶対に、それだけは言っちゃダメですよ、奈緒さん。
それを言ったら、多分、椿さんは泣きますよ。
「あの、椿さん、冗談とか、嫌味じゃなくて、本当に綺麗ですよ。だって私、アナタ程、綺麗な人を見た事ないですから」
「嘘だぁ。私みたいな子だったら、街に一杯居るじゃない。奈緒ちゃん、嘘付いちゃいけないんだよ。嘘つきは針千本飲まされて、閻魔様に舌を抜かれるんだよ」
あぁ、突っ込みたいんだろうなぁ。
きっと奈緒さんの事だから、今、心底、色々突っ込みたいんだろうなぁ。
わかります、わかりますよ。
今のアナタの気持ちは痛い程よく解ります。
ですが……我慢して下さい。
その人は究極の無自覚ですから、奈緒さんが必死になって、なに言っても解ってくれないですよ。
椿さんの対処法は、本当に慣れるしかありませんから……
「なっ……なっ……なっ……なんでやねん!!」
あぁやっちゃった。
我慢の限界を超えた奈緒さんは、コテコテの関西風のツッコミを椿さんに打った。
それに対して椿さんは……
「えっ?えぇっと、じゃあ……きっ、君とは、やっ、やっとれんわ。ほっ、ほな、サイナラ」
「へぇ~~~?どういう事?」
お笑いで解らない事があったら、まずは『山中相談所』に、ご相談下さい。
スタッフが親切・丁寧をモットーに、一番明確な答えをお答えします。
電話番号×××―××××ー××××まで。
「あのっ、あの、椿さん。向井さんの言う通り、椿さんは、本当に綺麗な方ですよ。向井さん、なにも嘘なんて付いてないんですよ。そんな事を言わないで下さい」
「あっ、素直ちゃんだ。……素直ちゃんも、ヤッパリ可愛いんだ。ズルイよね、みんな」
辞めとけって素直。
無自覚な人は、自覚が無いから無自覚って言うんだぞ。
その人は生半可な事じゃ納得しないから、下手に攻撃したら、奈緒さんの二の舞を喰らうだけだぞ。
だから辞めとけ。
俺のお薦めだ。
「どうしてですか?僕なんか、全然、可愛くないですよ」
「そんな事ないもん。素直ちゃん可愛いもん」
「じゃあ、僕と換わって下さい。僕、椿さんみたいな綺麗な人になりたいです」
「そんなの無理だよ。良い素直ちゃん?人はね。勝手に体を入れ替たり出来無いんだよ……あっ、そうだ、そうだ。そんな事よりね。素直ちゃんは、どうして『僕』って言うの?女の子みたいなのに、男の子なの?」
あっ……真顔で話してると思ったら。
椿さんの興味が逸れたのか、急激に話題が変更しちゃったな。
椿さんの、こう言う特殊な感覚は、俺にも理解し難いものなんだよなぁ。
だから絶対、素直は、この話の展開に着いていけないぞ。
「えっ?あっ、あの……」
ほらな。
それに素直は、元々あまり口が達者な方じゃない。
なので、混乱して上手く話せないのは仕方がない事だ。
「凄いね。凄いね。最近の男の子は、胸も大きくなるんだね。素直ちゃんの胸、凄く大きいね。幾つぐらいあるの?」
「えっ、えぇっと、一応Fカップです」
「わぁ~~~♪凄いねぇ。ねぇねぇ、じゃあ浩ちゃんも、後輩さんも、その内、胸が大きくなるの?」
うわっ!!思わぬ所から、飛び火が来たよ。
素直と話しているから、安心しきった所に、突然、振るなんて……中々やるッスね。
ってかね、椿さん。
男の胸は、どんなに頑張ってもデカくならないッスよ。
気持ちの悪い事を言わないで下さい。
「いや、女性ホルモンでも打たない限り、100%、素直みたいな胸にはならないッスよ」
「じゃあ、素直ちゃんは、特別なの?それとも女性ホルモンを打ってるの?」
「いや、じゃなくてッスね。素直は、元々男じゃなくて、生まれた時から女なんですよ」
「うん?じゃあ、なんで女の子なのに『僕』って言うの?『僕』って言うのは、男の子だけだよ」
「あぁ、ちょっと事情があって、口癖みたいになってるんッスね」
「あぁそうなんだ。……じゃあ、素直ちゃん、ごめんなさい。女の子なのに、男の子なんて言われたら、絶対、嫌な気分だよね。ごめんね、ごめんね」
椿さんは、自分の事以外は、特に反省が早いから、直ぐに素直に謝った。
こう言う所は、人として見習うべき所だよな。
でも、中々難しいんだよな、こう言うのって。
「あぁっと、あの、大丈夫です。そう言うの、結構、よく間違われますから、全然、大丈夫ですよ」
「ごめんなさい。……怒ってない?椿、馬鹿だから、思った事を、直ぐ言っちゃうの。ごめんね、素直ちゃん」
再度、頭を深く下げて謝罪を繰り返す。
こう言う所は、本当に素直な人なんだけどなぁ。
「ハァ、真琴……この人が、家に帰っても、この調子だと、嶋田さんも大変なんですね」
「だよな」
「あれ?後輩さん、その人だぁれ?」
いやいやいや……椿さん、コイツだけは、絶対にダメです。
このステラって女にだけは、一言たりとも話し掛けちゃいけません!!
じゃないと、マジで泣かされますよ。
いや、下手したら、それじゃあ済まない場合も有るんで、出来るだけ避けた方が良いんですけども……
コイツには、どうやら崇秀と同様『容赦』って機能が上手く働きませんから……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
無邪気な椿さんが自分の世界に引き込み。
ドンドンと奈緒さんや、素直ちゃんを撃破して行きましたね(笑)
そして椿さんは、そのままステラさんにまで興味を示してしまったようですが……大丈夫なのでしょうか?
そんな訳で次回。
椿さんとステラさんの会話が始まる訳ですが……不安しか残らない( ;∀;)
ですから、またそこが気に成った方が居られましたら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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