最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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362 絶体絶命の窮地から俺を救い出したのは……

公開日時: 2022年2月3日(木) 00:21
更新日時: 2022年12月25日(日) 21:52
文字数:2,866

●前回のおさらい●


 グチが戦線離脱しそうに成った事により一悶着が起こるが、これは意外な程、簡単に解決していく。


そして、そんな中、奈緒さんと、山中君が『良い言葉』を発して、みんなが感動していたので。

次は自分が美味し想いをする番だと思い込み、意気込む倉津君だったが……

 ・・・・・・


いやいや、ちょっと待てよ。

いつも此処で余計な事を言うから、俺は『オチ要員』にされるんじゃないのか?


なんか今、俺が此処で綺麗事を言ったら、奈緒さんと山中に『クサッ!!』とか言われるビジョンが瞬時に湧いてきたぞ。


そうかそうか。

奈緒さんも、山中も、いつも、このタイミングを狙ってたんだな。


なるほどなぁ、見切ったぞ!!


なら此処は一発、極普通の事を言うたれ。


・・・・・・


いやいやいや、ちょっと待て待て。


例えば、此処で普通の事を言ったら、山中に『なんや盛り上がらんやっちゃなぁ』って言われるだけなんじゃないか?

それに奈緒さんには『感動したかったなぁ』とか言われるに違いない。


そうなったら、今、言葉を発するのは、かなり危険だな。


これが噂の『鬼門遁甲八陣の図』って奴か!!

8つの門の内、1つの門にしか『生』がないと言うと1/8トラップ。


『生』を見抜けなければ『死』あるのみ!!


ならば、俺の答えは一つだ。


黙ってよぉ~~~~。

(↑逃避)



「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


ぬぬぬぬぬ……敵も然る事ながら、中々強かな様じゃのぅ。

この空気の中じゃ、誰一人として、ピクリとも口を開かないでやんの。


これは、俺に何かを期待してるのか?

それとも、全員が全員、何か危険な物を感じて警戒してるのか?


兎に角、無駄に緊迫した状態になっちまったもんだよ。


どう動く?

どう言葉を切り出す?

それともダンマリを決め込むのが正しいのか?


『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』


ぬぉ!!なにが鳴り始めたのかと思ったら、音の原因は俺の携帯だと!!

まさか此処で、携帯のバイブ音が響き渡るなんて予想外も良い処だな!!


このままじゃ、完全に場が白けちまう。

しかも、そのすべてが俺のせいになる!!


やめてぇ~~~~、オチ要員はイヤァァ~~!!



……って、いやいや……違う違う、そうじゃない、そうじゃないな。

これは違う捉え方をすれば、神の手助けだと言えるぞ!!


俺は、瞬時にある作戦を思い付いて、ソレを実行に移す。


これで上手く行け!!



「あっ、悪ぃ。電話だ。盛り上がってる所、悪ぃんだけど。話が着いたんなら先に練習しててくれ。さっきので仲直り出来たんだろ?」

「グッ!!」

「ちっ!!」


やっ……やりぃ!!

奈緒さんと山中が、超口惜しそうな顔してる!!


これぞ……これぞ……これぞ、夢にまで見た初の完全勝利だぁ!!


そして恐らく、この電話の主は真上さん。

そんな彼女のお陰で窮地を脱出するだけに留まらず、あの悪乗りコンビにまで勝利を収める事が出来るなんて。


本当に女神様みたいな人だな、あの人!!



さてさて、折角勝利しただから、此処は相手が立て直す前に、とっととオサラバするか。


逃げろぃ!!


俺は、瞬時に廊下に向って逃亡を図った。


***


 けど……『なんだか、これはおかしいなぁ』って状況に、直ぐ追い込まれた。


電話に出る為に、音楽室から慌てて飛び出して来て、今、玄関口に向ってチンタラチンタラ歩いてるんだがよぉ。


どうにも様子がおかしい。


今も俺の手元では、携帯電話が『ヴォ~ヴォ~』っとっと言うバイブ音を鳴り続けてるんだがな。

この電話自体が、ちょっとした予期せぬ展開を引き起こしてるんだよな。


『なにがおかしいか?』って言うとだな。


ナンバーディスプレイに表示されてる番号が『非通知』なんだよな。


さっき、あまりにもタイミング良く電話が掛かってきたもんだから、てっきり真上さんだと思ったんだが……なんで、こんな現象が起きてるんだ?

俺、真上さんに言われた通り、ちゃんと『彼女の電話番号を登録した』筈なんだがな?

急いで操作したから、手違いでも踏んで、登録に失敗してしまったのだろうか?


それとも……只管、嫌な予感がするけど、まぁ取り敢えず出よ。



「はい、誰?」

「あぁ、クラっちゃん?俺、俺、あのよぅ……」

「ぐっ!!寄りにも寄ってゼンかよ……死ね。マジで死んでくれ。オマエと話す言葉はねぇ」


『プツッ!!』


・・・・・・


ノォオオオォオオオォォオォ~~~!!


女神の電話がぁ~~~!!

勝利の女神様からの電話の筈がぁ~~~~!!

地獄の最下層にしか存在しない最も卑しい生き物『性欲しかないムシケラの権化・善井』からの電話だったぁ~~~!!

これにより、俺の危機を救ったのは『ゴミ蟲・善井』になっちまったよぉ~~!!


最悪だあぁぁ~~!!


こんな不快な思いしたのは久しぶりだぞ。


おのれぇ、卑しいボンクラめぇ!!

なにが『俺・俺』だ!!

今度、オマエの姿を少しでも見掛けたら、有無を言わさずブッ殺すからな!!

(↑完全な八つ当たり)



その時『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』っと、再び電話が振るえだす。


あの野郎、速攻で切られたのに、まだ懲りねぇのか!!

脳味噌の前葉体まで、綺麗に沸いてやがるな。


苦情ってやる!!


・・・・・・


……って、待て待て。

このパターンからして。

この電話の主は、ムシケラ善井からの電話じゃなくて、ひょっとして真上さんからの電話じゃないのか?


俺の怒りゲージを上げた上で、真上さんの電話に怒って出る。


嫌がらせの神様が考えそうなこった。


でもな。

わかっちまった以上、そんなチャチな罠には掛からない。


なんせ、今日の俺は冴えてるからな。


クハハハハ……見切ったぜ神様よぉ!!

あんたの意思に反して、思いっ切り、機嫌良く出てやるぜ!!



「は~い、倉津です」

「あぁ、クラっちゃん、なんだ、機嫌良いじゃん。あのさぁ……」

「ゼンよ……後生だからマジで死んでくれ。マジで里(地獄)に帰れ」


『プツッ!!』


・・・・・・


イヤァ~~~!!

マジで死んでくれねぇかな、アイツ?

無駄に、2度も不快な思いさせてんじゃねぇよ!!



『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』


つぅか!!あの野郎も大概しつこいな!!

なんの用事だかは知らないが、これだけ拒否られてんだから、いい加減諦めろっての!!


・・・・・・


いやいやいや、ちょっと待て、ちょっと待て。

実は、今度こそ真上さんからの電話なんじゃねぇのか?


世の中には『三度目の正直』って言う言葉もあるしな。


『非通知』だけに、冷静に対処するのは大事なこった。



けど……



「はい、倉津ですけど」

「俺、俺、あのさぁ……」

「ゼンよ……2度と電話すんな。いいな?2度とだぞ」


どうせ……こんな事だろうと思ったよ。

電話に出た瞬間『三度目の正直』じゃなく『二度有る事は三度有る』だと、ハッキリと脳裏に浮かんだんだから間違いねぇよな。


はいはい、期待した俺が馬鹿ですよ。


『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』


つぅか、このコントみたいな電話のやり取りは、もぅ良いつぅの!!

今さっき『電話すんな』って言った所なのに、この有様。


いい加減にしやがれよ!!あの糞蟲!!


『三度有る事は四度有る』ってか!!



もぉいい加減、我慢の限界だ!!


なろぅ!!あんま調子乗ってっとブッ殺すぞ!!



「ブッ殺すぞ、テメェ!!いい加減しつけぇんだよ!!」

「えっ?……あっ、あの、すみません。おっ、お忙しかったですか?」


あぁ~~~~~!!やっちまったぁ~~~(´;ω;`)ブワッ


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君を救った人物は……性欲魔人の王様・ゼンちゃんでしたね(笑)


まぁまぁ、事がどうあれ、救われた事には違いないのですから、ゼンちゃんには感謝しましょう(笑)


さてさて、そんな中。

最後の電話は、どうやらゼンちゃんからではなかった様子。


一体誰から電話が掛かって来たのか?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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