●前回のおさらい●
グチが戦線離脱しそうに成った事により一悶着が起こるが、これは意外な程、簡単に解決していく。
そして、そんな中、奈緒さんと、山中君が『良い言葉』を発して、みんなが感動していたので。
次は自分が美味し想いをする番だと思い込み、意気込む倉津君だったが……
・・・・・・
いやいや、ちょっと待てよ。
いつも此処で余計な事を言うから、俺は『オチ要員』にされるんじゃないのか?
なんか今、俺が此処で綺麗事を言ったら、奈緒さんと山中に『クサッ!!』とか言われるビジョンが瞬時に湧いてきたぞ。
そうかそうか。
奈緒さんも、山中も、いつも、このタイミングを狙ってたんだな。
なるほどなぁ、見切ったぞ!!
なら此処は一発、極普通の事を言うたれ。
・・・・・・
いやいやいや、ちょっと待て待て。
例えば、此処で普通の事を言ったら、山中に『なんや盛り上がらんやっちゃなぁ』って言われるだけなんじゃないか?
それに奈緒さんには『感動したかったなぁ』とか言われるに違いない。
そうなったら、今、言葉を発するのは、かなり危険だな。
これが噂の『鬼門遁甲八陣の図』って奴か!!
8つの門の内、1つの門にしか『生』がないと言うと1/8トラップ。
『生』を見抜けなければ『死』あるのみ!!
ならば、俺の答えは一つだ。
黙ってよぉ~~~~。
(↑逃避)
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ぬぬぬぬぬ……敵も然る事ながら、中々強かな様じゃのぅ。
この空気の中じゃ、誰一人として、ピクリとも口を開かないでやんの。
これは、俺に何かを期待してるのか?
それとも、全員が全員、何か危険な物を感じて警戒してるのか?
兎に角、無駄に緊迫した状態になっちまったもんだよ。
どう動く?
どう言葉を切り出す?
それともダンマリを決め込むのが正しいのか?
『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』
ぬぉ!!なにが鳴り始めたのかと思ったら、音の原因は俺の携帯だと!!
まさか此処で、携帯のバイブ音が響き渡るなんて予想外も良い処だな!!
このままじゃ、完全に場が白けちまう。
しかも、そのすべてが俺のせいになる!!
やめてぇ~~~~、オチ要員はイヤァァ~~!!
……って、いやいや……違う違う、そうじゃない、そうじゃないな。
これは違う捉え方をすれば、神の手助けだと言えるぞ!!
俺は、瞬時にある作戦を思い付いて、ソレを実行に移す。
これで上手く行け!!
「あっ、悪ぃ。電話だ。盛り上がってる所、悪ぃんだけど。話が着いたんなら先に練習しててくれ。さっきので仲直り出来たんだろ?」
「グッ!!」
「ちっ!!」
やっ……やりぃ!!
奈緒さんと山中が、超口惜しそうな顔してる!!
これぞ……これぞ……これぞ、夢にまで見た初の完全勝利だぁ!!
そして恐らく、この電話の主は真上さん。
そんな彼女のお陰で窮地を脱出するだけに留まらず、あの悪乗りコンビにまで勝利を収める事が出来るなんて。
本当に女神様みたいな人だな、あの人!!
さてさて、折角勝利しただから、此処は相手が立て直す前に、とっととオサラバするか。
逃げろぃ!!
俺は、瞬時に廊下に向って逃亡を図った。
***
けど……『なんだか、これはおかしいなぁ』って状況に、直ぐ追い込まれた。
電話に出る為に、音楽室から慌てて飛び出して来て、今、玄関口に向ってチンタラチンタラ歩いてるんだがよぉ。
どうにも様子がおかしい。
今も俺の手元では、携帯電話が『ヴォ~ヴォ~』っとっと言うバイブ音を鳴り続けてるんだがな。
この電話自体が、ちょっとした予期せぬ展開を引き起こしてるんだよな。
『なにがおかしいか?』って言うとだな。
ナンバーディスプレイに表示されてる番号が『非通知』なんだよな。
さっき、あまりにもタイミング良く電話が掛かってきたもんだから、てっきり真上さんだと思ったんだが……なんで、こんな現象が起きてるんだ?
俺、真上さんに言われた通り、ちゃんと『彼女の電話番号を登録した』筈なんだがな?
急いで操作したから、手違いでも踏んで、登録に失敗してしまったのだろうか?
それとも……只管、嫌な予感がするけど、まぁ取り敢えず出よ。
「はい、誰?」
「あぁ、クラっちゃん?俺、俺、あのよぅ……」
「ぐっ!!寄りにも寄ってゼンかよ……死ね。マジで死んでくれ。オマエと話す言葉はねぇ」
『プツッ!!』
・・・・・・
ノォオオオォオオオォォオォ~~~!!
女神の電話がぁ~~~!!
勝利の女神様からの電話の筈がぁ~~~~!!
地獄の最下層にしか存在しない最も卑しい生き物『性欲しかないムシケラの権化・善井』からの電話だったぁ~~~!!
これにより、俺の危機を救ったのは『ゴミ蟲・善井』になっちまったよぉ~~!!
最悪だあぁぁ~~!!
こんな不快な思いしたのは久しぶりだぞ。
おのれぇ、卑しいボンクラめぇ!!
なにが『俺・俺』だ!!
今度、オマエの姿を少しでも見掛けたら、有無を言わさずブッ殺すからな!!
(↑完全な八つ当たり)
その時『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』っと、再び電話が振るえだす。
あの野郎、速攻で切られたのに、まだ懲りねぇのか!!
脳味噌の前葉体まで、綺麗に沸いてやがるな。
苦情ってやる!!
・・・・・・
……って、待て待て。
このパターンからして。
この電話の主は、ムシケラ善井からの電話じゃなくて、ひょっとして真上さんからの電話じゃないのか?
俺の怒りゲージを上げた上で、真上さんの電話に怒って出る。
嫌がらせの神様が考えそうなこった。
でもな。
わかっちまった以上、そんなチャチな罠には掛からない。
なんせ、今日の俺は冴えてるからな。
クハハハハ……見切ったぜ神様よぉ!!
あんたの意思に反して、思いっ切り、機嫌良く出てやるぜ!!
「は~い、倉津です」
「あぁ、クラっちゃん、なんだ、機嫌良いじゃん。あのさぁ……」
「ゼンよ……後生だからマジで死んでくれ。マジで里(地獄)に帰れ」
『プツッ!!』
・・・・・・
イヤァ~~~!!
マジで死んでくれねぇかな、アイツ?
無駄に、2度も不快な思いさせてんじゃねぇよ!!
『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』
つぅか!!あの野郎も大概しつこいな!!
なんの用事だかは知らないが、これだけ拒否られてんだから、いい加減諦めろっての!!
・・・・・・
いやいやいや、ちょっと待て、ちょっと待て。
実は、今度こそ真上さんからの電話なんじゃねぇのか?
世の中には『三度目の正直』って言う言葉もあるしな。
『非通知』だけに、冷静に対処するのは大事なこった。
けど……
「はい、倉津ですけど」
「俺、俺、あのさぁ……」
「ゼンよ……2度と電話すんな。いいな?2度とだぞ」
どうせ……こんな事だろうと思ったよ。
電話に出た瞬間『三度目の正直』じゃなく『二度有る事は三度有る』だと、ハッキリと脳裏に浮かんだんだから間違いねぇよな。
はいはい、期待した俺が馬鹿ですよ。
『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』
つぅか、このコントみたいな電話のやり取りは、もぅ良いつぅの!!
今さっき『電話すんな』って言った所なのに、この有様。
いい加減にしやがれよ!!あの糞蟲!!
『三度有る事は四度有る』ってか!!
もぉいい加減、我慢の限界だ!!
なろぅ!!あんま調子乗ってっとブッ殺すぞ!!
「ブッ殺すぞ、テメェ!!いい加減しつけぇんだよ!!」
「えっ?……あっ、あの、すみません。おっ、お忙しかったですか?」
あぁ~~~~~!!やっちまったぁ~~~(´;ω;`)ブワッ
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君を救った人物は……性欲魔人の王様・ゼンちゃんでしたね(笑)
まぁまぁ、事がどうあれ、救われた事には違いないのですから、ゼンちゃんには感謝しましょう(笑)
さてさて、そんな中。
最後の電話は、どうやらゼンちゃんからではなかった様子。
一体誰から電話が掛かって来たのか?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!