最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1468 あっ……また言い忘れてた

公開日時: 2025年2月10日(月) 00:21
文字数:2,376

●前回のおさらい●


 サイト作りの経緯を話しながらも、同時に奈緒さんへの思いも伝えた倉津君。


さてさて、返ってくる反応は?

「えっ?私?」

「あぁ、すんません。なんか恩着せがましい言い方に成っちゃいましたけど。現実問題としてッスね。奈緒さんとは100%幸せな家庭を築きたいんで。……だから、せめて、ヤクザであってもヤクザじゃない、まともな職業に就いて、家に迎えてあげたいんッスよ」

「えっ?でも、その時点って、クラ、私の事を怒ってたんじゃないの?」

「いや、正直言って怒ってはいたし、疑いも晴れてなかったんッスよ。でもッスね。そう思う反面、そんな事だけで、奈緒さんを失うのは嫌だったんしょうね。あの時、改めて『俺は、本当に奈緒さんが好きなんだな』って思い知らされたんで、そう言う方向で進め様と思ったんッスよ」


まぁ、かなりの脚色をしたのは否めないが、大体が、こんなもんじゃろ。


実際、あの時点でも、密かに復縁を望んでたのも事実だしな。



「あらら……怒ってるのに、私の事を、そこまで大切に考えてくれてたんだ」

「いや、奈緒さん。現実的に考えてッスね。あの事件って、どう考えても、普通では起こり得ない事件だったじゃないッスか。さっきも言いましたけど。奈緒さんは、そう言う人じゃないし。崇秀の馬鹿だって、わざわざ俺の彼女に手を出す程、女には困ってない筈だし。眞子にしたって、アイツは『自分のせい』だって言ってましたけど。何らかの深い事情がなきゃ、そんな状況を望む様な酷い奴でもないッスからね。冷静に成れば、それぐらい気付けますよ」


ホント、余りの衝撃的な事実だっただけに、ギリギリまで気付きもしなかったけどな。

それでも『元の鞘に戻りたい』と思ったからこその結論が、これだと思う。


早い話、奈緒さんを失う人生は、俺の中では有り得ない事だったんだろうな。


『未練がましい』だけって、噂もあるけどな。



「そっかぁ。その時点でもぉ、クラは、そこまでみんなの事を考えてくれてたんだね」

「いや、そんな大層な話じゃないんッスけどね」

「そんな事ないよ。これは明らかに、クラの優しい気持ちがあればこその奇跡だよ」


そんな大袈裟な。



「まぁまぁ、そう言ってくれるんなら、否定する理由はないッスけど。……まぁただ、それを含めて、俺も男である以上『吐いた唾は飲めない』んで、モジャとの約束した事ぐらいは、ちゃんと、やり遂げたいんッスよ。アイツも大切なツレっすからね」


俗に言う、見栄ですな。

1度言った事を飲み込めない、男特有の我儘な意地って奴ッスな。


それにモジャ……妙に良い奴ッスからね。



「そっか。じゃあ流石に、無理は言えないよね。私も、クラには、吐いた唾を飲んで欲しくないし。なら、やりたい様にやれば良いんじゃないかな」


ヤッパ、奈緒さんは良いな。

こう言う男の馬鹿な意見を綺麗に飲み込んでくれた上に、男の思考を、よく理解してくれてるから、凄く話がスムーズなんだよな。


まぁ実際の所で言えば、結構、大きな負担に成ってるとは思うけどな。



「理由……解って貰えたッスか?」

「モチモチ。……あぁでも、サイトの手伝いぐらいはさせてくれるよね?」


あぁ……そこが残ってましたね。


また言いそびれてました。



「あの~~~っ、すみませんが、実は、そこもダメなんッスよ。奈緒さんには、GUILDで頑張って貰いたいッス」

「えぇえぇぇぇ~~~っ!!嘘でしょ。なんでぇ?私だって、クラの手伝いしたいし『打倒仲居間さん』もやりたいのに」

「いや、まぁ、そうなんッスけどね。お気持ちも十分に察しますけど。実は、奈緒さんも『打倒の対象』に成ってるんですよ」

「……マジで?誰?そんなロクデモナイ事を言うのは?」

「ウチの姉弟の……眞子ッスね。申し訳ないッス」

「……あの馬鹿妹だけは」


まぁまぁ、そう言ってやらんで下さいな。

眞子自身も、俺と同じで、奈緒さんや、崇秀に認められたいんですよ。

アイツは、アイツ也に必至なんで、俺が、そうなる様にモジャに提言したんッスよ。


だから、元はと言えば、俺の責任なんッスよ。



「いやいや、奈緒さん。そうじゃないんッスよ。眞子は、奈緒さんに認められたいんッスよ。それに本気でやりあいたいんッスよ。だから敢えて、自ら、茨の道に足を踏み入れてくれたんだと思うんッスよ」

「そうなんだ。でも、なんか、それじゃあ納得出来無いね」

「あぁ、じゃあ、思い切り叩き潰してやって下さい。実力の違いって奴を見せ付けてやって下さい」

「難しい事を平然と言うね。眞子の実力ってハンパないんだよ」


ハンパないですな。


でも、俺の奈緒さんなら、早々に負ける筈がありません。


だからやれます!!



「あぁ、勿論、そこも解ってるんッスけどね。奈緒さんの実力は世界有数のトップクラス。いや、寧ろ、世界一ッス。俺の嫁に成ってくれる人は、そんなにヤワな精神じゃないッス」

「うわっ、上手い事言って来たね。でも、クラ……それ、本気で言ってるの?」

「勿論ッス。俺の惚れた女は、そんなに弱い人じゃないッス」

「そっか。……でも、それってね。言い換えれば、クラも含めて、全員を、ぶちのめせって事だよね?クラ、それでも良いの?それが君の望みなの?」


あっ……奈緒さんが本気モードに入って、勝負師の眼に変わった。


世界一危険な眼だ。


でも、俺や、眞子が本気に成るには、奈緒さんの容赦の無い攻撃が、絶対に必要不可欠。

本気に成って潰しに掛かって来て貰わないと困る。


だったら……



「勿論ッス。俺も、そんな奈緒さんを倒して、奈緒さんを惚れ直させたいッス。俺以外の男には、2度と眼を向けられない位に」

「……OK。そうこなっくっちゃね。それでこそ、私が愛して止まない彼氏だよ。男の子は、そうでなくちゃね」

「……ッスね」

「なら、話は決まり。私は、仲居間さんサイドで、自分のやるべき事をやるだけ。喧嘩を売る相手を間違えたって事を、後で、思い知る事に成るよ」

「望む所ッスよ」

「言うねぇ」

「当然ッスよ」


またしても大見得切っちまったよ。


やっちゃったよ俺。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


倉津君の意図を察するのが早い奈緒さん。

だからこそ、この結果が生まれた訳なのですが……本人は、相当我慢してるでしょうね。


本気で倉津君を一番バックアップしたい人でしょうから。


ですが実際は、倉津君の意見を尊重した上で、自分が成すべき事まで決定づけた。


これ、男女問わず、中々出来た事じゃないですよね♪


ですが次回。

この約束を守る為の交換条件を奈緒さんは提示してきます。


果たして、その条件とは?


良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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