●前回のおさらい●
青山さんの心を弄んだ岡田君に対して、最も彼が困る制裁を加え、完膚なきまで叩きのめした倉津君。
だが、まだこれでも終わりではない。
加害者でもあり、被害者でもある青山さんのケアを最後までしてこそ、この苛め問題は解決に向かう事が出来るのだから。
さて、この岡田への制裁が終わった時点で、漸く真上さんに対するいじめ問題は、ほぼほぼ解決したな。
だから、残された問題は後1つだ。
まぁ、これは言うまでも無く。
聞きたくも無かったであろう『岡田の薄汚い本心』を聞かされた青山さんの事なんだけどな。
けど、これって、どうやったもんかな?
俺は、そんな風に不安になりながらも、青山さんが待つ車に戻った。
そして確認の為に、窓から彼女の表情を覗くと、矢張り車内では、彼女が神妙な顔をしていた。
うわあぁ~~、ヤッパ、事が事なだけに、そう言う状態になるよな。
これ、マジでどうすっかな?
「えっ、えぇ~~~っと、青山さん」
「……ありがとう、倉津さん」
「へっ?」
「私ね、今の話を聞いて、漸く目が覚めたよ。あんな男にアッサリ騙されるなんて、ホント、馬鹿な女だよね」
神妙な表情とは裏腹に、意外にも彼女は冷静に対応し、まずは感謝の念を伝えて来た。
このまさかの対応には、俺も少し驚いたが。
彼女がこう言うアプローチを取ってくれているのであれば、コチラも、それ相応の対応をするのが人の道。
ならば、今は彼女の感情に合わせよう。
「いや、まぁ、その、なんだ。『恋は盲目』って言うしな。一直線に相手を想うのは、なにも悪い事じゃないと思うぞ」
「そっか。そうだよね。でもそれって、フォローしてくれてるの?」
「えっと、まぁ、一応はな」
「フフッ……へっ、変なの。自分で真実を暴いて置きながら、その本人がフォローするとか面白いよね。うん、面白い」
あぁっと、こりゃあ、かなり無理しちゃってるな。
言葉の節々から、その無理が見えて来てるし、なにより体が小刻みに震えている。
どうすっかな?
「なぁ、青山さん。こんな時にまで、無理に笑わなくても良いんじゃねぇか?泣きたい時は、泣けば良いじゃんかよ。無理せずによ」
「私は泣かないよ。うん、そう泣いちゃダメなの。って言うかね。自分の馬鹿さ加減に飽きれて、涙も出ないよ」
「あっ、あのよぉ。今更ながらなんだけどよぉ。こんな事しなかった方が、青山さんにとっちゃあ良かったんじゃねぇか?」
「あぁっと、それは無いかなぁ。いや、此処は敢えて断言してない。だって、あのまま騙されてる方が馬鹿みたいだったからね」
「そっ、そうか……」
判断に困るな。
それに、どう言ってやれば良いものかも悩むなぁ。
なんせ俺は、恋愛相談は散々受けていたが、失恋後の対称法なんて、全然知らねぇからな。
自分が招いた事とは言え、本格的に、まいったなこりゃあ。
「それに、なにも悪い事バッカリじゃないし」
「なんでだ?」
「ほら、こうやって本気で親身になってくれる倉津さんって、本当の友達が出来たんだから、全部が全部、損したって訳じゃないし」
「いやいやいやいや、けど、全然は得してないぞ。青山さんの大切な恋心が破れて、得たもんが俺って……それ、損し捲くりだし」
「違う違う。アイツに対する恋心なんて、もぅ今となっては、恥ずべき部分でしかないよ。そんなの、もうどうでも良いし」
「強いんだな」
「強い訳じゃないけど。割り切りって大事だと思う。終わった事は終わった事だよ。そんなのより、倉津さんの友達みたいに、前向きに生きてみたいしね」
「そっか。凄いな、青山さんって……」
俺は、そう言った瞬間、青山さんの顔を見てみると、言葉とは裏腹に涙をポロポロ零していた。
そりゃあそうだよな。
口ではなんとでも言えるけど、女の子にとっちゃあ、これほど辛い事はねぇもんな。
ちょっと無神経過ぎたな。
「あっ、あれ……なんでかな?心では解っててもね、涙が出てきた……ヤッ、ヤッパリ、ちょっとだけ泣いて良いかな?私の心がね……泣きたいみたい」
「あぁ、そうか。なら泣け。一杯泣いて、嫌な事なんか忘れちまえ」
「ありがと……苛めなんて最低な真似をした私なんかにも、こんなに親身になってくれて、ありがとう……じゃあ、申し訳ないけど、お言葉に甘えて泣くね。泣いちゃうね」
「あぁ、思う存分、好きなだけ泣いてくれ」
「うっ……うっ……うわ~~~ん!!岡田の馬鹿あぁ~~~!!なんで、そんな事しちゃうのよぉ~~~!!馬鹿ぁ~~~!!」
俺のシャツを抱きしめながら。
青山さんは、俺のシャツがビチャビチャになるぐらい泣き崩れた。
この光景を見た俺は、彼女にとって『残酷な事をしてしまったな』と反省すると同時に、心からの謝罪の念だけ送っていた。
矢張り、自分の彼女じゃなくても、女の子が泣くのは、あまり見たいものじゃないしな。
悲壮感が、男なんかとは比べ物にならない。
……けど、その大きなリスクを青山さんが払った分、色んな面で、彼女は大きく成長出来たとも思える。
それに、虐めなんてツマラナイ事を辞めたから、真上さんとの仲にも復調の兆しが見え、今後、良い関係が結べそうだしな。
青山さんの言葉通り『全てが悪い方向と言う訳でもない』
俺は、そんな彼女の頭を撫でながら、彼女の泣き止むのズッと待った。
そして、泣き疲れた彼女を確認してから、家まで送り届けて、俺も家路に着いた。
はぁ、それにしても……今日は、本当に大変な1日だったな。
文化祭の件や、クラスのユニットの件、ガジグチの件や、それに真上さんに関する苛めの件。
もぉ色んな意味で疲れたわ。
だからもう、後は家に帰ったら、なにも考えずに……寝よ。
そう思いながら帰宅した俺は、モノの数分も掛からない内に精神的な疲れが生じて、そのまま思考が停止し。
数日振りとも言える、深い眠りに堕ちていった……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これにて、下準備から始まった文化祭編も全篇終了なのですが。
思えば、去年の大晦日から数えて約5カ月も、この文化祭編を書いていましたぁ♪
……アホですね(笑)
まぁ、そうは言いましても、実際、これ位の大型イベントなんかをこなすとなると、色々と細かい点なども注視して考えなきゃいけないので、かなり時間が掛かるも現実的な話なんですけどね。
まぁ、それにしても長すぎましたね(笑)
さてさて、そんな中、次回からは。
この文化祭中に起こっていた世界事情と言う物を説明していきたいと思います。
そぉ……奴が再び動き出します(っと言うか動いてたんですけどね(笑))
って事なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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