最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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304 不良さん、奈緒さんからのプレゼントを受け取る

公開日時: 2021年12月7日(火) 00:21
更新日時: 2022年12月19日(月) 14:05
文字数:3,586

●前回のおさらい●


 漸く倉津君が、自らの意思で【覚悟】を持って行動する様に成った事を喜ぶ奈緒さん。


そんな奈緒さんを見ながら。

倉津君は、崇秀のバンドをも凌駕する様な『最強のバンドを結成』して、奈緒さんを、そこに向かい入れる事を誓う。

「良し良し……男の子は、ヤッパそうじゃなきゃね。期待して待ってるよ」

「ウッス。奈緒さんが吃驚して、腰を抜かす様なメンバーを集めてみせますよ」

「あぁっと、それはちょっと……私、腰痛持ちだからキツイかも」

「へっ?いや、あの……腰痛?」


ぐはっ!!知らんかった。

奈緒さんが腰痛持ちだなんて、聞いた事も無いぞ。


彼氏なのに、この体たらくップリ……

奈緒さんは、俺の事をこんなに理解してくれてるのに……マジで申し訳ないな。



「くすっ、冗談だよ冗談。私、腰痛なんて持ってないって」

「もぉ、また、この人は……」

「ねぇねぇ、クラ、心配した?心配した?」

「そりゃあしますよ。Hした時、奈緒さんの大事な腰に、余計な負担を掛けてなかったか心配しましたよ」

「ぶっ!!……あのねぇ、クラ」


奈緒さんが『ぶっ!!』って吹いた。


なんでだ?

心配しただけなのに、何故吹かれる?



「へっ?なんか変な事を言いましたか、俺?」

「ハァ~……もぉ良いよ。君のそこは、永遠に治りそうにないしね。重症だよ重症」

「なにがッスか?なにが重症なんッスか?」

「あのねぇ、クラ。……世間体が悪いから、あんまHしたとか、こう言う公共の場所では言わないで欲しいんだけど。感じ悪いなぁ」

「はい?……あぁすまんせん!!すんません!!違うんッス!!違うんッス!!そう言うつもりじゃないんッスよ!!俺は、ただ奈緒さんの腰を心配だけッスよ」

「はいはい、心配した、心配した」


デリカシーが無いのは親父譲りだから仕方がないが……これじゃあ、親父以上にデリカシーが無いな。


最悪だよ俺。


ごめんよ、奈緒さん……



「つんまてん」

「別に良いよ……もぉ慣れたし」

「重ね重ね、つんまてん」


許してくれた。

……ってか、妥協してくれた。


けど、雰囲気は悪いな。


どうしようか?



「ねぇ、クラ。ところでさぁ。君、ライブの打ち上げどうするの?」


空気が悪くなった事を即座に察知した奈緒さんは、話題を振ってくれた。


いつもの事なんだが……これって、彼女の負担って大きいよな。


『格好悪いな俺』

……なんて、いつまでも同じ様な事を言ってるから、俺は成長しねぇんだろうな。


イカンイカン。

だったら、少し……いや、此処は大幅に気合の入れ直しする場面だよな!!



「あぁ、申し訳ないんッスけど。俺、そこには行かないッスよ」

「そっか。……ヤッパ、行かないんだ」

「まぁ本来だったら、今まで世話になったケジメも有りますから、打ち上げには行くべきなんでしょうが。……行ったら、行ったで、なんか決断が揺るぎそうなんッスよね」

「なんでまた?」

「あのバンドは、なんて言うのか、スゲェ居心地が良いんッスよ。だから、今、行ったら、速攻で甘えちゃいそうなんッスよ」

「そっか、そっか。……なんかクラの言いたい事わかる気がする。あそこは、特別な環境だもんね」

「そうなんッスよね。俺にとって、あのバンドは特別な場所なんッスよ。だから崇秀に『オマエは解雇だ』なんて言われた無様な姿は晒せないんッスよ」

「そっか。……じゃあ私も、クラと一緒にエスケープかましちゃおうかな」


そう言って、俺に付いて来てくれる様な素振りを見せる。


けど……俺は、この奈緒さんの有り難い申し出を断ろうと思う。

奈緒さんには、芸能人としての奈緒さんの立場が有るんだから、此処は、俺なんかと一緒にエスケープしてる場合じゃない。


これからの自分の為にも『打ち上げ』に行って貰うべきだと、確信しているからだ。


俺の我儘なんかの為に、此処で奈緒さんに甘えちゃいけない。



「ダメっすよ。今、此処から去るべきなのは俺だけなんッスから。奈緒さんは、その立場にないんだから、一緒に来ちゃダメっす」

「えぇぇ~~~!!だって、クラが居ないとツマンナイ。私も帰るよ」

「奈緒さん。……あの、お願いッスから、此処だけは我儘を言わないで下さい。自分の彼女に同情されるのって、結構キツイんッスよ」

「えっ?違うよ。私、同情なんてしてないよ」

「なら、ちゃんと自分のすべき事をして欲しいッス。俺は、そんな奈緒さんが好きッスよ」

「もぉ!!クラの意地っ張り……」


頬を『ぷくっ』っと少し膨らみながらも、納得した様な表情をしている。


矢張り、此処でも彼女の理解力は高い様だ。



「意地っ張りで、すんません」

「良いよ。変な所だけ意地っ張りなのもクラだもん。仕方ないよ」

「じゃあ、ちゃんと『打ち上げ』に行ってくれるんッスか?」

「君が、そうしろって言うなら、私は従うよ。……どぉなの?正直に言ってみ」

「……断腸の思いッスけど、此処は行って下さい」

「わかった。じゃあ、ツマンナイけど行って来るよ。……その代り『ちゅ~』して良い?」

「あの……なんで、そんな話になるんッスか?」

「したいから」

「……じゃあ、俺もしたいから、良いッスよ」


そう言い終わる前に、奈緒さんの唇は、俺の唇に軽く触れた。


お気付きの人も居るだろうが、俺は未だに、口以外の部分が一切動いていない。

此処まで来たら、崇秀の悪い魔法に掛かってるとしか思えない。


奴は、一体、何をしたんだろうか?


そんな思考の中、奈緒さんは、またロクデモナイ事を言い始める。



「ふふふ、気持ち良いね。……じゃあ、序に、此処でHしちゃおっか?」

「いやいやいやいや……なに言ってんッスか!!それは流石にマズイっしょ」

「やなの?」

「いや、嫌って訳じゃないんッスけど、なんちゅうか……モラル?」

「あぁ~~~!!なんか、それって私がモラルの無い淫売みたいな扱いなんだけど」

「いやいや、そうじゃないんッスよ。俺だって、奈緒さんとはやりたいッスけど。イキナリ、誰かが入って来たら、どうするんですか?」

「気にしない」

「して下さい」

「ぷぷぷ……だよね」


笑ってる……


また、からかわれた。



「さてさて、クラもからかった事だし。そろそろツマラナイ『打ち上げ』にでも行って来ようかな」

「ヤッパ、からかってたんッスね」

「だって、クラ動けないんだから、やりたい放題なんだもん」

「あの……俺が了承したら、何をする気だったんッスか?」

「逆姦?」

「すな!!」

「くすっ……だよね」


もぉこの人は……無茶苦茶な事ばっかり言うんだから。


ホント、目の離せない人だよ。


でも、こう言う楽しい関係がある事を、俺みたいなボンクラに教えて続けてくれている奈緒さん。

彼女は、俺にとっては、神様からの最高のプレゼントである事だけは間違いはないだろう。


ホント、最高の彼女ッス!!



「まぁ、冗談はこれ位にして、行って来るね、クラ」

「気をつけて行って下さいね」

「うん、わかった。……あぁそうだ、そうだ。クラ、これ、あげる」


そう言って、奈緒さんはポケットからなにかの鍵を取り出して、それを俺に見せてから俺のポケットに入れる。



「えぇっと、これ……なんの鍵ッスか?」

「ウチの家の鍵だよ。……渡して置くから、好きな時に来て良いよ」

「えっ?そんな大事な物を、俺なんかに渡しちゃって良いんッスか?」

「うん?君だから渡したんだけど。……いらなかった?」

「いや、嬉しいッスけど。これから芸能人になる奈緒さんにとっては、これって、変なゴシップに成り兼ねないんじゃないんですか?」

「別に良いんじゃない。私、芸能人になるからって、そう言うの気にしないから……それに違約金が、どうとか、こうとか言うなら、シッカリ稼いで支払ってやるもん。だから気にしないで良いんだよ」

「けど、それじゃあ……」

「良いの!!私は、お金なんかより、君と一緒に居たいの。だから、ちゃんと受け取ってよ。私の精一杯の気持ちなんだからさ」

「奈緒さん……」


こう言うのって、女性ならではの感性なんだろうな。


俺には良く解らない。


『眼の前の成功』や『多額のお金』なんかより、ロクデモナイ俺なんかを取ってくれるなんて中々出来る様な事じゃない。


けど……奈緒さんは、いつも、それを平然とやってのける。

普通の男なら『少し怖い』とか『重い』とか思うんだろうが、俺の眼には、そんな風に奈緒さんは写らない。


本当に好きなら、こうなって当然だと思う。



だから、俺には嬉しさしかなかった。

いやもぉ、心の中では、感動の涙で溢れ返ってる位だ。



「ちゃんと貰ってくれる……かな?」

「……もぉ、絶対、返さないッスよ。それでも良いんッスね?」

「うん。返品不可だよ」

「……奈緒さん、大好きッス」

「くすっ……言ってやんの。恥ずかしいなぁクラは」

「はいはい、照れ隠ししないで良いッスよ」

「ぶぅ。可愛くないなぁ」

「奈緒さんは、可愛いッスよ」

「うるさい!!」


『ゴスッ!!』



「ぐはっ!!」

「馬鹿……調子に乗るからだよ。じゃあね、クラ……さて、飲み会、飲み会、バイバ~イ」


思いっ切りチョップを顔面にくれて、奈緒さんは出て行った。



その衝撃で何故か。

今まではピクリとも動かなかった俺の体は、漸く自由を取り戻す事が出来た。


オイオイ……どんな仕組みしてやがるんだよ、俺の体?


俺は、体までネタなのかよ!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


とうとう、この物語の【序章】も、次回で最終回。


そんな中、物語の当初は、本当にロクデモナイ事しかしなかった倉津君でしたが。

皆さんの目から見て、彼は少しでも更生し、人間的な成長を遂げる事が出来たでしょうか?


まぁそうは言っても、まだ序章。

目を見張る様な成長は、まだそんなに見えてこないかも知れませんが。


これから本編を書き始める私にとっては『これ位が丁度良い感じ』だと思っています(笑)


何故なら。

「ただのロクデモナイ不良だった倉津君が、やっと普通の物語初期の主人公が持つ『覚悟』位は持てる様になった所』なのですから。


アホでロクデモナイ不良を更生させるのは、ほんと骨が折れますよ(笑)

(その分、書いてて凄く楽しいですけどね)



さてさて、そんな感じで、次回は序章の最終回。


奈緒さんが楽屋を去り。

久しぶりに周りに誰も居なくなって一人に成った倉津君は、その時、なにを思うのか?


そこを序章の最後に書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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