最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1532 謎の赤髪少女との邂逅

公開日時: 2025年4月15日(火) 00:21
文字数:3,199

●前回のおさらい●


 まったく記憶にない女生徒の正体を探っていたら。

その女生徒の苗字が仲居間で、どうにも……

それをキッチリ調べる為に、3-Cに向かう倉津君だが。


 3-Cの教室に到着した頃には、丁度、1時間目終業のチャイムが鳴り響き。

先公と入れ替わりに、俺が教室の中に飛び込んで行く形になった。


そして、それと同時に、教室内をくまなく見渡した結果。


……本当に、俺の知らない赤い髪の女が、そこに存在しやがった。


しかもソイツは、眞子の奴と楽しそうに歓談している光景が目に入ってくる。

その姿は、見るからに旧知の仲って感じでだ。


それを見た瞬間、俺は、自分の頭がおかしくなったのかと不安に思いながらも、そちらに近付いて行くと。



「あぁ、真琴。昨日は、散々飲み散らかしてくれて、ありがとうね。それで、今日は重役出勤したみたいだけど、良いご身分だ事。羨ましい限りね」


悪戯な笑顔で、そうやって悪態を付いて来るんだが。

そのあまりにも笑顔が可愛すぎて、一瞬にして俺の毒気は一気に抜かれる。


なんだコイツ?


いや、こんな所で無駄に動揺してる場合じゃないな。

兎に角、幼馴染だと言う設定がある以上、普通に話を合わせねきゃな。



「あっ、あぁ、すまん」

「なにヒナ?真琴ちゃん、また、ヒナん家で飲んでたの。信じられない。うちの馬鹿弟が、ゴメンね」


取り敢えず、そうやって返事を返してみたら。

その赤髪の女が反応する前に、眞子の奴が話に喰い付いてきた。


それにしても、俺の事を弟……だと?


なんだよ、その認識?



「別にぃ。どうせ、こんなの、いつもの事だし。眞子は気にしなくて良いんじゃない」

「そぉ?でも、いつもゴメンね。忙しいのに」

「気にしない、気にしない。どうせ、切っても切れない腐れ縁なんだし。真琴の世話を見るのは、私と、眞子の係りでしょ」

「馬鹿弟で面目ない」


眞子がトホホな顔をしてるんだが。

今の俺の立ち位置って、マジで眞子の出来の悪い弟って立ち位置なのか?


なんだよ、それ?


そうやって呆然としていたら。



「……ってか真琴。そんな所でつっ立ってると、影に成って鬱陶しいんだけど。コッチ来て座れば。別に座らなくても良いけど」

「あっ、あぁ、そうだな」

「真琴ちゃん。座る前に、ちゃんと謝罪ぐらいしなよ。迷惑掛けたんだからさぁ」

「あぁ、そうだな。なんかすまん」

「なんかじゃないでしょ。ちゃんと謝りなよ」

「そっ、そうだな。すまん」

「なに?どうしたの真琴?いつもなら『誰が謝るかぁ!!』っとか言って、生意気にも反抗して来るくせに、今日は、やけに素直じゃない。……気持ち悪ッ。薄気味悪ッ。なんか不気味」


ダメだ。

完全に、この女は、俺の事を幼馴染だと認識してやがる。


この嫌味な喋り方も、丸っきり崇秀との日常会話じゃねぇかよ。


それに眞子の奴が、まるで最初から存在したみたいな感じだ。


なんだこれ?



「……そうか」

「なに、その拍子抜けな反応は?それじゃあ、なんか、からかいがいがないんだけど」

「多分、真琴ちゃん、ポンコツだから、またどこか故障してるんじゃないかな?帰りに、ガソリンスタンドにでも寄って、オイル交換でもしてみるよ」

「そりゃあ、名案だ。序に、洗車もして貰えば完璧なんじゃない」

「海パン一丁で?」

「うぅん。ゴーグルぐらいは付けてあげる予定だけど」

「優しいんだ」

「そりゃあ、慈愛に満ちてますから」

「ふふっ、それ、どんな慈愛よ」


……つぅか、それ、全然優しくないからな。


いや、そんな話に流されてる場合じゃねぇんだった。

そんな事よりも、崇秀は、一体、どうなったんだ?


まずは、ソッチを聞き出さなきゃな。


但し、変に悟られない様にな。



「オイ、眞子」

「えっ?なに?急に名前なんかで呼んで?どうしたの?いつも姉貴って言うクセに」


えっ?姉貴だと?

俺、眞子の事を、そんな呼び方した事なんて1度も無い筈なんだがな。


あぁでも、此処も、んな事を考えてる場合でも無いよな。

さっさと情報を引き出す為にも、此処は相手に話を合わすのが先決だよな。



「あぁ、悪ぃ。……そんでよぉ、姉貴」

「なによ?」

「姉貴って、彼氏居たっけ?」

「真琴ちゃん、それ、なんの嫌味のつもり?私、一度も男の人と付き合った事ないんだけど」


矢張り、そう来るか。


この世界に崇秀が居ないと仮定するならば。

今の眞子の答えは、強ち間違った回答って訳じゃないからな。


いや寧ろ、そうなって当然だろうしな。



「そっか。じゃあ、アンタは、どうなんだよ?」

「へっ?アンタって、ひょっとして私に言ってるの?」

「あぁ、アンタだ」

「えっ?ちょっと待ちなよ、真琴。なんで、急に、そんな他人行儀な言い方するのよ?いつも偉そうに、私の事をヒナって呼び捨てするくせに」

「あぁ、そうだったな。じゃあヒナよぉ。ヒナは男居るのか?」

「今は、特には居ないけど。興味ないし」


ぬぬ、此処も整合性だけはあるな。


特に『異性に興味がない』って言うのは。

今より少し前の、眞子に出会う前の崇秀なら言いそうな事だしな。


自分が男じゃないだけに、眞子に興味を持つ筈が無いから、この答えも、なにも間違ってないしな。


まぁ一応、眞子以外にも、MITに入った女に興味を持ってた時期はあったが。

コチラも同性相手に成る訳だから、此処にも興味がなくて当たり前だしな。



「そっか。それは、今忙しいからか?」

「まぁ、そうだけど。……ってか真琴。なんで急に、そんな質問をするの?そんなに私に興味が有る訳?」


イカン……これはどうやら、俺の言動の変化化から、なんか勘付きやがったな。


なら此処は1つ、その辺を悟られない様に誤魔化しておくか。



「いや、ヒナが、いつ見ても、余りにもブスだから。モテないのかなぁって思ってよ」

「……アンタさぁ。此処からブラジルに突き抜けるぐらいの勢いで殴って欲しい訳?良かったら、途中で、マグマとの、ご対面も出来るプランだけど」

「遠慮する。オマエのパンチ力じゃ、マグマや、ブラジル処か、大気圏すら突破しそうな勢いだからな。ガガーリンみたいに『地球は青かった』なんて言いたくもねぇしな」

「うん?真琴が、そんな言い回しをするなんて珍しいね。なんか悪いものでも食べた?」


あぁ……これはしくじったか。


一応は、幼馴染だと言う設定がある以上、普段の俺みたいな喋り方で接してみたんだが

どうやら、この様子から言っても、今の俺は、コイツ等に、相当な馬鹿扱いを受けてるみたいだな。


それだけに、どうにも、今のは、余計な一言だったらしい。



「それほど、ヒナのブスさ加減に吃驚してるって事だ」

「じゃあ真琴は、そんなブスに。小さい時『結婚してね、ヒナちゃん』っとか言ったんだ。物好きも良い所だね。ブス専なの?」

「さぁな。ガキの頃は、相当、眼が悪かったみたいだからな。奇跡的に、オマエが美人にでも見えたんじゃねぇのか。若しくは、人類に、眞子と、ヒナしか女が居ないとでも思って、苦汁の選択をしたとかよ」


……ってヤベ!!

言ってる傍から、また余計な言い回しをしちまった。


学習能力がねぇな俺。



「真琴ちゃん……大丈夫?そんな言い回しを2回も連続でするなんて、二日酔いで、頭が、おかしくなってるんじゃないの?」


オッ!!これはチャンスだ!!

二日酔いの話を上手く利用すれば、この場から離れる理由にはなりそうだな。


なんと言っても、まずは軽くでも状況把握が出来たから、此処に長居は無用だからな。


ボロが出る前に、一旦、引き上げた方が良さそうな場面だしな。


なら、この絶好の機会を逃す手はねぇな。



「あぁ、そうだな。確かに、こりゃあ2日酔いだわ。多分、昨日ヒナの家で飲んだ酒に、愉快な毒でも盛られてたんじゃねぇか。だから、ちょっくらトイレで吐いて来るわ。……ほな、サイナラ」

「ちょ……ちょっと、真琴ちゃん」


俺は、勢い良く席を立ち上がり、そのまま廊下の方に流れていく。


多少、事情が解ったとは言え。

この状況を打破する為には、まずは頭の整理をする時間が必要だからな。


それにしてもまぁ、また漫画みたいな、おかしな事に巻き込まれたもんだな。


ドンだけ漫画なんだよ俺の人生?

(↑前に眞子のクローン件があっただけに、少しだけ妙な余裕がある俺)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


どうやら、赤い髪の女生徒の正体は、TSではなく最初から存在しており。

倉津君にとっては幼馴染でもあり、ほぼ崇秀と同じ立ち位置にある女性には違いない様ですね。

ただ、そうやって此処の世界には崇秀が存在しない以上。

なにか少しづつ、倉津君の知ってる世界とは誤差が生じてるようでもありますがね(笑)


……って事は、この世界って言うのは……(笑)


さてさて、そんな奇妙な世界を漂う倉津君なのですが。

これから一体、彼はどうするつもりなんでしょうね?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾



しかしまぁ、あれですね。

倉津君、こういう奇妙な事には多少成れてしまっているのかして。

最初に話を聞いた時ほど動揺する事なく、思ってた以上に冷静に対応してますね(笑)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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