●前回のおさらい●
まったく記憶にない女生徒の正体を探っていたら。
その女生徒の苗字が仲居間で、どうにも……
それをキッチリ調べる為に、3-Cに向かう倉津君だが。
3-Cの教室に到着した頃には、丁度、1時間目終業のチャイムが鳴り響き。
先公と入れ替わりに、俺が教室の中に飛び込んで行く形になった。
そして、それと同時に、教室内をくまなく見渡した結果。
……本当に、俺の知らない赤い髪の女が、そこに存在しやがった。
しかもソイツは、眞子の奴と楽しそうに歓談している光景が目に入ってくる。
その姿は、見るからに旧知の仲って感じでだ。
それを見た瞬間、俺は、自分の頭がおかしくなったのかと不安に思いながらも、そちらに近付いて行くと。
「あぁ、真琴。昨日は、散々飲み散らかしてくれて、ありがとうね。それで、今日は重役出勤したみたいだけど、良いご身分だ事。羨ましい限りね」
悪戯な笑顔で、そうやって悪態を付いて来るんだが。
そのあまりにも笑顔が可愛すぎて、一瞬にして俺の毒気は一気に抜かれる。
なんだコイツ?
いや、こんな所で無駄に動揺してる場合じゃないな。
兎に角、幼馴染だと言う設定がある以上、普通に話を合わせねきゃな。
「あっ、あぁ、すまん」
「なにヒナ?真琴ちゃん、また、ヒナん家で飲んでたの。信じられない。うちの馬鹿弟が、ゴメンね」
取り敢えず、そうやって返事を返してみたら。
その赤髪の女が反応する前に、眞子の奴が話に喰い付いてきた。
それにしても、俺の事を弟……だと?
なんだよ、その認識?
「別にぃ。どうせ、こんなの、いつもの事だし。眞子は気にしなくて良いんじゃない」
「そぉ?でも、いつもゴメンね。忙しいのに」
「気にしない、気にしない。どうせ、切っても切れない腐れ縁なんだし。真琴の世話を見るのは、私と、眞子の係りでしょ」
「馬鹿弟で面目ない」
眞子がトホホな顔をしてるんだが。
今の俺の立ち位置って、マジで眞子の出来の悪い弟って立ち位置なのか?
なんだよ、それ?
そうやって呆然としていたら。
「……ってか真琴。そんな所でつっ立ってると、影に成って鬱陶しいんだけど。コッチ来て座れば。別に座らなくても良いけど」
「あっ、あぁ、そうだな」
「真琴ちゃん。座る前に、ちゃんと謝罪ぐらいしなよ。迷惑掛けたんだからさぁ」
「あぁ、そうだな。なんかすまん」
「なんかじゃないでしょ。ちゃんと謝りなよ」
「そっ、そうだな。すまん」
「なに?どうしたの真琴?いつもなら『誰が謝るかぁ!!』っとか言って、生意気にも反抗して来るくせに、今日は、やけに素直じゃない。……気持ち悪ッ。薄気味悪ッ。なんか不気味」
ダメだ。
完全に、この女は、俺の事を幼馴染だと認識してやがる。
この嫌味な喋り方も、丸っきり崇秀との日常会話じゃねぇかよ。
それに眞子の奴が、まるで最初から存在したみたいな感じだ。
なんだこれ?
「……そうか」
「なに、その拍子抜けな反応は?それじゃあ、なんか、からかいがいがないんだけど」
「多分、真琴ちゃん、ポンコツだから、またどこか故障してるんじゃないかな?帰りに、ガソリンスタンドにでも寄って、オイル交換でもしてみるよ」
「そりゃあ、名案だ。序に、洗車もして貰えば完璧なんじゃない」
「海パン一丁で?」
「うぅん。ゴーグルぐらいは付けてあげる予定だけど」
「優しいんだ」
「そりゃあ、慈愛に満ちてますから」
「ふふっ、それ、どんな慈愛よ」
……つぅか、それ、全然優しくないからな。
いや、そんな話に流されてる場合じゃねぇんだった。
そんな事よりも、崇秀は、一体、どうなったんだ?
まずは、ソッチを聞き出さなきゃな。
但し、変に悟られない様にな。
「オイ、眞子」
「えっ?なに?急に名前なんかで呼んで?どうしたの?いつも姉貴って言うクセに」
えっ?姉貴だと?
俺、眞子の事を、そんな呼び方した事なんて1度も無い筈なんだがな。
あぁでも、此処も、んな事を考えてる場合でも無いよな。
さっさと情報を引き出す為にも、此処は相手に話を合わすのが先決だよな。
「あぁ、悪ぃ。……そんでよぉ、姉貴」
「なによ?」
「姉貴って、彼氏居たっけ?」
「真琴ちゃん、それ、なんの嫌味のつもり?私、一度も男の人と付き合った事ないんだけど」
矢張り、そう来るか。
この世界に崇秀が居ないと仮定するならば。
今の眞子の答えは、強ち間違った回答って訳じゃないからな。
いや寧ろ、そうなって当然だろうしな。
「そっか。じゃあ、アンタは、どうなんだよ?」
「へっ?アンタって、ひょっとして私に言ってるの?」
「あぁ、アンタだ」
「えっ?ちょっと待ちなよ、真琴。なんで、急に、そんな他人行儀な言い方するのよ?いつも偉そうに、私の事をヒナって呼び捨てするくせに」
「あぁ、そうだったな。じゃあヒナよぉ。ヒナは男居るのか?」
「今は、特には居ないけど。興味ないし」
ぬぬ、此処も整合性だけはあるな。
特に『異性に興味がない』って言うのは。
今より少し前の、眞子に出会う前の崇秀なら言いそうな事だしな。
自分が男じゃないだけに、眞子に興味を持つ筈が無いから、この答えも、なにも間違ってないしな。
まぁ一応、眞子以外にも、MITに入った女に興味を持ってた時期はあったが。
コチラも同性相手に成る訳だから、此処にも興味がなくて当たり前だしな。
「そっか。それは、今忙しいからか?」
「まぁ、そうだけど。……ってか真琴。なんで急に、そんな質問をするの?そんなに私に興味が有る訳?」
イカン……これはどうやら、俺の言動の変化化から、なんか勘付きやがったな。
なら此処は1つ、その辺を悟られない様に誤魔化しておくか。
「いや、ヒナが、いつ見ても、余りにもブスだから。モテないのかなぁって思ってよ」
「……アンタさぁ。此処からブラジルに突き抜けるぐらいの勢いで殴って欲しい訳?良かったら、途中で、マグマとの、ご対面も出来るプランだけど」
「遠慮する。オマエのパンチ力じゃ、マグマや、ブラジル処か、大気圏すら突破しそうな勢いだからな。ガガーリンみたいに『地球は青かった』なんて言いたくもねぇしな」
「うん?真琴が、そんな言い回しをするなんて珍しいね。なんか悪いものでも食べた?」
あぁ……これはしくじったか。
一応は、幼馴染だと言う設定がある以上、普段の俺みたいな喋り方で接してみたんだが
どうやら、この様子から言っても、今の俺は、コイツ等に、相当な馬鹿扱いを受けてるみたいだな。
それだけに、どうにも、今のは、余計な一言だったらしい。
「それほど、ヒナのブスさ加減に吃驚してるって事だ」
「じゃあ真琴は、そんなブスに。小さい時『結婚してね、ヒナちゃん』っとか言ったんだ。物好きも良い所だね。ブス専なの?」
「さぁな。ガキの頃は、相当、眼が悪かったみたいだからな。奇跡的に、オマエが美人にでも見えたんじゃねぇのか。若しくは、人類に、眞子と、ヒナしか女が居ないとでも思って、苦汁の選択をしたとかよ」
……ってヤベ!!
言ってる傍から、また余計な言い回しをしちまった。
学習能力がねぇな俺。
「真琴ちゃん……大丈夫?そんな言い回しを2回も連続でするなんて、二日酔いで、頭が、おかしくなってるんじゃないの?」
オッ!!これはチャンスだ!!
二日酔いの話を上手く利用すれば、この場から離れる理由にはなりそうだな。
なんと言っても、まずは軽くでも状況把握が出来たから、此処に長居は無用だからな。
ボロが出る前に、一旦、引き上げた方が良さそうな場面だしな。
なら、この絶好の機会を逃す手はねぇな。
「あぁ、そうだな。確かに、こりゃあ2日酔いだわ。多分、昨日ヒナの家で飲んだ酒に、愉快な毒でも盛られてたんじゃねぇか。だから、ちょっくらトイレで吐いて来るわ。……ほな、サイナラ」
「ちょ……ちょっと、真琴ちゃん」
俺は、勢い良く席を立ち上がり、そのまま廊下の方に流れていく。
多少、事情が解ったとは言え。
この状況を打破する為には、まずは頭の整理をする時間が必要だからな。
それにしてもまぁ、また漫画みたいな、おかしな事に巻き込まれたもんだな。
ドンだけ漫画なんだよ俺の人生?
(↑前に眞子のクローン件があっただけに、少しだけ妙な余裕がある俺)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
どうやら、赤い髪の女生徒の正体は、TSではなく最初から存在しており。
倉津君にとっては幼馴染でもあり、ほぼ崇秀と同じ立ち位置にある女性には違いない様ですね。
ただ、そうやって此処の世界には崇秀が存在しない以上。
なにか少しづつ、倉津君の知ってる世界とは誤差が生じてるようでもありますがね(笑)
……って事は、この世界って言うのは……(笑)
さてさて、そんな奇妙な世界を漂う倉津君なのですが。
これから一体、彼はどうするつもりなんでしょうね?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
しかしまぁ、あれですね。
倉津君、こういう奇妙な事には多少成れてしまっているのかして。
最初に話を聞いた時ほど動揺する事なく、思ってた以上に冷静に対応してますね(笑)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!