最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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278 不良さん、GUILDのシステムを聞かされる

公開日時: 2021年11月11日(木) 00:21
更新日時: 2022年12月16日(金) 14:33
文字数:2,542

●前回のおさらい●


 ライブ開始後、一番最初に登場したバンドの調子はイマイチ。


なので、それを見た崇秀は、自分のギターを取り出し。

演奏中のギタリストの音を消し、ステージの裾から代行演奏をはじめ、一気に観客を盛り上げていった。


それを見ていた倉津君は呆気の取られるが、それをやらかした本人は横でケタケタ笑ってる。

「あはははっはははっははっ……どうだよ、どうだよ?こう言う乱入の仕方ってのも、中々乙なもんだろ」

「オイオイ、どうだよ以前に、あんな真似して良かったのかよ?……今のって、完全に替え玉演奏じゃねぇかよ」

「だな。けど、んなの気にしねぇの、気にしねぇの。観客がライブで盛り上ってさえいれば、こんなもん、なんでも良いんだよ」

「そっ、そんなもんなのか?」

「あぁ、面白けりゃ、なんでもありなんじゃね。それによぉ、向こう側のステージの裾を見てみろよ」


奴の言葉に従って、逆側のステージの裾を見てみると……嶋田さんや、康弘が大型アンプに自分の楽器を繋いで待機している。


オイオイまさかな……



「オ~イ、あれって、まさか」

「ご名答だ。ステージ上の人間の演奏が下手糞だったり、調子が悪いと判断した時は、ステージの演奏者以外の誰かが、それをバックアップする為にステージの裾から演奏する。これが自体が『GUILD』の特殊システムだからな」

「いやいや、だったら、そのシステム自体が不味くねぇか?ステージで演奏してるバンドにも悪いしよぉ」

「このバカタレ」

「なんでだよ?」

「良いか倉津?イベントでライブをやってる以上、そんな下手糞の言い分なんか知ったこっちゃねぇんだよ。……ライブってのは、全て観客の為のものだ。まずにして、そこを履き違えちゃイケネェ。まぁそれにだな。ヴォーカルの声とかだと、簡単に声でバレるかもしれねぇが。楽器演奏なんかじゃ、相当、耳でも肥えてなきゃ、普通は判別なんて出来ねぇよ」


まぁそうかも知れんが……



「それにだな。もしバこれがレたとしても、一体、誰か損するて言うんだよ?観客が盛り上がってるなら、誰も文句の言い様もねぇだろうに。……だから、この程度の些細な事なんざ、別に問題にすらならねぇんだよ」


確かに、言いてぇ事は解るがよぉ。

これって下手すりゃ、詐欺行為に値する行為なんじゃねぇか?


けど……それで損する奴も、文句言う奴も居ないんじゃ、詐欺の立件は成立しねぇか……


いや、しかしだな。

これって、人のモラルとしては、どうなんだろうな?

これだけの観客を騙してるんだから、あまり褒められた行為じゃねぇ様な気がするんだがなぁ……


イカン、ややこしい事を考えてたら、頭がこんがらがってショートしてきた。



「まっ、まぁ、ライブの主催者であるオマエが良いって言うんなら、別に、俺も構わねぇがな」

「だろだろ。こう言う遊びも悪くねぇだろ」


コイツだけは、結局、遊びか……

真面目にやってる『Baby×Killer』のメンバーが居た堪れねぇな、オイ。


まぁそうは言ってもだ、崇秀の演奏が入ったお陰で『Baby×Killer』の3曲目の演奏が安定しているのも事実。


悪くないんだろうな、結局。


なんか納得出来ねぇけどな。



「ところでよぉ、崇秀。今日ライブをやる奴等って、なんで売れ残ってんだ?」

「さっきの、あれを見りゃわかんだろ。今日のライブをやってる連中の大半は、メンタル面が異常に弱いんだよ。……腕があるクセに、自信とやらが欠損。メンタルが豆腐の如く弱過ぎるから、何所のライブハウスに行っても、本来の実力が1%も出せねぇ奇妙な連中だ」

「オイオイ、だったら、これってよぉ、奴等にしたら、ただの拷問なんじゃねぇの?」

「知るかよ。……つぅか。あのなぁ倉津。ウチのサイトはなぁ。こう見えても、結構、人気があるサイトでな。後が詰まってんだ。いつまでも同じ奴等に入り浸られたんじゃ、こちとら迷惑なんだよ。だから、今回のライブで上手くやらなかったら除名するって宣告を出して、ライブに望ませてんだ」

「オマエ、鬼か?」

「鬼だと?どこがだよ?」


マジで言ってんのか?

こんなもん、何所から、どう見ても、ただ鬼の所業じぇねぇかよ!!



「いやいや、明らかに鬼過ぎんだろ」

「じゃあ、どうすんだ?ライブで実力が出せないなら、楽器なんぞ弾く意味すらねぇ。それに克服しなきゃイケネェ事を先延ばしにしても良い事なんかねぇし、なんの意味もねぇじゃねぇか?」

「いや、そうは言ってもよぉ、精神的なもんは、そう簡単に治らないんじゃねぇのか?」

「そうかぁ?向井さん達、アッサリ治ったじゃねぇか」


まぁ、そうなんだけどよぉ。

それと、これとは、なんか違くねぇか?


あの人達は元々、次元の違う世界の住人だった様な気がするんだが……



「なに、しかめっ面してんだよ」

「いやな。基本的な話なんだがよぉ。あの人達って特殊じゃね?」

「はぁ?全然、特殊じゃねぇぞ。寧ろ、メンタルが弱いぐらいだ」


・・・・・・


……そっか。

コイツにとっては、奈緒さん達ですら、そう言う風に映ってんだな。


けど、あの人達でメンタルが弱いって言うなら、今ライブをやってる『Baby×Killer』のみなさんは『蚤の心臓』だな。



「なんだよ。納得出来ねぇか?」

「納得出来ねぇつぅかよぉ。なんで奈緒さん達が、そう言う風に映るのか、是非教えて欲しいもんだな」

「んあ?バスの一件を見たまんまじゃねぇか。あの程度の事でビビッてる様じゃ、先が思いやられる。ありゃあ、まさに『蚤の心臓』だな」

「マジかよ?」


奈緒さん達が蚤の心臓だと?


だったら『Baby×Killer』の人達は、どうなんだよ?


微生物の心臓か?


あぁっと微生物に心臓はねぇか。



「あぁマジだ。……但しだ。向井さん・ステラ・アリス・理子さん・椿さんの5人については、結構、良い根性してる。それに判断力・決断力も共に悪くない。特に向井さんの成長は著しいものが有るな。彼女は、自分で、何をどうすれば良いかを、良く理解している。あの4ヶ月前のライブで、俺と言い合った彼女とは、まるで別人と言っていい程だ。これは賞賛に値する成長っぷりだな」


崇秀の奈緒さんに対する評価は、相変わらず高い。

以前だったら、歌唱力だけを褒めていたが、現在は精神面も褒めている。


矢張り、奈緒さんは只者じゃないな。

崇秀が、此処まで人を褒めるのは、本当に珍しい事だからな。


しかしだ、その奈緒さんと同じ時間を過ごしてるのに、なんで俺は、こう成長しないんだろうな?


此処まで来たら『馬鹿』とか、そう言う問題じゃねぇんだろうな。


真面目に努力しねぇと、奈緒さんに見捨てられる様な気分になってきた。


凹むな、コリャ。



話を逸らそう……(;´д`)トホホ


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


今現在ステージで演奏するバンドのメンツを含め。

崇秀から見たら、奈緒さん達女性陣も『蚤の心臓』らしいです(笑)


さてさて、そんな中。

倉津君は、なにやら話を逸らす為に、別の話題を振ろうとしていますが……そのせいで次回は(笑)


って事なんで。

少しでも興味が湧きましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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