最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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189 不良さん、2人がツアーミュージシャンに成りたくない理由を聞く

公開日時: 2021年8月14日(土) 02:51
更新日時: 2022年12月3日(土) 21:49
文字数:2,164

●前回までのあらすじ●


 病室に崇秀乱入。

その後、崇秀のキッチリとした評価を聞いた上で。

良いライブをしたから、ステラさんと、ジミーさんをバンドのサブに使って良いと言って来た。


けど、今、新加入のメンバーを必要と感じなかった倉津君は断る。


すると2人は少々凹んだ様子で。

その2人に、しょうがないから、またツア―ミュージシャンをして貰うと言い出す崇秀。


だが2人はやけに嫌そうな顔をする……その理由とは?

「あぁ悪いな、ジミー。俺もまさか、コイツが、こうもアッサリ断るとは思って無かったもんでな……所謂、予定外って奴だ」

「仕方ガナイデスネ……すてら、諦メテ行キマショウカ」

「そうですね。縁が無かったと言う事で……」


なんだよ?なんだよ?

あの罵詈雑言を吐くステラまで、ショボクレやがって。


一体、なにが不満なんだよ?


・・・・・・


チッ……しょうがねぇなぁ。

事情を聞く気はなかったが、少しだけ、その辺の事情を聞いてやるか。


あぁ一応言っとくが、これが崇秀の手口だって事ぐらいは解ってんぞ。



「オイ……」

「ナンデスカ、真琴乃助サン?」

「オマエ等よぉ。なんで、そんなにツアーミュージシャンになるのが嫌なんだよ?少し変じゃねぇか?普通ならよぉ、もっとこう、喜んでやるもんじゃねぇのか?」

「嫌ッテ訳ジャナイデスヨ。……タダ、ツマラナイト思ッテルダケデス」

「ツマラネェだと?」

「ハイ。つあー・みゅーじしゃん程、ツマラナイ音楽ハナイデス」


なにが、そんなにツマラナイんだ?


ヤッパリ、訳がわかんねぇぞ?



「なにがつまんねぇんだよ?プロになる為の最短ルートじゃねぇか」

「音楽ヲ作ッテル気ガシナイデス。アンナモノハ、他人ノ作ッタ曲ヲ、タダ弾イテルダケ。ソンナモノ音楽ジャナイデス」

「うん?オイ、崇秀、こりゃあ、どう言うこったよ?コイツじゃ、言ってる意味がわからねぇよ」

「あぁっとなぁ。まぁ、なんつぅ~かな。ジミーは、元々作曲家志望の人間なんだよ。だからよっ。自分の作った曲じゃなく、認めてもいない他人の作った曲を演奏するのが嫌なんだよな。……まっ、要するに、大人気ない、困った性分って奴だ」


あぁ、なるほどな。


作曲をしない俺には、よくわからねぇ感覚だが。

確かに、そりゃあ、本人にしたら苦痛を伴うかもシレネェな。


……かと言ってだな。

ウチのバンドに入ったからって、好き勝手出来る訳でもねぇぞ。


奈緒さんも、嶋田さんも作曲する人間だから。

少なからず、あの人達も、ジミーと似た様な感性を持ってると思うぞ。


それによぉ。

売れちまえば、その後は好き勝手出来るじゃねぇか。


なら、そっちの方が十分魅力的な話じゃねぇか?



「なるほどな。そりゃあ厄介な性格だな。……っで、ステラの方も、なにか嫌だって理由でもあんのか?」

「私は、別に無いですよ」

「おいおい、ステラ。オマエなぁ。空気を吐く様にスラスラ嘘言ってんじゃねぇぞ。オマエにゃあ、どうしようもねぇ最大の欠点があんだろ」

「私に欠点なんてありませんが」

「チッ、もぉ面倒臭ぇ……あぁっとな。コイツはな。まっ、言わねぇでも解ると思うが、口が最上級に悪い。だから、その口が災いして、どこのバンドに所属しても長続きしねぇんだよ。イラネェ事を、直ぐ口に出して言いやがるから、バンドを即脱退させられる……だからまぁ、正直言っちまえば、ツアーミュージシャンですら勤まらねぇのな」


まぁ……十中八九そうだろうな。

基本的にコイツには、協調性って物が皆無だ。

なにがなんでも、自分の意見を通そうとする傾向があるからな。


それに妙に理屈っぽいから、話を聞いてる方としてはイライラするのは間違いない。

第一、初対面の人間に、あれだけ大量の文句を言っちまう様な性分だったら、大概の奴は、コイツと関わりを持ちたくなくなるってもんだ。


俺も、コイツの参入を断った連中同様、そう思うぞ。


……けどな。

実際は、そんな酷い話バッカリって訳でもねぇんだよ。

コイツの言ってる事って、実は、そんなに間違った事を言ってる訳でもないんだよな。


話をキッチリ聞いてりゃあ解る話なんだがな。

口の悪いのを除けば、結構、的を得た事を言ってるのも多い。


まぁ、単純に数値でモノを見たり、頭が固かったりするけど、基本的な事は外してない。

客観的な見方をすれば、正確な判断していると言って過言じゃない。


こう言う感覚の人間が居てもおかしくないし、必要性がない訳でもない。


だったら、どうしたもんかな?



「なるほどな。そりゃあ、そうもなるわな」

「まっ、そういうこった」


なんかなぁ。

この分だと、ステラも、ジミーも好きな音楽が、全然出来無いって事だよな。


確かに、片や我儘で、片や口が悪いじゃ、どうしょうもないと言えば、どうしようもないんだがな。

にしても、ちょっとなぁ……可哀想な気がしないでもないんだよなぁ。


なんか良い手がないもんだろうか?


多分、崇秀が、この調子じゃ。

コイツ等2人共、やりたくもない嫌な音楽をしなきゃイケナイって事になるしな。


少し同情するんだよな……


・・・・・・


あぁもぉ……しゃあねぇか。



「おい、ジミーよぉ」

「再ビ、ナンデスカ?真琴乃助サン?」

「オマエよぉ。自分の音楽を聞かせたいとか言ってたが。一体、どんな音楽がしたいんだよ?」

「私、別ニ、シタイ音楽無イ……タダ、自分ノ作ッタ曲ヲ聴イテ欲シイ」

「じゃあ、序に、もう1つ聞くが。ジャンルは、何でも作れるのか?」

「ぶるーす無理……後、ソレ以外ナラ、大体、作レルデス」

「そっかぁ、わかった……っで、それとステラ、オマエの音源を聞かせてみろよ」

「私の音源?そんなもの聴いて、どうするんですか?意味が有るとは思えませんが」


またコイツは……


そう言う余計な事を言うから、バンドで、ハミ子にされるんだよ。


少しは従順にモノが出来ねぇのか?


ホント、馬鹿な奴だな。



もぉマジで勘弁してくれよぉ。


最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ジミーさんのツアーミュージシャンに成りたくない理由は『認めてもいないミュージシャンの楽曲を演奏したくない』と言う物。

そしてステラさんは……もぉ言うまでもなく、口が悪いので、いざこざをすぐに起こしてしまう事。


こんな2人を、少々同情する倉津君は、一体、どうするのか?


それは次回の講釈。


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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