最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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866 真琴としての最後のお別れと、とある交換条件

公開日時: 2023年6月21日(水) 00:21
文字数:2,917

●前回のおさらい●


 奈緒さんに髪を整えて貰ったまでは良かったが。

その髪型と言うのが、前髪を含めた髪を上で束ねられた、オデコを全開にしたパイナップルな髪型!!


これに不平のある眞子は必死に反論して、いつもの髪形にして貰おうとするが……その話の途中で、奈緒さんの今の心境を知り。

 奈緒さんに髪を整えて貰ったまでは良かったが。

その髪型と言うのが、前髪を含めた髪を上で束ねられた、オデコを全開にしたパイナップルな髪型!!


これに不平のある眞子は必死に反論して、いつもの髪形にして貰おうとするが……その話の途中で、奈緒さんの今の心境を知り。


***


 奈緒ネェが本能的になのか、それとも認識的になのかはハッキリとは解らないけど。

矢張り、どうしても気持ちが割り切れず、私の中に『倉津真琴の存在』を見てしまっている。


これは、元の関係が元の関係なだけに仕方がない事なのだけど。

真琴ちゃんの存在が戻って来る以上、私も、奈緒ネェも、その辺をキッチリ割り切った上で今後は生活をしなきゃいけない。


じゃないと……


「あぁ、そっか。……でも、奈緒ネェ。真琴ちゃんが帰って来たら、その認識は危険だよ。その認識を持ったままだと、今日の昏睡から目覚めた時の私みたいに成っちゃうよ。あれも欲しい、これも欲しいって思って、全部、自分の物にしようとしたら、真琴ちゃんが、今の奈緒ネェみたいに傷付いちゃうよ。……これは実体験だから、言って置くね。一番ダメな思考だと思う」

「まぁ……ねぇ」

「あぁ、でも、此処も勘違いしないで下さいね。私が、崇秀の彼女に成ったからって、こんな事を言ってるんじゃないんですよ。……今更だから、ただの綺麗事に聞こえるかも知れないけど。人を傷付けた私だからこそ、奈緒ネェには、そうなって欲しくないって思ってこんな事を言ってるんですよ。此処だけは、本当に信じて欲しいです」

「じゃあ聞くけど、眞子の中に、クラは、もぅ居ないって事?」


あぁ、そこは本当に微妙な所なんですがね。


心理的な話だけで言えば。

私の元に成ってるベースに倉津真琴と言う素材があるだけに、そこが100%無いとは言い切れない部分はあるんですよ。


でも、此処も強引に無いと言えば、無いとも言い切れなくも無い。


だから此処は、敢えて、心を鬼にして言い切るべきだね。


……ごめんね、奈緒ネェ。



「はい。100%居ないですね。真琴ちゃんからは、私に欠けていた『優しさ』は貰ったけど。此処はもぉ、ハッキリと居ないって言うべきだと思います」

「そっか。じゃあ納得。……でも、最後に1言だけ言わせて」

「あぁ、はい。お聞きします」

「うん、ありがとう。じゃあ言うね」

「あっ、はい……どうぞ」


奈緒ネェは、一旦、短い沈黙を取って、意を決した様に口を開いた。


凄く悲しそうな顔をして……



「……さよなら、眞子の中のクラ。今までありがとうね。本当に幸せだったし……楽しかったよ」

「はい……コチラこそ、ありがとうございました。そして、さよなら、奈緒さん。私が世界で一番愛した女性。それに、今まで色々迷惑を掛けて、ごめんなさい。これからも、奈緒ネェが嫌じゃなければ、本物の真琴ちゃん共々、私の事も、どうか宜しくお願いします。一生のお付き合いをしてください」


ちゃんと言えたかなぁ?


これが、私が、倉津真琴であった最後の言葉。

これからは、誰の前であろうとも、2度と、こんな言葉を口に出す事は無いだろう。


本当に、今までお世話になりました。


泣きたい気持ちは有りますが……もぉ泣きませんね。


私は、向井眞子ですから。

此処で泣いてしまったら、結局、ケジメを付けれないままに成っちゃいますしね。



「……ホント、強くなったね」

「それは全部、奈緒ネェのお陰ですよ。本当に色々お世話になりました。色々学ばせて頂きました。本当の本当に、世界で一番の最高の彼女でした。2度お目に掛かれない程の最高の彼女でした。本当に、本当に……ありがとうございました」

「ハァ……私とも有ろう者が、3回も同じ人間に振られるとはね」


『ピシッ!!ピシッ!!』



「ちょ!!だから、それ、痛いですって!!なんでこんなに良い雰囲気なのに、何食わぬ顔をして、そんな酷い事をするんですか?全部台無しじゃないですか!!」


……って、言いながらも、奈緒ネェの心の広さには感謝している。

こうやって今の状況で、場の雰囲気が暗くならない様にしてくれてるんだもん。


ホント……最後の最後まで、お世話になっちゃってるね。



「あぁ、うるさいよ。妹のクセに姉に逆らうな。このパイナップル」


ホント、この姉だけは……


だからせめて、場の雰囲気だけでも暗くならない様に馬鹿しなきゃね。



「あぁ~~~、そうだそうだ!!話に呑まれてスッカリ忘れてた!!奈緒ネェ直して!!直して!!このパイナップル頭は嫌だってばぁ~~~!!崇秀が来たら、どうするんですか!!」

「知らないね。姉に生意気な事を言った罰だよ。仲居間さんが来るまで、毎日毎日、ズッと、その同じ髪型にしてやるからね。覚悟しときなよ。……その姿を仲居間さんに見られて、目一杯笑われれば良いのよ」


……最悪だよ。



「ヤダよ!!……あぁ、じゃあさぁ、お姉ちゃん、取引しよ取引」

「取引?なんの取引をするのよ?」

「えぇっとねぇ。この頭を、ちゃんとしてくれたら、等価交換で良い事するからさぁ。もぉ超お買い得な話ですよ」

「私との取引で、眞子が等価交換ねぇ。……眞子に、それに見合う様な真似が、なんか出来るの?」

「出来るって!!これはホント、超お得な話だよ」

「ふ~~~ん。豪い自信だね。……っで、なにが出来るって言うのよ?」


本当の所を言えば、ちょっと面倒臭いから嫌なんだけどなぁ。

背に腹は変えられない状況なんで、此処は1つ私の方から妥協案を提案しましょう。


『若い内は、苦労は買ってでもしろ』って、もんですからね。



「えぇっとですね。真琴ちゃんが帰って来たら『一年間の遅れた分の勉強を、私がみる』って言うのは、どうですかね?」


これってさぁ、中々の好条件じゃないですか?


私の勉強の教え方は、学校でも、結構、好評な上に、みんな成績が上がってるんですよ。

それを『個人的に家庭教師する』って条件なんだから、これは、かなりの好条件じゃないですかね?



「ぷぷっ……君が?眞子が、クラに勉強を教えるの?ってか、なにを教えるの?そんなの、団栗の背比べなだけじゃない。なにも成長しないって」


えっ?なんですか、その認識は?

なんで、そんなケッタイな発想に成るんですか?


うわっ……って言うか奈緒ネェ。

この様子じゃあ、未だに私の事を相当な馬鹿だと思ってるね。


まだ勉強嫌いだとか思われてるんだろうなぁ。


……まぁまぁ、そうは言っても。

奈緒ネェは、私の全米45箇所ライブが終了後と同時に、直ぐにアメリカに活動拠点を移した訳だからね。

それに私の全米ライブ中は日本に居た訳だから、私が1人で黙々と勉強をしていた事すら知らないしね。

それに付け加えて、奈緒ネェが拠点を移動したのと同時に、私が入れ替わる様に日本に帰ったから、日本でも、相当、勉強をしてた事も知らない。


故に、そう言う反応になってもおかしくはないか。


この間のGUILDのライブの際も、この事は心の中でしか言ってなかったしね。

じゃあ不本意ながらも、この奈緒ネェの反応は素直に受け入れるしかないかぁ。


まぁそんな訳で取り敢えずは、なんにせよ。

まずは、そこの説明をした上で奈緒ネェの誤解を解き。

そこから、これが如何に有用な事なのかを踏まえて、再度交渉してみるしかなさそうな状況ですね。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


今後のお互いの関係を保つ為に、眞子を眞子としてだけ見る事を決断した奈緒さん。

正直、普通の人間の心理では出来る様な所業ではないのですが。

今までも、そしてこれからも倉津君や、眞子の為なら、なんでもして来た奈緒さんだからこそ出来た物だと思います。


奈緒さんは自身の更生や成長と共に、メンタル面も化け物に成りつつありますしね。

その積み重ねがなければ、まぁ流石に、誰もこんな馬鹿げた事を受け入れられないと思います。


……っでまぁ、そんな奈緒さんに対して、眞子も雰囲気が暗くならないように気遣いつつ。

そこから話題を逸らす為に、再び髪形の話をして交渉開始。


果たして、その交渉だけで奈緒さんの誤解は解けるのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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