●前回のおさらい●
2人で居る事に、再度幸せを嚙み締める倉津君と奈緒さん。
それ故に、奈緒さんから『アメリカで一緒に生活しない?』っと言う提案が齎されるのだが。
新しく立ち上げるサイトの件があるだけに、これを簡単に了承する訳にもいかず……
「それとね、クラ。出来れば【GREED-LUMP】にも入って欲しいんだぁ。勿論、HELPとかでも構わないんだけど。私ね。出来れば、ズッとクラと一緒に演奏したいし。2人で、いっぱいライブを廻りたいんだよね」
あぁ……これは、更に困った要求が来たもんだなぁ。
俺の気持ちとしても『奈緒さんの要求には100%の誠意で応えてあげたい気持ち』で一杯なんだがな。
今の状況では、それをする訳には行かないんだよな。
幾ら奈緒さんが大切な彼女だとは言え。
此処で、協力を申し出てくれてるモジャや、眞子に不義理をかます訳にもいかないからなぁ。
しかも満の悪い事に、奈緒さんを、コチラ側には『絶対に誘わない』っとまで言い切っちまってるしなぁ。
まさに八方塞だな。
マジでどうすんだよ、これ?
「あぁ……っと」
「ダメ……なの?」
いや、そんな悲しい顔で、懇願する様に見詰めないで下さいな。
只今、無い知恵を絞って、単細胞生物な俺が必至に思考を巡らせておりますので……
……にしても、奈緒さんの潤んだ瞳が、ヤバ過ぎるな。
「いや、ダメ処か、スゲェ嬉しいんッスよ。まずは、そこだけは誤解無き様に、必ず理解して下さい。ホント、直ぐにでも叶えてあげたい願いなんで」
「うん……解った。私の我儘なお願いを、叶えてくれ様とはしてくれてるんだね」
「ウッス。そこは100%そうッス」
「……でも、そう言うって事は、なにかの事情が有って、一緒には行けないって事でも有るんだよね」
ご理解が早くて助かります。
けど、理由や、内容が、非常に言い難い話なので、もぉちょっとだけ心の準備をする時間を下さい。
……もぉちょっとだけでも良いんで。
「そうッスね。すんません」
「それって、なんでなの?言い難い事なの?」
「あぁ、いや、そこまで言い難くはないッスよ。それに、奈緒さんだから、もぉ正直に言いますけど。……俺、実は、モジャと、新しいサイトを作る企画を立ててるんッスよ」
「えっ?そうなの?……でも、なんでまた、こんな時期に?」
ホント、受験もあるって言うのに。
なんで、こんな時期に、こんなややこしい事に成ったんしょうかね?
自分でも良く解ってなかったりします。
「いや、そうなんッスけどね。これもまた偶然的な話なんッスけど、聞いて貰えますか?」
「うんうん、勿論だよ。どういう経緯で、そうなったの?」
「あの、実はッスね。今日の昼間に有った例の一件の後、俺、家に帰っても1人でイライラするだけだろうと思って、あの足で【無名】のライブに行ったんッスよ」
「うん」
「それでッスね。そこで、沙那ちゃん親子と出逢って。3人でライブを観戦した後、まぁ【無名】の打ち上げに行った訳ですね」
「うんうん、定番だね」
「ほんでまぁそこでッスね。飲んで騒いでしてる間にモジャに捕まったんッスけど。イキナリあいつ、まるで、今日、俺達の間に、なにか有ったのかを知ってるかの様な口振りで、話を始めたんッスよ」
ちょっと脚色中だな。
まずにして、飲んで騒いだ記憶はないからな。
それに、あのまま家に帰ってても、アッケラカンとしてた筈だからな。
此処は脚色だな。
「あぁ、なんか光景が眼に浮かぶ感じ」
「そうっしょ。……ホンでまぁ、アイツはッスね。『奈緒さんや、崇秀や、眞子と同じ立場に成りたかったら、そこまで駆け上がらないと話に成らないさな。だから対抗組織を作ろうぜ、旦那』っとか、上手い事言ってくるんッスよ」
「じゃあ、それが切欠に成って、気分的にも乗せられちゃったんだ」
「あぁ、いや、その時点では乗せられなかったんッスけどね。アイツ、俺が断ったらッスね。『じゃあ、俺1人でやるさな。……但し、一切の手段を選ばずにな』って言うんッスよ」
「あぁ、それも言いそうだね。しかも、やりそう」
「そうなんッスよ。……っで、流石に『あの危険な生き物を、単独で野に放つのはマズイなぁ』って思う反面。本腰入れて『打倒崇秀』を目指すのも悪くないかなぁって、不覚にも思っちまってッスね。……ほんで、つい、奴の話に乗っちゃったんッスよ」
これが略歴ですな。
まぁ早い話、お調子者の間抜けが、悪魔の腹心に上手く乗せられたって話なんッスわ。
「えっ?えっ?話の概要は、なんとなく解ったけど。その話が本当なら、一葉が、クラの参謀に成ってくれるって事?」
「へっ?あぁ、そうなんッスよ。あの悪魔の腹心が、なにをトチ狂ったのか知らないんッスけど『俺と組みたい』って思ってくれたみたいッスね」
「へぇ~~~っ、あの一葉がねぇ。なんか条件提示された?」
「いや、それが、全く無しなんッスよ」
「えっ?無条件?じゃ、じゃあ、その際になにか言ってなかった?」
なんか言ってたかなぁ?
なんか言ってたなぁ。
「あぁ、確かッスね。順風満帆過ぎて、今のGUILDが面白くないとか言ってましたね」
「あぁ、そこかぁ。なるほど。じゃあまた、世間に一波立て様って算段かぁ」
「そうッスね。そんな感じッスね」
「じゃあさぁクラ。業務に差支えが無かったら。クラがアメリカに行っても問題ないんじゃないの?」
それが有るんッスよ。
なきゃ。
なんもかんも捨てて、即答で奈緒さんと一緒に行きますよ。
「いや、それがッスね。モジャの企画ってのが、中々強かに作られててですね。そのサイトを、最終的には『一般的な業者』として作り上げて、ウチと、遠藤組みの架け橋にしようって腹なんッスよ。だから、その要となる俺が日本に居ないと、なにかと問題があるんッスよ」
「あぁ、なるほど、そこかぁ。それは、また上手く説得されたもんだね。今のクラが一番欲しいものだもんね」
「そうなんッスよ。これさえ上手く行けば。俺、ヤクザで有りながらも、ヤクザの業種じゃない生き方も出来ますからね。つい……」
「だよね。そんな好条件を突き付けられたら、尚更、断り難いね」
「そうッスね。……それに、なんとしても、奈緒さんには、みんなに祝福される結婚式をあげさせてあげたいッスからね。その為にも、俺が、まっとうな商売につかないと」
そう言う事なんッスよ。
今の本音は、これなんッスよ。
かなり後付っぽい部分も多いッスけどね。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君が懸念していた割には、アッサリ解決しそうな雰囲気ですね(笑)
まぁただ、本気で奈緒さんが納得してるか?っと聞かれたら。
恐らくは、納得しきれてない部分もあると思います。
ですが、前回までの一件で、奈緒さんには後ろめたい気持ちもあるでしょうし。
なにより倉津君が男気を見せてくれたからこそ、此処は納得出来ない也にも、納得するしかない場面なのかもしれませんからね。
……ってな感じで奈緒さんが妥協し、此処の問題については一応は解決したのですが。
倉津君が本編で語った様に『まだ問題が残ってたりします』
それは、この問題よりも大きな問題なだけに、難易度が高いのですが……大丈夫なのでしょうか?
まぁ、本人は、まだその問題には気付いてないようですが……(笑)
そんな話を次回は書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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