●前回のおさらい●
今の眞子が、仮にXX眞子であったとしても。
現在、XX染色体しかない体の主導権を有しているのは、真琴から全てを奪い去った眞子なので、所有権に関しては問題ないとの事。
だが、それでも尚、問題がない訳でもない。
「あの、一応、お聞きしますが。……アナタが言う、その問題って言うのはなんですか?」
「なんて事はありませんよ。その体から、そこに居る『倉津真琴の存在を消滅させる』事です」
「へっ?」
「この残留思念にも似た精神が、貴女の体にある以上は、いつまで経っても、貴女が『単一精神体』には成り得ませんからね」
「『消す』って……どういう事ですか?アナタが言った事が正しいなら、それさえも『融合』すれば良いだけの事なんじゃないんですか?」
「いいえ。それだけは、どうやっても度台無理な話ですね。不可能です」
「なんでですか?さっきまでアナタは『今まで上手く融合して来た』って、そうハッキリ言ったじゃないですか。それを今更、覆すって言うんですか?」
「先程の話は、貴女と、倉津真琴の融合が可能な部分の話。この唯一残された倉津真琴の意思は、そう言ったものではないんですよ」
「じゃあ、この真琴ちゃんは、一体なんなんですか?」
なんだろう?
思い当たる節が、全くないなぁ。
「この倉津真琴の最後の意思は……すべて『向井奈緒さんにのみ向けられた執念』みたいものですから。アナタが、仲居間崇秀さんを拒んで、向井奈緒さんを愛さない限り、コチラの方との融合は無理と言うものですね」
うくっ……そっ、そうかぁ、そう言う事ですか。
そうか、そうか、言われてみれば、確かにそうだ。
唯一私と、倉津真琴が相反する気持ちであるとすれば『奈緒ネェ』への意思。
それなら、融合出来ないと言う意見にも合点が行く話だ。
けど、この人が言った『崇秀を拒んで、奈緒ネェを受け入れる』を行動に移すなんて、そんなの、もぉ今更無理だよ……
奈緒ネェの事は、確かに今でも大好きな人ではあるんだけど、それは『人間的に好き』なだけであって、絶対に恋愛対象には成り得ない『女性』と言う性別。
私にとっては、既に奈緒ネェは、今まで通り大切な人ではあるけど『同性である姉』でしか有り得ない。
そう言う認識になってる以上……これは、もぉどう足掻いても無理な話だ。
「それは……無理」
「ですから僕は、最初から『消して下さい』と言っているんですよ」
「でも、単純に『消す』って言ったって、どうやって、この意思を消すって言うんですか?」
「今、この体の主人格である貴女が『この意思は自分には必要ない』っとさえ念じれば、全ては事もなく終わりです。……ただ、此処で1言だけ言って置きたいのですが『此処で倉津真琴さんを完全に消す』と言う行為は『向井眞子自身が、倉津真琴さんを殺した』と言う事ですので、この事実だけは、決して忘れないで下さいね。今、貴女の中にある倉津真琴は、既に『向井眞子の1部』でしかないんですから」
殺す……
消すじゃなくて、殺す……
「そんなぁ……。私に、真琴ちゃんを殺せって言うんですか?そんなの無理ですよ」
「そうですか。それは困りましたね」
「どうして、アナタが困るんですか?」
居ても良いじゃない。
気付かない間に、私に、体の主導権を全て奪われて。
もぉ、その意思だけでしか存在出来ない存在なのに、そこまで酷い扱いをしなくても良いんじゃないんですか?
それぐらいなら残ってったって良いんじゃないかな?
……それにね。
ちょっと前まで、真琴ちゃんの事は『消えて無くなれ』なんて、酷い事を思ってたけど。
これは……あんまりな仕打ちだよ。
それに、自分で自分は殺せないよ。
「いえ。直接、僕が、なにかに困る訳ではないんですがね。……この残された倉津真琴の『向井奈緒さんに向けられた恋愛感情』と言うのは、中々厄介且つ、危険な存在でしてね。いつ何時、この感情が爆発するか解らないんですよ。そう言った意味でも彼は『時限爆弾』にも等しい存在なんですよ」
「それって、どういう事なんですか?詳しく教えて下さい」
「そうですか。では、お答えしますが。……まぁ此処からは、少し将来的な話になるんですが。貴女の精神に、なにか緊急事態が起こった際に、突然の様に、この倉津真琴の意志が目覚めて、貴女が現在所持している『主人格』を奪い去る可能性があるんですよ。そうなった時、鬱積してる感情なだけに、一切の抑えが利かず。取り返しの付かない事になったりもします。……だから、と言う訳ではないんですが。こうやってハッキリと主人格が決まってる間に彼の存在を消さないと、貴女自身に災厄が降り掛かる可能性がある。……ですから、早目に決着を付けた方が良いと言う話になる訳ですね」
消してしまった方が良い理由って言うのは、そう言う理由かぁ。
人間の感情の爆発。
確かにこれは、抑え様としても、簡単には抑えの効かないものだし、抑え様と思って、抑えられるものでもないのも頷ける。
だからと言って……
「あぁ……でも……そうは言いましても……」
「まぁ、即答は期待していません。まだ少しだけなら、貴女にお付き合いする時間がありますので、貴女がどうするかを考えている間に、少し別の話でもしましょう」
「あっ……」
あぁ……
今更になって、不思議に思った事があるだけど……
体が動けないからと言って、なんで私は、この人の話を、こんなに真剣に聞いてるんだろうか?
誰かも解らない人の話を、なんで、こんなに鵜呑みにしてるんだろうか?
大体、本当に、この人……誰なんだろう?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
感情の爆発。
特に、それが一点集中されたものであればある程、爆発した際の威力は高くなり、取り返しのつかない事になる。
……っと言うのは、現実的に見ても無くはない話。
現に二重人格者の方が、この事情を引き起こしてしまい、精神崩壊をしてしまったと言う事例がない訳でもありませんからね。
……とは言え。
今の主人格である眞子が、これを即断即決で実行するのは、中々にして難しい事。
なので、少しの考える時間を与える為に、別の話題が振られる様なのですが……一体、その話とは、なんなのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!