最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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297 不良さん、あまりにも愚かな選択の果てに……

公開日時: 2021年11月30日(火) 00:21
更新日時: 2023年9月7日(木) 19:44
文字数:2,284

●前回のおさらい●


 思わぬ所で、バンドの解雇を崇秀から宣告された倉津君。

必死に抵抗する為に、もう一度チャンスを願い出るが……崇秀は、首を縦には振ってくれなかった。


そんな崇秀の頑なな態度に業を煮やした倉津君は、最後の手段として『奈緒さんを連れて逃げる』っと言いだした。


すると……

『ドゴ~~~~ン!!』


そんな強烈な音と、意識が飛びそうに成る程の強烈な衝撃と共に、俺は一気に楽屋の壁まで吹き飛ばされる。


一瞬、なにが起こったか解らなかったので目を白黒させていたが……この衝撃は、過去に一度だけ喰らった事のある。


コイツは、マジで怒った時の崇秀のパンチの衝撃だ。



「テメェなぁ、いい加減にしろよな。人に企画を頼んで置いて、自分の旗色が悪くなったからって『その女を連れて逃げる』だと……人を、なめんのも大概にしろ!!」

「うっ、うるせぇ!!……るせぇ!!るせぇ!!こんな事、納得出来るか!!」

「あぁそうかよ。だがな、納得出来ねぇのはテメェの勝手だがな。その勝手な思いに向井さんまで巻き込むな。今度、彼女の未来を潰す様な失言をしたら、幾らテメェとは言え容赦しねぇぞ」

「『容赦しねぇ』だと……面白ぇやってみろよ。但し、俺が勝ったら、奈緒さんの事は、俺の好きにさせて貰うからな」

「あぁ、良いだろう……なら、悔いて死ね」


こうして俺と崇秀のガチの殴り合いが始まってしまった。


コイツとは、小学校1年からの腐れ縁で7年の付き合いだが、こんな事は初めてだ。


出来れば、こんな日が来なければ良かった……

だが……そんな気持ちとは裏腹に、それをぶち壊してでも、この話だけは、納得出来無い事が多過ぎる。


俺は問答無用に数発パンチ繰り出し、崇秀に、その全てをくれてやった。


だが……何発も何発も必死に打ち込むが、奴は、それを受けても、効いた素振りさえ見せない。

まるで、実体の無い幻覚でも殴っている様な感覚に陥らせる。


コイツには、こんなパンチじゃ効かないのか?



「なんだそれ?気持ちが入ってるなら、もっと本気でやれよ。こんなもんじゃ笑えないジョークにもなんねぇぞ」

「クソッ!!くそっ!!糞!!……なんなんだよ、オマエは!!なんで効かねぇんだよ!!なんで怯まねぇんだよ!!」


殴っても殴ってもダメだ……

命中しているのも関わらず、いつまで経っても、奴にダメージを与えられない。


それ処か、俺に不敵な笑みを浮かべたまま見下してる。


……コイツ、一体、何なんだ?



「俺にパンチが効かねぇのも、怯まねぇのも、テメェとは覚悟が違うからだ。……それがパンチの重さに出てるんじゃねぇか」

「ふざけんな!!なにが覚悟だ!!偉そうな事を吹いてんじゃねぇよ!!」

「そうかよ。……そんな事の意味もわからねぇなら、もぉ死んじまえ」

「がはっ!!」


顎の下から良いのを喰らって、頭をかち上げられた。


俺は、体の浮遊感を感じると同時に、急速に近付いてくる天井を見ながら色々な思考が混じり始めた。


なんだよ、それ?

なんだよ、この威力?

こんな常識外れな威力、どうやったら出せるんだよ?

コイツの言う通り『覚悟』が威力になるとでも言うのか?


馬鹿馬鹿しい……んな事がある訳ねぇ……


だから、これは幻覚だ……



『グシャ!!』


そう思っていたが……矢張り、現実は厳しいな。

俺は天井に顔面を撃ち付け、意識が飛びそうになる。


……やっぱ、コイツには、何をやっても勝てないんだな。


『ズル……』


俺は急速に落下して行く自分を感じながら、そんな事を考えていた。



「がはっ!!」


そこに、崇秀は追い討ちを掛けてくる。


宣告通り、奴は容赦がない……

落下し終わると同時に、何発も何発も糞重たいパンチを、俺の顔面にめがけて落としてくる。


ダメだ……これは死んだな……



『ガチャ』



「お疲れ様ぁ……って、ちょ!!なっ!!なにやってるんですか、仲居間さん!!やめて!!」

「んあ?あぁ、なんだ向井さんか。けど、少し黙っててくれるかな?……向井さんも、こうなりたくなかったら、下手にしゃしゃり出ない方が身の為だぞ。これは、俺と倉津の話だ。誰の干渉も許さない」

「なかっ、仲居間さん?どうしちゃったんですか?」

「どうもこうもねぇよ。俺は、絶対に、コイツを許さないだけの話だ。こんな情けねぇ事を言うコイツは許さない……十万億度を踏んで悔いさせてやる」

「仲居間さん、ヤメテ!!クラが死んじゃう!!」

「向井さん。もぅ1回だけ忠告するな。『今は、なにがあっても干渉するな』……次、干渉したら、幾らアンタでも殴り殺すぞ」

「ダメダメダメ!!絶対ダメ……なんで仲居間さんと、クラが喧嘩しなくちゃいけないんですか?そんなのおかしいですよ!!」


……奈緒さんが、崇秀を止めてる。


けど危ないッスよ、奈緒さん。

ソイツは、本物の規格外の化物なんッスから……


それに……そいつの相手は俺ッスよ。


邪魔しないで下さい。



「離せ!!……コイツは、男として、絶対に言っちゃいけない事を言った。だから、そのケジメをとる。そうしなきゃ、コイツは成長出来無い」

「だから!!なにがあったんですか!!せめて話を聞かせて下さい!!」

「悪いが、これは誰かに語る様な話じゃない。……それに、アンタがそうやって、コイツを甘やかすから、コイツがダメになる。アンタも、それに気付け」

「この喧嘩……私の責任なの?」

「いいや、違う。責任は、本人だけのものだ。甘やかされて、甘えるのは、本人のせいだ」

「……そう言う事ッス。これは俺が招いた結果。奈緒さんには関係ないッスよ」

「そう言うこった」

「クラ……仲居間さん……」


どうやら崇秀は、俺の意識が戻っていた事に気付いていた様だ。


その上で、奈緒さんに、さっきまでの話を隠した。


『武士の情け』って奴か……


なら、せめて……敵わないまでも、ケジメを付けねぇとな。


俺は、足元が覚束ない状態のまま、余力を振り絞って立ち上がり。

足も頭の中もフラフラしながらも、なんとかファイティング・ポーズを取った。


これだけは、なにがあっても負けられないからな……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀は矢張り、規格外の化け物。

……とは言え。

崇秀が言った様な『想いや覚悟が、威力や防御力に繋がる』様な事なんて、現実的には有り得ない話なので。

本当の事だけを言えば『崇秀は、倉津君の強力なパンチを、やせ我慢してでも、何事もない様に見せかけてる』だけなんですね。


ですから、本当な『かなり痛い筈です』


ですが、相手になにか物を教える時と言うのは、絶対的に余裕がある様に見せなければいけないのも事実。

この辺は、倉津君の将来の事を考えての行動なのでしょうね。


さてさて、そんな中。

崇秀のそんな意思に気付いてか、気付いていないかは別として立ち上がった倉津君。


この後、その自身の意地を崇秀に見せ付ける事が出来るのでしょうか?


そこは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)b

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