●前回のおさらい●
奈緒さんと和解後(?)
そのままデートとして、赤レンガ倉庫に行く事に成った倉津君。
ただ忘れ物をして物を取りに行った奈緒さんが、なかなか帰って来ない。
切符を買ってから10分程経った。
だが、未だに奈緒さんの姿は現れない。
……それどころか、一向に来る気配すらない。
なんだ?あの後、奈緒さんの身に、なんかあったじゃないだろうな?
等と、俺の不安は、時間が経過する毎に増加の一途を辿る。
「ごめん、ごめん。遅くなっちゃった」
「大丈夫ッスか?なんか有ったんじゃないんッスか?」
「ちょっとね……急にさぁ、ちょっと面白い事を思いついちゃったもんだから、ついつい、時間が掛かっちゃったのよね。ごめんねクラ」
「そうなんッスか?あぁだったら、全然良いですよ。俺、こうみえても『待つ』(借金の取り立て待ち)のとかは、結構、得意分野ッスから」
「へぇ~~~、そうなんだ。意外だね。クラって、短気っぽいのにね」
「そッスか?俺、奈緒さんだったら、それこそ1日中でも、その場でズッと待ってますよ」
「ふ~~~ん……じゃあ、今度、試して良い?」
「モノの例えッスよ」
この人の場合、ホントに、やり兼ねないから怖いんだよな。
しかも、俺も大概馬鹿だから、その場でズゥ~~~と馬鹿みたいに、飽きもせず待ってそうだしよ。
怖い怖い。
「そっか。じゃあ待ってくれないんだ」
うっ、うん?
軽い気持ちで言った言葉なのに、また豪い所で喰い付いて来たな。
だとしたら、ヤッパ、なんかあったのか?
「いや、そりゃあ、幾らでも待つのは待ちますけど……なんつぅか、出来れば俺としては、奈緒さんと一緒に過ごしたいッス。その方が、断然楽しいじゃないですか」
「そっか、そっか。そう言う意味か……まぁ、確かにそうだよね」
「なんッスか、その微妙な反応は?」
「うぅん、別に、なんにも無いよ。そっか、そっか、クラは私と一緒に居たいんだ。そっか、そっか、そう考えれば悪くないね」
いや、奈緒さん、なにをそんなに納得してるんですか?
そんなの、当たり前に決まってるじゃないですか。
なにを今更……
「あの、奈緒さん」
「うん?なに?」
「なんで、今更、そんな事に納得してんッスか?そんな事イチイチ確認しなくても、俺、奈緒さん以外の女なんて興味無いッスよ」
「あぁそう言えば、そうだったね。前にも、そんな事を言ってたね……けどさぁ、君って、ホント、私の事が好きだよね。因みにだけど、どれぐらい好きなもんなの?」
「はぁ、大好きッスね。……つぅか、奈緒さん無しの生活なんて、もぉ考えられないぐらい好きッス」
「……そっか」
えぇ~~?なんで、そこで暗い顔するんだ?
「ちょ……奈緒さん、どうかしたんッスか?俺、なんかまた余計な事を言いましたか?」
「あぁ違う、違う。そう言うんじゃないの。なんかクラって、ホント、可愛いなって思ってさ」
「なんッスか、それ?」
「『子供っぽいね』って言ってんの」
「いや、それは、幾ら奈緒さんと言えども、そのセリフは聞き捨てならないッスよ……俺って、奈緒さんが言う程、そんなに子供っぽいッスか?一応、まだ中学2年だから、大した事は出来て無いッスけど。これでも、結構、頑張ってる方だと思うんッスけど」
「あぁそっか……ごめん、そうだよね」
また暗い顔をした。
奈緒さん……ヤッパ、俺みたいなガキが相手だと、口には出せない不満とか一杯有るんだろうな。
なんか、そう言うの叶えてやれないのって、男としてマジで情け無いよな。
けどなぁ。
そうは言っても『どうして良いか』なんて、全然わかんねぇし。
俺としては、奈緒さんと居るだけで十分満足してる部分もあるんだよなぁ。
こう言う意思疎通って、ホント難しいよな。
「奈緒さん……俺、これからも必死に色々勉強するからさぁ。嫌いにならないでくれよ」
「くすっ……どうしようかな?」
「なっ!!」
「だって仕方ないじゃない。そんな女々しい事を言うクラからは魅力なんて感じないんだもん。男ならさぁ、そんな情けない事を言わずに、私を引っ張って行く位の気概はなきゃね。じゃなきゃ、私、クラに飽きちゃうよ……ほぉら、口惜しかったら、上手く、私をリードしてみ」
口惜しいと言うより、正直言ってしまえば、さっき言った通り、情けない。
此処までハッキリと、女の子に言わせるなんて、男としてどうかしてるよな。
ホント、なさけねぇ。
だからせめて、今は出来る限りの最高の事をしてあげよう。
所詮、頑張った所で、それ以上なんて出来無いしな。
分相応、分相応。
んな訳で、俺は、イキナリ奈緒さんの手を繋ぎ、無言で引っ張っていく。
まず修正すべきは、此処だろうな。
「そぅそぅ。まずは、それで良いんだよ」
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
機嫌が悪かった理由が花粉症だった割に、なにか奈緒さんの態度が変ですね。
なんかあったのでしょうあ?
そこは次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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