●前回までのあらすじ●
ホームルーム終了後、島田先生に呼び出しを喰らった倉津君と山中君。
一体、何が起こるのか?
(バレバレですね(笑))
毎度の如く、脳内で文句を言いもってチンタラチンタラと歩いていると、いつの間にか職員室に辿り着く。
そして面倒が嫌いな俺は『ガラッ』っと思い切り良く扉を開き。
わざと『ドカドカ』と大きな足音を立てながら、無言で島田の席まで行く。
他の先公の目なんざ、知ったこっちゃねぇ。
「オラ、島田、わざわざ来てやったぞ。んだよ、早く用件言えよ」
「あっ、あの……」
「おい、アホ。此処まで来て、今更、脅してどうすんねん?」
「なんも脅してねぇだろ。俺は、普通に用件を聞いてるだけだろうに」
「オマエなぁ、なんで奈緒ちゃん扱う時みたいに、千夜ちゃんにも優しい聞いたられへんねん?」
「奈緒ちゃん?」
「るせぇな。ツマンネェ処だけ反応してんじゃねぇよ。俺の事を詮索しようとする前に、さっさとテメェの用事を言えな、島田先生よぉ」
「……ごめん……なさい」
だ~か~ら泣くな。
呼び出した張本人がピィピィ泣いてたら、話が全然進まねぇじゃねぇか。
馬鹿かオマエは?
それに、ここ職員室だぞ。
少しは空気読めな、この駄々っ子雛鳥。
それとなぁ山中、こんなピィピィ泣くだけの馬鹿雛鳥を、奈緒さんと同じ扱いをしろだと?
冗談じゃねぇぞ。
そんなもん人間様と、畜生の馬鹿鳥を対等に扱えって言ってんのと同じじゃねぇか。
話にならねぇ、断じて断る!!
「もぉ良ぇ。オマエは、ちょっと黙ってぇ」
「あぁわかった、わかった。俺は、もぉなんも言わねぇから、オマエに任せた」
「賢明や」
だから、この場から早く帰らせろ。
「ほんで千夜ちゃん。俺等に、ホンマ、なんの用やねん?」
「あっ、うん、追……」
「うん?なんやて?よう聞こえへんかった?なんて?」
「山中君と、倉津君……明日追試」
「なっ、なんやて!!そんなアホな!!俺の横に居るアホ魔王は知らんが、俺、4教科しか落としてへんで。後は、大体、平均やった筈やのに」
誰がアホ魔王だ!!
確かに数学・現国・英語以外は全部赤点だったがな。
オマエにだけは、アホ呼ばわりされる覚えはねぇぞ。
第一、4教科も落としてたら、そんなに俺と大差がねぇ馬鹿じゃねぇかよ。
……少しは、その辺も自覚しろ。
それにな。
オマエ、さっきから、何そんなに必死になってんだよ?
追試だからって、100%受けなきゃいけねぇ訳じゃねぇだろ。
追試なんぞ、無視すりゃ良いんだよ。
中学校は義務教育だから、留年なんて無いんだからよ。
「あぁわかった、わかった。んじゃあ用件も聞いた事だし、俺は、もぉ帰るぞ」
「あの、倉津君、山中君……絶対に受けてね」
「気が向いたらな」
「いやいや、それ以前に、俺、なんも納得してないし……」
「それだとダメなの」
「なんでだよ?別に俺は進学する訳じゃねぇんだから。そんなもん、なんも関係ないだろ」
「違うの」
「いや、無視かい……」
「なにが違うんだよ?なにも違いやしねぇだろ」
山中は馬鹿の癖に、恐らく進学するつもりらしく、必死に喰らい付く。
だが、ヤッパリ、俺には関係ねぇ。
音楽でダメなら、本家のヤクザにでもなりゃあ済むだけの問題だからな。
こうやって立派過ぎる嫌な就職先が決まってる以上、俺には内申も、成績も気にする必要性なんぞ何もない。
俺は、そう言う事に関しては、人より自由なんだよ。
わかったか雛鳥?
「あの……警察が、未成年の深夜の出歩き防止の為に、強化パトロールをするらしいの」
「んで?」
「それでね、君達が出入りしてる所を重点的に廻るらしいの」
「なんだ?警察の奴等、またピンポイントな事するんだな。……つぅか、なんでまた、そんな事になってるんだよ?」
「各校の一番素行が悪い生徒を対象にしてるんだって……それで、倉津君と、山中君がウチの学校からピックアップされたんだって」
ご指名……まぁわからなくもねぇな。
この学校で、素行が一番悪いのは間違いなく俺だろうし、それに伴う家柄も超エリート。
なら、その対称になっても、なにもおかしくは無いな。
……けどよぉ、それと追試が、なんの関係があるんだ?
「っで?」
「うん、それでね。今、警察から『居場所リスト』の提出を求められてるんだけど……校長先生がね、出来れば、表沙汰にしたくないんだって」
「まぁ、俗に言う『大人の事情』って奴だな」
「うん。だから、君達にチャンスをあげるって話になったの。……それが今回の追試なのよ」
「はぁ……だからなんだよ?」
「オイオイ、マコ。それは、ちょっとシャレならん展開やで。そんな話が出てるんやったら、マジで、結構やばいぞ。下手したら、明日のライブにポリが押し寄せて来よんで」
「はぁ!!なんだと!!……うん?けどよぉ、なんで、ポリが来たらヤバイんだ?」
「アホ……捕まんの俺等だけやないんや。未成年言うたら、奈緒ちゃんも、アリスもそうやんけな。下手したら2人も捕まんで」
「なんだと!!いや、流石に、そりゃあマズイな」
話を聞いて、山中がドンドン蒼褪めているから何事かと思えば……そう言う事か。
だったら、余計な災いを持ち込む訳にはいかないな。
ライブハウスに迷惑掛けられないし。
こりゃあ、どうしても追試は受けなきゃイケねぇ運命にあるみたいだな。
まぁけど、あれだな。
受けるだけなら、なんとでもなるだろ。
追試を受けるだけだし。
「わかった、わかった。そう言う事情なら、絶対に受けてやるよ」
「ほんと」
「あぁ」
「良かったぁ~~……あっ、そうだ。1つ言い忘れてたんだけど。テストの点数って、最低50点以上取らなきゃダメなんだって。校長先生がそう言ってたよ」
「はぁ?」
オイオイオイオイ、また校長の奴も、無茶な要望をを考えて出してくれたもんだな。
50点て言えば、俺が、いつも取ってる点数の5倍じゃねぇかよ。
しかも、最低でも問題を半分以上正解しなきゃいけねぇ様な超難関。
んなもん、どう考えても無理に決まってんだろ。
俺にとっちゃあ、絶望的な高得点だぞ。
いや寧ろ、そんな点数取れるのは、天才の部類に属する人間か、神様ぐらいのもんだ。
大体にしてオマエ等なぁ、よく考えて物事を起せよ。
テスト受けんの俺だぞ俺。
オマエ等、頭が良いんだから、俺の知能レベルを考えて、もうちょっと点数を配慮すべきじゃないのか?
10点とかよぉ……頑張って20点とかで良くねぇか?
「さよか。まぁそれぐらいやったら、なんとかなるか」
嘘?
オマエって、そんな神の領域に踏み込んだ点数を取った事が有るのか?
俺、計算問題以外で、そんな点数を見た事ねぇぞ。
「それは良かったぁ。頑張ってね、山中君」
「まぁ大丈夫やろ。任しとかんかい」
「あのよぉ。話が盛り上がってる所、非常に悪いんだけどよぉ。ちょっと待ってくれねぇか」
「えっ……なっ、なに?」
「俺よぉ。それ、絶対に無理だわ。……計算問題だけなら、そりゃあ90点以上だって取れるけどよぉ。他の教科なんざ、一桁取れれば良い所だ。そんな俺が50点なんて高得点取れる訳ねぇだろ。それによぉ、テストって明日なんだぜ。ならこんなもん、尚更、無理じゃね?」
「一桁って、オマエ……」
「大丈夫……だと思う」
なにがぁ?
「いや、オマエ。それ、なんの根拠が有って、そんな事を言ってんだ?天地がひっくり返ろうが、なにしようが、無理なもんは無理だろ」
「とっ、兎に角、頑張って……先生、次の授業が有るから行くね……」
このアマァ!!
無理だと悟ったのか、アッサリと匙を投げて、俺を見捨てやがった。
まぁしょがねぇか……現実的に見たら、誰がどうしようと無理だしな。
しかしまぁ、そうなると尚更、困ったもんだな。
先公には見捨てられるは、山中はナントカカントカ点数取れそうだわ。
このままじゃ、また俺だけが、バンドの足を引っ張ちまう羽目に成るじゃねぇか。
どうするよ、これ?
「マッ、マコ、取り敢えず、悩むんは後にせぇ。まずは教室に戻ってやな。勉強の出来そうなアリスに相談してみるのが先決やろ」
「そっ、そうだな。アイツ、かなり頭良さそうだもんな」
それで、どうにか成るものだとは思えないが。
一応、仄かな期待を抱きつつ、俺と、山中の馬鹿コンビは、素直の居る教室に戻る廊下をひた走った。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
さぁ、アホの倉津君にとっては、「追試で50点」っと言う最大級の問題が投下されましたね(笑)
しかも50点が取れなきゃ、警察がライブハウスに押し寄せてくる可能性がある、っと言うオマケ付きで。
さて、この試練。
アホコンビの倉津君と、山中君は、どうやって乗り越えるつもりなのか?
素直ちゃんの助けで、なんとかなるものなのか?
それは次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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