最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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149 不良さん ある意味、死刑宣告をされる

公開日時: 2021年7月5日(月) 00:21
更新日時: 2022年11月26日(土) 22:02
文字数:3,241

●前回までのあらすじ●


 ホームルーム終了後、島田先生に呼び出しを喰らった倉津君と山中君。


一体、何が起こるのか?

(バレバレですね(笑))

 毎度の如く、脳内で文句を言いもってチンタラチンタラと歩いていると、いつの間にか職員室に辿り着く。

そして面倒が嫌いな俺は『ガラッ』っと思い切り良く扉を開き。

わざと『ドカドカ』と大きな足音を立てながら、無言で島田の席まで行く。


他の先公の目なんざ、知ったこっちゃねぇ。



「オラ、島田、わざわざ来てやったぞ。んだよ、早く用件言えよ」

「あっ、あの……」

「おい、アホ。此処まで来て、今更、脅してどうすんねん?」

「なんも脅してねぇだろ。俺は、普通に用件を聞いてるだけだろうに」

「オマエなぁ、なんで奈緒ちゃん扱う時みたいに、千夜ちゃんにも優しい聞いたられへんねん?」

「奈緒ちゃん?」

「るせぇな。ツマンネェ処だけ反応してんじゃねぇよ。俺の事を詮索しようとする前に、さっさとテメェの用事を言えな、島田先生よぉ」

「……ごめん……なさい」


だ~か~ら泣くな。

呼び出した張本人がピィピィ泣いてたら、話が全然進まねぇじゃねぇか。

馬鹿かオマエは?


それに、ここ職員室だぞ。

少しは空気読めな、この駄々っ子雛鳥。


それとなぁ山中、こんなピィピィ泣くだけの馬鹿雛鳥を、奈緒さんと同じ扱いをしろだと?


冗談じゃねぇぞ。

そんなもん人間様と、畜生の馬鹿鳥を対等に扱えって言ってんのと同じじゃねぇか。


話にならねぇ、断じて断る!!



「もぉ良ぇ。オマエは、ちょっと黙ってぇ」

「あぁわかった、わかった。俺は、もぉなんも言わねぇから、オマエに任せた」

「賢明や」


だから、この場から早く帰らせろ。



「ほんで千夜ちゃん。俺等に、ホンマ、なんの用やねん?」

「あっ、うん、追……」

「うん?なんやて?よう聞こえへんかった?なんて?」

「山中君と、倉津君……明日追試」

「なっ、なんやて!!そんなアホな!!俺の横に居るアホ魔王は知らんが、俺、4教科しか落としてへんで。後は、大体、平均やった筈やのに」


誰がアホ魔王だ!!


確かに数学・現国・英語以外は全部赤点だったがな。

オマエにだけは、アホ呼ばわりされる覚えはねぇぞ。


第一、4教科も落としてたら、そんなに俺と大差がねぇ馬鹿じゃねぇかよ。


……少しは、その辺も自覚しろ。


それにな。

オマエ、さっきから、何そんなに必死になってんだよ?

追試だからって、100%受けなきゃいけねぇ訳じゃねぇだろ。


追試なんぞ、無視すりゃ良いんだよ。

中学校は義務教育だから、留年なんて無いんだからよ。



「あぁわかった、わかった。んじゃあ用件も聞いた事だし、俺は、もぉ帰るぞ」

「あの、倉津君、山中君……絶対に受けてね」

「気が向いたらな」

「いやいや、それ以前に、俺、なんも納得してないし……」

「それだとダメなの」

「なんでだよ?別に俺は進学する訳じゃねぇんだから。そんなもん、なんも関係ないだろ」

「違うの」

「いや、無視かい……」

「なにが違うんだよ?なにも違いやしねぇだろ」


山中は馬鹿の癖に、恐らく進学するつもりらしく、必死に喰らい付く。


だが、ヤッパリ、俺には関係ねぇ。

音楽でダメなら、本家のヤクザにでもなりゃあ済むだけの問題だからな。


こうやって立派過ぎる嫌な就職先が決まってる以上、俺には内申も、成績も気にする必要性なんぞ何もない。


俺は、そう言う事に関しては、人より自由なんだよ。


わかったか雛鳥?



「あの……警察が、未成年の深夜の出歩き防止の為に、強化パトロールをするらしいの」

「んで?」

「それでね、君達が出入りしてる所を重点的に廻るらしいの」

「なんだ?警察の奴等、またピンポイントな事するんだな。……つぅか、なんでまた、そんな事になってるんだよ?」

「各校の一番素行が悪い生徒を対象にしてるんだって……それで、倉津君と、山中君がウチの学校からピックアップされたんだって」


ご指名……まぁわからなくもねぇな。

この学校で、素行が一番悪いのは間違いなく俺だろうし、それに伴う家柄も超エリート。

なら、その対称になっても、なにもおかしくは無いな。


……けどよぉ、それと追試が、なんの関係があるんだ?



「っで?」

「うん、それでね。今、警察から『居場所リスト』の提出を求められてるんだけど……校長先生がね、出来れば、表沙汰にしたくないんだって」

「まぁ、俗に言う『大人の事情』って奴だな」

「うん。だから、君達にチャンスをあげるって話になったの。……それが今回の追試なのよ」

「はぁ……だからなんだよ?」

「オイオイ、マコ。それは、ちょっとシャレならん展開やで。そんな話が出てるんやったら、マジで、結構やばいぞ。下手したら、明日のライブにポリが押し寄せて来よんで」

「はぁ!!なんだと!!……うん?けどよぉ、なんで、ポリが来たらヤバイんだ?」

「アホ……捕まんの俺等だけやないんや。未成年言うたら、奈緒ちゃんも、アリスもそうやんけな。下手したら2人も捕まんで」

「なんだと!!いや、流石に、そりゃあマズイな」


話を聞いて、山中がドンドン蒼褪めているから何事かと思えば……そう言う事か。


だったら、余計な災いを持ち込む訳にはいかないな。

ライブハウスに迷惑掛けられないし。

こりゃあ、どうしても追試は受けなきゃイケねぇ運命にあるみたいだな。


まぁけど、あれだな。

受けるだけなら、なんとでもなるだろ。


追試を受けるだけだし。



「わかった、わかった。そう言う事情なら、絶対に受けてやるよ」

「ほんと」

「あぁ」

「良かったぁ~~……あっ、そうだ。1つ言い忘れてたんだけど。テストの点数って、最低50点以上取らなきゃダメなんだって。校長先生がそう言ってたよ」

「はぁ?」


オイオイオイオイ、また校長の奴も、無茶な要望をを考えて出してくれたもんだな。


50点て言えば、俺が、いつも取ってる点数の5倍じゃねぇかよ。

しかも、最低でも問題を半分以上正解しなきゃいけねぇ様な超難関。


んなもん、どう考えても無理に決まってんだろ。


俺にとっちゃあ、絶望的な高得点だぞ。

いや寧ろ、そんな点数取れるのは、天才の部類に属する人間か、神様ぐらいのもんだ。


大体にしてオマエ等なぁ、よく考えて物事を起せよ。


テスト受けんの俺だぞ俺。

オマエ等、頭が良いんだから、俺の知能レベルを考えて、もうちょっと点数を配慮すべきじゃないのか?


10点とかよぉ……頑張って20点とかで良くねぇか?



「さよか。まぁそれぐらいやったら、なんとかなるか」


嘘?


オマエって、そんな神の領域に踏み込んだ点数を取った事が有るのか?


俺、計算問題以外で、そんな点数を見た事ねぇぞ。



「それは良かったぁ。頑張ってね、山中君」

「まぁ大丈夫やろ。任しとかんかい」

「あのよぉ。話が盛り上がってる所、非常に悪いんだけどよぉ。ちょっと待ってくれねぇか」

「えっ……なっ、なに?」

「俺よぉ。それ、絶対に無理だわ。……計算問題だけなら、そりゃあ90点以上だって取れるけどよぉ。他の教科なんざ、一桁取れれば良い所だ。そんな俺が50点なんて高得点取れる訳ねぇだろ。それによぉ、テストって明日なんだぜ。ならこんなもん、尚更、無理じゃね?」

「一桁って、オマエ……」

「大丈夫……だと思う」


なにがぁ?



「いや、オマエ。それ、なんの根拠が有って、そんな事を言ってんだ?天地がひっくり返ろうが、なにしようが、無理なもんは無理だろ」

「とっ、兎に角、頑張って……先生、次の授業が有るから行くね……」


このアマァ!!

無理だと悟ったのか、アッサリと匙を投げて、俺を見捨てやがった。


まぁしょがねぇか……現実的に見たら、誰がどうしようと無理だしな。


しかしまぁ、そうなると尚更、困ったもんだな。

先公には見捨てられるは、山中はナントカカントカ点数取れそうだわ。

このままじゃ、また俺だけが、バンドの足を引っ張ちまう羽目に成るじゃねぇか。


どうするよ、これ?



「マッ、マコ、取り敢えず、悩むんは後にせぇ。まずは教室に戻ってやな。勉強の出来そうなアリスに相談してみるのが先決やろ」

「そっ、そうだな。アイツ、かなり頭良さそうだもんな」


それで、どうにか成るものだとは思えないが。

一応、仄かな期待を抱きつつ、俺と、山中の馬鹿コンビは、素直の居る教室に戻る廊下をひた走った。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


さぁ、アホの倉津君にとっては、「追試で50点」っと言う最大級の問題が投下されましたね(笑)

しかも50点が取れなきゃ、警察がライブハウスに押し寄せてくる可能性がある、っと言うオマケ付きで。


さて、この試練。

アホコンビの倉津君と、山中君は、どうやって乗り越えるつもりなのか?


素直ちゃんの助けで、なんとかなるものなのか?


それは次回の講釈。


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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