最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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第十二話 キスと仲間と結婚?

062 不良さん 自制して約束を守る

公開日時: 2021年4月8日(木) 21:49
更新日時: 2022年11月11日(金) 17:57
文字数:1,923

第十二話始まるよぉ~~~(*'ω'*)ノ

 012【キスと仲間と結婚】


 やっぱりダメだ……

俺には、奈緒さんとの約束を破るなんて卑怯な真似は、絶対に出来やしねぇ。


本来なら『男の性欲』なんて抑えられるものじゃないから。

此処は恥を忍んででも、一発トイレで抜いておかないと、今後、自分を抑える自信が無い。


じゃないと、今度こそ、間違いなくやらかしてしまいそうだしな。


だが、現実は違う。


そうじゃない。


トイレに向かう為に扉に手を掛けた瞬間、約束を破らた奈緒さんの悲しむ顔が目に浮かんだ。

彼女の気持ちを考えるなら、矢張り此処では『自らの手で爆弾を処理する』べきではないと、俺は、そう判断した。


正直、自分でも『そこまでする必要は無い』とは思うのだが。

気持ちがそっちに向いた瞬間から、気分が急速に落ち着いてきて、勃起も収まった。


だから俺はチ〇コを握らず、奈緒さんの命令通りベースを握り締め練習を開始する。


あぁそう言えば。

さっきは奈緒さんとのいざこざで話が有耶無耶になってしまったが。

あの時、奈緒さんの弾いた『Master Of Puppets』って、どれ位弾けるもんなんだろうか?


そう思った俺は、無駄だとは思いつつも一度それを試してみる事にした。


かなり難しそうな曲だが、試しに1度弾いて見るか……


古くなったMDを上着の裏ポケットから取り出してから、そのままRECを押し。

その後、カッチコッチとメトロノームを動かす。


後は奈緒さんの手の動きをトレースしながら、1フレーズづつ確認しながら、丁寧に弾いて行く。



-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-……


……こんな感じか?


メトロノームに合わせながら弾いていたので、テンポの恐ろしいズレは無いと思う。

……が、それだけでは、自分がキッチリ弾けたと言う確証にはならない。


なので、意味も無く恐る恐る、MDのPLAYボタンを押してみる。



-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-……


思っていた物よりは悪くは無い……とは思うんだが。

此処で自分で弾いたものを『自画自賛』するって言うのもなんだしな。


取り敢えずは、ある程度は行けそうな気もするから、この後も続けて次のフレーズを弾いてみるか。


まぁ、録音に関しては、崇秀の件もあって、あまり良い思い出が有る訳ではないんだが。

奈緒さんが帰って来たら、これを聞いて貰った上で『評価』して貰おう。



しかしまぁ、全然出来無いと思っていたベースも、少しぐらいは出来るもんだな。


それに俺の指も、意外と器用に動く様だし。

飽き性の俺が、3週間もの間ズッと『運指運動』を続けた甲斐があるってもんだ。


やっぱり、何事も基本だな。

そうすれば、自ずと結果はついてくる。


本当にベースと言う楽器に出会ってから、良い意味でも、悪い意味でも、色々学ばされたな。


ホント、ベースには感謝してる。


まぁ兎にも角にも、1人で、おかしな感傷に浸っていても仕方が無い。

一回、最後まで弾いて見て、後は『野と成れ山と成れだ』


再びRECを押し、最初のフレーズから弾き始めた。



-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-……


***


 一旦最後まで弾き終わったので、MDのストップボタンを押す。


だが、そこには爽快感も達成感もなにも無い。

ただ只管、疲労感が溜まっただけだ。


しかしまぁ、楽器をする奴等は凄いな。

ライブとかになったら、こんなもんを何曲も演奏するんだろ。


……大した精神力だ。


そんな風に疲れ果てた俺は、机の上にあった『烏龍茶』を不意に思い出し手に取り、その残りを一気に飲み干す。

喉を烏龍茶が一気に駆け抜けるが、あの独特の風味で爽快感は矢張り薄い。


残念だ。

おっさん達が夏場にビールを飲んで『プハ~~~ッ!!この為に生きてるなぁ』とか言う感覚が、少しは解ると思ったんだが……まぁこんなもんか。


『ガチャ』


そんなどうでも良い事を考えていると、スタジオの扉が開き。

奈緒さんが一時間以上掛かって、買い物から、漸くのご帰還だ。


そして、そんな彼女の手には、コンビニで買った大量の袋が持たれていた。


差し入れか?等と、それを見た俺は、単純に『機嫌が直っている』ものだと思い込み、喜び勇んで彼女の表情を見るが。

どうやら、その考えは非常に甘く。

彼女は無表情ではあるが、まだ機嫌は治っていないご様子だ。


そりゃあまぁ、まだ怒ってるよな。

女の子にあんな恥を掻かせたんだから、これは当然の態度と言えば当然の態度か。


それを証明するかの様に、奈緒さんは何も言わず、袋を机の上にドンッと置き。

そこから取り出した飲み物を開け、黙って席に着く。


最悪の状態だ。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


奈緒さんの意に反する事なく。

見事に性欲に打ち勝って、ベースの練習をしていた倉津君(笑)


さて、この後、そんな倉津君に、奈緒さんはどういった態度で接するのでしょうか?


それは次回の講釈で。

また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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