●前回のおさらい●
崇秀に対して愛想の良い看護師ホッシーさんを見て、なにやら不快な気分に成ってる倉津君。
どうやら今の彼にとっては、あまり好ましくない人物の様だ。
その中、検査の順番を聞きに行った崇秀は。
そこでまた受付嬢に捕まってる様なのだが、その姿を見て倉津君は……(笑)
「悪ぃな。早くから病院に来させて置いて何なんだが、検査内容が検査内容なだけに、まだちょっと準備に時間が掛かるみたいだな」
そんな事を言いながら。
捕まっていた受付嬢から離れて、こんな風にコチラに戻って来た崇秀なんだが。
アイツにとっては、こんな程度の事は日常茶飯事なのかして、何1つとして悪びれた様子はない
人が、変な女に捕まってねぇか心配してやってると言うのに……
この辺のふてぶてしさは、流石、浮世で流した『女誑し』の代名詞と言った所だろう。
まぁまぁ、そうは言っても、受付の女は、崇秀への憧れから話し掛けた程度の雰囲気だったので、これはまぁ良いとしてだ。
そんな女の事より、問題なのは、さっきの矢鱈馴れ馴れしい態度の看護師だ。
アイツは、どうにも良くねぇ。
まぁ、俺の知らない所で仲の良い友達なのかもしれないが。
いい大人が、中学生に対して、あんな性的な態度を取るのは、流石にどうかと思うんだよなぁ。
教育上、良くないと思うんだわ。
言うて、これは俺の個人的な意見でしかないんだが。
崇秀は、あぁ言う女に対して、どう言う認識を持ってるんだろうな?
もし仮に、あんなのが崇秀の好みだとか言われたら、ちょっと引くけど……アイツの為にも、その辺は、ちょっと確認して置いた方が良さそうだな。
「そうなんだ。……あぁ、それはそうとさぁ、崇秀」
「んあ?」
「さっきの看護師って、なにあれ?なんなのあの人?」
「看護師?……あぁ、なんだ、誰の話をしてるのかと思えば、ホッシーの事を言ってんのか?」
「そぉそぉ」
「ふ~~む。ホッシーの事なぁ。まぁ、オマエはホッシーとは初対面だから知らないのも当然なんだが。馬鹿津なら、ホッシーの事を、よく憶えてる筈なんだけどなぁ」
「うん?真琴ちゃんなら、あの人の事を憶えてる……?」
へっ?……俺も知り合い?
いやいやいやいや、ちょ、ちょっと待ってくれ。
そうは言われても、俺、あんな女の事なんて知らねぇぞ?
えっ?いや、ホント誰だよ?
あれ?マジで誰だっけ?
あんな淫乱系の女なんて見た事もねぇし、聞いた事もねぇ筈なんだけどなぁ。
全然記憶にねぇぞ?
つぅか、例え記憶があったとしても。
あぁ言う『品性の薄い女』の事なんぞ、なに1つ思い出したくもねぇけどな。
「どうやら、その様子だと、馬鹿津からもホッシーの話は聞いてねぇみたいだな」
「うっ、うん」
「そっか。いやまぁ、ホッシーはな。広田って奴が、此処の病院に入院した時、アイツの担当してた看護婦なんだけどな。あの時、確か、広田の見舞いに来た倉津が、ホッシーを一目見た瞬間『うわ~~~ッ!!なんだよ、あれ?メッチャ良い女だな!!広田、あの人に看護して貰えるなんて、オマエ、超ラッキーじゃん!!』っとか言ってた人なんだけどな」
・・・・・・
あっ、あぁ……確かに。
確かに、そう言われてみれば、そんな事を言った様な記憶が、遥か彼方にある様な気がしないでもないな。
いや、俺、確実に言ったわ。
にしても、オイオイ、昔の俺ちゃんよぉ。
あんな『下心モロ丸出しの下品な女なんぞに興奮』して、そんな事を恥ずかしげもなく言ってやがったのかよ?
もしそれが事実なら……いや、事実だからこそ、昔の俺に一言言うのであれば『見る眼ねぇ~~~!!』って言いたくなるな。
あんなの、女視点で見たら、ただの『スキモノのウザイそうな女』にしか見えねぇって言うのによぉ。
そんなんの、どこに魅力を感じてたって言うんだ、昔の俺ちゃんよぉ?
ひょっとして、頭が沸騰して、本当に馬鹿になってたんじゃねぇのか、この童貞野郎だけは?
それとも、Hさえ出来りゃあ、オマエは、なんでも良い淫獣(山中)の類かよ!!
ホント、昔の俺って、情けねぇ程見る目がない童貞野郎だったんだな。
そんな自分が情けなくて、涙出てくらぁ。
「そっ、そっ……そうなんだ。でも、こう言っちゃあなんだけどさぁ。『あぁ言う女性ですら良い』って思うなんて、真琴ちゃんって、あんまりセンスよくないよね」
「まぁまぁ、そう言ってやるなよ。それにホッシーは、あんな感じのネェちゃんなんだが。それでいて、そんなに悪い奴でもねぇんだぞ」
えぇ……昔の俺だけに留まらず、崇秀も、あんな女が良いのかよぉ。
辞めとけって。
あぁ言う女だけは、ほんと良くねぇって。
そりゃまぁ愛想は良いかもしれねぇけど、絶対に八方美人なだけだってばよ。
「そう……なの?じゃあ崇秀も『あの人の事を良い』って思ってるの?」
「うんにゃ。それに関しては微塵も思ってねぇよ」
「そうなんだ」
「まぁそうだな。ホッシーは、俺の恋愛対象になる様なタイプじゃねぇな」
だよな、だよな。
天下の女誑しが、あんな程度の女に魅力を感じる訳ねぇよな。
まぁ、なんて言うか、これはまぁ、俺の取り越し苦労って所だったな。
「……つぅか、ホッシー以前の問題として、今の俺が興味のある女は『MITの女』だけだからな。他の女にゃあ、微塵も興味が湧かねぇよ」
「えっ?あっ、あぁ、そう……なんだ。そっ、そう言う事ね」
ふ~~~む、なんだろうな。
今は女の身だから、崇秀に対して、こんな事を思ってしまうのかも知らないけどな。
『他の女には微塵も興味がない』って言葉は、結構、女の身としてはキツイ言葉だよな。
俺も男の頃『奈緒さん意外に興味は無い』って散々言ってたんだけど。
あれって……聞き様によっちゃあ、結構、女の子を傷付ける言葉だったんだな。
なんか自身が体験して初めて解る……罪悪感。
凄くヤナ感じの心境だ。
「あぁ、それはそうとよ、眞子」
「うっ、うん?なっ、なっ、なっ、なに?」
「なにを動揺してるのかは知らねぇけど。眞子から見て、そんなホッシーは、どんな感じに写ってた?」
あっ、ヤバイ。
崇秀が、こう言う事を言い出したって事は、薄々俺になにか感じての発言だと言う可能性が高いな。
なら此処は、崇秀に変に思われるのも嫌なので、無難に建前で話して置くのが良さそうだ。
「どんな風に写ってたって言われても、普通に、なんとも思ってないよ」
「そっか。それなら良いんだが。本当に、なんか思う所はなかったか?」
なんか、そう言われたら、正直に言っても大丈夫そうな雰囲気ではあるよな。
それに、この言い様だったら、なにかのデータを取りたくて、こんな質問をしてきてる様にも思える。
だったら……
「あぁ、うん。まぁ、正直言えば、少し思う所がない訳じゃないんだけど。それって……正直に言って良い話なの?」
「あぁ、全然問題ねぇよ。寧ろ、包み隠さず、正直に言ってみな」
「そっか。じゃあ、ハッキリ言わせて貰うけど、ウザイ。……一番関わりたくもない嫌いなタイプの女性」
「ほぉ、そっか。そりゃあまた面白い事を言うな。……じゃあ、何故そう思った?」
「う~~~ん、なんて言うかさぁ。あの人って、女の体を完全に武器にしてるみたいな感じが嫌いなのよ。……って言うか、いい歳扱いて、なんか盛りの付いた雌猫みたいでミットモナイ、って思っちゃった感じ」
「なるほど、なるほど。今の眞子だとそう感じるか。そりゃあまた、おもしろくも良い判断をしたもんだ」
「えっ?なっ、なんで?」
「いや、確かに、ホッシー自身は良い奴ではあるんだけどな。あぁ言うタイプだから、男受けは良い分、女には誤解を受け易い性格なんだよ。……だから直感的に、それを感じとれたって言うなら、女としては良い感性だと思うぞ、って話だ」
あぁ、なにかと思えば、そう言う話かぁ。
今現在の状態じゃ、女性として生きていかなきゃいけないから、この女性的な感覚は悪くないって事か。
けど、幾ら女性の感覚で物を捕らえていようとも、相手の本質を見てないのに『良い感性』って言われるのは、少々不本意な感じはしちまうな。
ってか、こんなんじゃ、なんか全然褒められてる様な気にならねぇしな。
「そうなんだ。あぁでもさぁ。それって、人の本質を見てないから、基本的な部分でダメダメな様な気がするんだけど」
「ほぉほぉ、なるほどな。現時点でも、オマエはそうは思える訳な」
「うん」
「なら、それは尚更、良い解答だな。それに着眼点も悪くない。……ふ~~ん。なるほどなぁ。にしても、現時点でも、そう考えれるか」
なに?
なんで、そんなに俺の顔をジィ~~~っと見てるんだよ?
ひょっとして、崇秀が、そんな態度を取るって事は、なんかおかしな物でも、俺の顔に付いてるとでも言いたいのかな?
もしそうなら、遠慮せずに、ちゃんと教えてくれな。
そういうのってミットモナイから……
「なっ……なに?なによ?なに、人の顔をそんなにジッと見てんのよ?」
「いや、別に他意はねぇんだけどよ。オマエさぁ……」
「うん?」
「自分じゃあ気付いてないかも知れないけどな。これからも、その思考を持てるなら、オマエって『世界で一番良い女に成れる』可能性があるよな、って思っただけだ」
「へっ?世界一の良い女?えっ?えっ?……なっ、なにそれ?どっ、どっ、どういう事?」
何を言い出すのかと思ったら。
とっ、とっ、とっ、突然……なんの話ッスかね、それは?
それになんッスかね?
その、俺なんかが『世界で一番良い女に成れる可能性がある』って言う、誰も思い付かない様な大それた発想は?
訳わかんねぇッスよ。
崇秀の思いも寄らない発言に、俺は動揺しながら、そんな事を思っていたら……
「倉津さ~~~ん。倉津眞子さ~~~ん。準備が整いましたので、一番病棟に入って下さ~い」
「おっと。どうやら、漸く、呼び出しが掛かったみたいだな」
「えぅ?えぇ……」
「だから、この話は此処までみたいだな。お呼びだぞ眞子」
いやいやいやいや、ちょ、ちょっと待ってくれ!!
呼び出しされた事は、俺の耳にもちゃんと入って来てるから聞こえてはいるんだけどもだ。
オマエさんは、話が、こんな中途半端な状態のまま、俺に検査を受けて来いって言うのかよ!!
そりゃあ、あんまりなんじゃね?
つぅか、なんで、こんな大事な話を聞いてる時に限って、受付の人も呼び出しするかなぁ?
ちょっとは空気を読んでくれても良いんじゃねぇの??
うわ~~~ん!!
こんな状態のままじゃあ、話の方が気になって、どうしても検査を受ける気になんかなれねぇよぉ~~~!!
嫌だぁ!!話を聞かせろぉ~~~!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
女性視点に飲み込まれつつも、男性視点も必死にキープしてる倉津君に対して。
崇秀が、またなにやら『面白い提案』をして来たみたいですね(笑)
まぁ、この理屈については『ちょっと考えれば』解る様な話なので。
この件については、後々、機会を見計らって話してこうと思いますです。
……って事で次回では。
この謎の全容が明らかになる事はないのですが。
それとは、また別の話題で盛り上げて行こうと思いますので。
良かったら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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