●前回のおさらい●
これ以上の交渉は『今現在じゃ無理だ』と判断した倉津君は、山中君との交渉を一旦打ち切ったのだが。
奈緒さんが『倉津君サイドには移籍しない』っと言う話を聞かされ、山中君が『どういうこっちゃ?』って状態に(笑)
「なんで?なんで意味が解らないのよ?」
「なんでって?奈緒ちゃんは、マコに一番協力したいんちゃうんかいな?」
「そうだよ。だから、敢えてGUILDに残るんじゃない」
「うん?敢えて残るやと……まさか!!」
「そぉ、移籍した眞子から、仲居間さんに情報が漏れるんだったら、私が仲居間さんサイドに残って、情報を、クラや、一葉に流すのは当然なんじゃないの?これが、私の役目なんだから」
えぇ~~~~~っ!!
奈緒さんの中では、あの話は、そんな話に成ってるんッスか!!
「はぁ?その為に、マコと敵対するって言うんか?」
「当然でしょ。私は、クラの為になる事だけしか考えないの」
「いやいやいやいや、どこがやねんな?そりゃまぁあ、情報は有用やろうけどもやな。そんなまどろっこしい事するんやったら、直接協力したったらえぇやんけな」
「それはダメ。有り得ない」
「なんでやな?その方が、十分にマコサイドの戦力になるやんけな」
「違うよカズ。……情報以前の問題として、クラには【奈緒グリ】を超える位の実力を持って貰わないと困るの。だから、直接的なバックアップは出来無い。そこに関しては、クラとは言えども容赦なく襲い掛からなきゃ、この子の実力が付かないからね。これが私の意思。敢えて、GUILDに残る理由なんだから」
はぁ~~~……そこも、そう言う風に昇華しますかぁ。
自分がコチラ側に移籍出来無いなら。
どうやったら、その場で、俺に協力出来るかを考えてくれた結果がこれか。
そんで思い付いた名目が『スパイ行為』と『実力を付けさせる事』
……なんて人だ。
「はぁ~~~っ、相変わらず、滅茶苦茶やな奈緒ちゃんは」
「そうかなぁ?私は、自分のしたい事をしてるだけだよ。私の最終目的が『クラに仲居間さん討伐を果たさせて、クラのバンドに迎えて貰う事』なんだから、なにも間違って無くない?」
「まっ、まぁそうやな。一応、理には適っとるわな」
「でしょ。……それにね。言うなれば、これが私也のGUILDへの恩返しでも有る訳だからね」
「恩返し?なんでマコのバックアップをしてるのに、GUILDへの恩返しに成るねんな?」
あぁ!!多分これは、昨日、眞子の言ってた話と同じ話だ。
「なんで?って……十分なるじゃない。自分で考えて、自分で行動をする。これが仲居間さんが一番望んでる事……『自立』」
「あっ……」
「だから私は、自分でしたい事を、自分で考えて、自分で判断し行動する。それが例え、仲居間さんに不利益を被る事でも、これは私が選んだ道なんだから、十分に『恩返し』になると思うよ」
ヤッパリ、そこかぁ。
この話のメインは『自立』の話に成って来たかぁ。
……にしても。
マジで昨晩話した内容から、良く此処まで見事に昇華出来たもんだな。
奈緒さん凄過ぎるッスよ。
「あぁ、そうかぁ」
「まぁ、これは私の個人的な意見だけどね。……カズはどぉなの?何がしたいの?」
「俺は……」
「本当は『仲居間さん討伐』がしたい気持ちで、一杯なんじゃないの?」
「それは、そうやけど……」
「うん。そうやって『義理を立てする』のは、確かに凄く良い事だけど。義理を名目に言い訳してたんじゃ、それは義理立てとは言わないよ。本当に自分のやりたい事と、相手の望む事を融合して、初めて『義理立て』が成立すると思うんだけど。仲居間さんは、そう言う義理の立て方を望んでるんじゃないかな?」
うぅ……そこまで深く考えてるんッスね。
まいったなぁ。
此処まで相手の心理を考えて行動されたんじゃ、引き抜きを安易に考えてた自分が情けなくなるだけだな。
「それって、奈緒ちゃん……」
「うぅん。そこは勘違いしちゃダメだよ。私はカズに『クラのサイトに移籍しろ』だなんて口が裂けても言わないよ。『義理立ての方向を間違えちゃダメだよ』って言ってるだけなんだから。カズの筋が通ってるなら、それで良いと思うしね」
これが交渉だよな。
ナンデモカンデモ即座に決めようとする俺がやってた交渉の真似事なんて、所詮は子供だまし。
交渉でも、なんでもなかったんだな。
「……なんてね。ごめん」
「へっ?」
「ふふっ……だって本心じゃ、クラのサイトに移籍して欲しいから、こんな事を言ってるだけだもん。だから実際は、クラに1人でも多く味方を付けてあげたいだけなんだよね。ごめんね。どうやら口が裂けちゃったみたい」
「はぁ……もぉ、ほんまかなんなぁ、この姉ちゃんだけは……何所までマコに献身的やねんな」
奈緒さん……
「……っで、どぉ?」
「アカン。なんや頭がこんがらがって、考えが上手く纏まらん感じやわ」
「そうなんだ。じゃあね、その中で、今一番自分のしたい事って何?それが、君の持ってる答えだと思うよ」
「奈緒ちゃん。……それ、明らかに誘導尋問やんけな」
「バレたか」
上手いなぁ。
矢張り交渉って言うのは、本来、こうやってジックリ時間を掛け。
出来るだけ相手が納得出来る様に外堀から埋めて行くもんなんだな。
はぁ……もぉ溜息しか出ねぇよ。
「まぁ、冗談はさて置きや。折角、奈緒ちゃんが、此処まで言うてくれてんやったら、前向きには検討するわ。バンドのメンバーにも相談せなアカンしな」
「だね。じゃあ、後の事はヨロシクぅ」
「最悪や、この姉ちゃん。半分以上決まった思て、丸投げしてきよった」
「うん。正解。ビンゴ」
「ビンゴちゃうわ!!」
……っとまぁ、そんなオチが付いたんだが。
結局、俺は、自分が依頼された『【無名】の引き抜き』を、奈緒さんに口添えして貰うって言う、なんとも情けない形に成っちまったな。
もぉホント情けねぇったりゃ、ありゃしねぇな。
(´Д`)ハァ…もぅ誰か、俺の頭の中を『リフォームする計画』を立ててくれねぇもんかな?
(↑リフォームの対象は俺だったって話だな)
ショボボボ……
***
次回予告。
さて、気落ちしてるとは言え。
いつまでも、リフォーム中の家に居ても仕方がない。
軽く暖房が入ってるとは言え、此処は寒くて敵わねぇし、総帥の実力を知るには、この場じゃ、機材も何も無いからなぁ。
それに、もう一点気に成ってることがなくもない。
今日は、奴が、まだ現れていない。
だから、まだ一悶着ありそうな予感がする。
そんな訳で次回。
『Busy day③After Invitation』
「忙しい日③勧誘の結果」
総帥の実力は如何に?
そして……此処数回、顔を出していない、あの傍迷惑な男は姿を現わすのだろうか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
これにて第一章・第九十一話【Busy day②reform plan(リフォーム計画)】はお仕舞になるのですが、如何でしたでしょうか?
まぁ、この第九十一話は、総帥や浮田君の登場により、少々バタバタした展開には成ってしまったのですが。
当初の目標であった『橘家のリフォーム』も、その総帥や浮田君。
それに最初から手伝ってくれてる山中君の協力なんかもあって終わりましたし。
そのリフォームしていた家から発見された謎のギターの正体も解けた。
そして更に、そのギターが切欠となって、総帥や沙那ちゃんがサイトに登録してくれる事に成ったので、最終的には、中々良い結果になったとは思いますです♪
……っで、最後に成りましたが、山中君との交渉。
一旦、此処が引き際だと感じたのかして、山中君との交渉を止めた倉津君の為に、自分の立場を利用して奈緒さんが代理交渉を買って出てくれると言う展開に成って『これが交渉なんだな……』とか倉津君は凹んでいましたが、決して倉津君の交渉の仕方が間違ってる訳でもなかったりします。
ブッチャケタ話。
交渉と言っても、総帥みたいにノリで交渉締結を決める人もいますし。
今の沙那ちゃんに色々小難しい事を言っても混乱するだけで、内容が伝わらない事なんかもありますからね。
要するに、交渉と言う物には優劣なんてものはなく。
相手の性格に合わせて臨機応変に対応するものだと言うお話でしたぁ(笑)
さてさて、そんな風にリフォームも交渉も終わった中。
後、残された事と言えば『総帥の実力を測る事』になるのですが。
次回から始まる第一章・第九十二話【Busy day③After Invitation(忙しい日③勧誘の結果)】では、その辺を描いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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