最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

859 少しづつでも顔を上げて……

公開日時: 2023年6月14日(水) 17:06
更新日時: 2023年6月16日(金) 12:14
文字数:2,105

●前回のおさらい●


 自身の死すらも厭わずに、奈緒さんの信念を捻じ曲げ。

倉津君のクローン化計画さえも認めさせ。

その今にも死にそう体を、SP達によって眞子の病室を後にした崇秀。


その壮絶さ故に、眞子と奈緒さんは未だに俯いたまま……

 あれから……病室内では、沈黙のまま1時間程の時間が過ぎ。

なんとも言い難い様な悲しい気持ちで、未だに胸の中はいっぱいのままだった。


どれだけ悲しんでも、悲しみ足らず、ズッと俯いたまま悲しみに耽り続けていた。


けど……流石に1時間も止めどなく泣き続けていただけに。

今となってはもぉ涙すらも枯れ果てて、目からは涙の一雫すら出て来る様子は無い。


それが自身が確認出来たのは、今だ、私の事を心配してか、病室に残って椅子に座って俯いている奈緒ネェ。

そんな奈緒ネェも、私と同じ心境になっていたらしく。


私がフッと顔を上げた瞬間……彼女も全ての涙が枯れ果てている様子だったからだ。


だが、そんな風に俯いたまま座っている奈緒ネェの姿は、普段では絶対に見られ無い様な取り乱した後の姿。


顔も、髪も……グチャグチャになっている。


奈緒ネェが、この惨状だったら、恐らく私は、もっと酷い惨状になっているだろう。


なんと言っても私は、あのSPに連れられて病室を崇秀が出て行った後。

この理不尽過ぎる出来事に、なにもかもが納得出来ず。

なにもかもが諦めきれずに、自身の動かない筈の体を必至に動かし、崇秀を追い駆け様としてベットからは転げ落ちるてしまったし。

そのまま這い蹲ってでも追い駆け様とした結果、心身共に、なにもかもがボロボロになっているんだから……


きっと、今の私の姿は、他人には絶呈に見せられない様な姿をしている筈だ。


現に今も尚、何もかもを失って、枯れ果てた様な心境が継続されている訳だし。


まだ、さっきの余りにも大きな衝撃に……前を向けないでいた。



……でも、いつまでも、そんな逃げ口上ばっかりも言ってられないのも事実。


逆に言えば、あれだけの凄まじいものを見せられて、私だけが、いつまでもこんな風に日拠ってばかりも居られない。


どれだけそれが難しい事であっても、受け入れるべき事は早急に受け入れ。

崇秀が戻って来た時、なにも無かった様に彼を出迎えてあげられる位の準備をしなくちゃならないからね。


私は……この出来事を切欠に、人間的にも、もっと強くならなければいけない事を確信させられた。


だったら!!

こんな人前に出られ無い様な『情け無い姿』で居続けてたんじゃ、アイツが帰って来た時……申し訳が立たないからね。



『だから私は、前だけを向く事だけを始めた』




「あっ……んんっ!!……んん~~~ん!!くそぉ~~、取れないなぁ!!もぉ、なんでよぉ!!」


来るべき崇秀の出迎える準備で、まずは何を差し置いても最初に始めなきゃ成らないのは『身嗜み』

これを外したんじゃ、なにもかも意味が無い。


だって私は……アイツと、こう約束をしたんだ。

『眞子は、本当の眞子だけの顔を見せてくれな。綺麗な顔での再開を楽しみにしてるぞ』って、今の崇秀と最後の約束したんだ。


なら、こんな無様な姿の私が、崇秀が期待している私の姿である筈がない。


私『向井眞子』と言う存在は、例え、どんな時であれ、身嗜みをキッチリ整え。

私を見る全ての者から愛される様な『可愛い女の姿』で居なきゃならない。


私は、本気で向井眞子であり続けると誓った以上、もぉ……妥協はしない。


あぁ……そうは言っても。

今、必至になってやろうとしてた事って、ベットの横にある台の上に乗ってる『ブラシを取ろうとしてる』だけの話なんだけどね。


それを、ちょっと大げさに言ってみただけの事。


実際、そんな大層な事などは何も出来ていない。


……って言うかね。

もぉ今更グジグジ言っても、なにも現状が変わる訳じゃあないんだから。

兎に角、少しでも早く、この悲しいと言う感情を吹っ切って、崇秀を迎える準備だけは始めないとね。


あぁ……因みにですが、今言った通り、まださっきの事は全然割り切れて無い。

本心だけを言えば、もっと馬鹿みたいにワンワン泣き続けて居た心境ではあるんですがね。


実際は、そうも言ってられない。


だからこれは、俗に言う『私自身の精一杯のやせ我慢』って奴ですね。



「うん?……どうかしたの眞子?なに…やってるの?」


そんな私の声に反応して、奈緒ネェが、完全に下を向いて俯いていた顔を上げてくれた。


いつも通り、どんな状態にあっても、彼女の反応が早い。


……あぁでも、そうやって早い反応には感心させられても、やっぱり奈緒ネェも、相当、酷い事になってるなぁ。


って言いますのもね。

さっきまでは、お互い俯いた状態だったので、奈緒ネェのヘアスタイルの状態以外は『ある程度の予想でしかなかった』なんだけど。

今、奈緒ネェが顔を上げてくれた事によって、本当の意味での状態の確認が出来た。


涙で目が完全に腫れ上がってるし、完全にメイクすらも崩れ切ってしまっている。


って言うか、こんな酷い状態の奈緒ネェは初めて見た。

彼女にとっても、先程の出来事が、それ程までに衝撃的だったのが見受けられる。


……でも。

奈緒ネェも崇秀と約束したんだから、早く、いつもの綺麗な奈緒ネェに戻って貰わなきゃね。


今の奈緒ネェの姿を見たら。

崇秀はおろか、真琴ちゃんにまで罵詈雑言の嵐を浴びせられて、かなり嫌な想いをしてしまいそうですよ。


だから……もぉ、いつまでも沈んでないで始めましょう。


崇秀や、真琴ちゃんを迎える準備を……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


此処に来て早くも、眞子の心理に動きがありましたね。

実際は、もっと悲しみに耽っていたい所なのでしょうが、その感情を抑え込み。

まずは、あの時に交わした崇秀との約束を果たそうとしている訳ですから、これは素晴らしい成長だと思います。


現実的な話だけで言えば、あれだけの衝撃的な場面に直面したら、そう簡単には立ち直れないものですしね。


まぁ、これを冷たいと思うか、成長してると思うかは、その人の捉え方によるとは思いますけどね(笑)


さてさて、そんな中。

そうやって微弱ながらも動き出そうとしている眞子。

それに対して奈緒さんは、一体、どんな態度で答えるのでしょうか?


次回は、その辺の奈緒さんの心境の変化を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート