●前回のおさらい●
ホランドさんのギターを見てボロカス言った後。
ご店主さんに、眞子のベースも見て貰う事に成ったのだが、何故かコチラは高評価。
しかも、なにやら『この店との縁もある』っと言う話になったのだが……どう言う事なのか?
「えっ?どういう事ですか?」
「いやぁ実はね、この『79 Sting -ray』。シリアルナンバーから見ても、10年程前に、とある日本人の金持ちが、余りにもしつこくウチの商品を買おうとしたから、適当に売ったウチの店の商品みたいなんだよ」
「えっ?じゃあ、この子は……元々此処のお店の出身なんですか?」
「いやまぁ。ウチで売ったと言ってもねぇ。事実は、中古で入荷したものを『カスタムもせず』に、そのまま流しただけなんだがね。……まぁ、それにしても。このベースは良い具合に使い込まれてるな。お世辞抜きに、良い主人に巡り会ったものだ。……どこかの初心者のオンボロなだけのギターとは大違いだ。貫禄があって、良い仕上がりに成ってる」
「うぐっ」
あの~~~、それについてはですね。
ベースをこの1本しか持ってないから『使い方が荒いだけ』と言う噂が……
それにですね。
私が、この子を手にした時は、既に『弾き込まれてた』って噂も……
そんな黒い噂が大量に流れてますが……そんなんでも大丈夫ですかね?
まぁ……それはそれとしてもさぁ。
ホランドさんって、最近、全然ついてないよね。
私とのライブツアーでは……パンツ被らされて『変態仮面』にはなるわ。
今日にしたって私に付き合わさせられて……期待して持って来た『秘蔵の1本』がボロカス言われるわ。
なんかひょっとして私って、ホランドさんにとっての『疫病神』なのかも知れないね。
もしそうなら……ごめんなさい。
「あぁ、いえ、そうじゃないですよ。この子は、元の元のオーナーの方が、かなり弾き込まれてたって話ですから。なにも、私自身が弾き込んだ訳じゃないんですよ。その証拠に、私が、この子を手にしてから、まだ3ヶ月程しか経ってないんで……」
「『元の元のオーナー』?……なるほど。以前コイツを所持していたオーナーが、誰かさんのギターと一緒でロクな演奏をして貰えなかったから、ベース自身が才能の有る人間に鞍替えしたって事か。……うむ、得心がいく話だ」
「うぐっ」
チクチク行くなぁ。
折角の休みなのに、精神的なストレスが凄い勢いで溜まってそうだ。
ホランドさん……私が『疫病神』で、ごめんなさい。
……でも、謝罪が済んだから話を戻そう。
「いえいえ、そんなそんな。本当に、この子を手に入れたのは、偶々なんですよ」
「『偶々』って、どういう事だい?」
「はぁ……実を言いますと。去年の年の瀬に、こう言う経緯で、この子と縁があったんですよ……」
年末のコスプレライブの話をした。
でもね。
もぉあの時みたいに、恥ずかしくはないんだよね。
……って言うか、アメリカで散々あの格好をしたので……もぉ今更ねぇ。
まぁどちらかと言えば、今となっては思えば、偶然貰った物だけど、アメリカでは良い武器になったの思うし、なんとも初々しい良い思い出ですよ。
ははっ……
……あぁでも、此処で、この話が出るって事は『初心を忘れるべからず』って事なのかもね。
気を付けよ。
***
「……っと言う訳でして。この子との出逢いは、本当に偶然の産物なんですよね」
「偶然かぁ。……まぁ確かに偶然ではあるなぁ。……だが、鞍馬ちゃん。自分でコイツを手にした時『絶対欲しい』っと言う衝動に駆られたと言う事でもあるんだろ」
「あぁ、まぁ。とある諸事情がありまして、前に使ってたメインのベースが使えなくなって居たんで、確かに絶対欲しいとは思いましたけど。……でも、それってですね。情けない事なんですが『チョイ・ビンテージ』だからって言うのと『こう言う渇いた音の出るベースが欲しかったから』って言う、なんともチープな話でも有るんですよ」
「うん。よく正直に言った。オイラは、鞍馬ちゃんみたいな、無駄に見栄を張らない正直者が好きだ。……誰かさんと違ってな」
「うぐっ」
「いや……そうじゃないんですよ。ただ本当の話をしただけですけど」
「まぁ、それにしてでもだ。オイラは、鞍馬ちゃんが益々気に入った。……まぁそう言う訳なんで、じゃあコイツは、オイラが責任を持って、キッチリ『鞍馬ちゃん専用のカスタム』に仕上げてあげるよ。唯一市販のままで売っちまったのが、コイツだったんでね。……これで10年間、ズッと心残りになってた事が解決するってもんだよ」
いや、あの……
「あの~~~、それ以前の問題としてですね。私、メンテして貰う位のお金しか持ち合わせてないですよ。だから、色々して貰う訳には……」
私は、真琴ちゃんの様にリッチじゃないんですよ。
銀行に預金が沢山有っても、とある事情で1円も預金が引き出せですないから……ただの貧乏なんですよ。
それなのに『専用カスタム』とか、無茶な事を言わないで下さいよ。
「大丈夫、大丈夫。その点については、心配はご無用だ」
「どうしてですか?」
「いや、10年前に売った時にな。カスタムもしてない市販品のままなのに『日本円で30万程』で買って貰ったんだよ。だから、その時点で『カスタム』のお金は先払いで貰ってるんだよな」
「えっ?でも、それって、私、関係なくないですか?」
「なになに。所詮は、金持ちの道楽で買われて。ロクに弾かれないまま、巡り巡って鞍馬ちゃんの所に辿り着いた商品だ。それを偶然にも、ウチの持ち込まれたんだから。鞍馬ちゃんに権利がなくても、このベースには、その権利が有るってもんじゃないか?」
「なんと言う詭弁ですか……それ?」
「ロマンチィストと言ってくれ」
いや……でも、流石にそんな理由じゃあ心苦しい。
まぁ、本来の話だけで言えばだね。
私にとっては、本当に有益で有り難い話だけの話なので、断る理由なんて何所にもないんだけど。
此処で最初に喜んで買った人って、市販品を掴んだってだけで、物凄く哀れで丸々損してるだけじゃないですか?
しかも私、これ『無料』で貰ったんですけど……
「いや、でも、流石に……」
「まぁまぁ、メンテナンス料は、ちゃんと貰うんだから……序にチョチョイっと『専用カスタム』を付けるだけの事だからさ。深くは、気にしない、気にしない」
「う~~~ん……あぁ、でも、やっぱりダメですよ。良くないですよ。そう言うの」
「じゃあ、40万程掛かるけど。全額払ってみるかい?」
ブッ!!何を言い出すかと思えば。
だから、そんなカスタムして貰う様な高額なお金は持ち合わせて無いんだって!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
奇縁と言いましょうか、なんと言いましょうか。
眞子が片倉さんに譲って貰ったベースには、そんな逸話があったみたいですね(笑)
まぁ、実は、設定段階から考えていた、此処に繋がる伏線だったんですけどね♪
それ、絶対に誰も解らないと思うんだけど……(*'▽') ('ω';*)たっ、確かに
まぁまぁ、兎に角、そんな風に誰も気付かない所にも伏線を張ってるって事ですじゃ('ω';*)💦💦
さてさて、そんな感じの中。
自腹でカスタムするなら40万掛かると言い出したご店主さんなのですが。
勿論、彼自身は、そんな物を貰うつもりは毛頭ないのですが、意外と頑固な眞子を、どうやって説得するのか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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