●前回のおさらい●

　崇秀が、いつも奈緒さんの成長を褒めるので、なんかあるのかなぁ？って感じて、その辺を聞いてみる事に。

「オマエさぁ。実は、奈緒さんの事が好きなんじゃねぇの？」

「あぁ、好きだぞ。それがどうした？」

「へっ？」

いっ、いや……あまりにも高評価だったもんだから、からかうつもりで言ったんだが……マジかよ？

「なにが『へっ？』だよ？んなもん当たり前だろ。俺は、今直ぐにでも彼女とＨして、自分の子供を産んで欲しいと思ってる位だぞ」

「なっ！！」

「これってなんか、おかしいか？」

「なに言ってんだよ!!そりゃあ、明らかにおかしいだろ!!」

「なんでだ？なにがおかしい？俺は以前に、自分の子供を産んで欲しい奴としかＨはしないと公言してる筈だぞ。だったら彼女の何所に、それに当て嵌まらねぇ要素があるんだよ？」

「アホかオマエは!!人の彼女を寝取ってまで、自分のものにしたいのか？んな事ぁ～最低の人間のする事だぞ!!」

「最低ねぇ……まぁ、そんなもんも関係ねぇな。俺から言わせりゃ、高々付き合ってるだけで、向井さんを自分のものにしたつもりになってるオマエの方がどうかしてるってもんだぞ。俺はなぁ、オマエの、そう言う甘い考えが嫌いなんだ。……オマエさぁ、そんなんで、本気で向井さんを幸せにしてやる自信が有るのか？それにオマエは、彼女に見合った人間か？さぁ答えてみろ。俺は、なんの躊躇も無く断言出来るぞ」

……確かにな。

そりゃあオマエは、自他共に認めるスゲェ奴だよ。

だがな、奈緒さんとの恋愛関係に、チャチャ入れるのだけは、絶対に認めねぇぞ!!

幸せに出来るかとか、出来ないとか、見合った人間かとか、そんなもんはわかんねぇけど。

俺は、自分が出来る限りの事をして、奈緒さんを幸せにする努力は惜しまないつもりだ。

だから、オマエには関係ない!!

「ふざけんな!!テメェにゃあ関係ねぇだろ!!奈緒さんとの関係を、下手な事して邪魔しようとしてんじゃねぇぞ!!」

「あっそ。はい、じゃあＯＫだ。……オマエの心理は全て読めた。冗談だ冗談。悪かった」

今更、なにが冗談だ!!

ふざけた事を、ノウノウと抜かしてんじゃねぇぞ!!

「なにが冗談だよ!!この話だけは冗談じゃ済まされねぇぞ!!」

「怒んなよな。俺は、最初から、向井さんに手を出す気なんぞ毛頭ねぇんだからよ」

「はぁ!!どう言うこったよ？散々人を煽っておいて、そんな話じゃ納得出来ねぇからな!!」

「じゃあ、納得すんな。それと俺の言った言葉を噛み締めとけ」

「なんの話だよ!!テメェの話なんざ思い出したくもねぇよ!!」

「あっそ。じゃあ、わからねぇみたいだから忠告してやる。……オマエ、今のが俺じゃなくて、他の金持ちで、頭脳明晰。その上、紳士的でイケメンな奴だったら、どうするつもりだったんだ？そいつに、どうやって勝つつもりだったんだ？」

「関係ねぇだろがぁよぉ!!」

「アホか……いつまでも、グダグダ餓鬼みたいな事をのたまわってんじゃねぇぞ。テメェは、俺の話から、なにも汲み取っちゃいねぇんだな」

「関係ねぇつってんだろうがよぉ!!」

フザケてんのかテメェわ!!

なにが『俺の意思を汲み取ってねぇ』だ!!

テメェの話なんざ、聞きたくもねぇつぅの!!

「あのなぁ、倉津。オマエ、これから向井さんが入って行く世界が、どんだけ、金や肉欲に塗れた汚れた世界か理解してるか？」

「はぁ？そんなもん知らねぇつぅの!!」

「なら、話してやるから、即座に理解しろ。……その話で納得出来なきゃ。その後、俺を好きなだけブン殴っても良いからよ」

……なんの話だ？

冗談だと解った以上、崇秀を殴る気は一切ないが、奴は、なんの話をしてる？

さっきコイツが俺に忠告した時は、頭に血が登っていて、話をよく聞いてなかったから話が見えねぇな。

取り敢えず、わからねぇんじゃ仕方がねぇ。

この条件で了承してみるか。

「あぁ、わかったよ。但し、必要ねぇ話なら、問答無用でブン殴るからな」

「ご自由に」

やけに神妙な顔つきだな。

どうやら冗談で、こんなややこしい事をした訳では無いらしい。

「なら、勝手に話せ」

「良いだろう。……良いか？まずオマエが理解すべき事は、これから向井さんが入って行く世界の事だ。此処にはな、オマエの様な呑気な考えを持ってる奴は、全くと言って良い程居ねぇ厳しい世界なんだ。故にオマエが、向井さんをシッカリ支えてやんなきゃ。向井さんは、直ぐにでも精神的にやられちまう。……最低限、まずは此処を理解しろ」

「っで、なんなんだよ？またオマエのお節介って奴か？うぜぇんだよ、そう言うの」

「あぁそうだ、お節介だ」

アッサリ認めたか……

って事は……真剣に聞かなきゃいけない問題があるって事だな。

「そっ、そうか……っで？」

「彼女が、そんな立場に立たされてるにも拘らず、オマエはなんなんだ？って話だ」

「俺がなんだよ?」

「そんな状況下にあっても、オマエは『ふざけんな』だとか『関係ねぇ』だとか馬鹿なセリフばっか吐きやがる。こんなもん、オマエが向井さんの為に、なんの用意も出来てねぇ証拠じゃねぇかよ。少しはな、芸能界って糞溜まりの事を理解して『危機感』ってものを持ったら、どうなんだ？って話だ」

……危機感がねぇのは、納得出来る。

これに関しては、崇秀の言う通りだ。

ただ……奈緒さんを精神的に支えるって言ってもだな。

俺には、何をどうして良いものか、全くわかんねぇのも現実だ。

甘えと言ってしまえば、まさにそうなんだろうが、理解しようにも、理解する材料が無さ過ぎる。

これも現実だ。

さて、どうしたもんかな？

「序に言って置くぞ。オマエ、向井さんがマジで好きなら、少しぐらい他の男との付き合いには目を瞑れる位の寛大な心は持っておけよ。それと、何があっても、絶対、彼女だけは信じ続けろ。例え、人がどんな噂をしても、彼女を受け入れろ……良いな？」

「なんだよ、その言い草？それじゃあ、まるで奈緒さんに、何かあるみたいな言い方じゃねぇかよ」

「有るから言ってんだろ。無きゃワザワザ言わねぇよ」

「なにがあんだよ？」

「手っ取り早く、下衆い言い方をすれば『肉体関係』若しくは『男女関係』……これは、芸能界に身を置く人間なら、本人の意思とは関係無く行なわれる行為だし。拒めば借金地獄になり兼ねない事象だ」

オイオイ、神妙な顔をして、なにを言い出すかと思えば……まさかオマエが、そんな時代錯誤な事を言い出すとはな。

有り得ねぇ、有り得ねぇ。

昔の芸能界なら、そう言う下衆い事も有り得るかも知れねぇが、流石に、そんな時代は終わってるだろ。

それに今の時代、そんな事をしようもんなら、警察が黙っちゃいないし、基本的に犯罪だ。

だから有り得ねぇ。

「オイオイ馬鹿秀。今時なぁ、そん……」

「あるんだよ。信じられねぇのか？」

「信じるも、なにも……んな馬鹿な事が、今時有るとは思えないんだがな」

「そっか。……じゃあ聞くがな。現に俺の所にも、曲欲しさに、股を開こうとした女が沢山来たんだがな。コリャ幻覚かなんかの類か？」

「はぁ？うっ、嘘……だろ？平成の世の中だぞ」

「この期に及んで、誰が嘘なんぞ言うか。……つぅかな、昔より今の時代の方が『性』に関しては杜撰(ずさん)な女が多い。若しくは『ＳＥＸが女の最大の武器』だと勘違いしてる馬鹿もいるから、会社側が強制しなくても、勝手にそう言う事をやる輩が、此処最近では逆に横行してんだよ」

「けどよぉ、んなの１部の人間の話だろ。全員が全員そう言う訳でもあるまいに」

「それがな。そうでもねぇんだよ。向井さんだって『たった１言で』その行為に及ぶ可能性は有るんだぞ」

「なんでだよ？奈緒さん、そんな女じゃねぇぞ!!」

「アホ、熱くなんな。これは、彼女の問題じゃねぇんだ。……オマエの問題だ」

「なっ……なんだと？」

俺のせいで、奈緒さんが、他の男と肉体関係を持つって……それ、どういう事だよ？

そんなもん、俺は望んじゃいねぇぞ。

これじゃあ、まったく話が見えて来ねぇ……

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

今回のお話、まぁ半分はネタみたいなものなのですが。

『男女ともに性に杜撰に成ってきている』のも現実なので、この事象自体は結構よくある話なんですね。

現実的に、そうやって身を売った子の話も聞いた事がありますし(笑)

……っとは言え。

今現在の奈緒さんは『倉津君の為にも、絶対に、もぉそんな馬鹿な真似はしない』と思っているでしょうし。

過去の経験上、それが良くない事だとも深く理解している筈。

ですが崇秀は、奈緒さんがそう思っていても『倉津君の為に、そうなる可能性がある』っと言いだしました。

では、どう言う心理が働いたら、そう言う風に成るのか？

この辺りを次回のお話でしていきたいと思います。

ですので、少しでも興味をお持ちいただけたら、また遊びに来て下さいねぇ～～～(*'ω'*)ノ