最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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036 不良さん 新しい友人達に救われる(笑)

公開日時: 2021年3月13日(土) 22:05
更新日時: 2022年11月6日(日) 23:51
文字数:3,674

●前回のおさらい●

脱税品かつ、盗品に成っていたゼマティスのベース。

そして不良さんは、その持ち主である遠藤康弘と言う人物に国見さんを通して会うが……


その康弘は、倉津組と敵対する広域暴力団『遠藤組の組長の息子』だった。


だが康弘は、話の解る人間だったので話し合い自体は何事も無く終わるが。

此処で康弘は、まだなにやら不良さんに提案があるらしく、話を継続してくる。

「いえ、以前から続いてる抗争の件なんですが」


今、そこ?

何を言い出すのかと思えば、うちの実家との抗争の話だと?


なんで今の状況で、そんな話が?



「いや、ちょっと待てよ。そんなもん、俺等がいくら話した所で、どうにもならねぇだろうに。抗争なんざ、オマエんトコの親父が折れるか、俺んトコの馬鹿親父が折れるかしねぇと終わらねぇ。そう言うもんだろ」

「確かに、そうなんですが。このままじゃお、互いの組みにガサが入って共倒れ。それこそ意味が無いと思われませんか?」

「まぁよぉ。このままじゃイケねぇのは、確かだが」

「ですから、良かったら、我々だけでも友達になりませんか?」

「あぁ?」


なに言ってんだコイツ?

マジで訳わかんねぇ。


ヤクザの抗争を、お友達同士の喧嘩かなんかと勘違いしてるのか?

そんなもん、俺等が仲良くしたって始まんねぇぞ。


マジで、なに考えてやがんだ?



「ダメですか?」

「いや……えぇぇえぇ~~~!!なに言ってんだ、オマエ?そんなもん、ダメも、糞もねぇだろ」

「ダメも、糞もない?……じゃあ良いんですね」

「いやいやいや、ちょっと待ってくれ」

「ダメなんですか?」

「いっ、いや、べっ、別に構いやしねぇが。そんなもん何の意味があんだよ?」

「意味?そんなもの何も無いですけど」


なんなんだコイツは?

勉強しすぎて、頭おかしくなってんじゃねぇの?


発想が、なんだか変だぞオマエ?



「つぅか、オマエさぁ。なんでそこまでして、俺なんかのツレになりてぇの?」

「別に意味なんてないですけど」

「はぁ?なんなんだよ、オマエは?じゃあ、俺とツレになったら、どうするんだよ?」

「遊びに行きますよ」

「はぁ?いや、どこにだよ?」

「だから、倉津さんの所へ遊びに行きますよ」

「オイオイオイオイ、んな真似したら、オマエ、マジで殺されるぞ」

「大丈夫ですって。抗争してるたって、まだまだ小競り合いの段階。まだ、お互い相手の子供を的にかける様な状態じゃ有りませんよ……だったら、この程度の事、どうって事ありません」


まぁ、そうだろうけどもだ。

敵対し合ってる組の子供が、その敵対組織の本家に遊びに行くって……どんな発想だよ。


……あぁけど、もぉなんか考えんの面倒臭くなって来た。

もぉ良いや、どうにでもしてくれ。



「わかったよ。但し、家には来んなよ。絶対、外でしか逢わねぇかんな」

「ありがとうございます」

「なんだかなぁ?」

「あぁそうだ、そうだ。話に夢中になりすぎて、お礼をするのを忘れてました。……なにが良いですか?」


急に、話しが変わるのな。



「いらねぇよ」

「それでは、僕の気が済みません。……何か無いですか?」

「あぁメンドクセェ。じゃあよぅ、なんかあったら、取り敢えず、なんか色々教えてくれ。アンタ、大学生なんだから、俺より色々と物を知ってんだろ」

「そんな事で良いんですか?」

「あぁ、構わねぇよ」

「じゃあ、早速なんだがな、康弘。この少年の悩みを聞いてやってくれ」


オッサンが、なんの脈絡もなく、突然、話に入ってきやがった。


今まで一言も話さなかったクセに……なにを急に話に入って来てやがんだよ。



「うっ、うるせぇ!!俺にゃあ悩みなんかねぇよ。オッサン、余計な事を喋んじゃねぇぞ」

「何を言ってるんだ?奈緒ッペの事で悩んでるだろ、少年」

「奈緒ッペ?あぁ、向井さんの事ですか。彼女が、どうかしたんですか?」

「だから、何にもねぇって!!」

「いやな、康弘。実は、この少年な。奈緒ッペに【ホの字】なんだが、さっき、オマエさんのベースのせいで揉めてたみたいなんだよ」

「えっ?……じゃあ、それって、僕のせいって事ですよね」

「違う違う違う、心配しなくてもオマエのせいじゃねぇから、大丈夫大丈夫」


メンドクセェ~~~っ!!

果てしなくメンドクセェぞ、コイツ等!!


大体、変にお節介な真似をしようとせずに、他人の事なんか、ほっとけよな!!


なんなんだ、このお節介星から来た、お節介星人共は……


大体、オマエ等なぁ。

そんな俺の事に興味を持つより、まだ自分の事でする事あんだろに。


オッサンは、店の事や、あのボンクラ店員の教育。

遠藤は、実家の事か、今後の為にも勉強の事だけを考えてろ。


ズケズケと、他人に、あんま干渉するんじゃねぇよ。


気持ち悪ぃ。



「そうはいかないよ」

「だから良いからよぉ。頼むから、俺と奈緒さんの事は放って置いてくれ」

「遠慮するな」

「だから、イラネェって言ってんだろオッサン。デケェお世話なんだよ」

「あっ、あのっ……さっきはゴメンね、クラ。あのまま帰ろうと思ったんだけど。なんかそんな気分になれなくて、まだ居るかな?って思って戻って来たんだけど……」


GYAAAAAAAaaaaa~~~!!何と言うタイミングの悪さ!!

まさか奈緒さんが、この時点で戻って来るとは夢にも思ってなかったぞ!!


もぉ、よくある漫画の展開じゃねぇんだから、こういうシュチュエーションは辞めてくれよな。


それと、奈緒さん。

その、扉から半分だけ顔を出す感じも辞めて下さい。


俺は、アナタには無条件で萌えてしまうんですから。


ヤバッ……ヤッパ、奈緒さん超可愛い!!



「あぁ、奈緒ッぺ良い所に帰ってきた」


いや、黙れオッサン。



「僕も、今から、向井さんを探しに行こうと思ってた所なんだ」


オマエも黙れな、遠藤。



「いや~~~っ、このタイミングで戻ってくるとは、完璧だな、奈緒ッペ」


オイコラ。

口をホッチキスで止められたいのか、オッサン?


それ以上は口を開かずに、黙れつってんだろがよぉ!!



「はぁ……奈緒さん。もう此処出ましょう。俺、あれからズッと絡まれてるんッスよ」

「そう……なの?」

「そうなんッスよ。だから、早く、どっか行きましょう」

「あっ、うん……」


強引とも言える感じだが、この場に居るよりはマッシ。


気付けば俺は、奈緒さんの手を取って、此処から逃げ様としていた。



「ねぇ、クラ?何処かに行くのは良いんだけど……ベースは良いの?」

「あっ、ぐっ……」

「スタジオに置いて行っちゃうの?」

「いや……あの……実は……」

「あぁゴメン。実は、そのベース、僕のでね。倉津君には申し訳ないとは思ったんだけど。一旦、ベースを返却して貰ったんだ」

「えっ……どっ、どういう事ですか?」

「うん……実は、非常に言い難い話なんだけどね。彼にベースを譲ったまでは良かったんだけど、どうしてもまた、このベースを自分の手元に置いて置きたくなってさ。僕が我儘言って、今返して貰ったんだよ」


うぉ!!今まで康弘って呼び捨てにしてたけど、遠藤さん、アンタ最高だな!!

俺と、奈緒さんの喧嘩の内容が解らないまでも、それ相応の回答をしてるじゃないか!!


マジ最高だよ、アンタ!!



「そうなのクラ?」

「あっ……まぁ、そんな感じッス」

「けど、お金は、どうしたの?」

「それに関しては俺が立て替えといた。あのベースを100万って言うのは、ちょっとボリ過ぎだって、少年にも怒ってた所だ」


オッサン……いや、国見様。

アナタ様は神か?仏かの類の方なのか?


遠藤さんのフォローしきれて無い部分を、完璧にフォローしきった。


はぁ~~~、いやはや、矢張り持つべき友は、こう言う友だな。



「そう……なんだ」

「ウッス」


俺は黙っていよう。

喋れば、きっとボロが出るだけだ。


ホッチキス。

口にホッチキス。



「じゃあクラは、今、ベース無いんだね」

「あぁ、そう言えば、そうッスね」


そっかぁ。

そう言えば、遠藤にベースを渡しちゃったから、ベースが無くなって、明日から練習が出来無いんだよな。


これは困ったな。


しかも、馬鹿秀が『1日でもやらなかったら、直ぐ下手になるから習慣付けろ』とかも言ってた様な気がするな。

アイツ……普段はロクでもない事しか言わない奴なんだが、そう言う所だけは信用出来んだよな。


これは参ったなぁ。



「そっかぁ。じゃあ、ちょっと楽器屋に寄ってみよっか?クラの好みのベースが有るかどうかは、解らないけど。見に行ってみる?」

「へっ?こんな時間なのに、まだ楽器屋ってやってるんッスか?」

「うん。やってるよ。時間的にはギリギリだけど、まだ滑り込めるんじゃないかな」

「そうなんッスか?じゃ、じゃあ、お願いして良いッスか?」

「うん。私で良かったら」


アナタが良いんです。

いや、アナタじゃなきゃ意味がないんです。


正直ベースには、まだそんなに興味はないが。

奈緒さんと一緒に時間を過ごせるなら、ベースを弾き続ける意味はある。


なら、必然的にベースは必要。


んで、そのベースを奈緒さんと買いに行くチャンスが、今、目の前に転がってる訳だろ。

なら時間がギリギリだろうと、楽器屋行くしかないしょ!!



「俺、良くわかんないッスから、宜しくお願いします」

「なになに?なにを、そんなに畏まってるのよ?」

「いや、その、なんて言うか、その」

「なんか変だね、クラ。……あぁいけない、時間無いから、そろそろ行こうか」

「ッスね」


そう奈緒さんが言った後。

俺と、奈緒さんは、国見のオッサンのスタジオを後にする訳なんだが。


国見さんと、遠藤さんは、なにも言わず見送ってくれた。


アンタ等、ホント大人だな。


学校のアホ2匹だったら、絶対に此処で俺をからかう筈だからな。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


倉津君『お節介な奴は嫌いだ』みたいな事を言ってた割には。

見事なまでに『そのお節介な人達』に助けられてましたね(笑)

しかも助けられた後は、自分に都合の良い展開が待ち構えていた。


こう言う運の強さと言うのを、倉津君は、意外と持ち合わせているのかもしれませんね。


(ただ倉津君や、こういう自分に都合の良い展開ばっかりが、いつまでも続くと思うなよ(意味深))


( ゚Д゚)オイ!!なんか言ったか!!


そんな訳で次回。

奈緒さんとのお買い物に行く訳ですが……なにが待ち受けている事やら(笑)


それは次回の講釈です。

でわでわ、ま~~~たねぇ~~~(*´▽`*)ノ

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