最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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480 人としてあるまじき行為

公開日時: 2022年6月1日(水) 00:21
更新日時: 2023年1月5日(木) 14:46
文字数:3,082

●前回のおさらい●


 時間的にも遅い時間になったので『車』で青山さんを送る事にした倉津君。

そして、その車内では、青山さんの悩みを聞きながら、出来る限りの打開策を提案していき心を解して行く。


理由は勿論、彼女から完全に蟠りを取り除く為にも、リフレッシュが必要と感じたからだ。


苛めの真相を知る為にも……

「「あの(よぉ)……」」


被った!!


……最悪の出だしだ。



「あっ、あの、私のは後でも良いんで、倉津さんから、どうぞ」


言い難ッ!!


って言ってもなぁ。

どうせ感じる処は同じの筈だから、俺から聞いても問題ねぇか。


わかんねぇけど……



「じゃあよ。遠慮なく聞くけど、真上さん虐めの主犯格って誰?」

「えっ?それは私……」

「青山さんは実行犯だろ。あの虐めを考えた奴って誰?」

「えっ?違うよ。あれは全部、私が考えた事」

「そっか。なら、安心なんだけどな。別の奴が犯人だったら、また繰り返されるから懸念したんだが。青山さんが主犯なら問題ねぇな」

「えぇっと、なんで、私が主犯なら問題無いの?」

「いや、ほら、だって、あんな怖い目に遭ったんだから、普通なら、もうしないっしょ。それでもする様だったら、そんな奴、人間として終わってるだろ」

「そっ……そうだよね」


言葉に動揺が走ったって事は、なにか隠したな。


まぁ、言わずと知れた主犯の人間の事なんだろうけど。

青山さんが言わなくても、俺には、この苛めの主犯格が誰だか解っている。


だが敢えて、今は言わない。


先に青山さんの話を聞かなきゃならないからだ。



「まぁ、俺の話は、それだけだ。……っで、青山さんの話ってなんだ?」

「あぁっと、別になんでもない」

「そっか。じゃあ敢えて、なにも聞かねぇ。……けど、もし、なにか言いたい事が有るなら、幾らでも聞くぞ」

「・・・・・・」

「無いか?じゃあ、この話は終了な」

「ちょっと待って……」

「うん?なんだよ?」

「信用して良い?私、倉津さんの事を信用しても良い?」


『信用』とは、これまた難しい事を言うなぁ。


正確に言っちまえば、そんなの、青山さんにしかわかんねぇよ。

人と人との関係なんてもんは、所詮は、どれだけ自分が、相手を信用するかがポイント。

そこは相手に委ねる所じゃなく、自己判断で解決しなきゃいけないからな。


あぁ因みにだが、俺は馬鹿だから、あまり深くは考えず、直ぐに人を信用するけどな。

(↑馬鹿ゆえに助言にならない俺)



「信用って言われてもなぁ。……流石に、出逢ったバッカだから、なんとも言えねぇよな」

「そうだよね」

「まぁ、なんだ。言い難いなら、こう言うのは、どうだよ?」

「えっ?どう言うの?」


裏の手って奴だな。



「『青山さんさぁ、病院でションベン漏らした事を、学校で言い触らされたくなかったら、全部包み隠さず言えよ。じゃねぇとバラすぞ』……ってのは、どうだ?」

「えっ?それって……」

「まぁ、なんだ。言い難いなら、俺に脅されたって事にすりゃ良いんじゃねぇか?」

「でも、それじゃあ、倉津さんが……」

「あぁ良いの、良いの。どうせ俺なんぞ、元々がロクデモナイ不良なんだから、今更、悪名が増えた所で、なんの問題もねぇ。つぅか、箔すら付くんじゃねぇか?」

「でも……」

「良いからよ。もう全部言っちゃえよ。これから生き方を変え様としてる青山さんには、これは必要不可欠な事だからさ」

「倉津さん……」


そう言う事なんだよな。

折角、自分を変え様としてる人間が、此処で変な遺恨を残すと、また悪い方向に逆戻りする可能性がある。


だから、それらの問題は、全て消し去らないとイケナイってこったな。



「……っで、なに?」

「なんか、こんな風にして貰ってまで言う話なのかな?私、凄く卑怯なんじゃない?」

「そっか。じゃあよぉ。これから俺が、ある推理をする。それを聞いてくんねぇか?」

「推理?なんの?」

「そりゃあ、聞いてのお楽しみだ」

「??」


んじゃま、このままじゃ埒が明かねぇから。

俺が、さっき思っていた主犯って奴の話をしてみるか。


此処からは当たるも八卦、当たらぬも八卦って微妙な処なんだがな。


取り敢えず、話の切り口にはなんだろ。



「わかんねぇか。じゃあ取り敢えず、黙って聞いてくれ」

「あっ、うん」

「まず言える事は、間違いなく今回の苛めの真犯人は、岡田だな」

「えっ?なんの?」

「だから、虐めの真犯人」

「なっ、なんで?なんでそう思うの?」


どうやらビンゴだな、こりゃあ。


真犯人じゃなきゃ『なんでそう思うの?』なんて普通は聞き返さねぇから、まず間違いない。



「いやいや、簡単な話なんだがな。青山さんって、まだ岡田の事が好きだろ。だから、そう言う答えに行き着いた訳だ」

「なんでなんで?なんで私が、まだ岡田君の事が好きだって解ったの?」

「いや、真上さんに対して虐めをしてたから」

「どういう事?全然、意味がわかんないんだけど」

「なんでだ?岡田の事が好きだからこそ、真上さんを虐めに加担してたんだろうし。もう一回自分に振り向いて欲しいから、アイツの言う事を聞いてた。なんも意味わかんねぇ事ねぇじゃん」

「けっ、けどさぁ、それだけじゃあ、あまりにも証拠不十分だよ」

「そっかぁ?まぁ言われてみれば、証拠としては不十分かも知らねぇが。動機としては十分だと思うぞ」


動揺が隠せない様じゃ、答えを言ってるのと同じなんだけどな。


故にだ、此処は強引に、この推理が正しいと言う方向で話を進めてみよう。



「けどな。この話の結果が、どうあれ。青山さんは大きな間違いをしてるんだよな」

「なにを?」

「アイツが真上さんと復縁する為に、青山さんは良い様に使われてるだけなんだよな」

「なんで?なんで、そんな答えになるの?」

「だってよぉ。命令されたとは言え、虐めを平気でする様な女を男が好きになるか?普通はなんねぇだろ。だから、青山さんの『アイツが好きだ』って気持ちを上手く利用されてるだけなんだと思うんだが。……その辺は、どうだ?」


……って、ステラが、これと似た様な事を素直に言っていた。


あの理屈馬鹿が言ってんだから、間違いねぇだろ。

(↑結局、無責任な俺)



「えっ?でも……真上に仕返ししたら、もう一回付き合おうって言ってくれたよ」


うわ~~~、気分悪ぃな。

真上さんを自分のものにしたいからって、なんで平然と、そこまで卑怯な真似をするかな?

自己利益の為に、人の心を利用するなんざ、中学生にあるまじき行為だぞ。


それに自分に惚れてる相手を出汁に使うなんて、アイツ、どうかしてるな。



「最悪だな、アイツ。……あのなぁ青山さん、そんな約束は反古されるに決まってんだろ。それに、今まで良い様に使われてるから、虐めの主犯を、アイツになすり付けられるだけだぞ」

「そんなの嘘だよ。岡田君は、そんな事する様な人じゃないよ」

「そぉかぁ?例えアイツが、青山さんとの約束を守ったとしても、アイツは、この虐めの事に関して、なにも手を下してねぇじゃねぇかよ。その時点で騙されてると思わないか?」

「えっ、でも、付き合えるなら問題無いよ」

「全然違うぞ、それ。例えな、付き合ったとしても、そんなもんは、ひと時の仮初に過ぎねぇんだよ。アイツは、青山さんと付き合いながら、チャンスが有れば、また真上さんを狙う。此処だけは否めねぇ話だな」

「なんで?そんな事ないよ……」


事実だと思う事を話してるに過ぎないんだが、なんか可哀想になってきたな。

だってよぉ、真犯人が岡田って決まったも同然の今、青山さんが人身御供にされるのも、ほぼ決定してる訳だからよ。


それを今、出来るだけ的確に説明してるんだから、あまりと言えば、あまりだろ。


けどなぁ、このまま放って置いても、傷付くのだけは変わらねぇんだよな。


どう説明したもんかな?



「まぁ、信じるか?信じないか?は、青山さん次第だけどな」

「じゃあ、信じない」

「そっか。じゃあ、もぉなんも言わねぇ」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


お互い、話が話だけに沈黙しちまったな。


……しゃあねぇなぁ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


恋は盲目とは言いますが。

真上さんに惚れ込んでしまった岡田君も、岡田君に惚れ込んでしまった青山さんも、2人ともやっちゃいましたね。

自分に振り向かす為に必死に努力するならまだしも、その方向性を間違い。

手段を選ばず、人の迷惑も顧みず、他人を陥れてまで、相手を振り向かそうとするなんて言語道断な行為です。


ハッキリ言えば、人の道を踏み外してます。


ただ、これが『若さが持つ残虐性』なのも否めない話で。

上記で記した様に『恋で盲目』に成ってしまっていては、他人の事を考える余裕なんてなくなってしまうんですね。


それに2人は嵌った感じです。


さてさて、そんな中。

倉津君と青山さんは沈黙してしまったようですが、此処からの打開策はあるのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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