●前回のおさらい●
時間的にも遅い時間になったので『車』で青山さんを送る事にした倉津君。
そして、その車内では、青山さんの悩みを聞きながら、出来る限りの打開策を提案していき心を解して行く。
理由は勿論、彼女から完全に蟠りを取り除く為にも、リフレッシュが必要と感じたからだ。
苛めの真相を知る為にも……
「「あの(よぉ)……」」
被った!!
……最悪の出だしだ。
「あっ、あの、私のは後でも良いんで、倉津さんから、どうぞ」
言い難ッ!!
って言ってもなぁ。
どうせ感じる処は同じの筈だから、俺から聞いても問題ねぇか。
わかんねぇけど……
「じゃあよ。遠慮なく聞くけど、真上さん虐めの主犯格って誰?」
「えっ?それは私……」
「青山さんは実行犯だろ。あの虐めを考えた奴って誰?」
「えっ?違うよ。あれは全部、私が考えた事」
「そっか。なら、安心なんだけどな。別の奴が犯人だったら、また繰り返されるから懸念したんだが。青山さんが主犯なら問題ねぇな」
「えぇっと、なんで、私が主犯なら問題無いの?」
「いや、ほら、だって、あんな怖い目に遭ったんだから、普通なら、もうしないっしょ。それでもする様だったら、そんな奴、人間として終わってるだろ」
「そっ……そうだよね」
言葉に動揺が走ったって事は、なにか隠したな。
まぁ、言わずと知れた主犯の人間の事なんだろうけど。
青山さんが言わなくても、俺には、この苛めの主犯格が誰だか解っている。
だが敢えて、今は言わない。
先に青山さんの話を聞かなきゃならないからだ。
「まぁ、俺の話は、それだけだ。……っで、青山さんの話ってなんだ?」
「あぁっと、別になんでもない」
「そっか。じゃあ敢えて、なにも聞かねぇ。……けど、もし、なにか言いたい事が有るなら、幾らでも聞くぞ」
「・・・・・・」
「無いか?じゃあ、この話は終了な」
「ちょっと待って……」
「うん?なんだよ?」
「信用して良い?私、倉津さんの事を信用しても良い?」
『信用』とは、これまた難しい事を言うなぁ。
正確に言っちまえば、そんなの、青山さんにしかわかんねぇよ。
人と人との関係なんてもんは、所詮は、どれだけ自分が、相手を信用するかがポイント。
そこは相手に委ねる所じゃなく、自己判断で解決しなきゃいけないからな。
あぁ因みにだが、俺は馬鹿だから、あまり深くは考えず、直ぐに人を信用するけどな。
(↑馬鹿ゆえに助言にならない俺)
「信用って言われてもなぁ。……流石に、出逢ったバッカだから、なんとも言えねぇよな」
「そうだよね」
「まぁ、なんだ。言い難いなら、こう言うのは、どうだよ?」
「えっ?どう言うの?」
裏の手って奴だな。
「『青山さんさぁ、病院でションベン漏らした事を、学校で言い触らされたくなかったら、全部包み隠さず言えよ。じゃねぇとバラすぞ』……ってのは、どうだ?」
「えっ?それって……」
「まぁ、なんだ。言い難いなら、俺に脅されたって事にすりゃ良いんじゃねぇか?」
「でも、それじゃあ、倉津さんが……」
「あぁ良いの、良いの。どうせ俺なんぞ、元々がロクデモナイ不良なんだから、今更、悪名が増えた所で、なんの問題もねぇ。つぅか、箔すら付くんじゃねぇか?」
「でも……」
「良いからよ。もう全部言っちゃえよ。これから生き方を変え様としてる青山さんには、これは必要不可欠な事だからさ」
「倉津さん……」
そう言う事なんだよな。
折角、自分を変え様としてる人間が、此処で変な遺恨を残すと、また悪い方向に逆戻りする可能性がある。
だから、それらの問題は、全て消し去らないとイケナイってこったな。
「……っで、なに?」
「なんか、こんな風にして貰ってまで言う話なのかな?私、凄く卑怯なんじゃない?」
「そっか。じゃあよぉ。これから俺が、ある推理をする。それを聞いてくんねぇか?」
「推理?なんの?」
「そりゃあ、聞いてのお楽しみだ」
「??」
んじゃま、このままじゃ埒が明かねぇから。
俺が、さっき思っていた主犯って奴の話をしてみるか。
此処からは当たるも八卦、当たらぬも八卦って微妙な処なんだがな。
取り敢えず、話の切り口にはなんだろ。
「わかんねぇか。じゃあ取り敢えず、黙って聞いてくれ」
「あっ、うん」
「まず言える事は、間違いなく今回の苛めの真犯人は、岡田だな」
「えっ?なんの?」
「だから、虐めの真犯人」
「なっ、なんで?なんでそう思うの?」
どうやらビンゴだな、こりゃあ。
真犯人じゃなきゃ『なんでそう思うの?』なんて普通は聞き返さねぇから、まず間違いない。
「いやいや、簡単な話なんだがな。青山さんって、まだ岡田の事が好きだろ。だから、そう言う答えに行き着いた訳だ」
「なんでなんで?なんで私が、まだ岡田君の事が好きだって解ったの?」
「いや、真上さんに対して虐めをしてたから」
「どういう事?全然、意味がわかんないんだけど」
「なんでだ?岡田の事が好きだからこそ、真上さんを虐めに加担してたんだろうし。もう一回自分に振り向いて欲しいから、アイツの言う事を聞いてた。なんも意味わかんねぇ事ねぇじゃん」
「けっ、けどさぁ、それだけじゃあ、あまりにも証拠不十分だよ」
「そっかぁ?まぁ言われてみれば、証拠としては不十分かも知らねぇが。動機としては十分だと思うぞ」
動揺が隠せない様じゃ、答えを言ってるのと同じなんだけどな。
故にだ、此処は強引に、この推理が正しいと言う方向で話を進めてみよう。
「けどな。この話の結果が、どうあれ。青山さんは大きな間違いをしてるんだよな」
「なにを?」
「アイツが真上さんと復縁する為に、青山さんは良い様に使われてるだけなんだよな」
「なんで?なんで、そんな答えになるの?」
「だってよぉ。命令されたとは言え、虐めを平気でする様な女を男が好きになるか?普通はなんねぇだろ。だから、青山さんの『アイツが好きだ』って気持ちを上手く利用されてるだけなんだと思うんだが。……その辺は、どうだ?」
……って、ステラが、これと似た様な事を素直に言っていた。
あの理屈馬鹿が言ってんだから、間違いねぇだろ。
(↑結局、無責任な俺)
「えっ?でも……真上に仕返ししたら、もう一回付き合おうって言ってくれたよ」
うわ~~~、気分悪ぃな。
真上さんを自分のものにしたいからって、なんで平然と、そこまで卑怯な真似をするかな?
自己利益の為に、人の心を利用するなんざ、中学生にあるまじき行為だぞ。
それに自分に惚れてる相手を出汁に使うなんて、アイツ、どうかしてるな。
「最悪だな、アイツ。……あのなぁ青山さん、そんな約束は反古されるに決まってんだろ。それに、今まで良い様に使われてるから、虐めの主犯を、アイツになすり付けられるだけだぞ」
「そんなの嘘だよ。岡田君は、そんな事する様な人じゃないよ」
「そぉかぁ?例えアイツが、青山さんとの約束を守ったとしても、アイツは、この虐めの事に関して、なにも手を下してねぇじゃねぇかよ。その時点で騙されてると思わないか?」
「えっ、でも、付き合えるなら問題無いよ」
「全然違うぞ、それ。例えな、付き合ったとしても、そんなもんは、ひと時の仮初に過ぎねぇんだよ。アイツは、青山さんと付き合いながら、チャンスが有れば、また真上さんを狙う。此処だけは否めねぇ話だな」
「なんで?そんな事ないよ……」
事実だと思う事を話してるに過ぎないんだが、なんか可哀想になってきたな。
だってよぉ、真犯人が岡田って決まったも同然の今、青山さんが人身御供にされるのも、ほぼ決定してる訳だからよ。
それを今、出来るだけ的確に説明してるんだから、あまりと言えば、あまりだろ。
けどなぁ、このまま放って置いても、傷付くのだけは変わらねぇんだよな。
どう説明したもんかな?
「まぁ、信じるか?信じないか?は、青山さん次第だけどな」
「じゃあ、信じない」
「そっか。じゃあ、もぉなんも言わねぇ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
お互い、話が話だけに沈黙しちまったな。
……しゃあねぇなぁ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
恋は盲目とは言いますが。
真上さんに惚れ込んでしまった岡田君も、岡田君に惚れ込んでしまった青山さんも、2人ともやっちゃいましたね。
自分に振り向かす為に必死に努力するならまだしも、その方向性を間違い。
手段を選ばず、人の迷惑も顧みず、他人を陥れてまで、相手を振り向かそうとするなんて言語道断な行為です。
ハッキリ言えば、人の道を踏み外してます。
ただ、これが『若さが持つ残虐性』なのも否めない話で。
上記で記した様に『恋で盲目』に成ってしまっていては、他人の事を考える余裕なんてなくなってしまうんですね。
それに2人は嵌った感じです。
さてさて、そんな中。
倉津君と青山さんは沈黙してしまったようですが、此処からの打開策はあるのでしょうか?
次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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