●前回のおさらい●
細川君に、サイトで眞子のバンドと双璧をなすバンドの引き抜きを依頼される倉津君だったが、言われた本人は無理だとしか思えない。
だが、そうやって言い争ってる時、眞子が何か思い当たる節があったようで……
「ほぉ、その様子だと、どうやら眞子助には解ったみたいだな」
「あぁいや、解ったって言うか、予想の範疇は超えてないんだけどね。細川君の狙いって【無名】じゃないのかなぁ?っとは思ったね」
「そいつだ。そいつでバッチリ正解さな」
「はぁ?なんで【無名】なんだよ?」
「理由かい?理由なんざ聞くにも値しない話さな。少し考えれば、自ずと回答が導き出される筈さな」
少し考えたら解るつってもよぉ。
これでも、さっきからズッと必至扱いて考えてるんだけどなぁ。
なんだ?
なんで【無名】を引き抜く必要性が有るんだ?
……むむむむむ。
( ゚д゚)ハッ!ひょっとして、あれか?
「う~~~ん?……あぁ!!組絡みと金絡みの話があるから康弘の居る無名になるのか!!」
「そうさな。基本はビジネスの話で遠藤さんだ。今後の両組の関係を考えたら、早期に遠藤さんをコッチ側に引き込んでおいた方が得策だからな」
「だよな」
「けど、無名を引き抜こうとしてる理由は、それだけじゃないぜ。本来の話で言えば【無名】も、そこに関係してくるんじゃないかい?」
「へっ?なんでぇ?」
「旦那。もう一回よく考えてみな。元来【無名】ってのは、なにを目的にして集まった集団だい?『仲居間討伐』を目標に掲げてたバンドだったんじゃないのかい?」
おぉ……そう言えば、そうだな。
本当に、まだ名も無いバンドだった時、初期に集まったメンバーって、みんな、ライブでアイツに酷い目に遭わされ。
『打倒崇秀』を掲げて集まったメンバーだったな。
まぁ、今現在の【無名】には、俺や奈緒さんと、素直が抜けちまってるから。
当時のメンバーとしては嶋田さんと、山中しか残ってはいないが。
その『打倒崇秀』の精神が抜けてないとすれば、条件次第では、引き抜きが出来る可能性は非常に高くなるな。
それに付け加えて、新規メンバーである康弘には、将来的なメリットのある話に成り得る話だから協力を仰ぎやすいし。
最後に椿さんは、嶋田さんが決定した事には、絶対に逆らう事なんてないだろうからなぁ。
……なるほどなぁ。
モジャが『引き抜きが簡単かもしれないと』言った理由は、こう言う事だったんだな。
しかしまぁ、そう考えると。
この間の『無様なカラオケ大会』も、やって置いて良かったなって思えるな。
偶然だったとは言え。
あの時点で無名内部の問題が表面化してなかったら。
今頃「解散」してしまっていて「引き抜き」処の騒ぎじゃなかったかもしれねぇもんな。
うんうん。
意外とあのカラオケ大会……っと言うか、真菜のお披露目会をやって良かった。
(↑あの会の本来の名目を思い出した俺)
「確かに、そうだな」
「それに付け加えてだ」
「うん?なんだよ?まだなんかあんのか?」
「今後、橘親子のブランド名が【無名】に完全に決まれば、サイト上でのWネームも成立するんじゃないかい?」
「( ゚д゚)ハッ!」
「勿論、名目上は、親父さんの楽器制作はGUILDでの請負にはなるんだが、それでもこれって、お互いにとって一挙両得な話になるんじゃないかい?」
「おぉ、本当だな。スゲェ!!」
そこまで考えての無名の引き抜き工作だったんだな。
まぁ、この親父さんのブランドの件自体は、元を正せば俺が提案した事なだけに少々恥ずかしい話ではあるんだが。
どうにも俺は、視界が狭いというか、なんと言うか。
さっきモジャが指摘していた通り、1つの事象に拘り過ぎると、他の事が見えなくなっちまう傾向があるから、こういった面を考慮して企画を立ててくれるのは、非常に有り難い。
流石は悪魔の腹心と言われる男。
あの1人でナンデモカンデモやっちまう崇秀が、伊達や酔狂でGUILDの管理を任せてた訳じゃなかったんだな。
マジでコイツのフォロー力は尋常じゃねぇわ。
「まぁまぁ、そんなに盛り上がりなさんなって。まだ、なにも成功するとは限った訳じゃないんだからよ」
「いやいやいやいや、企画だけでもスゲェわ。俺、全然そんなの思い付かなかったもんよ。大した玉だぜアンタ。……なぁ眞子。オマエもそう思うだろ」
俺も心の底からモジャを褒めてるから、眞子もモジャを褒めろ。
同志として、これ以上の人材なんざ早々には見付かるもんじゃねぇんだからよ。
……って言うかな。
ちょっと本心を言えばだな。
モジャの奴、なんか眞子に気があるみたいだからよ。
此処でモジャが、眞子に対してどういう反応するのか見ておきたい部分でもあるんだよな。
どれぐらい思ってるんだろうな?
「うん。それはそうだと思うよ。崇秀さんが、全面的に信頼してる理由も、よく解るよ」
「そうかい?そりゃあどうも」
おっ……なんか知らんが。
モジャの奴、眞子に褒められて、ちょっと照れて腐ってやがるな。
この様子からして、ひょっとしてモジャって、冗談とかではなく、ガチで眞子の事が好きだったりするのか?
普段のモジャって、何を考えてるのか解らない様なダルそうな表情を浮かべてるだけで、照れる様なシーンなんて見る事もなかったからなぁ。
……だとしたら、こりゃあ、また一悶着有りそうだな。
その辺も気を付けとこ。
ちゃんと俺が憶えられてるかは不安だがな……
「まぁ、そんな訳なんで旦那。引き抜きの件シッカリ頼むぜ。そこが上手く行けば、一気にサイトの知名度を上げる企画が立ち上げれるからな」
「おぅ。そう言う事なら、なんとしても、コッチサイドに移籍して貰わなきゃな。沙那ちゃんの件も有るから、俄然やる気が出て来たぞ」
「だね。だったら私も、早急にステラさんと、ミラーさんと、素直ちゃんの件のカタを付けとくね」
「眞子助。一応、聞くが、大丈夫かい?無理してないか?」
「うん。大丈夫だよ。最初は、崇秀さんの件があったから、少し気後れしてたけど。翌々考えたら、崇秀さんは、人の自立を最も喜ぶ人だもん。やるなら、やるで、徹底的にやるよ。それが崇秀さんの望んでる事だもん」
「そうかい?じゃあ、シッカリ頼んだぜ」
「うん!!任せといて!!」
おぉ……なんか知らんが、一気に企画が動き始めた感じだな。
こりゃあ、相当、気合入れてイカネェと、2人に置いてかれるな。
よっしゃ!!
なら、俺もやったるでぇ!!
***
……っとまぁ、そんな感じで。
一応の、今日の決め事が全部終了して。
小一時間程3人で軽く呑んでから、モジャに眞子を送って貰う事に成り、この場は解散した。
けど、俺はこれで全てが終わった訳ではない。
まだ此処から家に帰って、奈緒さんの件を正式に片付けなきゃ成らないからな。
こりゃあ、俺はまだまだ眠れそうにねぇな。
ホント、なにかと大変な1日だよ。
***
次回予告。
さて。
今回の困った事件で、残された解決すべき事は、これで奈緒さんのみだ。
俺は、奈緒さんを、もぉ許すと決めた以上、四の五の言う気はない。
後は、奈緒さんが『俺だけの奈緒さんに戻れば』それで万事OKだ。
崇秀は放って置いても、眞子が居るから大丈夫だからな。
そんな訳で次回。
『Not best.it`so better』
「『最高』じゃなくて『良かった』程度」
あれ?なんだ、このタイトル?
なんかおかしくないか?
此処に来て、またしても……波乱の予感か?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
これにて第一章・第八十八話【Secret talk(内緒話)】は、おしまいになるのですが、如何だったでしょうか?
結構、色んな事が決まっていきましたが。
これら事象を全て現実化させるには、かなりの労力が見込まれるのですが。
倉津君……こんな調子で上手く行くんですかね?
いや寧ろ、こんな調子だからこそ倉津君は上手く行くのかもしれませんがね(笑)
さてさて、そんな中。
次回から始まる第一章・第八十九話【Not best.it`so better(『最高』じゃなくて『良かった』程度』)】では。
これらの課題に着手する前に、奈緒さんの件をシッカリと清算しなければなりません。
まずは此処をキッチリして置かないと、倉津君も身動きの取り様がないですしね。
ってな訳で。
次回は、そんなお話を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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