最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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085 不良さん 奈緒さんの異変に焦りまくる

公開日時: 2021年5月2日(日) 00:26
更新日時: 2022年11月15日(火) 16:00
文字数:1,660

●前回のおさらい●


 第一部のライブが盛況に終わり。

みんなから褒められて、かなり嬉しい倉津君。


だが、ただでは終わらず。

奈緒さんだけは、なにやらおかしな言動をしてくる。


さてさて、なにが起こるのでしょうね?

 奈緒さんのキッと睨みつける様な鋭い眼光と、俺に対する疑いの眼差しが同居している。


理由は簡単だ。

この様子からして、さっきの練習スタジオでの件を、かなり怒ってるんだろうな。


……しかしまぁ、まいったなぁ。

ただ単に怒ってるだけに留まらず。

また、この奈緒さんの中でも一番難儀で、厄介なパターンが採用されてるよ。



「あっ、あの、奈緒さ~ん、さっきの事は、土下座でも何でもしますから、もぉ許してくださいよぉ」

「あの……アナタは、先程から、なにを言われているのでしょうか?言われてる意味が、私には、よく解らないんですが、なんの話ですか?」

「だからッスね。さっきのスタジオでの一件の事ですよ」

「スタジオ……ですか?」

「そうッス」

「それは何のスタジオの事ですか?私、スタジオになんて行った憶えはないんですが」

「へっ?」

「はい?」

「ちょ!!奈緒さん、冗談が過ぎますよ。俺と、さっきスタジオに行ったじゃないですか?」

「私が……アナタとですか?」


指で、自分を指して、俺を交互に指す。

こう言う仕草は、いつもと同じなだけに、この人は性質が悪い。


明らかに、俺をからかってるか、完全に怒ってるかのどちらかだ。


まぁ100%後者なんだろうけど……



「そうッス」

「あの、重ね重ね失礼ですが。どなたかと勘違いされてるのでは?」


なんか今回は、おかしなぐらい徹底してるな。


そりゃまぁ俺が、こんな風に奈緒さんの機嫌を損ねる様な事をしたのは、確かだ。

最初に模範として演奏して貰ったにも拘らず。

その後は、スタジオで放置した上に、口を開けばイキナリ命令口調ばかり発してたんだから、これはもぉ怒られても仕方がない。


でもよぉ。

彼女なんだから、ちょっとぐらい許してくれても良いんじゃないッスかね?


なにも、此処まで徹底しなくても良いんじゃないッスか?



「あの……ご用が無いのでしたら、もぅ行って良いですか?」

「奈緒さん。もぅ良い加減許して下さいよ。あんな事2度と言いませんから」


今度はキョトンとした顔で、俺をジッと見る。



「ちょ……先程から、本当に、なにを謝られてるんですか?……あの、冗談とかではなく、本当に良く解らないんですが」

「えっ?ちょ……ちょっと奈緒さん?大丈夫ッスか?」

「はい。私は大丈夫ですよ。それよりも、アナタの方こそ大丈夫ですか?飲み物かなにか、お持ちしましょうか?」


ええぇぇえぇぇ~~~~!!

マジで、これ、なんだよ、どういう事だよ?


最初は、いつもの悪戯か嫌がらせの類だと思っていたのに、彼女の目は、とても冗談を言ってる目には見えない。

俺の質問に対して、常に不思議そうな顔をしてるぞ。


それに、いつもなら俺の事を『クラ』若しくは『君』って言うのに、さっきからズッと一貫して『アナタ』って言ってる。


なんか変だな。


・・・・・・


って!!オイオイ、まさかとは思うが。

さっきの崇秀や嶋田さんの洗脳にも似た演奏で、どこか変になっちまったって言うのか?


有り得ないだろ、そんな事。



「あの、奈緒さんですよね?」

「はい、向井奈緒ですが……なにか?」

「俺の彼女ですよね?」

「もぉいい加減にしてください!!……失礼します!!」


不愉快極まりない顔で、顔を逸らしながら立ち去ろうとする。


この反応からして……マジなんッスか?


ヤバイぞ、ヤバイぞ。

このまま放って置く訳にもいかず、素早く彼女の手を取る。



「ちょ!!奈緒さん」

「ちょっと!!さっきからアナタは、なんなんですか!!」


矢張り、不快そうな顔を向けられる。


この表情には、俺をからかってる様子もない。

こりゃあ本格的に不味い状況に成ってるみたいだぞ、オイ。



「あのっ、俺ッス。俺ッスよ、わかんないんッスか?」

「プッ!!クラでしょ……君、なに言ってんの?」

「へっ?」

「ひひぃ~」


突然、悪戯な満面の笑みを浮かべて、俺を見る奈緒さん。


余りの突然の出来事に、俺は、この状況が飲み込めず、混乱の一途辿る。


……ってか、冷静に考えたら。

やっぱり、からかわれてただけじゃねぇか!!


ったく、この人だけは……

まぁ俺自身は、別に怒ってはいないが、この場合は、少しお仕置きは必要だな。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


結局、からかわれてただけの倉津君。

マジで心配しただけに、ちょっと可哀想な事に成ってしまいましたね(笑)


でも、奈緒さんがこんな事をしたのにも深い理由があります。


次回、そこら辺を語っていきたいと思います♪


でわでわ、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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