●前回のおさらい●
第一部のライブが盛況に終わり。
みんなから褒められて、かなり嬉しい倉津君。
だが、ただでは終わらず。
奈緒さんだけは、なにやらおかしな言動をしてくる。
さてさて、なにが起こるのでしょうね?
奈緒さんのキッと睨みつける様な鋭い眼光と、俺に対する疑いの眼差しが同居している。
理由は簡単だ。
この様子からして、さっきの練習スタジオでの件を、かなり怒ってるんだろうな。
……しかしまぁ、まいったなぁ。
ただ単に怒ってるだけに留まらず。
また、この奈緒さんの中でも一番難儀で、厄介なパターンが採用されてるよ。
「あっ、あの、奈緒さ~ん、さっきの事は、土下座でも何でもしますから、もぉ許してくださいよぉ」
「あの……アナタは、先程から、なにを言われているのでしょうか?言われてる意味が、私には、よく解らないんですが、なんの話ですか?」
「だからッスね。さっきのスタジオでの一件の事ですよ」
「スタジオ……ですか?」
「そうッス」
「それは何のスタジオの事ですか?私、スタジオになんて行った憶えはないんですが」
「へっ?」
「はい?」
「ちょ!!奈緒さん、冗談が過ぎますよ。俺と、さっきスタジオに行ったじゃないですか?」
「私が……アナタとですか?」
指で、自分を指して、俺を交互に指す。
こう言う仕草は、いつもと同じなだけに、この人は性質が悪い。
明らかに、俺をからかってるか、完全に怒ってるかのどちらかだ。
まぁ100%後者なんだろうけど……
「そうッス」
「あの、重ね重ね失礼ですが。どなたかと勘違いされてるのでは?」
なんか今回は、おかしなぐらい徹底してるな。
そりゃまぁ俺が、こんな風に奈緒さんの機嫌を損ねる様な事をしたのは、確かだ。
最初に模範として演奏して貰ったにも拘らず。
その後は、スタジオで放置した上に、口を開けばイキナリ命令口調ばかり発してたんだから、これはもぉ怒られても仕方がない。
でもよぉ。
彼女なんだから、ちょっとぐらい許してくれても良いんじゃないッスかね?
なにも、此処まで徹底しなくても良いんじゃないッスか?
「あの……ご用が無いのでしたら、もぅ行って良いですか?」
「奈緒さん。もぅ良い加減許して下さいよ。あんな事2度と言いませんから」
今度はキョトンとした顔で、俺をジッと見る。
「ちょ……先程から、本当に、なにを謝られてるんですか?……あの、冗談とかではなく、本当に良く解らないんですが」
「えっ?ちょ……ちょっと奈緒さん?大丈夫ッスか?」
「はい。私は大丈夫ですよ。それよりも、アナタの方こそ大丈夫ですか?飲み物かなにか、お持ちしましょうか?」
ええぇぇえぇぇ~~~~!!
マジで、これ、なんだよ、どういう事だよ?
最初は、いつもの悪戯か嫌がらせの類だと思っていたのに、彼女の目は、とても冗談を言ってる目には見えない。
俺の質問に対して、常に不思議そうな顔をしてるぞ。
それに、いつもなら俺の事を『クラ』若しくは『君』って言うのに、さっきからズッと一貫して『アナタ』って言ってる。
なんか変だな。
・・・・・・
って!!オイオイ、まさかとは思うが。
さっきの崇秀や嶋田さんの洗脳にも似た演奏で、どこか変になっちまったって言うのか?
有り得ないだろ、そんな事。
「あの、奈緒さんですよね?」
「はい、向井奈緒ですが……なにか?」
「俺の彼女ですよね?」
「もぉいい加減にしてください!!……失礼します!!」
不愉快極まりない顔で、顔を逸らしながら立ち去ろうとする。
この反応からして……マジなんッスか?
ヤバイぞ、ヤバイぞ。
このまま放って置く訳にもいかず、素早く彼女の手を取る。
「ちょ!!奈緒さん」
「ちょっと!!さっきからアナタは、なんなんですか!!」
矢張り、不快そうな顔を向けられる。
この表情には、俺をからかってる様子もない。
こりゃあ本格的に不味い状況に成ってるみたいだぞ、オイ。
「あのっ、俺ッス。俺ッスよ、わかんないんッスか?」
「プッ!!クラでしょ……君、なに言ってんの?」
「へっ?」
「ひひぃ~」
突然、悪戯な満面の笑みを浮かべて、俺を見る奈緒さん。
余りの突然の出来事に、俺は、この状況が飲み込めず、混乱の一途辿る。
……ってか、冷静に考えたら。
やっぱり、からかわれてただけじゃねぇか!!
ったく、この人だけは……
まぁ俺自身は、別に怒ってはいないが、この場合は、少しお仕置きは必要だな。
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
結局、からかわれてただけの倉津君。
マジで心配しただけに、ちょっと可哀想な事に成ってしまいましたね(笑)
でも、奈緒さんがこんな事をしたのにも深い理由があります。
次回、そこら辺を語っていきたいと思います♪
でわでわ、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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