●前回のおさらい●
ヒナちゃんが崇秀に入れ込んでしまった理由は。
本当の意味で『自分を色眼鏡で見るのではなく、1個人として扱い、真正面から接してくれた優しさ』にあった。
それ故に『魂の融合すらも起こっても構わない』と思い込んでしまっている様子。
だが、それじゃあ『ただの重い女だぞ』っと冷静な判断の元、倉津君が言い放つのだが、その理由とは?
「まぁまぁ、待てよ、ヒナ」
「えっ?えぇ、えっ?うっ、うんうん」
「そうやって動揺する気持ちは十分に解るけどよぉ。ちょっとは落ち着けつぅの。重い女だとは言ったが、別に悪いとまでは言ってねぇんだからよ」
「えっ?えぇ、ちょっと待って、それって、どういう事?」
「いやな。人を、そうやって好きに成る事自体は良い事だし。その人の為に、脇目も振らず、必死に成る事も決して悪い事じゃない。……寧ろ、これ等は良い事だとすら思うぞ」
「うっ、うん」
「でもな。オマエの話は、究極的に極端過ぎるんだよ。そんなもんを、恋人にも成ってない奴に急に押し付けたら、ハッキリ言えばドン引きされるぞ」
「私が……ドン引きされる……」
まぁ、そこも、オマエさんが言いたい事は解るぞ。
此処も『オマエが好意を寄せて、嫌がる異性なんて存在する筈がない』って思ってるんだろ。
けど、それも半分だけ正解で、半分は間違いだ。
例えばだがな。
それが一般人になら通用する話になるかも知れないんだがな。
その相手が崇秀とも成ると、完全に別次元の話に成っちまうからなぁ。
それが、どう言う事かつぅと。
アイツの場合は、オマエ以上にモテるし、世間でも常に注目を浴びてる様な人間だから。
そんなトンデモネェ化け物から見れば。
残念ながら、オマエがどれだけ学校でモテようとも、世間に美人だと認知されようとも。
その程度の事じゃ、モブ同然の域に成り下がっちまうんだよな。
だからそれが、オマエが思う様な一般論は通じないって話にも繋がる訳だな。
それが直視し難い現実ってもんだしな。
・・・・・・
ただなぁ。
このままじゃあ、あまりにもヒナが不憫だから。
少しこの辺の事についての相談を、崇秀のアホンダラァにも持ち掛けて置いた方が良いかもな。
その為にも……
「まぁ、兎に角だ。此処で四の五の言ってても始まらねぇから。取り敢えずは、今日、向こうに戻った時にでも、あの馬鹿に相談して置いてやるからよぉ。おかしな事を考えず。今日のライブで良い所を俺に見せて、それを奴に報告させてくれよ」
「そっ、そしたら、明日逢いに来てくれるかな?」
「あぁ、短時間かも知れないけど。来てくれるかもしんねぇな」
「そっかぁ。……それが、明日だったら嬉しいんだけどなぁ」
なんだ?
やけに明日に拘るんだな?
明日って、なんか有ったっけ?
「まぁ、それは、本人に聞かなきゃ解んねぇけど。オマエさん、なんで、そんなに明日に拘ってるんだ?」
「ばか……明日はクリスマスイヴでしょ」
うん?
クリスマスイヴとな?
これはまた、どこかで聞いた様なイベント名じゃのぉ?
・・・・・・
あぁ~~~!!ホントだ!!
冒頭で、自分の口からクリスマスだと、なんだとホザイてたくせに、まるで他人事の様にスッカリ忘れてたよ!!
完璧にアホだな俺。
ヤバイヤバイヤバイ!!
特に今年は、奈緒さんと大事な約束をしてるだけに、マジでヤバかったわ!!
この話が出なきゃ、危うく今年も、またやらかす所だったからな!!
「あっ、あぁ~~~っ、クッ、クッ、クッ、クリスマスイヴな。そっ、そう言う事な。そう言う恋人同士の特殊なイベントも有ったな」
「ちょっと待って。アンタ、その調子じゃあ、まさかとは思うけど……忘れてたんじゃないよね?」
「おぅ、チャッカリ忘れてた」
「最低。ホントどこまでも最低……クリスマスイヴは、女の子にとっては大切なイベントなんだからね。シッカリしなよ。向井さん可哀想に」
「面目ねぇ。けど、なんか最近妙に忙しくてよぉ」
「倦怠期を迎え掛けてるサラリーマンの言い訳か!!……って、もぉ最悪。ツッコミなんかしちゃったよ」
「いや、あの、なんかすまんな」
「そう思うんだったら、明日、絶対に崇秀様を連れて来てよね。頼んだわよ。絶対だからね」
ドサクサ紛れに無茶言いやがるな。
そりゃまぁ俺としては、叶えてやりたいのは山々だけどよぉ。
向こうの世界じゃあ、アイツには、眞子って『正規の彼女』が居るからなぁ。
頼んでも、なんて言うか解んねぇんだよなぁ。
だから、口添えする事は約束出来ても、連れて来るとまで成ると約束は出来ねぇな。
「うぇ……マジかよ。アイツの意思は?」
「意思とか関係ないから。ただ一緒にライブをやって欲しいだけだから」
あぁ、これ、ダメだ。
言い出したら聞かないパターンだ。
今までの経過からして、俺が、絶対に『YES』って言うまで。
あれやこれやと言い包める様な言葉を並び立てて、ヒナが難癖付けてくるパターンだ。
もぉ……そんな我儘言わずに、此処は口添えするだけで妥協してくれよ。
「はいはい、解ったよ。約束は出来ねぇが、一応は頼んでみるわ」
「上手くやってよ。失敗したら、ただじゃ置かないからね」
「・・・・・・」
オマエは、本当に人の話を聞かねぇ奴だな。
こちとら、ハッキリと約束は出来ねぇつってんのに、なんでそうなるんだよ?
「返事わ?返事は、どうしたのかな?」
威圧もすな。
「……はいはい」
「宜しい。じゃあ、話も付いた事だし、ライブに行っか」
「……はいはい、そうッスね」
知るかぁ!!
明日はワシも、色々と忙しいんじゃあぁ~~~!!
(↑心の叫び)
まぁまぁ、言うてな。
その忙しくなってるのは、俺の自業自得な話な訳だから。
出来るだけオマエの要望には応えれる様には、俺も頑張ってみるわ。
この二週間、ヒナが必死に頑張って来たのも現実だしな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
なんだかんだ言いながらでも、ヒナちゃんには甘い倉津君。
ですが、それは恐らく、恋愛感情とかではなく。
コチラの【甘い世界】で育ち。
どこかまだ学生気分が抜けきっていないヒナちゃんを見てると、妙に微笑ましく思えてしまい。
こういう無茶な約束ですら、なんとか叶えてあげようとしてるものだと思われます。
まぁ、元々倉津君は、ヒナちゃんに限らず、誰に対しても甘いんですけどね(笑)
さてさて、そんな中。
漸くこれで、ヒナちゃんの問題も解決し。
本来の目的であるライブに向かう事が出来る様になったのですが……
今日は、どこに行くんでしょうね?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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