最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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592 調子に乗って、すみませんでした

公開日時: 2022年9月21日(水) 00:21
更新日時: 2023年1月14日(土) 15:46
文字数:3,770

●前回のおさらい●


 ネットさんの帰還と共に、彼を片倉さんの元に連れて行こうとする倉津君。

そこには倉津君也の思惑がある様だが……それは果たして上手く機能するのか?


その真相が此処に!!(笑)

「へっ?ぼ、ぼ、ぼ、僕が、そっ、そっ、そんな大それた場所に、い、い、一緒に行っても良いの?」

「ダメなんですか?」

「いっ、いや、ダメだと思うよ。よ、よ、呼ばれてるのは、く、く、倉津さんだけで、ぼ、ぼ、ぼ、僕は呼ばれてないから……」

「そうでしょうか?」

「そ、そ、そ、そうだよ。き、き、きっと、ぼ、ぼ、僕なんかが行ったら、い、い、嫌な顔されるだけだよ。い、い、い、行かない方が良いよ」

「えぇっと、片倉さんは、そんな事を言う人じゃありませんよ。それ処か、きっと喜ばれると思いますよ」


此処で量産型カジが、ネットのオッサンとの対面に喜ばなきゃ、まさに下心満載だったって証拠。


そんで、オッサンを粗悪にでも扱いやがったら、その時点で怒って帰る。

いや……寧ろ、そんな事態に陥ったら、いきなり泣き怒りして帰ったる。


まぁ要するにだ。

こうやってオッサンを一緒に連れて行こうとしてる理由の一端は、片倉が変な事を考えていた場合の、呈の良い帰る為の保険って感じだな。



「そ、そ、そ、そうかなぁ?」

「きっと、そうですよ。こんなに面白い漫画を描かれてる方なら、片倉さんも、1度はネットさんに直接お逢いしたい筈ですよ。だから一緒に行ってみましょ……ねっ」


そう言いながら、笑顔でオッサンの袖を引っ張る。


少々強引なんだが、これぐらいしないとな。

このオッサンの場合、いつまでも御託をズラズラ並べて来て、簡単に動きそうにないからな。



「あぁ、あ、あぁ、あぁ、はい。じゃ、じゃあ一緒に行きます」

「はい。じゃあ、ご一緒しましょう♪」


ハイ成功!!


なので、ブースの片づけをちゃんとしてから。

この顔が真っ赤なテールランプみたいに成ってる人を引っ張って、今から行きますよぉ~~。


***


「片倉さん、遅くなって申し訳ありません」

「あっ、倉津さん!!もぉ、あまりにも遅いから、来てくれないのかと思ったよ」

「すみません。ちょっとお片づけをしてたもので」

「あぁそっかぁ。じゃあ全然良いよ、全然良いよ。……って、あれ?ソッチの人は?」

「えぇっと、この方が、先程ご説明させて頂いた、噂のネットさんです」

「ど、ど、ど、ど、どうも、ネ、ネ、ネットです」

「あぁ、この人が、あの漫画を描いた人なんだぁ。俺、片倉ッス。宜しく」

「あぁ、あぁぁ、どうも」


あら?

意外や意外、量カジの奴、本当にオッサン連れて来てもOKだったみたいだな。


いや、でも、ちょっと待て……って事はだなぁ。


ゲッ!!この状況から察するに。

俺、ひょっとして、ただの『自意識過剰女』だったって事か?


うわっ!!マジで最低だ!!

こんな事態に成るとは思っていなかっただけに、今まで調子こいた事ばっかり言って、すんませんでした。


・・・・・・


あっ、あの……『オッさんを連れて来るだけの役のモブ女』は、お2人の邪魔になる様なので、サッサと此処を離れてブースのお手伝いをしてきます。


ホント、調子乗って、すんませんでした。



「あっ、あの……お2人も、色々とお話が有ると思いますので、私は、向こうでお手伝いしてきますね」


その後、眞子としての自信を失った俺は、量産型カジのブースで牛馬の様に働き。

その恥ずかしい事実を、必至に忘れ様とした。


……もぉ、誰も、こんな俺の事を見んとって……


***


 ……コミケ終了2時間前。

片倉先生の作られた大量の段ボール詰め込まれていた同人誌は、全て完売しました。


その間、網田先生(ネットさんの事)と、片倉先生は、なにやら真剣な顔で密談されているご様子。


勿論、そこには、私の様なモブ女には入る隙はございません。

なので、高名なお2人が、なにをされているのかまでは解りませんがね。

……話の途中から、お互いが打ち解けたのか。

笑いながら歓談されていた様な雰囲気だったので、悪い方向に話は進んではいないとは思います。


それだけでも、私の様なモブ女が、此処に網田先生をお連れした甲斐が有りました。


本当に良かったです。


あぁ……ただ、どうしてお2人様は、偶にコチラを、チラチラ見られてるのですか?


モブ女なんかに、変な気遣いは無用ですよ。



……ってか!!

俺を働かせるだけ働かして、なんぞ2人だけで楽しそうにしやがって!!

オマエ等みたいな義理も人情もない人間が、チラチラとコッチを見んな!!


うわ~~~ん!!もぉやだぁ~~~お家に帰るぅ~~!!


そんな悲しい心境を訴えたい俺を尻目に、同人誌完売後の量産型カジが『パンパン』って調子に乗って手を叩き。

全員集合の合図らしきものをスタッフに送って、自分の元に全員を集合させる。


ケッ!!なにが『集まってぇ~』だ!!

量カジのクセに調子乗んなつぅの!!

せめて、シャア専用カジに成ってから調子に乗れつぅのな!!



「ハイ、お疲れさん。スタッフのみんな集まって」


俺は手伝ってやっただけであって、此処のスタッフじゃないから、その場になんぞには行ってやらんからな。

オマエ等は、そうやって仲間同士で勝手に仲良く馴れ合って、反省会でもなんでもしてろつぅの!!


ケッ!!

(↑最低な俺)


……まぁ、そんな訳でだ。

集合の合図を無視して、量カジと、オッサンに心を傷付けられて御傷心中の俺は、サッサと家路に着こうとした。


コイツ等には、もぉ2度と関わらねぇからな!!


あばよ!!

(↑ただの逆恨み中の俺)



「……って!!あっ、あの、倉津さん。良かったら、倉津さんも、コッチに来て貰えないかな?」


……なにを今更。

どの口が、そんな事を、のたまわってやがるんだ?


人を呼び付けておいて。

しかも、散々手伝わさせるだけ手伝わせて無視した冷酷な奴の元になんぞに、誰が行くかつぅの。


『角無し』のボケた頭引っさげて、調子の良い事ばっかりぬかしてんじゃねぇぞ!!



「あぁ、すみません。ご一緒させて戴きたいのは山々なんですが、もぉそろそろ時間がありませんので。私は此処で、お先に失礼させて頂きますね。ご苦労様でした」


俺は深々と頭を下げて、サッサと退散準備を整えた。


乙女の逆恨みをくらえ!!



「えっ?嘘……あぁ、あの、倉津さん、ちょい待ち、ちょい待ち」

「はぁ、なんでしょうか?……あまり時間が無いのですが、まだなにかご用ですか?」

「ごっ、ごめんな。放ったらかしにして、本当に、ごめんな。……でも、話があるって言うのは、本当だから、もぉちょっとだけ待って貰える?」


ヤダ。



「あの~~~、そう言うのは『本当に困る』って、最初に、そうハッキリ申し上げたと思うんですが」

「あぁ、じゃあさぁ。まだ、お礼言ってないからさ。ちょっとだけ待ってよ」

「お礼なんて、とんでもない。コチラこそ、色々勉強させて頂きました。本当に、ありがとうございました」

「ちょ……」

「……では、失礼致しますね」


さっ、帰ろ。



「ちょ……倉津さん頼むって、頼むって、5分だけでも良いから、俺の話を聞いてよ」


モブ女に、なにを必至になっとんじゃ?


けど、相手にしてられないな。

5分だけでもオマエの話なんざ聞きたくないから、無視して『スタスタ』行ったる。



「・・・・・・」

「ほんと、お願いだから」

「・・・・・・」

「頼むって!!お願いします!!」

「・・・・・・」

「倉津さん、お願いだから話を聞いてよ!!」


もぉ、しつこいなぁ。



「……あの、片倉さん。そんなに必至になる程、私に、なんの御用なんですか?」

「実はさ……倉津さんには、君の親戚である真琴君が所属してるGUILDの話を聞きたいんだ」

「はい?」


熱意に押されたと言うか……俺は、量カジの必至さに、その場に足を止めた。


それにしても……急に、なんの話なんだよ?

なんでコミケに来てまで、音楽関係のGUILDの話なんかが出るんだ?


訳わかんねぇよコイツ。


馬鹿じゃねぇの?



「いや、ホント、訳が解らないかも知れないけど。取り敢えずで良いから、話だけでも聞いてくれないかな?」

「あぁ、はぁ」

「OK?OK?」

「あぁ、はい。まぁ」

「よっしゃあぁ~~~!!じゃあ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、此処で待っててね。絶対、直ぐに戻るからさ」


言い残すと量カジは、ダッシュで、みんなが集合してる場所まで走って行き。

息を切らせたままで、なんの前触れもなく、みんなにオッサンを紹介し『オッサンとのコラボ作品』を作る事を発表した。


そんで、それが終わると『コミケのお疲れ会』の場所だけを言って、再びダッシュでコチラに戻って来た。


しかしまぁ、なにを、そんなに焦ってるのかは知らねぇけど、忙しいやっちゃな。



「ごめんね」

「あぁっと、構いませんけど。……アチラの方は、宜しいんですか?」

「あぁ、全然大丈夫。後は、スタッフに任せて置けば、勝手に片付けてくれるから」

「はぁ……あの~~~、それで、片倉さんは、GUILDの、なにが知りたいんですか?私も、そんなに詳しくは知らないですよ」

「あっ、あの、それよりさぁ。此処で話すのもなんだから、ちょっとだけ、そこの喫茶店に入らない。……あの、これ、絶対にナンパじゃないから」


必至だな……オイ。


あまりの必至さに、見てる俺の方が悲しくなってきたぞ。



「はぁ、まぁ、少しでしたら」


まぁまぁ……取り敢えず、めっちゃ働いて喉も渇いた事だし。

ここは1つ、しょうがねぇから、飲み物を飲む序に、話を聞く位なら付き合ってやるか。


なにかは知らんが、俺に関わるマジな話が本当にあるみたいだしな。



こうして俺と量産型カジは、会場内にある喫茶店に向って行った。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


( ´,_ゝ`)プッ……倉津君、自爆しましたね(笑)


……っとは言え。

これは、倉津君の視点で語ってるが故に起きた現象であり。

実際は、片倉さんも、ネットさんも、倉津君を無視していた訳ではないんですがね。


では、何が起きていたかと申しますと。

実はこの2人、漫画やコラボする話をしていたのは事実としても、実際、一番盛り上がっていたのは『眞子の話』だったんですよ。


なので当然、そんな話を本人に聞かせられる訳もなく。

眞子が献身的に真面目に働く姿に感心させながらも、更に眞子の話が盛り上がっていただけだったりするんですよね。


所謂、お互いが勘違いして誤解し合ってるだけの感じだったんですよ(笑)


さてさて、そんな誤解のある中。

それでも尚、片倉さんの賢明な説得により、喫茶店で話し合いの席についた倉津君なのですが。


一体、片倉さんは、倉津君に関して、何を聞こうとしているのでしょうか?


それは次回の講釈なのですが。

その片倉さんが話す倉津君のお話に、少しでも興味を湧いて下さったのであれば、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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