●前回のおさらい●
眞子の所有権について口論をする、アホな奈緒さんとチヒロン。
それを見て、帰り難そうにしている素直ちゃんの手を引き、駅まで送って行こうとする倉津君。
でも、その前に……(笑)
「素直ちゃん。もぉこの2人は放って置いて、行こっか?」
「えっ?でも、向井さんと、樫田さん、このままでも大丈夫かな……」
「うん、きっと大丈夫だって……これ、どう見ても、ただの子供の喧嘩だもん。だから放って置いても大丈夫。その内、飽きて、仲直りしながらビールでも飲んでると思うよ」
「そっかぁ。でも、眞子ちゃんって……結構、酷い事も言うんだね」
「うん、酷いよ。私、酷い子だよ。そうしないと素直ちゃんが、此処から出られなくなるからね」
「えっ?」
「だから……素直ちゃんも、早く私みたいな酷い子になって、此処から抜け出した方が良いんじゃないかな?」
こんなんで、宜しいでっしゃろか?
この訳の解らん修羅場を抜け出すには、中々巧みな技だと思うんですがね。
「あっ、そう言う事か。……訳も解らず、突然、眞子ちゃんが、自分から酷い子だって言い出だした時は、僕、ビックリしちゃった。あの、あのね。僕ね……」
「あのぉ~、素直ちゃん。……また悪い癖が出てるよ」
「えっ?なに?」
「お喋りは、外に出てから、駅に向いながらにしよ」
「あっ、そうだね。……ごめんなさい。これじゃあ、酷い子じゃなくて、お馬鹿な子だね」
いや……俺としては、そこを謝られても困るんだがな。
別に話をする事自体は、特に悪い事でもなんでもない訳だからな。
……にしても素直の奴、ちょっとでも会話の切欠を与えたら、ホント良く喋るな。
次から次へと口から言葉を吐き出して、ベラベラと喋ろうとしてきやがる。
まぁこの辺は、今までの素直の生活がそうさせているんだろうが、心を許せる相手が少ない証拠でもあるのかもしれないな。
だったら、時間の許す限り、少しだけの間でも、こうやって眞子として付き合ってやっても罰は当たらねぇか……
そう言う面だけは、ホント、素直は恵まれてないからな。
……あぁ因みにだがな。
毒舌さんと、毒電波ちゃんは、さっきとは全く違う方向で、まだなにやら言い合ってる。
ようやるわ。
「んじゃあ、凄く酷い子と、お馬鹿な子が連れ立って、駅まで行こっか」
「あっ、うん。……でも、眞子ちゃんって、ホントに酷いんだね」
「でしょ」
あぁ……なんか無理して良い子ぶるより。
コッチの『少々悪い眞子のパターン』の方が、無理なく眞子を演技出来そうな雰囲気だな。
そう考えたら、好感度を求めるだけの、ただの良い子なキャラクターを演出するんじゃなく。
今後の為にも、眞子のキャラクターを、こんな風に少々路線変更して置くのも悪くないかもな。
なら一発、此処でも、それを仄めかす様な行動をかまして置くか。
「あぁそうだ、そうだ。素直ちゃん、ちょっと良い?」
「どうしたの?」
「あのね、此処を出る前にね……(ごにょごにょごにょ)」
……ってな訳でだ。
いつまでも長々と言い合いをしてる2人に、ちょっとした悪さをしたろ。
眞子は小悪魔ですから♪
(↑前回の奈緒さんの言葉を、シッカリ聞いてた俺)
「えっ!!そんな事して大丈夫かな」
「大丈夫、大丈夫。2人してビックリする筈だから」
「そうかなぁ。じゃあ、試しにやってみるね」
「うん♪」
「〈〈〈〈〈あの!!向井さん、樫田さん!!お邪魔しましたぁ~~~!!僕、そろそろ帰りますねぇ~~~!!〉〉〉〉〉」
素直は、俺の言う通り、腹の底から精一杯大きな声を出して、奈緒さんと、アホの千尋に帰りの挨拶をした。
その声量たるや、恐ろしい程、部屋に反響して響き渡ったのは言うまでもないのだが。
素直に進言をしたのにも拘らず、耳を塞ぐのを忘れて自爆した俺も……『耳キィ~~~ン』
しかしまぁ、マジでスゲェ声量だな。
以前とは比べ物にならないぐらい、素直の声量の成長を目の当たりにした気がした。
……で、これを聞いた2人の反応はと言うとだな。
「「えっ?あぁ、うん、時間も時間だから、気を付けて帰るんだよ」」
奈緒さんと千尋が、計らずともハモった!!
寸分の狂いもなく同じセリフでハモってしまった!!
しかしまぁ、流石にこの状況下でハモったら、ちょっと恥ずかしいだろうな。
プププ、これは完全にやっちゃいましたな、お2人さん。
なんて心の中で笑っていたら……
「……真似ババァ」
「はぁ?ちょ!!誰が真似ババァよ。……そっちこそ、私の真似したんじゃないの!!この脳タリン豚!!」
「はぁ?アンタねぇ。何処をどう見たら、そう見えるのよ?今のは誰がどう見たって私の方が先に言ったでしょ!!目が悪いんじゃないの!!」
「あぁはいはい、そうですね。先に言えてたかもね。じゃあ、ちゃんと言えてまちたよぉ千尋ちゃん」
「なっ!!この鬼ババァだけは腹立つわぁ……なによ、その言い方!!」
「そっちこそ、なによ?こうやって、ちゃんと認めてあげてるんだから、寧ろ有り難く思いなさいよ。それとも、もっと褒めて欲しいのかなぁ、千尋ちゃんは?」
「なっ!!」
「よく出来まちたねぇ千尋ちゃん、お利口ちゃんですねぇ。これで良い?ねぇ、これで良い千尋ちゃん?」
「こんのぉ~~~嫌味ババァ!!」
あぁダメだ、こりゃあ。
一瞬、気恥ずかしさから、素直の大声で収まりがつくかと思ったけど。
今度は、それが原因と成って、この2人、また別の話で喧嘩し始めちまったよ。
ホント、この2人って、大人なんだか、子供なんだか。
まぁ、仲が良いからこそ、こうやって言い合えるんだろうけど……流石に、これ以上、付き合うのはは疲れるわ。
それに素直も、この状況を見て、また帰り難そうにしてるしな。
「ねぇ、素直ちゃん……」
「えっ?うっ、うん?なに眞子ちゃん」
「流石に、これ以上、相手にしたら疲れるから、そろそろ行こっか」
「あぁうん、そうだね。……行こっか」
こうして俺と素直は、2人に呆れながらも、まだ喧嘩してる2人を放置したまま、外に出る事にした。
俺が帰って来る頃には、2人が仲直りしてる事を望みながら(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
『喧嘩するほど仲が良い』なんて申しますが……これは酷い(笑)
あの奈緒さんでさえ、こんな有様なので。
異性が居ない場で感情が高ぶってしまったら、誰でも、こう成ってしまうのかもしれませんね。
ただ、此処でご理解頂きたい点が1つだけありましてね。
【奈緒さんが、この場では、かなり無理をしている】っと言う事を。
実際の話で言えば。
見栄を張る事を信条にしてる奈緒さんにすれば。
こんな無様な姿は、彼氏である倉津君には見せたくない筈。
でも「自然な女子っと言うものを倉津君に見せる為だけに、その感情を抑え込んでまで、千尋ちゃんと口論している」のですからね。
ホント奈緒さんは、そこまで出来る献身的な子なのですよ♪
(ちょっと倉津君に対しての、その献身的な態度は異常ですけどね(笑))
さてさて、そんな中。
素直ちゃんと外に出た倉津君なのですが……やっぱり、このアンポンタン、何か忘れてませんかね?
まぁ、その辺りが、少しでも気にして頂けたら。
是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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