最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

564 仲が良いからこそ出来る言い合い

公開日時: 2022年8月24日(水) 00:21
更新日時: 2023年1月12日(木) 21:30
文字数:2,351

●前回のおさらい●


 眞子の所有権について口論をする、アホな奈緒さんとチヒロン。

それを見て、帰り難そうにしている素直ちゃんの手を引き、駅まで送って行こうとする倉津君。


でも、その前に……(笑)

「素直ちゃん。もぉこの2人は放って置いて、行こっか?」

「えっ?でも、向井さんと、樫田さん、このままでも大丈夫かな……」

「うん、きっと大丈夫だって……これ、どう見ても、ただの子供の喧嘩だもん。だから放って置いても大丈夫。その内、飽きて、仲直りしながらビールでも飲んでると思うよ」

「そっかぁ。でも、眞子ちゃんって……結構、酷い事も言うんだね」

「うん、酷いよ。私、酷い子だよ。そうしないと素直ちゃんが、此処から出られなくなるからね」

「えっ?」

「だから……素直ちゃんも、早く私みたいな酷い子になって、此処から抜け出した方が良いんじゃないかな?」


こんなんで、宜しいでっしゃろか?


この訳の解らん修羅場を抜け出すには、中々巧みな技だと思うんですがね。



「あっ、そう言う事か。……訳も解らず、突然、眞子ちゃんが、自分から酷い子だって言い出だした時は、僕、ビックリしちゃった。あの、あのね。僕ね……」

「あのぉ~、素直ちゃん。……また悪い癖が出てるよ」

「えっ?なに?」

「お喋りは、外に出てから、駅に向いながらにしよ」

「あっ、そうだね。……ごめんなさい。これじゃあ、酷い子じゃなくて、お馬鹿な子だね」


いや……俺としては、そこを謝られても困るんだがな。

別に話をする事自体は、特に悪い事でもなんでもない訳だからな。


……にしても素直の奴、ちょっとでも会話の切欠を与えたら、ホント良く喋るな。

次から次へと口から言葉を吐き出して、ベラベラと喋ろうとしてきやがる。


まぁこの辺は、今までの素直の生活がそうさせているんだろうが、心を許せる相手が少ない証拠でもあるのかもしれないな。

だったら、時間の許す限り、少しだけの間でも、こうやって眞子として付き合ってやっても罰は当たらねぇか……


そう言う面だけは、ホント、素直は恵まれてないからな。


……あぁ因みにだがな。

毒舌さんと、毒電波ちゃんは、さっきとは全く違う方向で、まだなにやら言い合ってる。


ようやるわ。



「んじゃあ、凄く酷い子と、お馬鹿な子が連れ立って、駅まで行こっか」

「あっ、うん。……でも、眞子ちゃんって、ホントに酷いんだね」

「でしょ」


あぁ……なんか無理して良い子ぶるより。

コッチの『少々悪い眞子のパターン』の方が、無理なく眞子を演技出来そうな雰囲気だな。


そう考えたら、好感度を求めるだけの、ただの良い子なキャラクターを演出するんじゃなく。

今後の為にも、眞子のキャラクターを、こんな風に少々路線変更して置くのも悪くないかもな。


なら一発、此処でも、それを仄めかす様な行動をかまして置くか。



「あぁそうだ、そうだ。素直ちゃん、ちょっと良い?」

「どうしたの?」

「あのね、此処を出る前にね……(ごにょごにょごにょ)」


……ってな訳でだ。

いつまでも長々と言い合いをしてる2人に、ちょっとした悪さをしたろ。


眞子は小悪魔ですから♪

(↑前回の奈緒さんの言葉を、シッカリ聞いてた俺)



「えっ!!そんな事して大丈夫かな」

「大丈夫、大丈夫。2人してビックリする筈だから」

「そうかなぁ。じゃあ、試しにやってみるね」

「うん♪」



「〈〈〈〈〈あの!!向井さん、樫田さん!!お邪魔しましたぁ~~~!!僕、そろそろ帰りますねぇ~~~!!〉〉〉〉〉」


素直は、俺の言う通り、腹の底から精一杯大きな声を出して、奈緒さんと、アホの千尋に帰りの挨拶をした。


その声量たるや、恐ろしい程、部屋に反響して響き渡ったのは言うまでもないのだが。

素直に進言をしたのにも拘らず、耳を塞ぐのを忘れて自爆した俺も……『耳キィ~~~ン』


しかしまぁ、マジでスゲェ声量だな。

以前とは比べ物にならないぐらい、素直の声量の成長を目の当たりにした気がした。


……で、これを聞いた2人の反応はと言うとだな。



「「えっ?あぁ、うん、時間も時間だから、気を付けて帰るんだよ」」


奈緒さんと千尋が、計らずともハモった!!

寸分の狂いもなく同じセリフでハモってしまった!!


しかしまぁ、流石にこの状況下でハモったら、ちょっと恥ずかしいだろうな。


プププ、これは完全にやっちゃいましたな、お2人さん。


なんて心の中で笑っていたら……



「……真似ババァ」

「はぁ?ちょ!!誰が真似ババァよ。……そっちこそ、私の真似したんじゃないの!!この脳タリン豚!!」

「はぁ?アンタねぇ。何処をどう見たら、そう見えるのよ?今のは誰がどう見たって私の方が先に言ったでしょ!!目が悪いんじゃないの!!」

「あぁはいはい、そうですね。先に言えてたかもね。じゃあ、ちゃんと言えてまちたよぉ千尋ちゃん」

「なっ!!この鬼ババァだけは腹立つわぁ……なによ、その言い方!!」

「そっちこそ、なによ?こうやって、ちゃんと認めてあげてるんだから、寧ろ有り難く思いなさいよ。それとも、もっと褒めて欲しいのかなぁ、千尋ちゃんは?」

「なっ!!」

「よく出来まちたねぇ千尋ちゃん、お利口ちゃんですねぇ。これで良い?ねぇ、これで良い千尋ちゃん?」

「こんのぉ~~~嫌味ババァ!!」


あぁダメだ、こりゃあ。

一瞬、気恥ずかしさから、素直の大声で収まりがつくかと思ったけど。

今度は、それが原因と成って、この2人、また別の話で喧嘩し始めちまったよ。


ホント、この2人って、大人なんだか、子供なんだか。


まぁ、仲が良いからこそ、こうやって言い合えるんだろうけど……流石に、これ以上、付き合うのはは疲れるわ。


それに素直も、この状況を見て、また帰り難そうにしてるしな。



「ねぇ、素直ちゃん……」

「えっ?うっ、うん?なに眞子ちゃん」

「流石に、これ以上、相手にしたら疲れるから、そろそろ行こっか」

「あぁうん、そうだね。……行こっか」


こうして俺と素直は、2人に呆れながらも、まだ喧嘩してる2人を放置したまま、外に出る事にした。


俺が帰って来る頃には、2人が仲直りしてる事を望みながら(笑)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


『喧嘩するほど仲が良い』なんて申しますが……これは酷い(笑)


あの奈緒さんでさえ、こんな有様なので。

異性が居ない場で感情が高ぶってしまったら、誰でも、こう成ってしまうのかもしれませんね。


ただ、此処でご理解頂きたい点が1つだけありましてね。


【奈緒さんが、この場では、かなり無理をしている】っと言う事を。


実際の話で言えば。

見栄を張る事を信条にしてる奈緒さんにすれば。

こんな無様な姿は、彼氏である倉津君には見せたくない筈。


でも「自然な女子っと言うものを倉津君に見せる為だけに、その感情を抑え込んでまで、千尋ちゃんと口論している」のですからね。


ホント奈緒さんは、そこまで出来る献身的な子なのですよ♪

(ちょっと倉津君に対しての、その献身的な態度は異常ですけどね(笑))


さてさて、そんな中。

素直ちゃんと外に出た倉津君なのですが……やっぱり、このアンポンタン、何か忘れてませんかね?


まぁ、その辺りが、少しでも気にして頂けたら。

是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート