最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1460 許すと言う行為と言うものは……

公開日時: 2025年2月2日(日) 00:21
文字数:2,003

●前回のおさらい●


 奈緒さんを前にして、許す言葉がどうにも上手く浮かばない倉津君。

それ故に、今回の一件に触れる事無く、日常会話の様なものをしてしまうのだが。

このままでは、いつまで経っても『許してあげる事が出来ない』っと判断し……意を決して!!

「奈緒さん」

「えっ?あっ、あぁ、はい」

「好きッスよ」

「えっ?」

「いや、だから、好きッスよ。大好きッスよ。心の底から大好きっスよ」

「えっ?えっ?えっ?えっ?それって……」

「そうッスね。今、奈緒さんの姿を見て、改めて思い知らされたんッスが。俺には、ヤッパリ、奈緒さんしかいないッス。……昼間は感情が昂ぶったとは言え、酷い事を言っちゃって、すんませんでした。もぅ一回、こんな俺と、お付き合いを始めてくれませんか?」


突然、意を決した感じなんで。

こんな風に成っちゃいましたが、こう言うので、どうッスかね?


俺の率直な気持ちを、丸ごと全部、包み隠さず言葉にしてみたんッスけど伝わりましたかね?


……って言うかな。

今回の一件、俺には、ほぼ非がなかったとは言え。

『全く非がなかった』と言い切れる訳でもない訳だからだな。

まずは、そこを起点にして、素直に言葉を紡いでみたんだよ。


要するに、ほぼ非がなくても反省点はあった訳だな。


だったら、その非を、まずは俺の方が認めて奈緒さんに謝罪をし。

彼女の気持ちを和らげてあげるのが、彼氏である俺の務めってもんじゃないのか?


そんでその上で『今後、どう付き合っていくのか?』っと言う選択肢を、彼女に投げてあげる。


こうしてあげる事によって。

この後、彼女も、立場上言い難かった言葉を紡ぎやすくなると思うしな。


どうでっしゃろか?



「許して……くれるって言うの?」

「いやいや、許すも、なにも、許す事なんて、最初からなにも無かったんッスよ。高々SEXしたぐらいで、あんなに激昂する事もなかったんッスよ」

「高々って……」

「いや、そりゃあまぁ、俺としては、あまり気分の良いものではないッスけど。事情が有ると言ってるのに、俺が、奈緒さんを信じ切れなかったのも事実ッスからね。だから、こんな間抜けな俺を、まずは許して欲しいッス。そんで、改めて、また付き合って欲しいッス」

「クラは……それで良いの?それに私、本当に、クラの彼女のままで良いの?君の横に居させてくれるの?」


良いに決まってるじゃないッスか。

寧ろ、一生、奈緒さんが横に居てくれなきゃ、俺が困るッスからね。


だから俺は、なにも言わずに『コクッ』と頷くだけに留めた。


ちょっと信用の復活までには時間が掛かっちまいましたけど、いっぱい不安な気持ちにさせてゴメンな、奈緒さん。


嫌じゃなきゃ、また俺の横に居て下さい。



「うっ……うぅ……もぉ、ダメかと思った」

「えっ?」

「此処で待ってても、きっと、もぉダメだと思ってた。怒られるだけで、もぉダメだと思ってた。うっ、うっ……今回ばかりは、本気で捨てられると思った。もぉ絶対に許して貰えないと思ってた。なのに……なのに……」


沙那ちゃんを膝枕したまま。

奈緒さんはグッと拳を握りしめながら、ポロポロと大粒の涙を零し泣きはじめた。


矢張り今回の件は、奈緒さんでも、かなり堪えていたらしい。


そして、それと同時に、今回の一件では、全くと言っていい程、彼女には非が無かったのも明確になった。

眞子が起した、なにかしろの困った事情が原因になってしまい、そう成らざるを得なかったのも、どうやら事実の様だ。


何故そう思えるか?と言うとだな。


普段の奈緒さんは、相当な事がない限り、早々には人前で涙を流す事がない。

それを、これだけ人目も憚らずポロポロ涙を零して泣くって事は、もう自分自身でもどうして良いのか解らずに、ただただ耐え忍んできた証拠だと認識出来るからだ。


だからこそ俺は、この涙を信用する。


どれだけ気丈に振舞っていても、奈緒さんも、まだ17歳の女の子だもんな。


そこも考慮してあげなきゃいけないと思うんだ。



「あぁ、泣かないで下さいよ、奈緒さん。俺、俺、今度こそ、奈緒さんの言葉を疑ったりしないッスから。奈緒さんの言う事は全部信用しますから。だから、もぉ泣かないで欲しいッス。涙を拭いて下さい」

「あぁ……クラ……クラ。本当に、こんな馬鹿な女で良いの?こんな性にダラシナイ女で良いの?私……私、君の横に居て良いの?居させて貰って良いの?」

「はい。是非ともズッと居て欲しいッス。奈緒さんだけが、俺の横に居続けて欲しいッス。奈緒さんじゃなきゃダメっす。他じゃあ話にならないッス」

「うっ、うっ、……うぇ、うえぇ、うえぇ~~~~~ん!!ありがとう!!ありがとうクラ!!こんな私なのに、まだ必要としてくれて、ありがとう!!私……私……」


いやいや、ホントあれッスよ。

そうやって、無価値な俺なんかに、そんな多大な価値を見い出してくれて、コチラこそ、ありがとうッス。

本気の涙を俺なんかの為に流してくれて、ありがとうッスよ。


今更、調子の良い事を言ってるのかも知れないッスけど、ヤッパリ奈緒さんは、俺だけのものッス。


何所にも行っちゃダメっす。



これで、この問題も終了……か?


大丈夫か?

(↑相変わらず、上手く行くと不安に成って、警戒する俺)



「……うん?あれ?雨?雨漏り?」


あっ……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


今回の言葉の掛け方は、倉津君、お見事だと思います。

許す立場にあるからこそ出来る。

自身の僅かな非を認めて、許されるべき立場にある奈緒さんに選択肢を委ね。


彼女に言葉を発しやすい状況を作り上げた訳ですからね。


これは中々、普通の精神じゃ出来ない。

いや寧ろ、奈緒さんを最愛の人だと思えるからこそ、出来た行動だと思いますです。


まぁ……全体的に言えば、かなり甘いんですけどね(笑)


さてさて、そんな中。

感情が昂りきった奈緒さんの目から零れ落ちた涙が。

最後に、奈緒さんの膝枕で寝ていた沙那ちゃんに掛かってしまった様子。


それで起きてしまった沙那ちゃんに、2人はどう言う対応をするのか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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