●前回のおさらい●
グチ君の一件は、明日、ドラマーである奈緒さんと山中君が一度指導してみる事で、話は一旦落着。
だが、その後、倉津君と奈緒さんがイチャ付いてるのを見て嫉妬した山中君が『今日は、倉津君と一緒に、奈緒さんの家に泊めて貰う』っと言う嫌がらせに出た!!
さてさて、どうなる事やら(笑)
「良いよ。その代り、自分で布団ひいてね」
「うわぁ、余裕か……腹立つわぁ」
「カズが泊まるって事は、クラも泊まるんでしょ?泊まるんだったら、クラも、自分で、ちゃんと布団をひくんだよ」
「あっ、はいッス」
この人、本当に、なに事にも動じない人だな。
まぁでも、こうやって、一人暮らしをしている奈緒さんに家に、みんなで泊めて貰うのって、そんなに珍しい事でもないんだけどな。
頻繁にとまではいかないが、数人で集まってる時にのみ、こう言う事は結構ある訳だしな。
ただ今現在の俺の心境としては、山中が帰った後、奈緒さんとのイチャ付きタイムが欲しかったんだが……まぁしょうがねぇか。
今回、山中には親身に相談に乗って貰った事だし、今日だけは、儚くも悲しい男、山中に付き合ってやるのも悪くねぇか。
奈緒さんとイチャ付くのは、今度の機会にして諦めてやるよ。
神仏並みの慈悲深さだな、俺って。
***
俺と、山中は、勝手知ったる奈緒さんの家。
押入れから布団を取り出して、部屋にひいていった。
ひき終ると、布団に寝転びながら山中が、最後に余計な事を言ってきた。
「ほな、俺は、2人のお邪魔になったら悪いから先に寝るわ。2人共、これやるから、程々にして、はよ寝るんやで」
「うん?なによ、これ?」
そう言って山中は、奈緒さんに何かを渡した。
だが、その奈緒さんに手渡されたものは『コンド-ム』
オイオイ山中君よぉ、これって、オマエが寝てる横で、俺と奈緒さんがHするとでも思ってるのか?
アホか!!そんな事する訳ねぇだろ!!
っと、俺の動揺に反して、奈緒さんはと言うと……
「あぁ、なにかと思ったらコンドームかぁ。けど、こんなのいらない、いらない」
「なんや?今日はせぇへんのか?それとも、この部屋のどっかに大量に隠してあるんかいな?それやったら、豪い準備良ぇこっちゃな」
山中、知ってるか?
それを、俗世間一般では……セクハラって言うんだぞ。
もし知らないんなら、今すぐ憶えて置けな。
ってか、人の大事な彼女にセクハラしてんじゃねぇよ!!
「さぁ~~~、どうだろうね。けど、Hするにしてもコンドームは要らないよ。クラとは、絶対に生でしかしないもん」
「ブッ!!」
「ぶっ!!」
ハハハ……『生』だけに『生々しい』ですね奈緒さん。
つぅか、そう言う他人に知られなくて良い情報を、女の子がベラベラ喋るんじゃありませんよ!!
もぉ……この人だけは。
「なんで2人揃って『ぶっ!!』なのよ?あのねぇ、少しは女の子の立場でモノを考えてもみなよ。コンドームなんかしたら、女側は、なんか凄い違和感が有るんだよ。それに、なにより、クラを直接感じられないから、コンドームなんか、絶対にしないの」
「いや、奈緒さん。それワザワザ言わなくても……」
「ヤッパ、奈緒ちゃん。ハンパなくエロイわ。エロ女王や」
「エロくないからね。……って言うかさカズ。私、さっき『エロって言うな』って言ったよね。聞いてなかったの?」
「ちょ……」
『ポコ』
『バタッ』
ハイ、いつもの一撃です。
「今回は俺、なんも悪ないやん。今のは奈緒ちゃんが勝手に言……」
「黙れ……」
『ポコ』
『バタッ!!きゅうぅ~~~』
あぁ死んだな。
今度のはボケじゃなく、完全に死んだな。
23時17分、最善を尽くしましたが、ご臨終ですな。
……さようなら山中、フォーエバー。
「さて、カズもスッカリ寝ちゃった事だし、一緒にフロに入ろっかクラ」
「へっ?」
「なに?学校で約束したじゃない『一緒に風呂の入ろうね』って。こんなに汗掻いたまま寝る気なの?」
「えぇ~~~っ、けど、山中が居るんッスよ」
「大丈夫、大丈夫。今の良い位置に入ったから、1時間は目が覚めない筈だよ。早く入ろ」
「いや、しかしッスね」
「やなの?(ジロッ)」
あっ、あれ?
その目は、ひょっとして、今の俺の言葉に怒ってらしゃいますか?
「いえいえ、とんでもないッス。光栄ッスよ光栄」
「うん、よろしい。じゃあ入ろっか。綺麗に背中流してあげるね♪」
「はっ、はぁ」
俺は反論を許されず、奈緒さんに従って、彼女の後を追って行った。
付き合う前からそうなんだが、俺って、奈緒さんの尻に敷かれっ放しだな。
ダメだな俺……
***
奈緒さんが楽しそうに風呂に向って行く姿を見ながら、最後に何気に山中を確認すると……
奴は、殺虫剤を掛けられたゴキブリみたいに『ピクピク』しながら、ボソボソと、なにかを言っていた。
その言葉が気になって、祖ッと奴の言葉に耳を傾けてみると……
「まっ……まさか、風呂でHしようと考えていたとはな。流石の俺も、その『企画』は考え付かんかった。正に『楽しい家族プラン』……やっ、やるな奈緒ちゃん……『ガクッ』」
あぁ、やっと死んだ。
けどな山中、此処でもう一度ハッキリ言っとくがな。
『絶対にしねぇからな!!』
つぅか、それ以前に、人様の神聖な儀式の事を『企画』とか『楽しい家族プラン』とか言うなつぅの!!
生々しいわ!!
それに今日一日で、色んな意味を込めて『企画恐怖症』になってんだからよ!!
余計な事を言わずに、そこで死んでろ!!
この煩悩魔神が!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
余計な事ばかり言う害虫・山中君が退治され。
第五話『ある意味、企画って怖いな』は終わって行くのですが……この最後の山中君の逸話、イラナイですね。
はい、すみません<(_ _)>
企画繋がりで『楽しい家族プラン』って言うのをオチにしたかっただけです。
重ね重ね、すみません<(_ _)>
さて、そんな感じではありますが。
次回からは、第六話『様々な鬼』っと言うお話が始まります。
何を指して『鬼なのか?』を堪能して頂ける様に頑張りますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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