第一章・第二十二話【体に宿る2つの心】が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
022【体に宿る2つの心】
『ぬぬぬぬぬぬ……ヤッパ無理だ。コレだけは、どうやっても踏ん切りが付かねぇよ』
はぁ~~~~、もぉまいったなぁ。
もぉどうしたもんだよ、こりゃあ……
一体どうすりゃ良いんだよ……
今さっきの奈緒さんに頂いた有り難い言葉のお陰で【この女体化】に対しても少しは気が楽になったのは事実なんだけどな。
そうやって少し気が楽に成ったとは言え、これに関しては、俺の想像を絶する様な難問なんだよ。
―――まぁ『なにをそんなに悩んでるのか?』ってのはな。
前節の最後の方で散々言ってた事だから、既に、もぉおわかりだと思うんだけどな。
そぅ……俺が悩み続けている理由ってのは、奈緒さんが置いて行った『あの例の女物の服』の事なんだよ。
奈緒さんが仕事に出て行ってからのと言うもの、この1時間程、ズッと、それだけを悩み続けてんだよな。
その証拠にだな、今現在進行系で、これと一時間以上も、終わりのない睨めっこをし続けていたんだから、その悩みは隠し様がない。
……だけどな、このまま居ても埒が開かないと思い、意を決して重い腰を上げ。
さっき言った服を小脇に抱え、この女物の服に着替える為に、漸く、部屋から洗面所に向う決心を付けたんだよ。
んで、勢い良く廊下に出たんだ。
けど……廊下を歩く度に、不安な気持ちが膨らんだ上に、決心がドンドンと鈍っていき。
洗面所に行き付いた頃には……簡単に心が折れていた。
廊下に出てからと言うもの『俺が、この可愛らしい女性物の服を着るのか』って言う気持ちが、無常にも込み上げて来て。
持っている服をチラ見るするたびに『男のままの俺が』それを着るみたいな錯覚に陥いってしまう。
うぅ……考えただけでも気持ち悪ぃ。
そしてそれが、俺の悩みであり、此処に来て再度心が折れた最大の原因だ。
そんでまぁ、此処で結論的な話をすればだな。
なにをどう考えても、この女物の服を着ると言う事に関してはだな。
『女装した俺』だとしか、脳が確認してくれない訳だ。
頭では、この状況を少しづつ理解をしているつもりではあるんだが、結局、心では、完全に、それを拒絶している証拠なんだろうな。
……でも、少しは俺の心境も考えて見ろよ。
元々厳つい俺が、女物の下着を付けて、女物の服着る想像しか出来無いんだぞ。
そんなもん、誰が想像した所で『立派な変態』のビジョンしか浮かばねぇつぅの。
そりゃあよぉ、現実的な話で言うなら、今の形は『女』なんだから、ひょっとして、全く違和感が無いのかも知れないけどだな。
こんなもんも、都合の良い方向に考えてるだけだし、やっちまった後じゃ、後悔も先に立たない。
そんな理由があるので、洗面所の中に入って行ける訳でもなく。
廊下をウロウロと行ったり来たりしてるだけの熊みたいな状態が、もぉ更に30分以上経過してしまった始末だ。
実に情けない話なんだが、事これに関してだけは……俺は完全にビビッてる状態だ。
***
……んで結局、1時間30分もの時間を費やしたにも拘らず、結果は部屋に逆戻りしてしまっただけ。
この間に唯一成果を上げられたとしたら、それは、奈緒さんの置いて行ってくれた女性物の服を、洗面所の扉の裏にそっと置けた事ぐらいのもんだろう。
ヤッパ、土台無理な話だよ……
「はぁ~~~、マジで、どうしたもんかな、こりゃあ?もぉヤダなぁ」
そして俺は、良い解決策が全く浮かばないまま。
部屋にあるコタツに、うつ伏せに突っ伏したまま動かなくなった。
ダメだ、こりゃあ。
……なんて言ってても、本当にダメだよなぁ。
こんな事をしていてても、時間が無駄に過ぎて行くだけだし、何1つ解決しやしねぇ。
しゃあねぇ。
服の件で、基本的な部分での打開策じゃねぇけど、もう一回、崇秀の奴に電話だけでも掛けてみるか。
それが、本質的な問題の解決に向う、最大の糸口になるかも知れないしな。
今の心境で出来る事では、これが一番前向きで順当なラインだよな。
そんな逃げ口上を思い付いた俺は、余計な事は、なにも考えずに、再度、崇秀に電話を試みた。
『プルルルルル……ガチャ!!』
うわっ!!なんだなんだ?
予想に反して、ワンコールで出やがった!!
電話に出ない事を前提にしていた俺は、妙な緊張感から、心臓が『ドキドキ』している。
それ処か、現実逃避を目的にしてただけに、全く頭の整理が付かない。
完全にパニッくった状態に陥った。
「あいよ。なんか用か?」
「なっ、なっ、なっ『なんか用か?』じゃねぇんだよ!!オマエなぁ、なんつぅもんを渡してくれんだよ。なんでも良いから、兎に角、責任取れ責任!!」
頭が混乱しているので、説明なんか出来ず。
ただ感情に任せて怒りながら、訳の解らない事を口走ってしまった。
これじゃあ、まるで犯人扱いだ。
けど、1度出してしまった言葉は戻らない。
俺は、そのテンションのまま話を続け様としている。
そこに、意外な解答が返って来た。
「はぁ?誰だよ、オマエ?」
だよな。
こんな甲高い声に成っちまってたんじゃ、俺が誰だかわかんねぇわな。
「俺だよ俺!!倉津だよ!!」
「はぁ?倉津だと?……つぅかオマエ、なんつぅ声出してんだ?おかしな甲高い声でキャンキャン耳元で吼えるなつぅの。馬鹿女かテメェは」
あぁ、その通りだよ!!
オマエの渡した『変な薬』のお陰でなぁ。
今テメェの言ってた、甲高い声でキャンキャン耳元で吠える様な成りたくもない女になってんだよ!!
ってか!!サッサとなんとかしやがれ!!
「キャンキャン吼えてねぇし!!……ってか、んな事は、どうでも良いから、兎に角、サッサと責任取りやがれ」
「だから、なんのだよ?俺に、なんの責任が有るって言うんだよ?余計な事バッカリ言ってねぇで、ちゃんと説明してみろ。……話が見えねぇんだよ」
なんで見えねぇんだよ!!
なんで当事者のテメェが、この状況を理解出来てねぇんだよ!!
そんなもんはなぁ。
悪事を働いたテメェの胸に手を当てさえすりゃ、この俺の置かれている状況も、直ぐに、わかんだろうが!!
なめてんのかテメェは!!
「あぁそうかい、そうかい。そうやってオマエは惚けるつもりなんだな。じゃあ、俺の口から、キッチリ説明してやるよ」
「あぁ、構わないが、忙しいから簡潔に話せな」
この態度……コイツ。
自分の仕出かした事が、如何に、他人に迷惑を掛けてるのかすらわかってないのか?
これだけの事をしたのに、なんの反省の色も感じねぇぞ。
人として終わってるな、コイツ……
「あぁ、じゃあ、簡潔に言うがな。テメェの渡した『変な薬』のせいで、朝起きたら『女』に成ってたんだよ。さぁ、このオトシマエ、どう付けてくれんだ?」
「はい?……なに言ってんのオマエ?そんな事が非現実的な話が有る得る訳ねぇだろ。脳味噌大丈夫か?早めに県立の大きい病院行け」
「冗談で、こんな事が言えるか!!マジで言ってんだよマジで!!」
「ハァ……あのなぁ倉津。テメェが酷いお脳の病気を煩ってるのは、今の言動で良く解ったから。今から言う、俺の話を良く聞けよ」
こんな状態で、なんの話を聞けって言うんだよ?
オマエの方こそ、余計な事を言ってないで、サッサと解決策を教えろつぅの!!
このボンクラ!!
「なんだよ?んな事より、なんで、こんな事になったか言えつぅの」
「知るか」
……はい?
「……『知らない』だと?んな訳ねぇだろ。現に、そうなってんだからよぉ」
「あのなぁ倉津。大体にして、俺がオマエに手渡したサプリは『睡眠誘発剤』だぞ。そんなもんで、どうやったら『性転換』するんだよ、ボケ。そんな話聞いた事もねぇわ」
「はっ、はぁ?『睡眠誘発剤』だと……」
「あぁ、間違いなく『睡眠誘発剤』だな。……つぅか、んなクダラネェ虚偽のクレーム付けてる暇が有るんだったら、ちょっとは年始の全米ツアーの事でも考えろつぅの」
オイオイ……それってよぉ。
崇秀の渡してきた『薬』が原因じゃないって言うのか?
そっ……そんな馬鹿な。
俺には、それしか心当たりがないんだぞ。
もしこれが、本当に崇秀の責任じゃないとすれば、俺は、一体どうすりゃいいんだよ????
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
今回から、第一章・第二十二話【体に宿る2つの心】が始まった訳ですが……
矢張り、硬派に生きてきたつもりの倉津君が『女性物の服を着る』のには、非常に抵抗があるみたいですね。
必死ですもんね(笑)
でも、普通は、そんな物じゃないでしょうか?
今まで男として生きてきた人間が、突然女体化したからと言って、そんなにアッサリと受け入れられるものなのでしょうか?
正直言えば、私は【女性に成りたい】っと思っている人でもない限り、そう簡単には割り切れないものだと思います。
特に倉津君は、比較的硬派に生きてきているが故に、早々簡単には受け入れられないでしょうからね。
さてさて、そんな苦戦を強いられている中。
崇秀に漸く電話が通じ【性転換させたであろう薬】の一件をなんとかさせようとした矢先。
「知らない」っと言われた上に、薬の正体が【睡眠誘発剤】だったと教えられた倉津君。
一体、この後、どうなるのでしょうね?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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