●前回のおさらい●
奈緒さんの件で、眞子が大ボケをかまして、笑われながらもお風呂に……
その間、崇秀と奈緒さんとではドンドン話が進められていく。
……って思いながら私は、そのまま風呂に行かせて貰ったんだけどね。
その間に、奈緒さんと崇秀との間で、こんな会話が成り立ってた。
「それにしても眞子。本当に眞子なんですね」
「まぁね。アイツは、あれでいて順応性が高いからな。けど、まぁそれだけに、向井さんには色々迷惑掛けてるね」
「あぁ、全然、全然。……って言うか。あの子自身も、前よりはシッカリはしてきましたけど。本質的にはクラのままですからね」
「まぁなぁ。それにアイツは、元々『女っポイ』性格だからね。今の姿が『本来の性別』って言っても、実は過言じゃないんだよなぁ」
「あぁ、それ、なんか解りますね。クラって、男っぽく振舞ってますけど、何所か女っぽいんですよね」
「だしょ。……それに、アイツには家の看板の件があるから、他人に成る事を受け入れ易かったのも否めないし。アイツ自身が、それを望んでいた節も多々有る。……まぁつっても、流石に『女』に成るってのは、ちょっと予想外ではあったとは思うけどな」
「あぁでも、あれですよ。眞子は、眞子で、またクラとは違った可愛いさがあるんで。私的には『有り』って方向で大丈夫ですよ」
「ハァ~~~、ホント、向井さんが理解力があって助かる。普通じゃ、こんな事は受け入れられないからね」
「まぁまぁ、私のベースの師匠が困ってるんだから。その辺は、遠慮せず、偶には弟子にも頼って下さい」
「ホント、ありがとな向井さん」
「いえいえ」
……って、私が風呂に行った直後に、まずこう言う話が有ったらしい。
でもさぁ、他人から見たら、真琴ちゃんって『元々女っぽかった』んだね。
まぁ、基本的に『甘えた』だからかな?
……っで、この後、奈緒さんの『例の話の続き』が始まったのね。
「ところで向井さん。今後、どういう方向でやりたいんだ?それと、なんでそう思ったか教えて貰って良いか?」
「あぁ、だったら、まずは方向性の話からさせて貰うとするならばですね。願わくば、当面はアメリカに行きたいと思います。日本じゃ、自分の感性が腐っちゃいそうなんで……退屈なんですよ」
「なるほどね。日本の音楽業界じゃ限界が見えたと」
「いえ、勿論。まだ、そんな大それた事を言える程、なにかした訳じゃないんですが。なんか、ぬるいんですよね。これなら、素人でやってた時の方が生き生きとライブが出来てた気がします。でも、これって、観に来て頂いてる観客の方に対しても一番失礼な行為だと思うんですよね。それが解ってて行動を起こさない訳ですから。だから、もっと良い音楽を提供する為に、一旦、日本を離れたいと思ってるんですよ」
「まぁ、正論だね。統計的にも、欧米から比べると『日本の音楽ってのは、最低でも10年は遅れてる』って言われてるからね。これを受け入れられない様じゃ、先の無いミュージシャン。……悪くない感性だ」
確かに奈緒さんは、昨日のライブ前から、日本の音楽業界に大きな不満を持っていた。
これは金銭的な問題じゃ無くて、完全にメンタルな話。
奈緒さんは無償でも良いから『もっと良い音楽を提供したい』と思い始めている意思を提示していた。
……この辺は、ノンストップ魔王の崇秀の悪影響かな。
勿論、良い意味で。
「それで……あの……」
「勿論OKだ。但し、条件付だけどな」
「条件は、なんですか?」
「所属事務所に対しての違約金4億を、自分で払ってくれる?もし、それが自分の力で出来るって言うなら。俺は、向井さんが望む様な最高のステージを用意させて貰うよ」
「4億……ですか。…………ふぅ~~~、わかりました。でしたら、今まで出した楽曲の権利を売ってでも、そのお金は、なんとか工面してみます」
「うん、わかった。じゃあ、その楽曲は、俺が買い取ろう。……それで良い?」
「えっ?」
「勿論、足りない分は貸しにして置して、その分『GUILD』って音楽会社のミュージシャンとしてシッカリ働いて貰うからな。俺は、向井さんが、俺に見せてくれた『勇気(Fortitude)』を買わせて貰うよ」
「仲居間さん……」
「なになに、自分の可愛い弟子が困ってるなら、助けるのは師匠の勤めってもんっしょ。弟子がしたい事を助けられるなら、こんな程度の事は安いもんだよ」
「もぉ、またやられた……」
……っと言う、お話が、私が風呂の入ってる間に成されていたんだけど。
風呂から帰って来たら、この話を丸々される。
***
「じゃあ、奈緒さんは、アメリカに行っちゃうんですか?」
「うん。……予定は、まだなにも立ってないけどね。当面は、そうしようと思ってる」
「オイオイ、冗談だろ?向井さんの今後の予定なら、もぉとっくに決まってるぞ」
「えっ?ちょっと待って下さいよ!!それって、どういう事ですか?」
「ふふっ、意外と鈍いな。俺が、こうなる事を予測してなかったとでも思ってるの?それ……なんの冗談のつもり?」
「えっ?えっ?」
……まさか崇秀!!
「そぉ、俺が日本に帰ってきたのは、なにも眞子の件だけで戻って来た訳じゃない」
「……って事は」
「俺は端っから、向井さんには、こうして貰うつもりで『スリーストライプ』にも、既に話は付けてある。……ただ2月いっぱいまでの予定は、流石に今更キャンセルが出来無いから、今の所属会社の予定に従って行動して貰う。それ以降は、全米で10箇所ツアーを予定してるんだが……取り敢えずは、こんな感じでどうだ?」
「この人、信じられない……」
「ハハッ、それが俺……仲居間崇秀ってもんだ」
「もぉ……格好良過ぎですよ。いい加減にしないと、本気で惚れちゃいますよ師匠」
「なになに。可愛い弟子の為なら、これぐらい朝飯前だ」
いつも格好良いなぁ……
崇秀はこうやって、いつも多面的にモノを捉えながら予定を立てていってる。
しかも、その大半は、決して自分の為なんかじゃなくて、いつも他人の為に動いてる。
きっとこれこそが、真琴ちゃんが崇秀にアメリカで聞かされた『利益を与える人間関係』って奴なんだろうな。
だったら……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
以前の様に違約金が払えず。
悲しい決断しか出来なかった奈緒さんは、もぉ此処には居ませんね。
自らが成長し、自身の言葉に対しても責任を持つ事や、賠償すらも出来る様に成ってきました♪
これこそが本当の自立。
傍若無人に、自分勝手で無責任な行動をするのが自由なのではなく。
己の言葉に責任を持って行動出来る様に成る事こそが、自由への第一歩と言った所でしょうか♪
さてさて、そんな中。
そんな奈緒さんや、崇秀に感化された眞子が、此処でなにやら言葉を発する様ですが。
一体、どの様な事を言い始めるのでしょうか?
その辺を次回は書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾
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