●前回のおさらい●
クラスメイトの女子達によるユニットを作ろうと企んでいた倉津君は、嶋田さんの手伝いもあり最終チェック中。
そんな中に成って、良い動きをしていたのが、素直ちゃん、由佳ちゃん、伊藤さん、っともう一人見た事も無い女子。
そして、その見知らぬ女性の事を、嶋田さんは『木根さん』と言い……倉津君の頭は混乱する(笑)
あっ、あれが、きっ!!……木根ぇ~~~!!木根だとぉ~~~!!
いやいやいやいや……もし、嶋田さんの言う事が正しくて、あれが木根だって言うなら、既にあれは別人の域だぞ!!
だってよぉ、どう見ても、木根の見た目、ドワーフ族が、エルフ族に替わる位、衝撃的に変わってるじゃねぇか!!
いやもぉ、それどころの騒ぎじゃなく、骨格すら変わってるぞ、あれ。
んな馬鹿な!!人体の神秘にしても、ありゃあ変り過ぎだ!!
……けど、アイツが木根じゃないって、言い切れない訳でもないんだよな。
あのアイツ特有の喋り方である『~なの』って変な語尾文字が付いてるだけで、アイツだと認証出来なくも無いんだよな。
だってよぉ、普通、現実世界じゃ、そんなキャラクター付けをしてる痛い奴なんて早々に居ねぇだろ。
それに何より、アイツがブスだと言わしめた要因である。
『デブ』『ツリ目』『眼鏡』にしたって、体型が変わる事によって特徴として変化し。
『細身』『切れ長の目』っと言う美人なエルフ顔に成らなくもないか。
アイツの鼻自身も低かった訳じゃないしな。
って事は、あれ……本当に『ブス美』なのか?
俺は、興味津々な眼で、無駄に『ブス美』に見ていた。
「じゃあ、取り敢えず、最終チェックは、これで御仕舞い。1時間半後には『歌謡コンテスト』本番だから、それまでに自己チェックを怠らない様にね。後は10分前には、必ず、会場の裾に集合して置く様に。遅刻や、サボりはダメだよ」
「「「「「はい!!嶋田さん、ありがとうございました!!」」」」」」
「うん。じゃあ、頑張ってね」
「「「「「はい!!本当に、ありがとうございました!!」」」」」」
そう言って女子達の殆どは、嶋田さんに感謝しながら、一旦、教室を後にして行く。
それにしても嶋田さん、豪く女子に信頼度も高く、人気者でゲスなぁ。
(↑また嫉妬)
そんな姿を、あっしに見せて、いいん……
―――なに?『んな事より、ユニットが『歌謡コンテスト』に出場するって、どういう事だよ』って?
いや、あの、それはだな……俗に言う、成り行き任せと言う奴でだな……
―――なっ、なんだよ?『って言うか?グチとの『優勝してテレビをゲットする』って約束はどうするんだ』って?
いや……そこも成り行き任せでGO?
……っとまぁ、それは、軽い冗談としてもだな。
それ以前の問題として、今回のこの歌謡コンテストってのがな。
出場リストを見たら、碌な出場者が居ねぇんだよ。
だから、コンテストを盛り上げる為にも、このユニットを放り込んでみただけの事だ。
それによぉ、この女子力だけが強力に出ている、この面子に勝てない様じゃ、俺が、今までバンドをしてきた意味がねぇと思わねぇか?
要するにだ、俺も崇秀に倣って、自らで『強敵を作って』ちょこっとだけ、歌謡コンテストのレベルを底上げてみたんだよ。
まぁ……グチのテレビの件は、既に、彼女達を含めたユニットに関わった全員が『了承済み』だ。
だから、俺等が優勝ウンヌンカンヌンを除いても、クラスのどちらかが優勝すれば、グチの家に大型テレビが搬入される算段になっている。
つぅ事で、この件については、基本的には問題はねぇの。
わかったかい?
さてさて、俺が心で説明をしている内に、ほぼ全員が教室を出払った事だし。
総合文化委員の俺が、一旦、この教室を店じまいして、俺も移動ッスかな。
……なんて思ってたら。
何故か、木根らしき人物だけが残っていて、俺の方をジッと見ている。
なんだ?
なんざんしょうね、この雰囲気?
「くっ、倉津君」
「うん?なんだよ?オマエ、まだ居たのかよ?みんなと一緒に移動しなかったのか?」
「あっ、うん、直ぐに行くもの。けど、その前に、倉津君に、お礼が言いたいの」
「お礼?なんのだよ?俺、なんかオマエに、お礼される様な事したか?」
ふむ、どうやら木根は、俺に、なにかお礼がしたいようだが……お礼される様な真似をした記憶が全くないんだがな?
いやまぁ、そりゃあ確かにな。
木根や他のクラスメイトの女子のダイエット方法を、武藤を通して、ジローのおっさんに聞いてやったのは俺ではあるんだが。
それを実行して、今まで頑張ってきたのは、他ならぬ木根自身なんだろ。
だったら、こんなもん、なんも感謝される様な話じゃねぇだろうに。
ホント、木根がお礼したい事って、なんだろな?
「あっ、あのね。倉津君が、私を、ちゃんと女の子として扱ってくれたから。……わっ、わっ、わっ、私に掛かってた悪い魔法使いの魔法が解けたの。だっ、だから、ありがとうなの。これ、全部、倉津君のお陰なの」
「はっ?はぁ?」
「だっ、だからね。私、悪い魔法使いに姿を変えられてたの。そっ、そっ、そっ、それでね。女の子として扱って貰えない様な酷い容姿になってたのね。けっ、けど、そんなの関係無しに、倉津君が、私を女の子として扱ってくれたから……その悪い魔法が解けたの。だから、だからね。倉津君には、ありがとうなの」
ぷっ!!なんの話かと思えば、此処でまさかの『悪い魔法使いの魔法』と来たか……
しかしまぁ木根って、案外、面白い事を言う奴だったんだな。
こりゃあ間違いなく、かなりのファンタジー好きな、典型的なお姫様思考のオタク症候群って奴なんだろうけどな。
まぁまぁ、俺自身も、結構なオタク属性を持ってるから、コイツの言ってる事自体は解らなくもないんだがな。
今回に限っては、ちょっと違う方向で、その辺を示唆してやろう。
そんなファンタジーな話じゃなくて、もっともっとリアルな話の方でな。
何故なら……今日までオマエのしてきた努力って奴は『悪い魔法』なんて、アヤフヤな言葉で簡単に片付けられるもんじゃない筈だからな。
ってか、マジで頑張ってくれたんだな、木根!!
オィちゃんは嬉しいぞ!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
木根さん……アホな事を言っていますが。
恐らく、クラスの中で一番覚悟と気合いを入れて、この計画に参加していたのは確かでしょうね。
例え、プロが指導したダイエットだとしても、此処までの効果を出すには並大抵の努力じゃなかった筈ですらね。
(途中、体調を崩して、学校を休んでた事もありましたし(此処の伏線だったんですよ、あれ(笑))
まぁ、それだけ『倉津君が、自分を庇ってくれたのが嬉しかった』からこそ、倉津君の為にも必死に成れたんでしょうけどね。
さてさて、そんな頑張った木根さんを、倉津君は、なにやら違う方向で褒めてあげたいみたいなのですが。
それを、どんな風に褒めてあげるのかは、次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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