最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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562 様々な家庭の事情が絡む話

公開日時: 2022年8月22日(月) 00:21
更新日時: 2023年1月12日(木) 21:17
文字数:2,318

●前回のおさらい●


 お酒が飲めないだけに止まらず。

ドンドン神聖化され、飲めない方向に持って行かれる倉津君(笑)


そこで一計を案じ。

その神聖化された方向を維持しつつ、なにやら眞子でも飲める方向に持って行く話をするらしいです。


大丈夫かな?

「嘘は、あまり……って、言いますか。実を言うと、私、実家で、父とお酒を飲むのが好きなんですよ。なんて言うか。お父さんって、私と飲むのを、とっても楽しみにしてくれるんですよ。……だから、お父さんが喜ぶと、私も嬉しいですから……つい。そう言うの有りませんか?」


俺は、この少しは感動して貰えるであろう話をしながら、ある事を思い出して、コタツの中で奈緒さんの手を繋いだ。


話してる途中で引っ込みが付かなくなったが。

正直、奈緒さんに、この手の家族の話は、家が家だけに『キツイ』だろうなって思っての事だ。


俺のツマラナイ意地で傷付いてたら……ゴメンな、奈緒さん。


すると奈緒さんは、それに返答する様に、俺の手を『ポンポン』と優しく叩き『大丈夫』の意思を表示してくれた。

だから俺は、その返答をする為に『ごめん』って、奈緒さんの掌に書いてみた。

そしたら奈緒さん、なにも言わず、俺の方を一瞬だけ見て、優しく微笑んでくれた。


……ホントすんません。



「眞子ちゃんは、お父さんと仲が良いんですね。僕のお父さん、怖い人で、あまり僕と親子のふれあいが無いから……そう言うの羨ましいな」


しまった!!


そう言えば、奈緒さんだけじゃなく。

素直の家も、かなりハードな問題のある家庭環境だったんだな。


こりゃあ、2人に悪い事したな。



「あっ……ごめんなさい。私……そんなつもりじゃ……」


まずは謝ろう。


少し言い訳がましい謝罪になったが、完璧過ぎる謝罪よりも、コチラの方が必至さが素直に伝わるだろう。


それに、自分の評価を気にして、人を傷付けてたんじゃ意味がないからな。



「ふ~~~ん。素直ん家って、親子の仲が悪いんだ」

「あっ、はい。兄や姉を含めて、あまり仲は良くはないですね」

「ふ~~~ん、そうなんだぁ。……でもさぁ。だったら、それって眞子ちゃんが謝る様な話じゃないよね。『素直が、ちゃんと家族に接してない』だけなのかも知れないじゃない。私ん家も、眞子ちゃん家と一緒で、結構、家族の仲が良いから、そう言うので謝るのって、なんか違うと思うよ」


千尋……



「……ですよね。僕が、お父さんとの間に壁を作っちゃってるだけなのかも」


そうか……

自分が反省してる途中で、こんな事を言うのも、なんなんだが『素直の体裁を気にする性格』って『自分の家族の中』で構築されたもんなんだな。


通りで、中々治らない筈だな。

寧ろ、家が、そんなんじゃ、治しようがないよな。


なんか良い手が無いかな?


謝罪の意味を込めて、家族の件だけでも、なんとかしてやりたいもんだな。



「いやいや、あのねぇ、素直。変に勘違いしないでよ。私は『家族なんだから、壁なんてものは最初から存在しない』って言ってるの。もし有るとしたら、それは勝手に素直が有る様に思い込んでるだけだよ。それにお父さんも、素直に、どう接して良いか解らないだけかも知れないしね」

「そうですかぁ?僕、お父さんに、すごく嫌われてる様に思うんですけど」

「疑うなら、お父さんが休みの日にでも『どこか行こう』って、1度、自分から誘ってみなよ。きっと素直のお父さんも、最初は照れながら動揺するかもしれないけど、最後には眞子ちゃん家のお父さんみたいに、きっと喜ぶと思うよ。……ウチも、そう言うので、結構、上手くやってるからさ。ダメ元で、そう言うのも試してみたら」

「……そうですよね。僕が、なにもしてないのに、羨ましがってばかりいても、しょうがないですよね。……あっ、あの、僕、1度お父さんと、じっくり話をしてみます」

「うん。きっと、それが良いと思うよ」


ハァ~~~。

深く考えるんじゃなくて、そう言う風に軽く捉える方法も有るんだな。


実に実行しやすく、シンプルで良い解答だよ。


……しかしまぁ、真面目な時の千尋は、妙に説得力が有るんだよなぁ。

普段は、ただの毒電波発信装置なのに、此処一番って処だけは綺麗に決めてきやがる。


ヤッパ、コイツの人を惹き付けるカリスマ性はハンパなく高いわ。



「ありがとうございます」

「いえいえ」

「……あっ、あの、突然なんですが。僕、そろそろ、お暇させて頂きますね。なんか樫田さんに話を聞いて貰ったら、直ぐにでも、お父さんと話したくなっちゃいました」

「うん、良いね。そう言うの。……『思い立ったら吉日』ってね」


千尋って、こうやって背中を押すのも上手いんだよなぁ。


俺の時(序章18話参照)も、最後まで話を上手く持って行ってくれた上に。

最後の最後には、決断し易い様に背中を押してくれたしな。


口惜しいけど、コイツって、ホント凄い奴だな。


良い女だわ。



「あっ、はい。頑張ってみます」

「うんうん、がんばれ~~」

「……あっ、あの、向井さん。突然、お邪魔した上に、急に勝手に帰る様な失礼な真似をして、ごめんなさい。あっ、あの、でも、僕……」

「今更なにを気にしてるのよ。ウチは、いつでも遊びに来て良いし。いつ帰っても、誰も文句を言わないのが唯一のルールなんだから。そんな事をイチイチ気にしなくて良いから、早く帰って、お父さんと話をして来なさい」

「あっ、ありがとうございます」

「うん。でも、ちょっと遅くなってるから、気をつけて帰るんだよ。……少しお酒も入ってるしね」


結局、こう言う事なんだよな……

奈緒さんも、千尋も年上なだけあって、俺や、素直の様な子供じゃないんだな。


こんな気遣いを瞬時に出来るなんて、本当にシッカリしてる。

それにそう言うのを自然に出来てるからこそ、この人達の周りには、自然と、人がワンサカ集まって来る。


そう言う独特な『人を惹き付ける魅力』があるんだろうな。


こう考えると……俺が作為的に上げ様としてた『好感度』なんて、所詮、張子の虎でしかないよな。


なんか、虚しくなってきたな。



ハァ~~~~……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


普段はポンコツな電波怪獣なチヒロンなのですが。

奈緒さん同様、人にアドバイスする技能は天下一品♪

更に此処一番では、恐らく彼女の右に出る者はいないぐらい、解り易くも綺麗に決めて来ますね。


皆さん、こう言うギャップは如何でしょうか?(笑)


さてさて、そんなチヒロンを見て、少々凹み気味は倉津君なのですが。

此処をどう受け取り、どう対処するかで、今後の『眞子の運命』は変わって来ると思いますので。

その辺を少しでも気にして頂けたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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