最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第二十四話 納得出来ねぇな

127 不良さん 事態をアッサリ露見される

公開日時: 2021年6月13日(日) 00:21
更新日時: 2022年11月23日(水) 22:35
文字数:4,004

第二十四話『納得出来ねぇな』始まりますよぉ~~~(*'ω'*)ノ

 024【納得は出来ねぇな】


 いつもの事とは言え……奴は、なんの前触れも無くこの場に姿を現した。

『一年間……絶対に帰って来ない』とかぬかしてたくせに、何の用も無いの筈なのに、アッサリとアメリカから帰って来やがった。


こりゃあまた、何所かで、何かを嗅ぎ付けての帰国か?


なんだか嫌な予感しかしねぇ。


***


「オイオイオイオイ、オマエ等、なに、そんなに驚いてんだよ?学校が休みになりゃ、帰国すんのは当たり前だろが」

「そやかてオマエ……帰国するにしても、豪い急やのぉ」

「まぁな。つぅか、どうしても外せない野暮用が出来たもんでな。義務教育を上手く利用して、早めに帰省したんだよ」

「野暮用やと?なんやねんな、そのオマエの言う『外されへん野暮用』って?」

「まぁまぁ、そんなにガッツキなさんなって。土産もあっから、それでも喰いながら、ゆっくりと話そうぜ。……ほらよ」


そう言って、奴が渡してきた土産って言うのは……


『マカダミアンナッツ』&『大阪チョコバナナ』


……ってか、全然、アメリカじゃねぇし!!

誰がどう見ても、ハワイと、大阪の臭いしかしねぇ土産物じゃねぇか!!


いやまぁ、確かにな。

ハワイはアメリカの一部だから、百歩譲れば『マカダミアンナッツ』は、おかしくないんだろうがな。


『大阪チョコバナナ』って、オマエ……既に、日本のお土産じゃねぇか!!



「おぉ懐かしいのぉ。なんや思たら『大阪チョコバナナ』やんけ。アメリカ土産では、なんと言っても、これが一番の土産やわなぁ。ホンマ、誰かが買うて来てくれへんかと、心待ちにしとったわ。……ってアホか!!なんで選りにもよって『大阪チョコバナナ』やねん!!なめとんか!!」


はいはい、いつもより、ちょっと長めのボケツッコミな。


けど、別によぉ。

そこまで乗らなくても良いんじゃないか?



「いや『なんで?』って聞かれてもよぉ。関空経由で帰って来たから、コッチに戻る序に、ワザワザ環状線の『鶴橋』で買って来たんだが」

「あぁなるほどなぁ。確かに、それやったら、ネタの為に買うわなぁ……そやけどなぁ」

「なんだよ?不満なのか?折角、途中下車までして買って来てやったのに……喰わねぇのか?」

「喰うわ!!」

「喰うんかい!!」


オイオイオイオイ。

さっきまでの神妙な雰囲気は、どこに行ってしまったんだろうな?


無駄に楽しそうにしやがってよ。


なんなんだよ、コイツ等?



「オイ、馬鹿秀。クダラネェお喋りは良いからよ。オマエ、マジでなにしに帰って来た訳?さっさと教えろよ」

「だからよぉ。さっきから野暮用だって言ってんだろうに。オマエって、ホント、人の話を聞いてないよな」

「だ~か~らよぉ。それが、なんなんのかを聞いてんだろ。オマエの言う、そのややこしそうな野暮用って奴をよ?」

「はぁ?んなもん決まってんだろ。オマエ等の無様な姿を嘲笑いに、ワザワザ日本まで帰って来てやったんだよ。……ただ、それだけのこった」


はぁ?はコッチのセリフだ。


なに言ってんだオマエ?

俺らの体たらくを嘲笑う為だけに、わざわざ帰国だと?


信じられねぇような糞野郎だな。

そんな事の為だけに、わざわざアメリカくんだりから帰って来てんじゃねぇよ。


暇人か!!



「って言うのは、まぁ冗談としてだな。実はよ、野暮用ってのは他でもねぇんだ」


あぁ、今のは流石に冗談なんだな。


もしこれが本気だったら、人として終末を迎えてるとしか思えん。



「んで?オマエ、結局、何しに帰って来たんだよ?」

「いや、それがな。俺が、ちょいとアメリカに行ってる間によぉ。実家の俺への指名カットの予約が溜まっちまってな。お袋がてんてこ舞いに成ってんだわ。んで、それをこの休みを利用して、7月中に全部捌こうと思ってワザワザ帰国した訳だ」

「なんや、ほんだらオマエの実家って、留学中の息子呼び戻さなアカンほど繁盛しとるんか?」

「まぁな。……けど、繁盛はしてるが、どっちかと言えば貧乏暇無しな方向だな」

「なんでやねん?そないに予約が溜まる程、繁盛してんねんやったら。ガッポガッポ金儲けになっとるんとちゃうんか?」

「いや、それがよぉ。実は、そうでもねぇんだよ」


帰国するほどの予約が入って忙しいのに貧乏?


どう言うこった?


いつも通り、訳がわからねぇ?


まぁ確かに、あのガキの言う事が正しければ。

コイツの実家は、芸能人とかが来店して来るらしいから、相当、忙しいだろうけどよぉ。


だったら貧乏は、おかしいんじゃね?



「なにがやねん?どういうこっちゃ?」

「いやな。オマエ等も、ギターの件で知っての通り(ギターを買うと言ったのにも関わらず25000円しかくれなかった事)、うちのお袋って『凄ぇケチ』なんだよ。だからよ、無駄に人を雇うなんて真似は、絶対しねぇ訳だ。んで本人も、身の丈にあった仕事しかしたがらねぇもんだから。これじゃあ、幾ら予約が入ってたとしても、一向に儲からない……んな訳で、うちの店は、万年人手不足な上に貧乏な訳だ」

「ふ~ん。オマエのお袋さんって、チャッカリしとるのぉ」

「まぁな。……んな事よりよっ。オマエ等、さっき、なんか面白そうな話してたな。あれ、なんの話だよ?俺も混ぜてくれよ」


なんだかんだ崇秀は、自分の話をしていたが。

結局は、そんな事より、コッチの話の方が気になってやがったみたいだな。


興味津々じゃねぇか。



「あぁ、あの話な……なんの事はあらへん。ただのボーカルの使い方の話や」

「ボーカルの使い方だと?あぁなんだ、なにかと思えば、向井さんと、アリスの使い方の話か……なるほどなぁ。じゃあ、その問題が浮かび上がってるって事は、答えは1つ。そこからの選択肢が2つって所か」

「ほぉ……してなんと見る?」

「アホ臭ぇ。さっき答えは1つって言っただろ。……どうせ、そこに居る馬鹿のせいで、バンド内で一悶着あったんだろ」


ブッ!!



「ハハッ、流石やな。まぁそう言うこっちゃ。今現在そこのアホせいで、バンドは滅茶苦茶や」

「ほぉ……って事は、何か?馬鹿津が出来もしねぇ2股をかけて、アリスにも手を出したもんだから、向井さんが大怒りってところか?」

「ちゃうちゃう。それやったら、まだ救いはあったんや。そんなもん、誰かが辞めれば済む話やからな……コイツがやっとる事は、もっと性質が悪い話や」

「性質が悪い話ねぇ。……あぁなるほどな。だったら、2つ目の選択肢の方だな。どっち付かずな態度で、1人うろたえてるって方か」

「うん、まんま正解やな。……まぁ、そう言うこっちゃな」


・・・・・・・。


俺が絡んだら、そんなに簡単に選択肢が絞れるんだな。


俺って……ドンだけ単純なんだよ。

この崇秀の解答には、なんだか無性に悲しくなるな。



「ってか、倉津……オマエって、心底馬鹿なんじゃねぇの?」

「なっ!!」


それでもって、この言い草……


俺だってよぉ。

これでも無い知恵絞って、頑張ってんだぞ。


そこんとこ、少しぐらいは認めろつぅの!!



「あぁ~~~あっ、折角、活きの良いメンバー集めてやったってのに、この無様な有様とはな。……ホントなにやってんだかな」

「いや、オマエねぇ。キッチリした状況も掴んでねぇ癖に、想像だけで、そう言う事を易々と言うもんじゃねぇぞ」

「んなもんなぁ。聞かねぇでも、手に取る様に解るんだよ。どうせオマエのこった、何らかの理由で、アリスに肩入れするシーンが有って、それを見た向井さんが拗ねてんだろ。……オマエのやらかしそうなこった」

「がっ」


はい、見事に正解。

なに1つ間違ってない正確な答えですな。


しかしよぉ、オマエ……見てもいねぇのに、あたかも、その現場に居た様な事を言ってんじゃねぇよ。


大体、なんでオマエは、いつも、そう簡単に人の行動パターンが読めんだ?

アメリカの超常現象対策本部にでも入って、エスパーレベルの向上にでも努めてたのか?

そのお陰で、オマエは、超絶エスパーにでもなったとでも言うのか?


このエスパー野郎!!


少しはエスパー伊藤に、その強大な力を分けてやれ。



「あのなぁ、倉津。オマエって、なんでそうも毎度毎度ドン臭い訳?好かれてる女なら、上手く手懐けるぐらいしろよな。……マジ、ドン臭ぇな、オマエ」


オイオイ、どこかの誰かさんが言ってた様な事を言ってんじゃねぇよ。

『手懐ける』とか、クズ2人して発想が全く同じじゃねぇか!!


女誑しの思考って奴は、みんな同じ様な物なのかよ。


この腐れ外道共、女に背中刺されて死ね!!



「オマエねぇ。手懐けるって、なんだよ?好意を持ってくれてる人に失礼だろ」

「なに言ってやがんだよ、アホ臭い。アリスも、向井さんも、オマエに好意が有んだろ。なら、尚更、手懐け易いじゃねぇか。それさえ出来りゃ後は、お互いを上手く使ってバランスをとってやれば良い。そうすりゃあ、普通バンド内で、こんな馬鹿みたいな問題なんか起きねぇんだよ。解るか、ド間抜け?」

「あのなぁ、世の中の全員が全員、オマエみたいに、ハシカク生きてる訳じゃねぇんだよ。1人の女の事でウジウジ悩んだりするのが、普通なんだよ」

「なるほどな。オマエにしては、中々マトモな意見だな。確かに、オマエの言う理屈にも一理ある。……がだ、それじゃあ、なにも解決しねぇから、今、バンド内が問題だらけになってんじゃねぇのか?」

「ぐっ……まぁ、そうだがよぉ」

「チッ、ホント、手間の掛かる野郎だな。こんな事もイチイチ説明しねぇとわかんねぇのかよ?」

「じゃあよぉ。どうすりゃ良いんだよ?」

「思考の変換だ。……それが出来りゃあ、こんな糞みたいな問題、直ぐに解決する」

「だ~か~ら、それがなんなんだって、聞いてるんだろ?」

「もぉ面倒臭ぇなぁ。……じゃあな、こう考えろ。少しは、気が楽になる筈だ」


何かを言うつもりらしいが。

どうせ誑しが考えそうな、人の道を外れた事を言うに決まってる。


若しくは、性欲に塗れた魔神の、自分に都合の良い解釈かのどちらかだ。


どちらにしても、聞くに堪えない様なロクデモナイ事を言ってくる筈だからな。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございましたぁ(*'ω'*)ノ


結局、全部一発で当てられてしまいましたね(笑)

そして崇秀は一体、倉津君に対して、どの様な思考の変化をさせるつもりなのでしょうか?


それは次回に発表しましょう♪


それでは皆様、また次回にお会いしましょう。


……また来てね(*'ω'*)ノ

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