第二十四話『納得出来ねぇな』始まりますよぉ~~~(*'ω'*)ノ
024【納得は出来ねぇな】
いつもの事とは言え……奴は、なんの前触れも無くこの場に姿を現した。
『一年間……絶対に帰って来ない』とかぬかしてたくせに、何の用も無いの筈なのに、アッサリとアメリカから帰って来やがった。
こりゃあまた、何所かで、何かを嗅ぎ付けての帰国か?
なんだか嫌な予感しかしねぇ。
***
「オイオイオイオイ、オマエ等、なに、そんなに驚いてんだよ?学校が休みになりゃ、帰国すんのは当たり前だろが」
「そやかてオマエ……帰国するにしても、豪い急やのぉ」
「まぁな。つぅか、どうしても外せない野暮用が出来たもんでな。義務教育を上手く利用して、早めに帰省したんだよ」
「野暮用やと?なんやねんな、そのオマエの言う『外されへん野暮用』って?」
「まぁまぁ、そんなにガッツキなさんなって。土産もあっから、それでも喰いながら、ゆっくりと話そうぜ。……ほらよ」
そう言って、奴が渡してきた土産って言うのは……
『マカダミアンナッツ』&『大阪チョコバナナ』
……ってか、全然、アメリカじゃねぇし!!
誰がどう見ても、ハワイと、大阪の臭いしかしねぇ土産物じゃねぇか!!
いやまぁ、確かにな。
ハワイはアメリカの一部だから、百歩譲れば『マカダミアンナッツ』は、おかしくないんだろうがな。
『大阪チョコバナナ』って、オマエ……既に、日本のお土産じゃねぇか!!
「おぉ懐かしいのぉ。なんや思たら『大阪チョコバナナ』やんけ。アメリカ土産では、なんと言っても、これが一番の土産やわなぁ。ホンマ、誰かが買うて来てくれへんかと、心待ちにしとったわ。……ってアホか!!なんで選りにもよって『大阪チョコバナナ』やねん!!なめとんか!!」
はいはい、いつもより、ちょっと長めのボケツッコミな。
けど、別によぉ。
そこまで乗らなくても良いんじゃないか?
「いや『なんで?』って聞かれてもよぉ。関空経由で帰って来たから、コッチに戻る序に、ワザワザ環状線の『鶴橋』で買って来たんだが」
「あぁなるほどなぁ。確かに、それやったら、ネタの為に買うわなぁ……そやけどなぁ」
「なんだよ?不満なのか?折角、途中下車までして買って来てやったのに……喰わねぇのか?」
「喰うわ!!」
「喰うんかい!!」
オイオイオイオイ。
さっきまでの神妙な雰囲気は、どこに行ってしまったんだろうな?
無駄に楽しそうにしやがってよ。
なんなんだよ、コイツ等?
「オイ、馬鹿秀。クダラネェお喋りは良いからよ。オマエ、マジでなにしに帰って来た訳?さっさと教えろよ」
「だからよぉ。さっきから野暮用だって言ってんだろうに。オマエって、ホント、人の話を聞いてないよな」
「だ~か~らよぉ。それが、なんなんのかを聞いてんだろ。オマエの言う、そのややこしそうな野暮用って奴をよ?」
「はぁ?んなもん決まってんだろ。オマエ等の無様な姿を嘲笑いに、ワザワザ日本まで帰って来てやったんだよ。……ただ、それだけのこった」
はぁ?はコッチのセリフだ。
なに言ってんだオマエ?
俺らの体たらくを嘲笑う為だけに、わざわざ帰国だと?
信じられねぇような糞野郎だな。
そんな事の為だけに、わざわざアメリカくんだりから帰って来てんじゃねぇよ。
暇人か!!
「って言うのは、まぁ冗談としてだな。実はよ、野暮用ってのは他でもねぇんだ」
あぁ、今のは流石に冗談なんだな。
もしこれが本気だったら、人として終末を迎えてるとしか思えん。
「んで?オマエ、結局、何しに帰って来たんだよ?」
「いや、それがな。俺が、ちょいとアメリカに行ってる間によぉ。実家の俺への指名カットの予約が溜まっちまってな。お袋がてんてこ舞いに成ってんだわ。んで、それをこの休みを利用して、7月中に全部捌こうと思ってワザワザ帰国した訳だ」
「なんや、ほんだらオマエの実家って、留学中の息子呼び戻さなアカンほど繁盛しとるんか?」
「まぁな。……けど、繁盛はしてるが、どっちかと言えば貧乏暇無しな方向だな」
「なんでやねん?そないに予約が溜まる程、繁盛してんねんやったら。ガッポガッポ金儲けになっとるんとちゃうんか?」
「いや、それがよぉ。実は、そうでもねぇんだよ」
帰国するほどの予約が入って忙しいのに貧乏?
どう言うこった?
いつも通り、訳がわからねぇ?
まぁ確かに、あのガキの言う事が正しければ。
コイツの実家は、芸能人とかが来店して来るらしいから、相当、忙しいだろうけどよぉ。
だったら貧乏は、おかしいんじゃね?
「なにがやねん?どういうこっちゃ?」
「いやな。オマエ等も、ギターの件で知っての通り(ギターを買うと言ったのにも関わらず25000円しかくれなかった事)、うちのお袋って『凄ぇケチ』なんだよ。だからよ、無駄に人を雇うなんて真似は、絶対しねぇ訳だ。んで本人も、身の丈にあった仕事しかしたがらねぇもんだから。これじゃあ、幾ら予約が入ってたとしても、一向に儲からない……んな訳で、うちの店は、万年人手不足な上に貧乏な訳だ」
「ふ~ん。オマエのお袋さんって、チャッカリしとるのぉ」
「まぁな。……んな事よりよっ。オマエ等、さっき、なんか面白そうな話してたな。あれ、なんの話だよ?俺も混ぜてくれよ」
なんだかんだ崇秀は、自分の話をしていたが。
結局は、そんな事より、コッチの話の方が気になってやがったみたいだな。
興味津々じゃねぇか。
「あぁ、あの話な……なんの事はあらへん。ただのボーカルの使い方の話や」
「ボーカルの使い方だと?あぁなんだ、なにかと思えば、向井さんと、アリスの使い方の話か……なるほどなぁ。じゃあ、その問題が浮かび上がってるって事は、答えは1つ。そこからの選択肢が2つって所か」
「ほぉ……してなんと見る?」
「アホ臭ぇ。さっき答えは1つって言っただろ。……どうせ、そこに居る馬鹿のせいで、バンド内で一悶着あったんだろ」
ブッ!!
「ハハッ、流石やな。まぁそう言うこっちゃ。今現在そこのアホせいで、バンドは滅茶苦茶や」
「ほぉ……って事は、何か?馬鹿津が出来もしねぇ2股をかけて、アリスにも手を出したもんだから、向井さんが大怒りってところか?」
「ちゃうちゃう。それやったら、まだ救いはあったんや。そんなもん、誰かが辞めれば済む話やからな……コイツがやっとる事は、もっと性質が悪い話や」
「性質が悪い話ねぇ。……あぁなるほどな。だったら、2つ目の選択肢の方だな。どっち付かずな態度で、1人うろたえてるって方か」
「うん、まんま正解やな。……まぁ、そう言うこっちゃな」
・・・・・・・。
俺が絡んだら、そんなに簡単に選択肢が絞れるんだな。
俺って……ドンだけ単純なんだよ。
この崇秀の解答には、なんだか無性に悲しくなるな。
「ってか、倉津……オマエって、心底馬鹿なんじゃねぇの?」
「なっ!!」
それでもって、この言い草……
俺だってよぉ。
これでも無い知恵絞って、頑張ってんだぞ。
そこんとこ、少しぐらいは認めろつぅの!!
「あぁ~~~あっ、折角、活きの良いメンバー集めてやったってのに、この無様な有様とはな。……ホントなにやってんだかな」
「いや、オマエねぇ。キッチリした状況も掴んでねぇ癖に、想像だけで、そう言う事を易々と言うもんじゃねぇぞ」
「んなもんなぁ。聞かねぇでも、手に取る様に解るんだよ。どうせオマエのこった、何らかの理由で、アリスに肩入れするシーンが有って、それを見た向井さんが拗ねてんだろ。……オマエのやらかしそうなこった」
「がっ」
はい、見事に正解。
なに1つ間違ってない正確な答えですな。
しかしよぉ、オマエ……見てもいねぇのに、あたかも、その現場に居た様な事を言ってんじゃねぇよ。
大体、なんでオマエは、いつも、そう簡単に人の行動パターンが読めんだ?
アメリカの超常現象対策本部にでも入って、エスパーレベルの向上にでも努めてたのか?
そのお陰で、オマエは、超絶エスパーにでもなったとでも言うのか?
このエスパー野郎!!
少しはエスパー伊藤に、その強大な力を分けてやれ。
「あのなぁ、倉津。オマエって、なんでそうも毎度毎度ドン臭い訳?好かれてる女なら、上手く手懐けるぐらいしろよな。……マジ、ドン臭ぇな、オマエ」
オイオイ、どこかの誰かさんが言ってた様な事を言ってんじゃねぇよ。
『手懐ける』とか、クズ2人して発想が全く同じじゃねぇか!!
女誑しの思考って奴は、みんな同じ様な物なのかよ。
この腐れ外道共、女に背中刺されて死ね!!
「オマエねぇ。手懐けるって、なんだよ?好意を持ってくれてる人に失礼だろ」
「なに言ってやがんだよ、アホ臭い。アリスも、向井さんも、オマエに好意が有んだろ。なら、尚更、手懐け易いじゃねぇか。それさえ出来りゃ後は、お互いを上手く使ってバランスをとってやれば良い。そうすりゃあ、普通バンド内で、こんな馬鹿みたいな問題なんか起きねぇんだよ。解るか、ド間抜け?」
「あのなぁ、世の中の全員が全員、オマエみたいに、ハシカク生きてる訳じゃねぇんだよ。1人の女の事でウジウジ悩んだりするのが、普通なんだよ」
「なるほどな。オマエにしては、中々マトモな意見だな。確かに、オマエの言う理屈にも一理ある。……がだ、それじゃあ、なにも解決しねぇから、今、バンド内が問題だらけになってんじゃねぇのか?」
「ぐっ……まぁ、そうだがよぉ」
「チッ、ホント、手間の掛かる野郎だな。こんな事もイチイチ説明しねぇとわかんねぇのかよ?」
「じゃあよぉ。どうすりゃ良いんだよ?」
「思考の変換だ。……それが出来りゃあ、こんな糞みたいな問題、直ぐに解決する」
「だ~か~ら、それがなんなんだって、聞いてるんだろ?」
「もぉ面倒臭ぇなぁ。……じゃあな、こう考えろ。少しは、気が楽になる筈だ」
何かを言うつもりらしいが。
どうせ誑しが考えそうな、人の道を外れた事を言うに決まってる。
若しくは、性欲に塗れた魔神の、自分に都合の良い解釈かのどちらかだ。
どちらにしても、聞くに堪えない様なロクデモナイ事を言ってくる筈だからな。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございましたぁ(*'ω'*)ノ
結局、全部一発で当てられてしまいましたね(笑)
そして崇秀は一体、倉津君に対して、どの様な思考の変化をさせるつもりなのでしょうか?
それは次回に発表しましょう♪
それでは皆様、また次回にお会いしましょう。
……また来てね(*'ω'*)ノ
読み終わったら、ポイントを付けましょう!