●前回のおさらい●
どんな姿に成っても、倉津君の将来を第一に考えてくれる奈緒さん。
そんな彼女の姿に感動し、此処からはXX眞子に協力を仰ぐのではなく、自身の力だけで現状を乗り越え様と固く誓う倉津君でした。
「あっ、はい。じゃあ、今から俺、奈緒さんの前以外では、一切、男言葉を使わないんで、シッカリ見てて下さいね。そんで『清らかな乙女』って奴も、必ずやり切って見せますよ」
「あら、やけにヤル気になってくれたんだね。じゃあ、スタートしてみよっか。もし男言葉使ったら、この寒空の中、スクール水着で買い物に行って貰うからね」
「あっ、はい、わかりました。頑張ります」
そんな手には引っ掛りませんよ。
大体、スク水で外歩くなんて、どんな羞恥プレイですか?
寧ろ、ただの変態じゃないですか。
あっ、だから罰ゲームか……納得。
「あぁ、イキナリ可愛いんだ。凄いよクラ。さっきより断然良いよ」
「からかわないで下さいよぉ……もぉ」
「う~~わっ、なになにこの子、フェロモン全開じゃん。……流石、私の嫁だよ。もっとやってみ」
「クスッ……もぉ、奈緒さんなんか知りません。私、おトイレ行きますからね」
「ははっ……完璧だよ、クラ」
正直、死ぬ程恥ずかしい。
もぉ、なんかな。
心の中じゃ『なに言っとんじゃ俺』って感じだよ。
また、こうやって『新しく女性としての大切ななにか得て』『男性としての大切な何かを失った』様な気がする……
あぁけど、あれだな……やろうと思ってやれば、意外となんとかなるもんだな。
この調子で真上さんをモチーフにして、丁寧に可愛く喋ってりゃ、スゲェ完成度高い『清らかな乙女』になるんじゃねぇの。
そこに+α、俺の好きなアニメとかを組み込めば、男の理想を脳内で作り易いしな。
ふふふ……そうかそうか。
俺は、なにを馬鹿な勘違いしてたんだ。
奈緒さんの反応からして、此処まで成功してりゃ、寧ろ、恥ずかしがる必要なんて何所にもねぇんだよ。
俺は性転換をしたのが丸解りのオカマじゃなくて、誰がどう見ても、正真正銘の美少女にしか見えないんだからな。
女言葉を使っても、なにもおかしくない事が認識出来たぞ。
(↑奈緒さんは最初からそう言ってるのに、今頃認識した間抜けな俺)
あぁ……でも、油断は禁物だな。
まずにして、まだまだやれる事は一杯ある筈だからな。
此処で変に満足しちゃいけない。
それに、やってる内にボロが出るかも知れないから、調子にも乗っちゃいけない。
それを踏まえた上で、奈緒さんの期待に、もっと応えれる様に頑張ろ。
……にしても、奈緒さんが言う程、本当に、そんなに可愛かったもんなんだろうか?
気になるから、トイレの後、洗面所で確認しよ。
(↑ナルシスト)
***
トイレの仕方と、女子の嗜みを、奈緒さんから伝授して貰っていたので。
彼女のマニュアルに従いながら、意味も無く、そして、少し照れながらも小用を済ませる。
んで、此処で気付いた事なんだがな。
女の子のアソコ拭く時って、かなりソッと拭かなきゃいけないんだな。
いや、なんて言うか、男と比べてデリケートつぅか、なんつぅか。
男自体が小便程度の後じゃあ、紙なんかで拭かねぇから解んなかったんだが、女のアソコって妙に敏感なんだよ。
だからな、拭く時にしたって、男の時みたいに適当に荒っぽく拭くんじゃなくて、優しくソッと触れる様にしなきゃいけないみたいなんだ。
あぁそれとな。
女の体って、男みたいに突起物が無いだろ。
だから、洋式の便所の場合、最後の最後でションベンが『ツゥ~~~』って尻の方まで伝って行くんだよ。
ほんで、この『ツゥ~~~』ってのがな、中々厄介でな。
こんな事、男じゃ有り得ないから、そうなった瞬間、体が『ビクッ』ってなっちまったよ。
俺、女になっちまって初めてのションベンだったから、これはまさに驚きの感覚だった。
んでまぁ、借り物のパンツだから汚しちゃいけないと思って、その辺もソッと綺麗に拭き取ったと。
でだ、此処までは、ほぼ奈緒さんに教えて貰った事なんだけどな。
(↑今の2点は、体感的なものだから除外)
このまま終わったんじゃ、言われたままの事をするだけで、他の気遣いが、なにも出来てない様な気がしたので。
だからまず、女子の後にトイレに入った時、男とは、なにが違うかを検証してみたんだ。
するとな、それが『トイレット・ペーパー』だって事に、ふと気付いたんだよ。
ほらほら、女子のトイレを使った後って、必ずと言って良い程、トイレット・ペーパーを『三角』に折ってねぇか?
まぁそれが、本当に女子の仕業なのか、どうかまでは不明瞭のままなんだが、取り敢えず、気付いたのでやっておく。
後、入った時、便器の蓋が閉まっていたので、これも閉めて置く。
……っで、後は、これと言って気付いた点が無かったので、トイレから出る事にした。
『ガチャ』
全くの無防備な状態で扉を開くと、奈緒さんが少し笑いながら扉の前で待っていた。
この表情……また、良からぬ事を考えてなきゃ良いけどな。
「奈緒さんも、おトイレですか?」
「うん。君のチェックがてらにね」
ヤッパリだ。
「意地悪なんですね」
「ふふっ、嘘、嘘。私の嫁は、そんな心配しなくても大丈夫だも~ん。ちょっとからかっただけ」
「もぉ、奈緒さん!!」
意地悪されたんで、奈緒さんお得意の『ぷぅ』って頬を膨らませる奴をやってやった。
お気に入りの奈緒さんの仕草をパクッたった。
こんなん、どないでっしゃろ?
「あらま、また可愛い事してくれちゃって……そんな事バッカリしてると、仕舞いに襲っちゃうぞ」
「じゃあ、それは、みんなが帰った後、2人になってからの、お楽しみで……寝かせないですよ」
奈緒さんの耳元で、そっと、そう囁く。
「へっ?」
「ふふっ、冗談ですよ。心配しなくても、奈緒さんになんか、そう簡単には襲われませんよぉ~だ」
からかったった。
これも奈緒さんが良くやるパターンなんだけど、そのやり方で、からかったった。
立場が逆転すると、おもしれ。
「ちょ!!クラ!!」
「奈緒さん。クラじゃなくて眞子ですよ。そう呼ばないとバレちゃいますよ」
言うと同時に、威圧の意味を兼ねて、これでもかって程の真顔で、奈緒さんの顔に、自分の顔を思いっ切り近づけてみた。
この人は、これぐらい威圧しないとリベンジしかねなんだよな。
兎に角、奈緒さんは、世界基準の超特A級危険人物だから、保険は大切だ。
「あっ……うん、そうだったね。眞子だね」
『チュ』
俺の威圧に嵌った奈緒さんに、不意打ちでキスしたった。
これは、女になってからのファーストキスなんだが。
俺が男の時は、不意に奈緒さんにファーストキスを奪われたから、その時の仕返し。
つぅか、俺のファーストキスは、両方とも奈緒さん。
……にしても、あれだな。
女の立場なら、相手が不用意になるから、結構、簡単に不意打ち出来るもんなんだな。
なんか、妙な理屈が解った様な気がする。
けど……これって『知らなくても良い』様な気がするのは何故だ?
『なにかを失った』分『なにかを得てる』様で怖ぇぇ~~~!!
でも、からかったる。
「うん。ちゃんと名前で呼んでくれて、ありがとう奈緒さん。……世界一大好きだよ」
「君ねぇ……」
「ふふっ、それじゃあ奈緒さん、先に部屋に行って待ってますね。寂しいから、早く戻って来て下さいね」
よっしゃあ!!
奈緒さんが唖然としてるから、これはきっとしてやったりな筈だ!!
それに、此処まで奈緒さんを翻弄出来るなら、女言葉も面白くなってきたな。
だってよぉ、最初は、スゲェ女言葉を使うのが恥ずかしいと思ってたんだけどな。
実は女言葉って言っても、男で喋ってた言葉を『丁寧』に『可愛く』言うだけの事だから、そんな大層な話じゃないんだよな。
自分が納得出来る『証明』と『踏ん切り』さえつけば、意外と気にならない。
付け加えて言えば、自分の今の容姿さえ、頭の中にキッチリ認識させて置けば、更に気にもなんねぇもんだぞ。
まぁ、そうは言っても、なにか捨て去らなきゃいけないものが有るのは否めねぇけどな。
そこは、自分の容姿の女の子が喋ってると、脳内変換すればOKだ。
……あぁけど、此処まで簡単に成功するって事はだな。
ヤッパリ『魔性の女と呼ばれてる真上さん』をベースにしたのが正解だったみたいだな。
ダメですよ、奈緒さん……ってか!!
……なんて言って遊んでる場合じゃねぇな。
奈緒さんが持ち直して、リベンジされる前に逃げろぃ~~~!!
「ちょ、クラ!!それ、女子力MAX過ぎだよ。『真性の小悪魔』か、君は……」
へっ?なんか言いましたか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
ちょっと意地悪な物言いであったにせよ、奈緒さんの励ましがあり。
今の現状をなんとかして受け入れようとして、必死に頑張る倉津君。
傍から見れば、女性の物真似をしている様な滑稽な姿に見えるかもしれませんが。
これが倉津君也に必死に考えた『奈緒さんからの貰った愛情への答え』なのかもしれませんね。
どんな状態に成っても【2人の絆は永遠である】と言う証明をする為に、彼女が願い、求める『完璧な女性を演じようとしている』訳ですし♪
まぁ、ただ一点だけ気になる事があるすれば。
そのベースに選んだのが『真上さん』っと言う事ですかね。
どうなっても知りませんよ(笑)
さてさて、そんな中。
この後、再び素直ちゃんとの会話になるのですが。
宣言通り倉津君は、協力者であるXX眞子の力を借りずに、その場を乗り切る事が出来るのか?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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