最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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第十一話 濡れたタブ譜

057 不良さん 奈落の底に落ちる(笑)

公開日時: 2021年4月3日(土) 22:24
更新日時: 2022年11月10日(木) 22:11
文字数:2,318

第十一話が始まるよぉ~~~(*'ω'*)ノ

 011【濡れたタブ譜】


 此処は、水も糞もない最果ての地なのか?

若しくは、草木も生えない様な、俺の指を切り裂くだけの煉獄か?


今現在の俺には、そうとしか思えない酷い環境だ。


つぅのもな。

あの後『絶対、演奏出来る様にする』と意地になった奈緒さんと山中の2人に拉致られ。

兎に角、練習を開始するとの事で、近場に有ったスタジオに強制連行。


そんでスタジオを借りるなり2人は、各個、別々の部屋に入り。

山中はスコアーを持って別の部屋に消え。

俺は、奈緒さんと共に別の部屋に入る。


差から、この時点では……


―――オイオイ、密室に奈緒さんと2人っきりだよ!!

……等と、仄かな期待して緊張をしてはいたものの、そんなものは束の間。

部屋に入るなり直ぐ様、奈緒さんは制服の上着を脱ぎ。

俺のベースをサッと素早く取り出し、一瞬にしてチュ-ニング終了。


ヤル気満々に、それを俺に差し出した。



「さぁやるよ……クラ」


そこからは、奈緒さん特製『地獄の練習メニュー』が待っていた。


まぁどうせ、こんなこったろうとは思ったけどな……


***


 そんな感じで始められた奈緒さんの講座。

そんで、まず奈緒さんに教えられたのは『ミュート』と言う技術。


【連続するメロディーを、重要部分で切るテクニックだ】


このテクニックには2種類あって。


①弦を押さえたフレットの上の指を、そのまま浮かす方法。


ベースを弾いた後と、浮かすまでの時間差で、早い・遅いミュートと変化する。

基本的には指を浮かすだけなので、割かし簡単なテクニックだ。


それでも初心者の俺には難しく、此処の時点で既に苦戦は免れない。

兎に角、このテクニックは、慣れてないと指が攣るんだよ。



②フレットを押さえた指とは別の指で、弦に触れて音を止める方法。


人差し指で押さえた弦を、薬指か小指で、人差し指が押さえている弦の1つ下。

若しくは、もう1つ下のフレットを触れて、弦の振動を止める。


これも何とかこなすが、実際は『言うに安し、やるに難し』

頭と指の連動が上手く行かず。

この時点で早くも、俺の脳味噌は危険なエリアに突入しつつあった。



そんな風に頭の中を整理するまもなく、次に出て来たのが『コード』


単純に説明すると『和音』だ。

解り易く言えば、複数の音が重なりあって出来る音だ。


この和音を作り出す時に問題なのは、適当に音を重ねても何の意味もなく、一定の法則性が有ると言う事だ。

その法則を憶えるには、更に、幾つかの事も憶えなければならなかった。


1つの基本に鳴る音を決め(ルート)。

そのルートと成った音を1度とし、1つ飛んで次の音『3度を重ねる』

次に3度の音に、再び1つ飛んだ音『5度』を重ねる。


これを『コード3和音』と言う。


まずはこれを、奈緒さんがベースを実演しながら説明してくれた。

実際に弾いて貰っているので、この程度の事なら、理解するまでに、そんな時間は掛からなかった。


そうなると『次の法則』が当然の様に襲ってくる……筈だったんだが。

またややこしい重要点を話される。


↓こんな感じだ。


【重なった3和音の中心の音が『長3度か短3度』で『メジャー・マイナー』が決まる】

っと言う件だ。


その『長3度か短3度』って言うのが厄介で、これを憶えるのに、まず重要なのは、頭の中でピアノの鍵盤を想像する事だ。


ドレミファ……っと有るのだが。

解り易い様に、ドを基本にした場合、3度がミ、5度がソと重ねる。


この時に、ド~ミに黒鍵盤が2個。

対して、ミ~ソは黒鍵盤は1個。

この様に半音(黒鍵盤)をキッチリ踏んで、階段の様に進んだ音を『長3度』


その一個手前の上のコードなら『ミ♭』の所の音を『短3度』


長3度3和音=メジャー

短3度3和音=マイナーとなる。


これを念頭に置いた所で、更に説明が続く。


『コード名だ』

ルートをド=C・長3度=ミ・5度の場合C。

ルートをド=C・短3度=ミ・5度の場合Cm(シーマイナー)。


これは、ルートによって呼び方が変わる。


因みに、こんな感じだ(表1参照)。


(表1)

ド=C

レ=D

ミ=E

ファ=F

ソ=G

ラ=A

シ=B

ド=C


メジャー・マイナーが解れば、此処は単純なのか、説明は簡単に終わらされる。


ただ俺の脳味噌の限界は、マジで近かった。

俺の頭は、以前も言った様に河豚味噌程度の性能しか持たないボンクラ脳。

もぅ現時点で、記憶領域の容量オーバーでクラッシュ寸前。


相変わらず、キッチリと整理が出来ずに居た。


―――それでも説明は終わる事無く続く。

1度から派生する『5度』の話だ。


どうやら此処も重要らしく、奈緒さんは再びベースを構えて席に着き、再び説明を始めた。

兎に角、時間が無いのかして、奈緒さんの教え方には容赦が無い。


今度のルートは『ラ=A』を基準にするらしい。

同じ『ド=C』で説明すると、俺が混乱するからとの考慮だろう。


『ラ=A』っと言うのは4弦5フレット。

また同様の音は、2弦移って2フレット下の場所にも存在する=2弦7フレット。

但し、この音は、4弦5フレットの音よりも高音になっている=オクターブ位置。


次に4弦5フレット『A』から、1弦移動し2フレット高音に移動すると『E』があり、これが『ルート=1度』と『5度』の関係。


少し解り難いので、とりあえず簡単な図解で説明された。

奈緒さんが簡単に書いたものは、こんな感じだ(表2参照)。


(表2)

  0123456789(フレット)

1弦G-A-BC-D-E……

2弦D-EF-G-A-B……

3弦A-BC-D-EF-……

4弦EF-G-A-BC-……


っとなる訳だ。

まぁ、わかってしまえば此処も簡単なのだが、この法則は相当重要らしく、矢鱈と丁寧に教えてくれた。

奈緒さんが言うには、この法則はギターもベースも同じらしい。


此処で第一回の説明が終わる……まさに地獄だ。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>

……っと言うより。

今回は基本的なベースの弾き方の説明だったので『お疲れさまでした』っと言うべきかもしれませんね(笑)


そんな訳で次回。

倉津君が、どこまで理解出来たかの確認が始まります。


この辺りは、結構、説明回になってしまいますので、少し退屈に成ってしまいますかも知れませんが。

ちゃんとネタを仕込んで行きますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>


でわでわ、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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