第十一話が始まるよぉ~~~(*'ω'*)ノ
011【濡れたタブ譜】
此処は、水も糞もない最果ての地なのか?
若しくは、草木も生えない様な、俺の指を切り裂くだけの煉獄か?
今現在の俺には、そうとしか思えない酷い環境だ。
つぅのもな。
あの後『絶対、演奏出来る様にする』と意地になった奈緒さんと山中の2人に拉致られ。
兎に角、練習を開始するとの事で、近場に有ったスタジオに強制連行。
そんでスタジオを借りるなり2人は、各個、別々の部屋に入り。
山中はスコアーを持って別の部屋に消え。
俺は、奈緒さんと共に別の部屋に入る。
差から、この時点では……
―――オイオイ、密室に奈緒さんと2人っきりだよ!!
……等と、仄かな期待して緊張をしてはいたものの、そんなものは束の間。
部屋に入るなり直ぐ様、奈緒さんは制服の上着を脱ぎ。
俺のベースをサッと素早く取り出し、一瞬にしてチュ-ニング終了。
ヤル気満々に、それを俺に差し出した。
「さぁやるよ……クラ」
そこからは、奈緒さん特製『地獄の練習メニュー』が待っていた。
まぁどうせ、こんなこったろうとは思ったけどな……
***
そんな感じで始められた奈緒さんの講座。
そんで、まず奈緒さんに教えられたのは『ミュート』と言う技術。
【連続するメロディーを、重要部分で切るテクニックだ】
このテクニックには2種類あって。
①弦を押さえたフレットの上の指を、そのまま浮かす方法。
ベースを弾いた後と、浮かすまでの時間差で、早い・遅いミュートと変化する。
基本的には指を浮かすだけなので、割かし簡単なテクニックだ。
それでも初心者の俺には難しく、此処の時点で既に苦戦は免れない。
兎に角、このテクニックは、慣れてないと指が攣るんだよ。
②フレットを押さえた指とは別の指で、弦に触れて音を止める方法。
人差し指で押さえた弦を、薬指か小指で、人差し指が押さえている弦の1つ下。
若しくは、もう1つ下のフレットを触れて、弦の振動を止める。
これも何とかこなすが、実際は『言うに安し、やるに難し』
頭と指の連動が上手く行かず。
この時点で早くも、俺の脳味噌は危険なエリアに突入しつつあった。
そんな風に頭の中を整理するまもなく、次に出て来たのが『コード』
単純に説明すると『和音』だ。
解り易く言えば、複数の音が重なりあって出来る音だ。
この和音を作り出す時に問題なのは、適当に音を重ねても何の意味もなく、一定の法則性が有ると言う事だ。
その法則を憶えるには、更に、幾つかの事も憶えなければならなかった。
1つの基本に鳴る音を決め(ルート)。
そのルートと成った音を1度とし、1つ飛んで次の音『3度を重ねる』
次に3度の音に、再び1つ飛んだ音『5度』を重ねる。
これを『コード3和音』と言う。
まずはこれを、奈緒さんがベースを実演しながら説明してくれた。
実際に弾いて貰っているので、この程度の事なら、理解するまでに、そんな時間は掛からなかった。
そうなると『次の法則』が当然の様に襲ってくる……筈だったんだが。
またややこしい重要点を話される。
↓こんな感じだ。
【重なった3和音の中心の音が『長3度か短3度』で『メジャー・マイナー』が決まる】
っと言う件だ。
その『長3度か短3度』って言うのが厄介で、これを憶えるのに、まず重要なのは、頭の中でピアノの鍵盤を想像する事だ。
ドレミファ……っと有るのだが。
解り易い様に、ドを基本にした場合、3度がミ、5度がソと重ねる。
この時に、ド~ミに黒鍵盤が2個。
対して、ミ~ソは黒鍵盤は1個。
この様に半音(黒鍵盤)をキッチリ踏んで、階段の様に進んだ音を『長3度』
その一個手前の上のコードなら『ミ♭』の所の音を『短3度』
長3度3和音=メジャー
短3度3和音=マイナーとなる。
これを念頭に置いた所で、更に説明が続く。
『コード名だ』
ルートをド=C・長3度=ミ・5度の場合C。
ルートをド=C・短3度=ミ・5度の場合Cm(シーマイナー)。
これは、ルートによって呼び方が変わる。
因みに、こんな感じだ(表1参照)。
(表1)
ド=C
レ=D
ミ=E
ファ=F
ソ=G
ラ=A
シ=B
ド=C
メジャー・マイナーが解れば、此処は単純なのか、説明は簡単に終わらされる。
ただ俺の脳味噌の限界は、マジで近かった。
俺の頭は、以前も言った様に河豚味噌程度の性能しか持たないボンクラ脳。
もぅ現時点で、記憶領域の容量オーバーでクラッシュ寸前。
相変わらず、キッチリと整理が出来ずに居た。
―――それでも説明は終わる事無く続く。
1度から派生する『5度』の話だ。
どうやら此処も重要らしく、奈緒さんは再びベースを構えて席に着き、再び説明を始めた。
兎に角、時間が無いのかして、奈緒さんの教え方には容赦が無い。
今度のルートは『ラ=A』を基準にするらしい。
同じ『ド=C』で説明すると、俺が混乱するからとの考慮だろう。
『ラ=A』っと言うのは4弦5フレット。
また同様の音は、2弦移って2フレット下の場所にも存在する=2弦7フレット。
但し、この音は、4弦5フレットの音よりも高音になっている=オクターブ位置。
次に4弦5フレット『A』から、1弦移動し2フレット高音に移動すると『E』があり、これが『ルート=1度』と『5度』の関係。
少し解り難いので、とりあえず簡単な図解で説明された。
奈緒さんが簡単に書いたものは、こんな感じだ(表2参照)。
(表2)
0123456789(フレット)
1弦G-A-BC-D-E……
2弦D-EF-G-A-B……
3弦A-BC-D-EF-……
4弦EF-G-A-BC-……
っとなる訳だ。
まぁ、わかってしまえば此処も簡単なのだが、この法則は相当重要らしく、矢鱈と丁寧に教えてくれた。
奈緒さんが言うには、この法則はギターもベースも同じらしい。
此処で第一回の説明が終わる……まさに地獄だ。
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
……っと言うより。
今回は基本的なベースの弾き方の説明だったので『お疲れさまでした』っと言うべきかもしれませんね(笑)
そんな訳で次回。
倉津君が、どこまで理解出来たかの確認が始まります。
この辺りは、結構、説明回になってしまいますので、少し退屈に成ってしまいますかも知れませんが。
ちゃんとネタを仕込んで行きますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>
でわでわ、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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