●前回のおさらい●
真上さんの抗えない魅力に、困惑気味の倉津君でした(笑)
そして数分後、真上さんは、いつものティーポットを持って帰って来た。
「お待たせしました」
彼女は、戻って来た際の、いつもの笑顔も忘れてない。
これは、相変わらず『癒される笑顔』だ。
「あぁ、いつも、すんません」
「あぁっと、気にしないで下さいね。私が好きで、お出しさせて頂いてる事なので……それよりも、倉津さんには、いつもお付き合い頂いて感謝してますよ」
ぬうぅぅぅうぅううぅぅ~~~~っ。
真上さんは、何を言っても嫌味が無いんだよな。
普通な、こう言う言われ方をすると、多かれ少なかれ、嫌味に感じる部分が有るもんなんだが。
真上さんからは、そう言った嫌な部分を一切感じた試しがない。
この人、いつも本心で、こんな事を言ってるんだよな。
ホント、どうやったら、こんな精神になれるんだろうな?
まさにゴッドですよゴッド!!
「いやいや、そんなそんな。俺なんかに、お茶を出して貰えるだけでも、幾ら感謝しても足りないッスよ」
「どうして……そんな事を言われるのですか?私は、お茶をお出ししたい方にしか、お出ししませんよ」
……死ぬ。
彼女が『天然』だと解っていても、このセリフは簡単に死ねる。
それに男性なら誤解もする。
なんて言うのかなぁ、真上さんのこの行為って、なにかしろ『特別扱い』されてる気分になるんだよなぁ。
解ってても、本当に嵌りそうだ。
ヤバイから話題を変えよ。
これは危険だ。
「あの、ところで真上さん。さっきの武藤の話、理解出来ましたか?」
「えぇっと、銀行の話でしょうか?」
「そうッス、そうッス」
「あぁっと、正直言えば、あまり良く解りませんでしたね。あれは、どう言った意味なのでしょうか?教えて頂いても良いですか?」
よしよし、急に話題を変更したのに、上手く真上さんが喰い付いてくれた。
まぁ、この辺については、人間ってのは『気になる事』や『解らない事』には抵抗力が薄いからな。
そこが功を奏して、良かった、良かった。
これ以上は、マジで危険だったからな。
「いや、実は、凄く簡単な話なんッスよ」
「そうなんですか?」
「うっす。あのッスね。あの話はッスね。金銭管理は通帳でするより、自分で数えて確認した方が、金の価値が解るからなんッスよ」
「えぇっと、それは、どう言った意味でしょうか?」
「なんて言うんッスかね。お金を自分で持つって事はッスね。それだけ危険が伴うって事なんッスよ。それにお金が目減りする恐怖を肌で感じ続ければ、人間なら誰しも減らしたくなくなる。それ=ッスね。金の価値が解ってくるってもんなんッスよ」
「なるほど、そう言う事だったんですね。私、お金には疎いもので、要さんの言う事が、実は良く解らなかったんですよ。けど、倉津さんが丁寧に教えて下さったので、少しだけ解りました。あの……ありがとうございますね」
……アカンね。
普通に会話してても、これは嵌るわ。
真上さんって、ホント、どういう構造で出来てるんだろうな?
こんなんじゃ、なにやっても、この人、相手に良い様に誤解されるぞ。
ってな訳でだ。
また話題を変えよ。
「あぁ、全然良いッスよ。友達が困ってたら、教えてあげるのが人情ってもんッスからね」
「あっ、はい。私も、倉津さんを見習って、これからも一生懸命勉強しますね」
あのさぁ。
突然で悪いんだけど、みんな『蜘蛛の巣』って知ってる?
1度でも糸に絡まったら最後。
絶対逃げられないし、もがけば、もがく程、絡まって来るんだよ。
知ってた?
にゃああぁぁぁ~~~~!!
嵌ってるのが解ってるのに、心地良い『蜘蛛の巣』なんて嫌過ぎる。
真上さんの蜘蛛の巣は『逃げたい』んじゃなくて『逃げたくない』になるんだよぉ。
まさに地獄の『ピンク・スパイダー』
なので、誰か助けちくり。
「あぁ、うっす」
「あぁっと、いけない。また、やっちゃいましたね」
「へっ?なにがッスか?」
えっ?まさか真上さん、これって、狙ってたんですか?
「くすくす、いえ、お恥ずかしい話なんですが。……倉津さんと、お話してると楽しくて、つい、お茶を淹れ忘れちゃうんですよ。お待たせしちゃって、本当に申し訳ありません」
……矢張り、俺を殺す気ですか?
次、そう言う事を言うと、本当に俺は軽く死んじゃいますよ。
ホント、もぅ無理ッスよ。
真上さんの店に来る回数が増えれば増える程。
彼女の魅力が、毎回毎回、脳内更新されて伝わってくるんじゃ、辛過ぎるってもんですよ。
しかもだな。
その更新内容ってのが、パソコンの更新同様、更新されれば、される程、彼女のデータが明確になっていき、更新前より、よりシンプルに魅力を伝わってくる。
解っていても、こうなったら結構、地獄だ。
けどな。
俺がこうやって言いながらも、真上さんに嵌りきらないのには理由が有るんだよ。
①奈緒さんって彼女が居るのは、勿論、一番の理由なんだがな。
②真上さんの俺を見る眼が、理性を掛けるストッパーになってる。
実は、彼女の眼、なにを言ってても、純粋で濁りが無いんだよな。
そんな眼で見られたら『浮気しようかな?』なんて邪な気持ちに成らず、寧ろ吹き飛んじまうんだよな。
だから、その真上さんの純粋な眼のお陰で、ギリギリのラインだが、何とか理性を保ってられる。
これがなければ、きっと『浮気』してたかも知れないな。
いや、敢えて言うなら、確実にしていただろう。
「いやいや、滅相もない。楽しんで貰えてるなら、それはそれで有りッスよ」
「そうですか。そう言って頂ければ、私も、少し気が楽になりました」
「なら、良かった」
「……ところで倉津さん。本日は、どの様な御用向きで、コチラにお越し頂いたんですか?」
おっと、真上さんに言われるまで、完全に忘れてた。
こうやって有意義な時間を過ごさせて貰ったのは、良いんだけどな。
俺、これで帰ってたら、ただの馬鹿だよな。
まさに俺、無様(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
真上さんの魔性に嵌りながらも、最終的に嵌り切らないのは、矢張り、奈緒さんの存在。
……ってか、あんな良い彼女が居るのに、浮気なんか無様な真似はしちゃいけません(笑)
なんて事がありながらも、漸く本題である『追加メイド服の受注』
これが万事上手く行くかは、次回の講釈。
なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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