最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

436 心を抉る奈緒さんの言葉

公開日時: 2022年4月18日(月) 00:21
更新日時: 2023年1月2日(月) 11:54
文字数:2,061

●前回のおさらい●


 真上さんを庇っていた事は、もぉ既に奈緒さんにはバレていた(笑)

そして、それを理解した上で彼女は、倉津君をフォローしてくれたのだが……


結局、真上さんの件は許されても、サボった事は許されず。

千尋ちゃんの提案により【冷酷無情バージョンの奈緒さん】が、倉津君の処遇を決める事に成る。


ヲワッタ(笑)

「ねぇクラ……私、少し君に言いたい事があるんだけど。言って良い?」

「へっ?あっ、あっ、はい。なっ、なんッスかね」

「って言うか、まずにして君さぁ、今、何も考えずに、そこに座ってるみたいだけど、此処に居て恥ずかしくないの?自分の彼女の前で、他人に馬鹿にされた上に嘲笑われて、よくもそんな平気な顔をして座ってられるわね。君って、一体、どういう神経してるの?」


えぇ~~~!!マジで、なにこれ!!

千尋の宣告通り、奈緒さんは冷酷な表情を、なに1つ崩す事無く、強烈に酷い事を言い出したぞ。


……ってか奈緒さん、その死んだ魚みたいな眼をして、ほぼ無表情で罵詈雑言を吐く姿は怖いって!!


いやもぉ、ホント反省してますんで、それ、もぉ辞めて下さい!!



「それに、浮気して置いて、よくもまぁ、此処に顔を出せたわね。君は、その彼女の気持ちとかは考えない方向なの?きっと、そんな君を見ながら、何も言えず、本心じゃ彼女は泣いてるんじゃない。君みたいな彼氏を持って可哀想だね……その人」


『その人』って……



「いや、あの、俺……」

「うん?なに?どうしたの?彼女の気持ちが解らないから動揺してるの?……酷い事を言ってたら謝るけど。そんな意思疎通が出来無い君にとっちゃあ、彼女は、きっと性欲を満たすだけの『肉塊』程度にしか認識してないんだろうね」

「そんな事は!!」

「あぁ、ごめん、違うね。確かに、君の言う通りそうじゃないかもね」

「えっ?」

「だって……心が通ってないから、君じゃ、こんな話自体理解出来る筈がないもんね。でも、此処だけは憶えて置いて、そんな君に、SEXを強要されてる彼女って、ホント可哀想だね」


ぐっ!!

……ホントに嫌だな『このバージョンの奈緒さん』


無感情・無表情が作り物だって事は、なんとなくは解ってても。

奈緒さんの指摘は、俺が普段から奈緒さんに疑問に思っている事に滅茶苦茶近い話だから、なにも反論が出来無い。


それに、的確過ぎて、言葉全てが、俺の心に突き刺さって行く。

特に、今言った言葉の中じゃ『意思疎通が出来てない』って言葉は、兎に角、俺の心臓部分を見事に貫いている。

これを言われただけで、さっきから、冷や汗が止まらなくなっているんだから、間違いは無いだろう。


俺は知らず知らずの間に、相当、精神的にも追い詰められてるんだろうな。

ある意味、このバージョンの奈緒さんの言葉は……自分が情けなくて、死にたくなるな。


けど、そんな俺を支えてるのは……『奈緒さんの事を『肉塊』なんて1度も思った事が無い』って事だけだ。


これがなかったら、死ん……



「いや、そんな事……」

「言葉を出す前に、よく自分の胸に手を当ててみなよ。……『そんな事あるよね』それにね、本気で彼女が好きなら、彼女を差し置いて、他の女を手伝いに行ったりしないもんね。……きっと君の彼女は、それを知った時、悲しくて、悲しくて仕方なかっただろうね。でも、君の事が好きだから、グッと我慢してたんだろうね。可哀想。本当に可哀想で馬鹿な子だね」


ちょっと待ってくれ……


これ……奈緒さんの本音じゃないのか?


言い方がリアル過ぎるし。

なんか、この場を借りて、今まで鬱積してた事を、全部吐き出してる様にも見えなくもないんだが。


それに……周りのみんなも、この奈緒さんの言葉に沈黙している。


これって……



「けっ、けど……」

「『けど』?『けど』なに?私が、なにか間違った事を言った?君が彼女の立場だったらどう思う?普通なら、考えたくもない様な嫌な気持ちにもなるだろうし『なんて自分には魅力が無いんだ』って悲観するんじゃない?そう言う彼女の気持ちを解ってるの君は?しかも、それを裏切ってまで、君は他の女と遊んだ。……これ、本来なら万死に値する事だよ。それとも、此処まで言っても、なにも感じない無痛症なの?」


奈緒さんの本音が此処に有るなら『万死に値する』は、正当な処遇だよな。

この話を聞けば聞く程、今回に限らず、それ以前からも、俺は奈緒さんの心を踏み躙って来た訳だからな。


当然だよな……


本音に気付いて上げられなくて、ごめんな奈緒さん……



「奈緒さんが、それを望むなら……」


こう言うしか無いよな。


今の俺には、この言葉しか残されていない様な気がする……



「うぅん、全然。ってかね。寧ろ、さっさと改心して、牛馬の様に働きやがれ」

「へっ?」


えっ?


何故か突然、奈緒さんが微笑みながら、そんな事を言って来た。


えっ?なに?どう言う事?


「いや、だからぁ。今までサボって、王家さんと楽しい時間を過ごしてきたんでしょ。だったら、それを償う為にも、みんなが納得出来る様に働けって言ってんの。……わかる?」

「えぇっと」

「ふむ。わかんない子だなぁ。早い話、君は歌謡コンクールが開催されるまでの時間『君は、みんなの奴隷に成った』って事。良い?これからは奴隷に身を落としたんだから、文句を言わずにシッカリ働きなよ」


うぉ!!あまりにもリアルに話をするから……完全に奈緒さんに嵌められた。


けど、この人は、さっき、どこまで本気で喋ってたんだろうな。


わかんねぇな奈緒さんは……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


流石、奈緒さん♪

倉津君が、自分に対して感じてそうな罪悪感を見事に言い当てて、心に抉り込んできましたね(笑)


まぁでも逆に言えば、そんな言葉を敢えて口にすると言う事は。奈緒さんは『そんな余計な心配はしなくても良いんだよ』っと言ってくれてるのかもしれませんね。


えぇ子じゃのぉ。


さてさて、そんな風に奴隷の身に落された倉津君なのですが。

次回からは、サボった分以上に働き、挽回を図って来ると思います♪


なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート