最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第二十六話 奈緒の気持ち

141 不良さん イキナリ迷いの中に

公開日時: 2021年6月27日(日) 00:21
更新日時: 2022年11月25日(金) 12:57
文字数:3,963

第二十六話『奈緒の気持ち』が始まるよぉ~~~(*'ω'*)ノ

 026【奈緒の気持ち】


 ……う~~~ん、まいったなぁ。


こりゃあ、一体どうしたもんだ?


奈緒さんに、明日の件を早速連絡しようと思い。

嶋田さん家からの帰り道。

上大岡の駅に並ぶ公衆電話で彼女の家に電話を掛けてみたんだが、そこで返って来た答えは『奈緒さんは、まだ帰宅していないとの通知』


こんな風に、初期段階から彼女に何も伝えられないまま、完全に出足を挫かれた訳だ。


……っと言うよりもだな。

実際は、そんな事よりも、もっと重要な問題を彼女の母親の口から聞かされた。


なんでも、奈緒さんのお母さんが言うにはな……どうやら奈緒さんは『此処数日、実家には帰っていない』らしいんだよ。


まぁ、奈緒さんから聞いた程度しか、彼女の家庭環境は知らないが。

少なからず、その家庭環境を考慮すれば、この『家に帰っていない』っと言う話は有り得ない話ではない。

なんと言っても以前から、奈緒さんの持つ両親への嫌悪感は、かなりキツイものがあったからな。

『家に居づらい』とか『両親と顔を合わせたくない』とか、そう言う理由なんかもあるんだろう。


そう考えれば、この母親の言葉は非常に信憑性が高い。

いや、恐らくは、この母親が言うよりも、もっと酷い状態になっている可能性だってある。


例えばだな。

彼女は、此処数日どころか、実際は、殆ど家には寄り着いていない……そんな可能性すら秘めてる様な気がしてならない。


この辺は、ある程度の予想していた事とは言え。

流石に、その事実を直接耳にした以上、これは心配で堪らない。

付け加えて、この奈緒さんの精神不安定な状態を悪化させているのは、此処数日の俺の態度。

俺は、そんな彼女から不安を取り除くどころか、無駄なまでに『彼女を心配させてばっかり』だ。


ホントに、俺って奴は……


そんな風に、彼女の実家に電話してから、俺の不安要素は時間が経つ毎にドンドンと増していく。


***


 駅前で悩んだ挙句。

俺は、漸く、そんな奈緒さんを探す、ある1つの提案を思い付いた。


それは『心当たりを、虱潰しに当たって行く』なんて言う最も原始的な方法。

非常に情けない話なんだが、俺の河豚味噌しか詰まってない脳味噌では、これが限界だ。


下手に考えるよりも、先に行動した方が良いと言う考えを自で行く俺は、直ぐ様、この安易な思考に逃げてしまう。


―――要は、馬鹿過ぎるんだろう。


けどな。

そうは言っても、他に何も思い付かないなら、今は、これに縋るしかない。

兎に角、早急に行動を開始する事にした。

もぉ奈緒さんの事が心配で、居ても、立っても居られない状態だしな。


***


 だが、直ぐ様、俺のやり方には、多々残念な問題がある事に気付いた。


仮に、これを実行したとしても。

彼女を発見するには、あまりにも可能性が薄いと言う事だ。


勿論、それを裏付ける理由は有る。

①彼女の行きそうな場所の情報が、殆ど無い……寧ろ、皆無。

②それに情報源になりうる彼女の交友関係を、正直あまり知らない。

以上のこの2点。


故に、この方法で人探しをするには、かなり致命的な情報不足にもなる。

それどころか、相当、要領良くこなさないと、奈緒さんを見付ける以前の問題として、探す事すらままならない状態。


このままじゃ、全てが徒労に終わる事だって有り得る。


だから、自分の持っている情報を整理しなければならない。


まず俺は、そこから始めた。


第一に、彼女の行きそうな場所を整理してみた。

……だが、これも、やる前から無駄だと言う事が、直ぐに解る。


何故なら、俺が奈緒さんと出かけた記憶が在るのは『楽器屋』と『練習スタジオ』

ほぼこの2点でしか、逢った記憶がない。

後、無理矢理ねじ込めば、奈緒さんの母校『蓮田高校』なんてのも有るが……流石に、この時間に学校に行く馬鹿は居ないだろう。


……っとなるとだ。

先程挙げた、この2点が有力になるんだが。

『楽器屋』については、この時間は、もぉ営業なんてしていない。

どんなに営業時間が長い店であっても、既に21:00には閉店している。


そんな訳で、こちらは物理的に侵入不可能なので、此処に奈緒さんが居る確立は0だ。


なら、もう1つの考えである『練習スタジオ』はどうだろうか?

スタジオなら、まだこの時間も営業しているし、最も彼女と過ごした時間が長い場所。

深夜に何所か行ってるとしたら、可能性としては0では無い。


けど、結論を言えば、コチラもNOだ。


一見すれば、用事が終わって戻って来るなんてパターンも考えれるが。

用事が終わった後に、そんな何時間も同じ場所には居ないだろうし、バンドの練習をしないなら此処に居る理由もない。


なら、この時点で、奈緒さんの行きそうな場所って奴は壊滅する。


故にだ、今度は奈緒さんの知人を当たる方へ、思考変換せらざるを得ない。


……だがなぁ。

此処にも、矢張り問題がない訳じゃない。


勿論、理由は、俺の知りうる奈緒さんを知り合いが多くは存在しないからだ。


敢えて奈緒さんの友人をリスト・アップするとすれば……


①ウチのバンドのメンバー。

②清水咲さん。

③アホの樫田千尋。

④遠藤康弘。

⑤国見のオッサン。

⑥馬鹿居間馬鹿秀。

頑張っても、これが精一杯だ。


しかも、この中でも、ウチのメンバーは使えないのは明白。

例え、誰かに何かを聞いた所で、恐らく、俺が期待する様な回答は返って来ない。


メンバーは、俺よりも奈緒さんとの付き合いが浅いから、当然と言えば当然だろう。


それでも一応は、もしもって事が有るので、保険を掛ける為に全員に電話してみたが……矢張り、敢え無く、此処でバンドのメンバーは全員脱落。


『誰も、彼女の居場所は知らないとの事だった』


なら、次だ。

友人関係にある咲さんと、アホの樫田。

……っと思った矢先。

早くも、この思考が出た時点で、1人が脱落している事に気付く。


言うまでもなく、脱落者は清水咲さんだ。


だってよぉ。

まずにして俺は、彼女の連絡先すら知らない。


これでは正直どうしようもない。

だから彼女の件は、樫田に連絡した時にでも、連絡を頼むのが良策だろう。


これで俺の知ってる彼女の友人は、1人しか使えない事を理解せざるを得なかった。


んな訳でだ。

俺に残された奈緒さんの友人関係の選択肢は、早くも1択しかない訳なんだが……


もう片方のアホの樫田に連絡したところ。

なんとか連絡は付いたものの、本人に取り次いで貰って、質問した結果……


『あぁ、夜に、奈緒が何してるか知らないなぁ』

……っと、予想していた以上のハイペースで、アッサリ脱落。


少し期待していただけに、ガクッと膝から崩れ落ちそうになった。

その上、無理矢理起されたのか、俺が話をしてる途中で、電話を切られる有様。


『前世からの付き合い』云々を言う割には、当てにならない奴だ。


オマエも奈緒さんの友達なんだったら、呑気に眠ってないで、少しは協力しろ!!


矢張り、コイツは何所までも使えねぇ奴だ。


―――そして、俺の愚痴は絶えない。


そんな訳で、残す所は国見のオッサンと、遠藤、馬鹿秀と言った感じなんだが……まず、遠藤はないな。


消去法を使う訳ではないが、多分、康弘は奈緒さんの連絡先すら知らない。

それ以前に、そこまで深い付き合いが有る様には思えない。


故に、さっさと確認だけして電話を切る。


早い話、結果は『知らない』って事だな。


んな訳で、ドンドンと手詰まりな方向に行く訳なんだが……此処で我が悪友『馬鹿』に電話してみる事にした。

コイツは超絶エスパーだから、きっと『誰が、何所で、何をしてるか』ぐらい簡単に解る筈。

事、こう言う事に関しては、必要以上に期待値の高い男だ。


故に、馬鹿みたいに簡単に、奈緒さん発見の糸口が掴めそうな気がして、少しだけ明るい気持ちになる。


そんな訳で、早速馬鹿秀に電話してみると……幸先良く、静流さん(崇秀の母親)が1コールで電話に出てくれた。


……んだが、運が良かったのも此処まで、まだ『崇秀が帰宅していない』旨を静流さんに告げられる。

今回ばかりは、先程と違い『期待が大きかった』だけにダメージがデカイ。


俺が必要じゃない時は、無駄に出て来るくせに……コイツも、意外に使えねぇ男だった。


これでとうとう、俺に残された選択肢は少なくなってきた。


気付けば……

奈緒さんが用事があると言っていた『横浜』へ向かうか。

一応、今もバンドの籍を置いている『国見のオッサン所』に向かう。

……かの2択しか選択肢が無くなってしまっていた。


けど、時間的に、この2つを廻るのは厳しい。

時間と移動距離から考えても、どちらか一箇所に絞らなければならない。


俺は、改札の券売機の前で腕を組んで悩んでいた。


『横浜』か、それとも『オッサン所』か?


まいったなぁ。

マジで、全然わかんねぇ?


このままじゃ時間ばっかり過ぎるし……マジどうっすかな?

悩めば悩む程、時間が無駄に経過する事ぐらいは解っているつもりだが、中々簡単には決めかねている。


本来なら悩まず行動するのだが、先程、嶋田さん家にノープランで行き、思わぬ出来事(椿さん)に遭いパニックに陥った。


……それが頭を過ぎって離れない。


かと言って、これ以上連絡する相手も居ねぇし……


そう思った瞬間、俺はある事に気付いた。


『( ゚д゚)ハッ!!!』


そう言えば、国見のオッサンって、ウチの馬鹿親父の幼馴染とか言ってたよな。

だったら、ひょっとして糞親父の奴、国見のオッサンの連絡先を知ってんじゃねぇか?


これが上手く行けば『オッサンの所』で奈緒さんに逢えるし、ダメでも『横浜』に移動は出来る。


これなら逢えなくても、最低限度、納得出来る範囲は、全部探せるんじゃないか?


冴えてる。


冴えてるぞ俺!!

(↑遠藤に聞けば、オッサンの連絡先が解るという事は、最後の最後まで気付かなかった間抜けな俺)


なので、即座に行動に移す。

荒々しく公衆電話の受話器を取って、実家に連絡してみる。


プルルルルル……

プルルルルル……


どうなる事やら。


最後までお付き合い、ありがとうございますです<(_ _)>

こうやって第二十六話『奈緒の気持ち』が始まった訳なのですが……出足から、倉津君、焦ってますね(笑)


まぁ、こう言うスットコドッコイな所が、彼の持ち味なので、そこは笑ってあげてください。


さてさて、そんな中。

奈緒さんの行方を捜す為に、国見さんの電話番号を聞こうと、実家に電話を掛けた訳なのですが。

彼の思惑通りに事は進むのでしょうか?


いや、寧ろ、そんな事がある筈もなく。

倉津君は、ある衝撃の事実を知らされる事に成ります。


さて、それは一体、何でしょうか?


そこはまた次回の講釈。


また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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