最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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639 ライブ前半の好調な滑り出し

公開日時: 2022年11月7日(月) 00:21
更新日時: 2023年1月18日(水) 18:31
文字数:2,210

●前回のおさらい●


 崇秀指揮の元、開幕した奈緒さんのライブ。

当然、崇秀が監修しているだけに、その危険性をより深く感じていた眞子だが。


ライブの一曲目である『泡沫』は、奈緒さんと崇秀による完璧過ぎるハーモニーで、観客達を盛り上げていった。


そして……

「みんなぁ~~、こんばんわぁ~~~、向井奈緒で~~す!!今日は忙しい中、みんな、私のライブに来てくれて、ありがと~~う!!」

「「「「「奈緒様ぁ~~~~~!!」」」」」

「こらこら、イキナリ『奈緒様』かい!!」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」


あっ、あれ?

奈緒さんって、ライブでツッコミとかするんだぁ。


なんか、もっとクールな感じで、人心制圧系のライブをしてるのかと思ってた。


意外とアットホーム系だったんだね。



「まぁまぁまぁまぁ……小さいツッコミで、笑い過ぎだって言うの」

「「「「「奈緒様、可愛い!!」」」」」

「あぁ知ってる、知ってる。今日の朝、自分の顔を鏡で見てビックリしたもん。頭には寝癖がバリバリに付いてたし。寝起きの顔は、凄い酷い顔してたからね。……そう考えたら、今は、まだ可愛い部類だよね」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」

「笑うにゃ!!」

「「「「「奈緒様の寝起きみたい!!」」」」」

「ヤダよ。人には、絶対、見せられない様な酷い顔してるんだから……無理、無理」


いやいやいやいや『ぽえぽえ』してて、滅茶苦茶可愛いですよ♪


ポケットの中に入れて、持ち歩きたいぐらいですよ♪



「「「「「あはははっははっはは……」」」」」

「泣かしたろか……」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」

「まぁまぁ、ライブに来て貰って、いつまでもベラベラ喋ってても仕方が無いんで。そんじゃあ、そろそろ二曲目。『Miserable fellow』行っちゃおうか!!最後まで、私のライブを楽しんで行ってねぇ~~~♪」

「「「「「わあぁぁぁぁあぁぁ~~~~~!!」」」」」


……お笑い系なんだ。


山中君の悪影響が出てるね……こりゃあ。



「1・2……」


-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪--♪--♪……


悪影響の主が、いつもの様にドラムスティックを叩いて、2曲の始まりを合図する。


でも、私に対する不安感が、完全に拭えていないのか。

今だに山中君は、少しだけ私の方チラチラと見て、なにかを気にしている様子。


う~~ん、さっき音合わせは何度かしてたんだけど、流石にそれだけじゃあ信用はしきれてないか……


まぁまぁ、でもね。

そんな不安は、曲が始まってしまえば、絶対に拭える筈。


大体にして、この『Miserable fellow』は、練習不足な新曲じゃないし。

この曲の発表当初から、ずぅ~~と弾き続けて来た曲だしね。


そのアレンジをしたのも、親戚の真琴ちゃんなんだから……この辺の曲は、心配ご無用!!


それに、この観客が出す特有の熱気って、私、大好き!!

私は単純馬鹿だから、既にテンション上がり捲くってるから、全部任せて~~~♪


私は、自分の愛機であるSting -rayちゃんを、頭より大きく振り上げる。


ブラックメタルである『Miserable fellow』を演奏する為には、ド派手に低音轟音を、会場に響き渡らせる必要が有ったからね。



-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪--♪--♪……


イッケェェェ~~~!!




「「「「「わあぁぁぁぁあぁぁ~~~~~!!」」」」」


これこれ!!ヤッパ、この感覚、最高に気持ち良い!!


Sting -rayちゃんも、超絶好調ですよぉ~~♪



……でもね。

この後、曲が、崇秀のギターパートに入って行くんだけど、その奏でられた音色が……


どういう原理かは解らないんだけど。

私の背中をソッと押す様に、自分が出せる限界以上のベースの音色をグングンと引き出させてくれる。


これは、以前、真琴ちゃんに聞いた事のある、ステラさんって人が使っていた『ブースト』って技に非常に似てるんだけど。


少しだけ、なにかが違う感じがする。


まるで、その音は、奈緒さんや、山中君を無視して、私だけを後押ししてる様な感じなのよ。


その証拠にね。

私の実力を疑っていた山中君が、異様なまでの不思議そうな顔をコチラに向け続けてる。


本当に、なんなんだろう、この不思議な感覚わ?



「ククッ……まずは『ピンポイント・ブースト』たっぷりと優越感を味わいな」


崇秀がコチラに向って満面の笑みを浮かべていると言う事は……

未確認ではあるんだけど、彼がなにかしろのスキルを発動させてるか可能性が飛躍的に高い。


でも、なんだろう?この不思議な感覚は?


……この後も。


③『Dash eater』……複合。

④『Original intention accomplishment』(初志貫徹)……ロック。

⑤『Troubling』(四苦八苦)……アニソン風。

のジャンルの異なる3曲を、公言通り、崇秀は、見事なまでにバックアップしてくれてるんだけど。


こんなに上手く弾けたのは、人生初めて!!

まるで、音楽の神様か何かが取り憑かれてる様な錯覚にすら陥る。


それに……この会場に居る観客の皆さんと、私との一体感は、ちょっと普通じゃない。


見ず知らずの筈のお互いが、まるで私が出す1つ1つの音を、とても親密に共感している様な奇妙な感覚。


まさに、隣で応援して貰ってる様な錯覚すら憶える。


なんなんだろう、これ?


なんの失敗も無く、全てが上手く行き過ぎていて、少し怖い感じがするなぁ。



17,000人もの観客を見詰ながら。

そんな答えの見つけ難い、一人思考をしていると……


再び奈緒さんが、一曲目の新曲を発表する為のMCを開始する。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀監修の元、ライブは4曲目まで進み。

その内容のどれもが文句の付けれない程の完璧なライブ。


そして、眞子の背中を押す様な『謎のブースト』が、更に観客との距離を詰め。

より大きな盛り上がりを見せてはいるのですが……此処に来て、今回のライブで一番の問題点に成っている新曲発表の時が来ましたね♪


さてさて、そんな不安要素が満載に積まれた状況の中。

奈緒さんのMC終了と共に奏でられる新曲は、上手く演奏できるのでしょうか?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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