最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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439 ……はい?

公開日時: 2022年4月21日(木) 00:21
更新日時: 2023年1月2日(月) 12:10
文字数:2,005

●前回のおさらい●


 裏で倉津君が密かに実行して来た事、それは……『クラスの女子全員をアイドルユニット』にすると言う無謀なもの。


それが上手く行くかは、まだ不確定だが。

まずは成功に向かって、今やるべきライブへの下準備に励もうとしていた。


 ……ってな事情がござんして。

まずは、最初にだな。

これを実行する為にも、即座に解決しなきゃいけない事から着手していこうと思う訳だ。


勿論、その『問題』ってのは……『最後尾が校舎からハミ出し、教室まで続いてる糞長い行列』


まずはこれを、なんとかしない事には、話は始まらない。


んな訳でだ。

彼等には『整理券を配布』と言う最も解り易い方法で、これに対応する。


まぁ、これに関してはだな。

折角、今までズッと並んで貰ってたのに、ライブ中まで、此処でジッと待って貰うのも気が引けるっと言う発想と、此処で待って貰うより、会場に足を運んで貰った方がライブ自体も盛り上がるっと言う発想を元にして思い付いた、極当たり前のサービスだ。


付け加えて、このライブさえ成功したらだな。

午後以降の営業は、もっともっと忙しくなるだろうし。

下手すりゃ、今、手渡していってる、ただの紙切れの同然のこの整理券が『プレミアムな整理券』に化ける可能性すら出ている。


故に、これさえ持ってれば。

『人に売る』のも自由。

『自らが来店する』のも自由。

本人次第では、2通りの違う楽しみ方も出来るってもんだ。


こう言うニーズに合った下衆なサービスは、必ずしも必要だと思う。

(↑金儲けの時だけは、スラスラと汚い事を思い付く俺)



……ってな訳で、俺は、メイド喫茶に入店する事を心待ちにしてくれている客に、一人一人、丁寧に整理券を配っていった。


一応、最後まで配ってみたら、その数は241人。


この数については、奈緒さん達が居たから『少し少ないな』とは思ったんだが。

ライブ会場に行く人間の事を考えたら……まぁ、こんなもんだろ。


さて、これだけ終わらせれば、本当の意味で、ライブまで間にする準備は万端だ。


此処からは、俺自身の問題じゃなく、彼女達次第って訳だな。


***


「はいよぉ、お疲れさん」

「「「「「♪~~~~~」」」」」


俺が整理券を配り終えて、扉を開いて教室に入るとだな。

嶋田さんのギターで、彼女達の最終チェックが行なわれていた。


まぁ勿論……その音に合わせて、女子達は、全員で必死に歌を唄いっているんだが。

みんな、必要以上に緊張してテンパっているのか、正直、歌も、ダンスもあまり上手くない。


仕上がりとしては、70%ぐらいと言った所だろうか。


その70%仕上がりの中にあっても、自然と抑えきれない輝きを放っており。

このユニットの要にして、唯一無二の存在としても君臨するのは……


言うまでも無く『素直』


ユニット唯一の現役芸能人で有り。

こなして来た場数が圧倒的に違うから、ステージ慣れしており。

一人だけ緊張した素振りも見せずに、堂々としたものになるのは当然と言えば当然だがな。


それと……素直とは別に、あと一人だけ気になる人物が居るんだよな。


ソイツは、俺が見たところ、芸能人オーラ自体は凄く微弱なものなんだがな。

多少のぎこちなさは感じるものの、見た感じソコソコに良い動きをしているんだよ。


こう言っちゃあ、失礼かも知れないが……由佳や、伊藤より、良い感じに仕上がってる様にも見える。


それに、見た目も良い感じだ。



……けどなぁ。

ソイツって、クラスで1度も見た事のねぇし、完全に見知らぬ女生徒なんだよな。


あれだけ目立つ感じだったら、知ってても、おかしくねぇんだけどなぁ。


一体、誰なんだよ、あれ?

あんな奴、ウチのクラスに居たっけ?

ひょっとして転校生か?


そんな風に不思議に思いながら、そいつを観察している間に……嶋田さんが、最終チェックの為に奏でていたギターの音色が止まる。



「うん。良く短期間で、此処まで仕上げたね。大したものだよ」

「「「「「やっ……やったぁ!!」」」」」


嶋田さんの褒め言葉に、女子達は近くに居る者同士が手を握ったり、抱き合ったりしながら、満面の笑みで一斉に歓喜の声が上げた。


この様子からしてだな。

そんなに上手くないとは言え、多分、此処までの完成度に仕上げるまで、結構、苦労したんだろうな。


なんか、こう言う光景を目の当たりにすると『青春してますなぁ……』とか、ジジ臭い事を思ってしまう。


……にしても嶋田さん。

公開謝罪の時の俺に対する扱いとは、露骨な程に違いが見える態度でゲスなぁ。


少し女子達には、お優し過ぎるんじゃないんでゲスか?


そりゃあ、あっしだって『褒めて育てる方法』を、実践的に使ってるんだって事ぐらいは解りやすぜぇ。


けど、露骨はイケネェ。


故に、さっき一度もフォローしてくれなかったから……『後で、椿さんにチクってやるでゲスよ』


ゲ~スゲスゲスゲス……

(↑ただの逆恨み)



「本当に良く頑張ったね。みんな上手く歌えていたけど。特に、有野さんは……当然として。伊藤さん・大谷さん・木根さんは、凄く上手に唄えてたよ」

「ありがとうございます」

「どぉもぉ」

「嶋田様、ありがとうなの」


……はい?


素直や、由佳や、伊藤は解るんだが……木根?


ってか、アイツ、今日一切見掛けてないけど、どこに居るんだ?


・・・・・・はい?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


木根さんが居ないのに『木根さんの出来が良かった』っと言う嶋田さん。


彼女は一体、どこに居るのでしょうか?


まぁ、その辺はお察しだとは思いますが。

次回、その木根さんの姿が明らかに成って行きますです(笑)


なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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