最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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048 不良さん ライブの説明を聞き、ステージに上げられる奈緒さんを見送る

公開日時: 2021年3月25日(木) 21:14
更新日時: 2022年11月8日(火) 22:38
文字数:3,533

●前回のおさらい●


 崇秀の特殊なライブの内容を聞こうとした倉津君だったが。

イキナリ、奈緒さんがベーシストか、ドラマーかで話が脱線。

そしてそのまま、話はそちらに流れてしまうが、奈緒さんの本職は『ジャズドラマー』と言う事で解決。


だがこの後、ステージの設営が終わった事を知った崇秀は、奈緒さんをステージに上がる事を提案し、練習の成果を見せて欲しいと言い出す。


心の準備が出来ていない奈緒さん動揺(笑)


そんな奈緒さんの動揺を抑える為に崇秀は、先にステージに上がり。

今回のライブの説明を始めて、奈緒さんの動揺を抑える時間を与えるのでした(笑)

「う~っす。じゃあ、面倒クセェ事は抜きにして、早速、説明だけ始めるぞぉ」

「仲居間先生!!」

「おっ、なんだい?」

「先生が説明を始める前に聞きたいんッスけど。今回の初参加者は、何人居るんですか?」

「お初の人数ねぇ。えぇ~~っとなぁ、今回はなぁ……おぉ、スゲェ、20人も居ますなぁ」

「「「おおおぉぉぉ~~~!!」」」

「んでだな。そこに全参加者はプラスすると、なんと70人も来てくれました……ありがちょ~~~う。みんな、愛してるぜぇ~~~い!!」

「「「俺等も愛してるぞぉ~~~!!」」」

「ウッス、ウッス、サンキュー、サンキューな。……でだな。取り敢えず、今から本題である説明をするから、初めての人も、そうじゃない人も、ちゃ~~~んと先生の話を聞くんだぞ」

「「「うっす」」」

「じゃあ、説明しま~~す」


こんな調子なのに、何故か、みなさん静かに聞いてる。

……ってか、こう言うのって、ミュージシャンって嫌う傾向に有るんじゃねぇのか?


これは俺の偏見に過ぎないのか?


そんな疑問を持つ俺を尻目に、馬鹿は説明を始めた。



「まず説明をする前に、此処で一番判って欲しい事は、此処にいる皆さんの事です」

「此処に居る皆さんは、所謂、金の卵……ただ機会に恵まれなかった方々です」

「解り易く言うと、バンドを解散された方や、腕が良いのにバンド募集や、スカウトに引っ掛らなかったと言う可哀想な方達です」

「だから、そんなみなさんに、チャンスの場を作らせて貰いました……それが『俺プロジェクト』です……ではまず、此処まで、わかりましたか?」

「「「ウッス」」」


コンセプトだけを一気に説明しやがったな。


そしてミュージシャン達も、その崇秀の意見に納得したようだ。



「良い返事です」

「では、そこを理解して頂けた所で。次に、このライブのシステムについて説明します。しおりを開いて下さい」


しおりってオマエ……学校の遠足かっつぅ~の。



「開きましたか?じゃあ説明」

「このライブは、基本乱入制ライブです。但し、その乱入は『100%やらせ』。何故なら、此処に居る皆さんには、順番通りに乱入して頂くからです」

「では……その乱入する曲のオーディションを始めたいと思います。しおりの次のページに曲目が有りますので、それを参照にして自らが乱入したい曲を選び、カウンターで登録して下さい……以上です……んじゃあ、こんなまどろっこしい事は、もぉ終わりだ!!そろそろ行ってみっかぁ~~~!!」

「「「おぉおぉぉお~~~!!」」」


オイオイ、スゲェ盛り上がってるのは良いんだが、その後は、皆さん、登録の為に静かに並んでるぞ。


なんだこれ?

なんかスゲェ間抜けな光景だな。


そんな風に思いながらも不意にステージを見てみると、崇秀が、奈緒さんに向かって手招きしている。


あのアホがあの調子だったら、ヤッパリ、奈緒さんをステージの上で演奏させる気なんだな。


そんで諦めた奈緒さんは、渋々ながらもベースを持って歩み始める。

だから俺は、そんな彼女にエールを送る事にした。



「がっ、頑張れ、奈緒……さん」

「ははっ……」


けど、リラックス効果は無し。

奈緒さんは、顔が引き攣らせたままステージに上がっていく。


俺も暇なので、ステージの近くまで付いて行く事にした。


2人でステージの際に着いた途端、崇秀は、奈緒さんを軽く引き上げる。



「さて、みんなが登録してる間に聞かせてくれる?……向井さん、なに弾くよ?」

「あぁじゃあ、一応、メタリカの『One』で」

「ほぉ~~~っ、そりゃあまた、良い選曲だね。……んじゃあ、俺も一緒に弾こっかな」

「えっ?えっ?ほっ、ほんとですか?仲居間さんも一緒に演奏してくれるんですか?」

「別に良いよ……じゃあ後、必要なのはドラムと、ヴォーカルか。……それに、もう一枚ぐらいギターがあっても悪くはないな」

「えっ?ちょ!!そッ、そんな本格的にしなくても……」

「オイ、倉津。悪ぃけど、山中を呼んで来てくれねぇか?」

「あぁ、別に良いぞ」

「えっ?えっ?仲居間さん、私の話を聞いてくれてない?」


なんか面白い事になってきたみたいだな。

それに奈緒さんが指定したメタリカの『One』って言えば、戦争を唄った曲だよな。

この曲って、最後ら辺のギターソロとか、滅茶苦茶カッコ良いんだよな。


それを、キッチリ崇秀なんかに弾けんのか?

それに山中の馬鹿は、そんなのを叩けるのか?

2人の実力を知らないだけに、その辺は実に楽しみだ。


因みに、奈緒さんは100%大丈夫……奈緒さんだから。



「はいは~い。突発募集~~~!!誰かメタリカの『One』唄える奴いネェかぁ。後、ギター一人募集」

「『One』なら、俺、歌えるぞ」

「おぉぉおおぉ~~~っ、やっさんかぁ!!んじゃあ、やっさんヨロ」

「なんだ、なんだ?つぅか、その調子だと、仲居間さんもギターを弾くのか?」

「おぅ。だから、誰か一緒にやんねぇ?」


「「「し~~~ん」」」


なんだ?

あの馬鹿と弾くのは、そんなに嫌なもんなのか?


一瞬にして、凍り付いた様にライブ・ハウスが静まり返ったぞ。


なんかわかんねぇけど。

この後、面白そうな展開になりそうだから、早く山中を呼びに行こ。


俺は、急いで通路でフリーズしてる山中を回収。

その後、ステージに放り投げた。



「オイオイ、秀、なんやねん急に?」

「おぉ、悪ぃ。ところでオマエ『One』やれる?」

「『One』やと?メタリカのか?」

「そうそう」

「メタリカなぁ。まぁ、メタリカやったら、そこそこやれるんちゃうか」

「あぁっそ。んじゃあ、一曲頼むわ」

「えぇで」


なんだそりゃあ?

そんなに簡単に、崇秀との演奏を決めれるもんなのか?

山中だけは、この会場に居る他の奴とは、全然ノリが違うじゃないか。


けど、そんな山中はボケたまま、何食わぬ顔してドラムの位置に座る。


そんなんで本当に大丈夫なんか、アイツ?


そんな山中を見てると。

不意に奈緒さんが気になったので、彼女を見てみるとガチガチに緊張している。



「奈緒さん……だっ、大丈夫ッスか?」

「ダメ……かも」

「がっ、頑張って下さい」

「プッ、プレッシャー掛けないでよ」

「んじゃ、軽く始めっか……の前にメンバー紹介ぐらいは、最低限しとくか」

「ちょ!!えっ?えぇええぇぇ~~~ッ!!仲居間さん!!そんなのいらないですって!!」

「まずは、大阪出身の超絶ドラマー……元『A passing shower』のヒロ」


奈緒さんが動揺する中、真っ先に紹介されたのは、山中のアホ。

だが当然、山中の実力が未知数なだけに、会場内はザやけにワザワしているだけだ。


そんな静まり返る中、山中がドラムを激しく叩いた。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪……



「「「おぉぉおぉおぉおぉぉ~~~っ!!」」」


なんだよアイツ?

アホのくせに、滅茶苦茶ドラムを叩くのが上手いじゃねぇかよ。


聞いたミュージシャン共も、一気に歓声を上げた。


まぁ俺には、他人の演奏のレベルなんぞは解らんが。

あそこまで正確にリズムを取りながら激しく叩けるのは、相当な実力だとは思うぞ。


完全に中学生のレベルではない……それだけは確信出来るな。


しかしまぁ、人間、なにか1つぐらいは取柄ってあるもんだな(笑)



「続いて、神奈川が生んだ氷の微笑。クール・ビューティ・ベーシスト『JAZZ-R』ナオ」

「「「おぉぉぉおおおぉ~~~!!なにこの子!!メッチャ可愛いぞぉ!!ナオ~~~!!ナオ~~~!!」」」


イラッ!!


……あのなぁ、オマエさん等なぁ。

俺だけの奈緒さんを、俺と言う彼氏の許可もなく、勝手に奈緒さんを呼び捨てにすんなよな。


まだ俺ですら『奈緒さんを呼び捨て』には抵抗があるって言うのによぉ。

(↑ただのヘタレ)


まぁ、その話は置いておくにしても、必死にベースを弾いてる奈緒さんは上手い。

そして、美しくも可憐だ。



「ラストは、メタリカ大好きオジサン『Big-B』やっさん」

「「「おぉおぉ~~~!!此処で、やっさんか!!やっさん・やっさん・やっさん……!!」」」


なんだなんだなんだ?

この異様なまでの盛り上がり方は?

メタルジジィは、オーディエンスからスゲェ歓声を受けてやがるな。


このオッサン、実はスゲェ人気者なのか?



「んで、最後に俺っと……んじゃあ行くか」


ってオイ!!

オマエは、人を散々煽って置いて、自己紹介はそれだけか、それだけなのか?


オマエの変な自己紹介のせいで、完全に、この場に居るミュージシャン共は、ポカ~~~ンっとしてるじゃねぇか。

しかもこのアホ、ギターの音を一音も出しやがらねぇ~~~。


マジで、なんなんだよコイツは?

ステージが盛り上がる様に、自分でバンドのメンバーの紹介までしたくせに……


ホントにオマエって奴だけは、自分勝手な奴だな。


どうすんだよ、この状況?


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


今回の展開自体は解り易かったと思いますので。

この後書きでは『ライブの内容の説明』を解りやすく解説して置こうと思います(*'ω'*)ノ


●崇秀のライブの特徴●

①バンドが解散や、メンバーの脱退により、今、バンド活動が出来なくなったミュージシャンの救済。


以前に説明したとは思うのですが。

この時点で崇秀は、結構、老舗の『音楽サイトを経営しています』

その為、①が原因でバンド活動が出来なくなった実力者の為に、この企画を立てたようです。


②ライブは全てが、ヤラセではあるが乱入制。


基本的には乱入制である必要性は無いのですが。

こうした方が『盛り上がる』し、次々に奏者が変わる為には『事前に正確な楽器の調整が必要』に成ってきます。

そしてこれにより、崇秀は『バンドの入れ替わり時間の短縮』を狙っている様です。

(多バンドによるライブに行った事がある方ならお解り頂けると思うのですが、バンドの入れ替わり時間って、結構、掛かるんですよね)


解りやすく言いますと。

乱入制の為、事前の音合わせをキッチリさせて置く事によって、バンドの入れ替わりの時間を短縮させ。

オーディエンスの熱気が冷めないまま、ライブを継続させようとしている訳ですね。


……以上、説明終わり(笑)


さて次回は、崇秀と言う努力する質の悪い天才が、とうとう本領を発揮してきます。

彼は一体、どんな音楽を奏でるんでしょうね?


それは次回の講釈で(笑)


また遊びに来てねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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