●前回のおさらい●
眞子に成った倉津君について。
それは、崇秀が故意的に行った行為だと言われ、今まで以上に激しく動揺してしまう眞子。
果たして、その真相は?
「あっ、貴方は、なっ……なにを言ってるんですか?……崇秀が、そんな事をする訳……」
「『なにを言ってる?』っと言われましても、困りますね。僕は、ただ、在りのままの『事実』を述べてるだけですが」
「そっ、そんな事、さっ、流石に有り得ないですよ!!大体にして崇秀が、私にそんな事をして、なんの得に成るって言うんですか!!急に変な事を言わないで下さい!!」
「『得ですか?』……有るんじゃないですか?彼にとっての、なにモノにも変えがたい特別なものが」
「『崇秀にとっての特別?』……なんですか、それ?あぁでも、これ以上、おかしな事を言うつもりなら、なにも言わなくて結構ですよ」
「いえ。なにもおかしな事を言うつもりは有りませんよ。『半陰陽と言う特別な体』を持っていた『特別な親友である倉津真琴』を、一生自分のモノにする為には『身も心も女性にしてしまう』のが一番手っ取り早かった。ただそれだけの事です。……彼は、そこまでしてでも、アナタを手放したくはなかったんでしょうね」
「なっ!!」
「そんな風に、アナタの視線を持っていく向井奈緒さんの存在が許せなかった。だからこそ、彼女から貴方を奪い取りたかったんですよ」
なっ!!なんて事を言うの!!
言うに事欠いて、なんでそんな酷い事が言えるの?
そっ、そんな訳ないよ……大体にして、崇秀が、そんな酷い真似をする筈が無いよ。
まずにして崇秀が、そんな馬鹿げた事を考える筈がないよ……
「……訂正して下さい」
「えっ?」
「崇秀は、そんな汚い真似をする様な卑怯な男なんかじゃ有りません!!勝手な事を言うな!!」
「では、何故、貴女が最初に電話された時。彼は、あんなに直ぐに、冷静かつ沈着に『仮説』を立てる事が出来たんですか?それに何故、事の無げに、貴女の女性に成った姿を受け入れられたんですか?……彼の態度は、まるで、全てが用意周到に準備されていた様だったんじゃないんですか?」
「違います!!仮説を即座に立てれたのは、崇秀が頭が良いからです!!受け入れてくれたのは、親友だからです!!絶対に崇秀は、そんな事をする人間じゃないです!!」
「本当ですか?……では、何故、必要なまでに、貴女に『眞子』に成る事を薦めてきたんですか?」
「それは、私が生き易い様に考えてくれただけに過ぎません!!崇秀に、そんな不埒な気持ちなんて有りません!!」
「では、最後に、もう1つだけお聞きします。此処数ヶ月、貴女に連絡が無い間、彼が、ラボでなにをしていたか、ご存知ですか?」
なにって?
『性別問題の研究』をしていたに決まってるじゃないですか。
それ以外、なにがあるっていうんですか!!
「研究です!!」
「なんの為に?……それに向井眞子さん。その研究が行なわれているらしき現場を、貴女は、一度でも自分のその眼で確かめた事があるのですか?彼は、本当に、その研究をしていましたか?ラボに来る事を拒絶されませんでしたか?」
「そっ、それは……」
「まぁ、そうは言いましても。彼が研究をしていた事は、紛れもない事実なんですがね。問題なのは、その彼が必至に研究していた事。……彼は『性の転換』の研究ではなく。『クローン技術の開発』に打ち込んでいたんですけどね」
「クローン技術?……なんの為に、そんな事を?」
「どうやら、まだ知らされてない様なので、お教えしますが。……彼は、アナタの細胞を使って『倉津真琴の再生』しようと試みているんですよ。元貴女の主人格である意思のクローン、すなわち倉津真琴さんのクローンを作ろうとしているんですよ」
「ちょっと待って……それこそ、なんの為に?」
「解りませんか?彼は、自分の犯した罪を、少しでも軽減しようとしてるんですよ」
……罪の軽減?
なんの為に?
私は、ある意味、今の現状に凄く満足している。
いや、それ処か……今の私は、この事に関して感謝しかない。
だったら崇秀が、罪の意識なんて持つ必要なんて、なにもないのに……
以前にも、その私の意思は、キッチリ伝えた筈なんだけど。
「なにを言ってるんですか?崇秀に罪なんて、なに1つないです」
「貴女こそ、なにを言ってるんですか?貴女に対しての罪は無くても。貴女を女性に変えてしまった事により、向井奈緒さんに対する罪は大にして有るんじゃないですか?……貴女は、そこまで彼女の事をお忘れなんですね」
「うくっ」
「良いですか、向井眞子さん?彼は、自分の犯した罪に、多少なりとも罪悪感を感じている。だから『倉津真琴のオモチャ』を、向井奈緒さんに与え様としているんですよ。勿論、自分は、貴女と言う『本物の倉津真琴』を得た上でね。……あぁただ、此処で言って置きますが、オモチャと言っても、貴女の持つ倉津真琴と全く同じ性能や思考を持つ者ですので。些かオモチャだと言うには語弊があるかもしれませんがね」
どうして?
どうして崇秀は、そんな真似をしようとしてるの?
人間のクローンなんて、完全に人の領分を越えている行為だよ……絶対に犯しちゃイケナイ『神の摂理』だよ。
ダメだよ……
「そんな訳ない!!そんな事をする筈がない!!大体にしてアナタの言ってる事は、全ておかしいですよ!!まずにして、私が欲しいなんて、崇秀が思う事自体が変ですよ!!崇秀は、私の事なんて眼中にも無いんですから!!」
「今更、異な事を。彼は、貴女が男で在る時でさえ、ナンデモカンデモ世話を焼いていてくれたんじゃないですか?他の友人に対して、彼がそこまでなにかをする事は、絶対にありませんでしたよ。それになにより、貴女の意見にだけは、必ず耳を傾け、全てを実行に移しましたが。他の人間の話には、全く興味を示さなかった。……良いですか、向井眞子さん。貴女の存在と言うのは、仲居間崇秀さんにとっては、何よりも『掛け替えの無い存在』。彼の中では、貴女以外の存在なんて無にも等しいんですよ」
「そんなの嘘だ!!……もぉ嘘だって言って下さい。崇秀は、みんなの為に頑張ってるんですよ。それを、そんな風に言うのはヤメテ!!だから早く、そんなの嘘だって言って下さいよ」
「なにを言ってるんですか?貴女程、彼に愛されてる人間は他にはいませんよ。……まぁ、かなり偏った愛情ではありますが。『自分の親友を女性に変えて』まで、自分のモノにし様とするなんて大した思考じゃないですか。普通なら、どこかで躊躇するもんですが、彼には、そんな躊躇など何所にも無かった。……貴女は、それ程までに、仲居間崇秀さんに愛されているんですよ。正に『究極の愛情表現』なんじゃないですか」
……そんなの違う。
崇秀は、人の幸せを奪ってまで、自分が幸せになろうとする様な器の小さな人間じゃない!!
アイツは……崇秀は……そんな卑怯な人間じゃない!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
この医者らしき人物の話を鵜呑みにするならば……崇秀は、完全にイカレてますね。
ただまぁ、それが例え、事実であったとしても。
本当に崇秀は、そんな人道外れた事を考える様な人間でしたでしょうか?
確かに崇秀は、ある意味ポンコツです。
目的の為には手段を選ばない面も多々持ち合わせてもいます。
ですが、此処で大事な事は、本編でも眞子が言っていた様に『奴は、人の為にしか動かない』
特に自分の事に関しては、あまりにも優秀過ぎる上に、なにもかもを持ってるが故に、無頓着な部分があるので『人の幸せを奪ってまで、自分が幸せに成ろうとなんてしない』
なので眞子は、誰に何を言われ様とも、それだけが真実だと捉えている様ですね。
ホント、信頼関係のある、良い関係だと思いますです。
……っとは言え、医者らしき人物にも、彼は彼也の言い分がありますので。
次回は、その彼が言う、崇秀の狂気の部分をより深く書いて行こうと思います。
そんなお話ですが、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!